勇午/原作:真刈信二 漫画:赤名修
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491 名前:勇午 1st NEGOTIATION[sage] 投稿日:2005/12/10(土) 05:49:48 ID:???
別府勇午はフリーの交渉人(ネゴシエーター)。
九段下の雑居ビルの一室にある彼の事務所(兼住居)のドアを叩いたのは、思いつめた表情をした少女だった。
少女の名は岩瀬繭子。パキスタンで発生した邦人誘拐事件、その被害者の娘だった。
金銭授受による解放が予想されていたが、その交渉役が兵隊に射殺されたことで状況は白紙へ。
父を案じる繭子に、勇午は交渉依頼を快諾する。

背景にキナ臭さを感じる勇午は、まず事前調査を行う。
イスラム事情通の外人記者ラシッドの情報から、岩瀬を誘拐したのは
パキスタンの過激派組織(ダコイット)のユフス・アリ・メサと推測する。
アリは13歳で初めて人を殺して以来、多くの人間を手にかけてきたという。
特に、シンド州のダコイットの指導者は彼の手によって皆殺しにされたと。
その唯一の生き残りが、ハジ(聖地巡礼を果たした者に与えられる尊称)・ラフマニという名の老人らしい。

機械ヲタクの友人、小暮からパキスタン─日本間の通信が可能な無線機を受け取り、勇午はパキスタンへ。

ダコイットを警戒する警察と、邦人誘拐の対策のため部隊を集結させる政府軍のために緊張する
パキスタン、カラチで、勇午は旅行ガイドを営むアーマドを通じてハジ・ラフマニと接触する。
交渉のためにアリとの接触を希望する勇午に、ハジ・ラフマニはアリの恐ろしさを語る。

20年前、ハジ・ラフマニの部下を殺してその女を奪ったアリと対決したハジ・ラフマニだったが、
アリは逆にハジ・ラフマニの仲間だった頭目(シェイク)を皆殺しにし、ハジ・ラフマニの額を裂いた。
ハジ・ラフマニを殺さないのは「真の勇者はハジを殺さない」からであり、代わりにシェイクの座を奪い、
「アリに命乞いをした卑怯者」という汚名をハジ・ラフマニに着せた。

492 名前:勇午 1st NEGOTIATION[sage] 投稿日:2005/12/10(土) 05:51:08 ID:???
その苦い記憶を悔やみ続けるハジ・ラフマニに、勇午は失った彼の名誉を取り戻すことを約束する。
その条件を受け入れたハジ・ラフマニは、勇午へ協力することを決める。

ハジ・ラフマニの手回しにより、アリとの交渉の場が設けられるが、そこまでは自力で辿り着かなくてはならない。
アリは真の勇者と認めた者としか交渉しないという。さもなくば死を与える、と。場所はキルタル山脈の北端。
その日、勇午は一人の踊り子と出会う。彼女は娼婦でもあった。
彼女は口が利けない。身をひさぐ卑しい商売の女が、その最中に間違っても
「神の名(アラー)」を口にすることの無いよう、両親によって舌を切り取られたからである。
アリとの交渉へ出発する勇午の後に、その踊り子がついて来る。何より彼女の身を案じて同道を拒む勇午だったが、
頑なに後を追ってくる彼女に、勇午も根負けする。
険しい山脈の中、陸軍のヘリから逃れるために逃げ込んだ洞窟で、ダコイットの襲撃を受ける。
その窮地を切り抜けた勇午は、同時に、アリの部下と出会う。「おまえが2人目の交渉人!」

その頃、カラチの誘拐事件対策本部では、傍受した通信から、何者かがダコイットと交渉しようとしていることを知る。
ダコイット制圧を第一義とする対策本部は、交渉人──勇午を抹殺するためにシャドル中佐を差し向けることを決定する。

ダコイットのアジトに連行された勇午は、そこでアリの姿を見る。アリは、人間の首をねじ折る怪力を持つ巨躯の男だった。
「日本人などに神の声が届くはずがない」とアリは勇午との対面を拒み、勇午を岩に磔にする。
太陽光で熱せられた岩が肌を焼き水分を奪う、それは拷問であり処刑であった。

493 名前:勇午 1st NEGOTIATION[sage] 投稿日:2005/12/10(土) 05:53:19 ID:???
イスラム教徒の精神構造「神との同化志向」を知っていた勇午は、コーラン(イスラム教義)を唱え続けることで苦痛に耐え、
自らをトランス状態へ誘導する。その超人性に畏怖を抱き始めたダコイットたちは、勇午の体に殺人蟻を這わせてその現象、
「こいつは神に守られた存在か」を検証する。蟻が体内に侵入しようとする直前、踊り子が勇午に水を浴びせて蟻を流し、
口移しで勇午に水を与える。それによって息を吹き返した勇午は公然とアリを告発する。

「交渉に来た俺に会おうともしない ユフス・アリ・メサは腰抜けだ!」

激昂したアリは壁をぶち抜き、扉を叩き割り、塀を踏み壊して勇午に迫る。
勇午の頭を握りつぶす直前、アリは勇午の首から下げられたペンダントに目を留める。
それはハジ・ラフマニから授けられたものであった。アリは勇午の処刑を一時中断し、勇午に茶を振舞う。アリとの対談のテーブルで、まず勇午が持ち出したのはハジ・ラフマニの名誉の回復であった。
その勇午の口を塞ぐため銃殺を命じるアリであったが、勇午に神性を見出した兵隊たちはその命令を拒む。
その神性を確かめるため、ダコイットたちは勇午に自ら腕を切り裂くことを要求する。
皆の見守る中、勇午は岩のときと同じ方法で痛みを無視してナイフで腕を裂き、自分が神に認められた勇者だと示す。
その口で「ユフス・アリ・メサは勇者の中の勇者」だと言い、過不足なくアリと同等の立場に立つことに成功した勇午は、
ついに身代金交渉のテーブルに着いた。身代金受け渡し場所は、岩瀬が拘束されている炭鉱跡。

日本で勇午の吉報を待つ繭子だったが、勇午が軍に狙われていることを知り、身代金を持って自らカラチへ飛ぶ。。
勇午とダコイットの動きを察知したシャドル中佐も、受け渡し妨害、ダコイット殲滅のために行動を開始する。

陽動の為にアジトを放棄することを提案する勇午。アリはその策に乗り、村人全員の移動作戦を決行する。
ヘリでもぬけの殻の村を焼き払う軍。後手に回っていることに気がついたシャドル中佐は、付近一帯に封鎖線を張る。
その線上には、受け渡し場所の炭鉱跡があった。

494 名前:勇午 1st NEGOTIATION[sage] 投稿日:2005/12/10(土) 05:53:56 ID:???
50万ドルを持ってカラチ入りした繭子は、ハジ・ラフマニと会う。アーマドは、勇午との合流予定地点も
軍に封鎖されていると告げ、繭子に諦めるように言うが、ハジ・ラフマニが身代金を現地まで届ける役を買って出る。

踊り子の持つ血染めの旗を目印に勇午と接触するハジ・ラフマニとアーマド。
だが、ほとんど同時にシャドル中佐に発見される。その場の追撃を凌ぐことはできたが、炭鉱跡を嗅ぎ付けられてしまう。

炭鉱跡で岩瀬と身代金を交換するが、間も無く軍の部隊が突入してくる。踊り子に岩瀬を託し、先に逃がす。
ダコイットと軍との本格的な戦闘が始まり、死体の山が積み重ねられてゆく。
勇午とアリは協力して坑道からの脱出を図り、ハジ・ラフマニはダコイット全員を逃がすためにその身を犠牲にする。
ハジ・ラフマニの自爆によって坑道の入り口を塞がれた軍は、それ以上の追撃を断念する。

アリは勇午の行動力と勇気に敬意を表し、また、貴い犠牲となったハジ・ラフマニのために、
かつて彼から奪った名誉を回復させることを宣言する。

カラチ駅で、繭子は父との再会を果たす。

アリと別れ、鉄道線路沿いにカラチを目指す勇午の元へ、一足早く岩瀬をカラチへ送り届けた踊り子が駆け寄ってくる。
勇午の無事を確認した踊り子は勇午に抱きつき、キスをする。
月夜の下、名を尋ねる勇午に、彼女は声にならない言葉で答えた。
「ラ イ ラ」
列車は近づいてきた。

1st NEGOTIATION complete

495 名前:勇午 2nd NEGOTIATION[sage] 投稿日:2005/12/10(土) 09:45:58 ID:???
ある日の深夜、大企業呉竹グループのオーナー呉竹隆三が勇午の事務所を訪れる。
彼の依頼は、隆三を恐喝する広域暴力団「宗像興産」秋津との交渉だった。
具体的な要求は隆三所有の株式の譲渡、つまり呉竹グループの経営権の譲渡である。
その材料として持ち出してきたのが、隆三の父が過去にあるプロジェクトで政治家や官僚に対して
大規模な買収を行ったこと、そしてそれを嗅ぎ付けた代議士を殺害した、という二つの情報だった。
その殺害依頼を録音したテープを持っていると秋津は脅してきたのだが、その情報の真偽を問う勇午に
隆三は「買収はしたかも知れないが、父は人を殺させる人間ではない」と殺人教唆を否定する。
それが正しいなら証拠のテープは偽造か、単なるブラフだということになる。
そこに交渉の余地ありと見なした勇午は依頼を受諾する。

まずは殺されたとされる代議士、久田村の情報を集めるため、政治家の議員秘書を務める園田の元を訪れる。
勇午は久田の秘書だった者のうち、現在は消息不明の者をピックアップしてくれるように頼み、その場は別れる。

次に勇午が会ったのは、男性名を使う女性ルポライター「北村邦彦」だった。
男性名なのは正体を隠すためで、彼女が女性であることを知っているのは日本に十人もいないらしい。
北村から得た情報は、宗像興産の内部情報だった。心臓を患う会長に代わって組を運営しているのは
会長代行の秋津一だが、その下の若頭、古川征治も力を付けてきているらしい。
北村の印象では、秋津はガセでは決し動かないらしい。また、古川は胸糞の悪い男らしい。

久田村の元秘書を洗っていた園田だったが、そこを古川に踏み込まれる。そこで勇午の存在を知った古川は、
勇午を標的に定めた。勇午の事務所に押し入り、銃、勇午の妹の存在、切り離された何者かの指などの
小道具で勇午に揺さぶりを掛ける。古川の要求は呉竹からを手を引くことであった。

496 名前:勇午 2nd NEGOTIATION[sage] 投稿日:2005/12/10(土) 09:46:44 ID:???
勇午を呼び出した隆三は、父の遺品からi当時の汚職の裏工作に関わっていた人物が判明したと告げる。
政界とのパイプ役となっていたのは芳賀大介。久田村代議士の秘書でもあった男だ。
隆三の父が殺人教唆を行ったとされる証拠のテープの真偽を問えるのは彼しかいない。
だが、古川が持ち込んだ指の持ち主こそが芳賀であり、彼は古川によって殺されたのだろうと勇午は推測する。

警察の介入を提案する隆三だが、勇午にはまだ腑が落ちない部分があった。
相手は隆三が警察に駆け込むのを待っているのではないか? 大事な証人をなぜ殺したのか?
勇午は秋津が進める恐喝の裏にはなにかが隠されていると推測し、その答えを得るために虎穴に飛び込む決意をする。

二台のベンツを用意し、その片方に隆三を乗せるという二重の囮で古川の裏をかき、勇午は単身で交渉に臨む。
要求を全面的に拒否する勇午は、秋津の持つ情報はガセであると言い放つ。
一触即発の空気に持ち込まれたのは、古川の携帯通話を傍受したテープだった。
「今度こそ警察に駆け込んで洗いざらいをぶちまける オジキの吼えヅラが見ものだぜ」
今回の恐喝騒動は、秋津の失脚を狙った古川が計画したものであった。
隆三を追い込んで警察へ向かわせることで、秋津に脅迫および殺人の罪を着せようとしていたのだ。

テープは続ける。「オジキのやつ、ガセつかまされたとも知らねえで」
古川はそのテープが捏造であると主張するが、「その言葉そっくりお返しします」と勇午は答える。
全てが露見した古川は観念し、拳銃で自分の頭を打ち抜く。「あの時お前を殺っとくべきだった」

事件は解決したが、隆三は父の汚職のけじめをつけるため、社長を辞任した。

2nd NEGOTIATION complete