ユーベルブラッド/塩野干支郎次
819 名前:ユーベルブラッド 1/3[sage] 投稿日:2006/08/01(火) 09:45:36 ID:???
中世ファンタジーな雰囲気の異世界・サーランディエン。
豊穣の土地と呼ばれたこの世界も、暗黒の軍勢に侵攻されつつあった。
そこで、皇帝は14人の若者に暗黒の軍勢を封じ込める使命を与えた。
旅立った14人の若者の内、3人は旅の途中で命を落とし“尊き未帰還者”と呼ばれた。
4人は敵に寝返って討たれ“裏切りの槍”と呼ばれた。
そして残りの7人は無事使命を終えて帰還し、人々から尊敬を込めて“七英雄”と呼ばれた――。
それから二十年後。
かつて討たれた筈の4人の“裏切りの槍”が山賊達を集め謀反を起こしたのである。
“黒翼剣軍”と呼ばれた彼らは各地で略奪を行い、再び暗黒の時代が訪れようとしていた。

とある辺境の村に一人の少年が迷い込んでくる。
ケインツェルと名乗るその少年は村に住むとある姉弟の世話になることに。
そこに、“裏切りの槍”の一人クファーが黒翼剣軍を連れて攻め込んでくる。
姉弟の姉が攫われ、弟も殺されようとしたところにケインツェルが助けに入る。
線も細くまるで少女のような容姿をしているケインツェルだが
体に不似合いな黒い大剣を軽々と操り黒翼剣軍を瞬く間に斬り殺していく。
なぜか“裏切りの槍”クファーに激しい憎悪を抱いているケインツェルはそのままクファーもあっさり殺してしまう。
そんなケインツェルの姿を見つつ、姉弟の弟はある噂を思い出していた。
片目に傷を持ち、黒い大剣を操る謎の剣士が黒翼剣軍を殺し回っているのだと。

820 名前:ユーベルブラッド 2/3[sage] 投稿日:2006/08/01(火) 09:47:46 ID:???
その後、辺境の各地で“裏切りの槍”のギュスタフ、クレンテルを倒し
遂に最後の一人にしてリーダーのアシェリートを追いつめるケインツェル。
圧倒的な強さを誇るケインツェルの正体を訝しむアシェリートに、ケインツェルは昔話を始める。
二十年前、皇帝の勅命を受けた14人の若者が旅立った。
3人が途中で命を落とし、残りの11人は旅の終着点“死の森”に辿り着くが、そこで7人が怖じ気づいて逃げ出してしまった。
残された4人が死に者狂いで使命を果たして森を抜けると、そこには逃げ出したはずのあの7人が。
そして7人は自分達の名誉の為に使命を果たしたその4人を斬り殺してしまう。
そう、その7人こそ後の世に“七英雄”と呼ばれた7人で、斬り殺された4人が“裏切りの槍”と呼ばれた4人なのだ。
それこそが真実。
そう語るケインツェルに、アシェリートもまた真実を語る。
黒翼剣軍は本当の“裏切りの槍”ではなく、元は辺境の領主だった。
しかし、“七英雄”の帰還によって大戦が終結した後、中央の役人達が辺境にやって来てその領土を奪い、彼らは追放されてしまった。
だからこそ“裏切りの槍”を名乗り各地を荒らし回っていたのだと。
そう訴える偽アシェリートを、ケインツェルは名前を騙った罪で無惨に斬り殺す。
なぜなら、ケインツェルこそが本当の“裏切りの槍”のリーダー、アシェリートだったからである。
あの7人に裏切られて切り刻まれた時、アシェリートは手足を無くしながらも瀕死の状態で生き延びていた。
偶然通りかかった妖精を生きたまま食らったアシェリートの体は魔力により変化し、子供の体となってしまったのだ。
そして二十年後。名前をケインツェルと変え、自分達を裏切った“七英雄”への復讐を誓ったのである。

821 名前:ユーベルブラッド 3/3[sage] 投稿日:2006/08/01(火) 09:48:49 ID:???
その後、辺境領を出て“七英雄”が支配する土地に向かったケインツェル。
そこで“七英雄”のリーダー、グレンと邂逅する。
ケインツェルは憎悪に我を忘れてグレンに襲いかかる。
しかしグレンがアシェリート達を裏切ってまで手に入れた“力”により暗殺は失敗してしまう。
その力とは“権力”であった。
まさに世界を救ったとも言える“七英雄”には絶大な権力があり、身辺の警護は厳しく容易に近づくことさえ出来なくなっていたのである。
そして、現在の平和は“七英雄”がいるからこそ成り立っているということに気付き愕然とするケインツェル。
暫くショックで腑抜けになるケインツェルだったが、偶然“七英雄”の一人シュテムヴェレヒの暗躍を耳にする。
シュテムヴェレヒは盗賊達を使い、何やら女達を誘拐しているのだと言う。
女達を救出し、シュテムヴェレヒに復讐を果たすため再び立ち上がるケインツェルだったが…。

という所で以下続刊。