X/CLAMP
114 :X :04/05/22 02:49 ID:???
かなり長々と書いてしまったので、それこそ読むのが面倒な人も多いでしょう。
ちなみにXを一レスでまとめるとこうなります。おいおい。

母の遺言で東京に帰ってきた少年・司狼神威。
彼は地球を壊す『地の龍』と、地球を守る『天の龍』のいずれかを選び、地球の未来を左右する運命を負っていた。
幼なじみの封真と小鳥の兄妹を守るため神威は『天の龍』を選ぶ。それは悲劇の運命の幕開けでもあった。
封真は神威の対となる天地の龍となるべき存在だったのだ。封真は『地の龍』となり妹の小鳥を殺し別人となる。
愛する小鳥を失った神威は、せめて封真だけでも取り戻したいと願い彼と戦う道を選択した。
悲しい運命を背負った神威の元に集まってくる仲間達。彼らもそれぞれの出会いや別れを果たし、天地の龍は戦い合う。
そして全てを見通す盲目の占い師、丁。彼女は地球を守ることを願いながらも、
闇の心を持つもう一人の自分に乗っ取られる。
『天の龍』を導いていた丁の守りを失い、地球は『地の龍』が選ぶ崩壊へと向かっていく。
占い師が預言した地球の破滅を神威は食い止めることができるのか、望みを叶えて封真を取り戻すことができるのか。
そして明かされていく封真の望みとは?天地の龍の運命は?
→以下続刊

<注意事項>
* 封真と神威、昴流と星史郎、封真と牙暁などは、男同士でありながらかなり絡みが濃厚です。
  耐性のない方は注意してください。
* Xは休載中です。復旧のめどは立っておりません。未完とならないよう祈ります。
* 東京BABYLONは読んでおくといいでしょう。


442 :X はじめにー1 :04/05/03 01:57 ID:???
X
作者:CLAMP
1〜18巻(以下続刊)
*この作品は「東京BABYLON」や「CLAMP学園探偵団」などCLAMPの他作品がリンクしている形となっています。

この作品の特徴としては、
・やたらと見開きページと同じ描写が繰り返され、台詞が極端に少ない。しかも抽象的なものばかりである。
・『 』がジョジョのごとく多く、その用語は覚えておく必要がある
 (が、一つの言葉が何度もしつこく出てくるので読み飛ばしも可)。
・主要登場人物が多い(最低14人)。
・世界設定上やたらと説明が多い。
・伏線が過剰。後々絡んでくるだろうと思わせる描写づくめである。
 よって特に始めの方は物語が非常に分かりにくい。
・男同士でもやたらベタベタとスキンシップの描写(大抵が拷問シーン)がある(が、フォモではない)。

 などがあります。特に『神威』『地球』『東京』『夢見』『神剣』これらのキーワードは強調、多用されます。

443 :X はじめにー2 :04/05/03 01:59 ID:???
文中で異様に説明くさいものはここで紹介してしまいます。

<用語説明>
『世界の終末』を巡っての戦いの話

『七つの封印』:別名『天の龍』。『世界の終末』に関わる七人のこと。
     『結界』を創世し、地球を守る力を持っている。どこかの名門ないしは宗派出身の術者であることが多い。
『七人の御使い』:別名『地の龍』。同上。
     『東京』に張り巡らされた『結界』を壊し、破壊的な力で人類を滅亡させうる集団である。
     例外もいるものの、殆どが人格破綻者ぞろい。
『東京』:地球を守る『結界』が幾つも張り巡らされている楔の土地。
     ここの結界が全て壊れると世界が壊れて崩壊するらしい。
『結界』:二つの意味があるらしい。元から張られてるものと、『七つの封印』が作るもの。
     前者は山手線やらサンシャインやらレインボーブリッジやら東京タワーやらの観光名所に張り巡らされている。
     これを壊すと楔のバランスが崩れ、地震が起こって土地が崩壊し、即ち東京が、ひいては地球が滅ぶ。
     後者は『七つの封印』のみが創世でき、作った当人が瀕死、死亡した時以外、第三者には解けない。
     戦いの時に張ることで別空間を作りだし、被害を現実世界に及ばないようにすることが可能である。
『夢見』:夢占い師のこと

<人物紹介> 
『神威』:本名・司狼神威(しろう・かむい)。主人公。『世界の終末』の鍵を握る少年。
     不幸なことがてんこもりに起き、初期とでは人格が別人だが基本的に無口で素直なロリ顔の美少年のようだ。
桃生封真(ものう・ふうま):
     神威の幼なじみの少年(オサーン顔)。刀隠神社の息子で、仏頂面で無口な頼りになる兄貴。
     妹の小鳥と幼なじみの神威をとても大事にしている。
桃生小鳥(ものう・ことり):
     封真の妹で同じく神威の幼なじみ。今時いねーよという病弱で純真な天然美少女。
     幼い頃に離ればなれになった神威を想っている。

とりあえずこの主要な三人だけ説明して、後は出てきた際に。

444 :X その1 :04/05/03 02:04 ID:???
<OP>
瓦礫の山となった都市の建物の上に7人の人物が立っている(既読の人には『東京BABYLON』の昴流がいると分かる)。
その中の一人が言った。「『あいつ』だけは俺が殺る」

<はじまり>
夜景の東京を見下ろして東京タワーに佇む謎の少年。
「6年ぶりの… 東京か 帰ってきたよ 母さん」といい彼はタワーから軽々とジャンプした。

ところ変わって桃生家の朝の風景。通学する桃生封真と小鳥。
通学途中で小鳥は封真に、今日は神威が帰ってくる良い夢を見た、と言う。

そして通学途中らしいが、昨日のタワーの少年は怪しい男達に絡まれていた。
その少年はかなり短気らしく、いきなり喧嘩腰で強力な力をぶっぱなし、周りの物も壊して大暴れ。
吹き飛ばされた男達は、人間の姿を崩し紙くずになった。どうやら何者かが放った式神だったらしい。
少年は式神に、俺の相手をするなら死ぬ気でこいやゴルァといい受けて立つ姿勢を見せた。
そして少年の戦いぶりを見守る二人の影。
「『結界』も張らず、力も使いたい放題。本当に彼が『神威』なのか?」

授業中の小鳥は昨日見た夢を思い出していた。
幼なじみで優しかった神威のことを思い小鳥がうっとりしていると、窓の外から少年の姿が見える。
授業中ということも忘れ、小鳥は窓に駆け寄り「神威ちゃん!」と呼んだ(見開きで見つめ合う二人)。
しかし次の瞬間には少年の姿は消えていた。あんまり会いたかったから幻を見たのかしら…と乙女チックな小鳥。
一方体育の授業中だった封真も、桜の木の下に佇む少年を見つける。「神威…?」
呼びかけたが彼は封真を無視していってしまった。

445 :X その2 :04/05/03 02:05 ID:???
そしてその日、小鳥のクラスに転校生がやってきた。
「司狼神威」と紹介され、やっぱり神威だと興奮し狂喜する小鳥。
授業が終わり即行で教室を出ていってしまった神威を小鳥は追う。しかし再会を喜ぶ小鳥に、神威は
「俺にかかわるのはやめろ。二度と話しかけるな。もう6年前とは違うんだ。」と冷たく返した。
ショックを受け泣いて小鳥は立ち去る。

小鳥が立ち去った後、神威はいきなり空中を攻撃した。
どうやら何者かが『目』を飛ばしてきたらしい(ようはのぞき見)。
『目』を飛ばしてきた人物は、術を返されて衝撃を受ける。
姫様と呼ばれる古風なその少女は、神威を思い何かを暗示した。
「…神威… この世の行く末の鍵を持つ者…」

一方、倒れた小鳥は夢を見ていた。
(神威が丸いものを持っている。あれはボールではなく…地球?
 地面に当たって、地球が割れ、壊れる。 神威が地球を壊す夢…)
そこで小鳥は封真に呼ばれ目を覚ます。保健医の女医は、二人を送り返した後外を見つめて呟いた。
「…ついに帰ってきたわね 『神威』」

*この漫画は場面がコロコロ変わり、妖しい術が沢山出てきます。
 さらにこの時点ではまったく話は分かりません。おいてきぼりです。忍耐で読むべし。

446 :X その3 :04/05/03 02:12 ID:???
神威は自分が6年前住んでいた家の跡地を見に行く。何もない跡地で神威は母親のことを思いだしていた。
「強くなりなさい お前はどうしても生きなければならないの 1999年の『約束の日』まで」(今となっては古い)
そして燃え落ちる母親の姿。駆け寄る神威の努力も虚しく、炎に焼かれながら母は神威に告げた。
「『東京』へ行きなさい お前の『運命』が 待っているわ…」

そして神威は東京へ帰ってきたのだが、帰ってきた途端わけのわからない連中につけられているのだった。
神威の前に現れた男は「お前が本当の神威か」と聞いてくる。
戦闘ギアがオンの神威はまともに話にとりあわず、「俺が『神威』だ」と宣言しながら力をぶっぱなす。
そして月をバックに戦闘開始(ベタな)。
手加減なしの神威にやられまくる男は、お前なんか神威じゃねーと言いながらかまいたちを放ってくる。
しかしフルパワー真っ向勝負で勝ったのは神威だった。
重傷の男をビルから足蹴で突き落とそうする神威(こいつ本当に主人公か?)の前に立ちはだかったのは
セーラー服の美少女。その美少女は手の平から刀を出し神威を牽制、男を連れ去った。

美少女が帰ってきたのは例の姫様のところである。
その姫様は「嵐殿」と少女を呼び、あの者は本当に『神威』だったのかと聞いてきた。
多分それっぽいと答える嵐に対し、神威にやられた男・砕軌は、あんな身勝手な奴が『神威』のわけねーと
反発する。「丁(ひのと)」と呼ばれたその姫は、盲目の占い師でありいわゆる『夢見』であった。
丁は嵐に「この世の終り」の夢を見た、と告げる。
丁の夢の内容
(崩壊した建築物、砂漠…壊れた地球の音がする。その中で残っている東京タワーに立つ6人の人影。
 その中の一人は神威だ。神威は夢を渡っている丁に気づく。そして神威によって地球が壊れるビジョン…)
まだ不明なことばかりの中で、丁は嵐に
「どうか『神威』をお守り下さい。『神威』はこの世の行く末の鍵を持つ者」と告げた。

448 :X その4 :04/05/03 02:17 ID:???
一方、砕軌との戦いで傷を負った神威も帰る途中で気絶していた。
買い物に出かけた封真は、昼間に神威はなぜ自分を無視したのだろうと考えていたが、
神威の家があった空き地を通りかかって傷ついた神威を見つける。
構うな放っとけという神威に喝を入れ、封真は神威を家に連れ帰った。
連れ帰った神威を見て怪我に驚く小鳥。しかし封真と小鳥の父は、神威そのものを見てショックを受けたようだった。

そして向かいの家の屋根にはまたなにやら謎の人物が…。
関西弁のその兄ちゃんは今までの一部始終を見ていたらしい。
そしてもう一人(いい加減に登場人物最初から多すぎる)謎の青年登場。
兄ちゃんの方は『結界』を張り、それをみて青年は「君も『世界の終末』の関係者か」と言った。
二人はどっちも『神威』に用があるといい、激突した。
兄ちゃんは有洙川空汰、青年は麒飼遊人と名乗り、激しく軽口と術の応酬をする。
しかし何者にも侵入できないはずの『結界』内に、買い物に来た封真が現れ大いに驚く二人。
神威を傷つけたのかと憤る封真に、二人は一旦休戦する。
空汰は封真に、神威に怪我をさせた奴は誰か、ときかれ答えた。
「わいもわからん。『世界の終末』とやらの関係者であることは確かや」

一方寝ている神威は夢を見ていた。(この漫画はやたらと皆、夢や幻を見ます)
神威は地球の中に女(丁)を見つける。
そして神威は自分と母親、封真と小鳥、そして二人の母の紗鵺(さや)といる幸せだった過去を見るが、
次の場面ではバラバラになって死んでいる紗鵺の姿があった。それを見てショックを受ける幼い封真と小鳥。
そう、紗鵺は六年前にバラバラになって謎の死をとげたのである。これはその時の過去の場面だ。
神威の母親は「紗鵺は私達のために死んだ これ以上刀隠神社の人たちを殺させる訳にはいかない」と言った。

449 :X その5 :04/05/03 02:22 ID:???
次々と場面が変わる。崩壊した東京のビジョン、燃えさかる火の中で死んでいった母親とその時の言葉、
そして巨大な十字架にワイヤーで縛り上げられた小鳥の姿。
小鳥を呼ぶ神威の目の前で、ワイヤーに括られ小鳥の体がバラバラになった。すぷらったー
夢の中で泣き叫ぶ神威は丁に、これはお前が見せた夢かといい、丁はこれから起こりうる『未来』だと言った。
そして小鳥を救うためにも地球を救って、と頼んでくるが、今の映像に怒りMAXの神威は丁を術で夢から吹き飛ばす。
「封真と小鳥に指一本触れてみろ… 殺してやる」

丁が現実世界に追い払われ傷を負っているとき、それをさらにのぞき見している女がいた。
庚(かのえ)と呼ばれた妖艶なその女に連絡をとってきたのは、先程空汰と戦っていた青年で
『七人の御使い』のひとり、遊人である。報告を求める庚に、遊人は空汰を『七つの封印』だろうと評した。
庚は丁の妹である。
世界の終末に関わる夢を姉の丁が夢見した時、庚はその夢に侵入し映像を見ていた。
それは前に丁が見た夢とは若干異なっていた。
(瓦礫となった都市に死に絶えた人々。しかし東京タワーではなく、七人の人影はビルの屋上で佇んでいた。
 その中には遊人もいる。(バビロン既読の人には星史郎がいることも分かる)。
 そして少し表情が異なる(嘲笑を浮かべて悪そうな)神威…。)
次に庚は『匕人の御使い』のひとり、八頭司颯姫のところへ向かう。
颯姫はコンピューターと対話することができる能力者で、電脳ネットワークに侵入し
あらゆる情報を手に入れることができる。コンピューターの情報を得た颯姫は、神威を本物であると判断した。

神威が怪我と夢に苦しんでいるのを心配する小鳥。そこに空汰を連れて封真が帰宅する。
封真と小鳥の前では無口であったが、空汰と二人きりになった途端ガラが悪くなり豹変する神威。
それをなだめ、空汰は神威に自分の知っていることを語り始める。『結界』『世界の終末』『約束の日』のこと…。
空汰は自分は高野山のお坊さんであると明かし、一週間前に知り合いの『星見』の坊さんから使いがきて、神威が
「たった一人の肉親と死に別れて 己の運命の星に導かれて この東京へ帰ってくる」と告げられたと言った。

450 :X その6 :04/05/03 02:34 ID:???
空汰と神威が話している頃、刀隠神社の神主である封真と小鳥の父は『神剣』を手にしていた。
「ついに帰ってきたか『神威』 この東京へ…」
『神剣』のため『神威』のために、妻の紗鵺に惨い死に方をさせた。
神威がこの『神剣』を手にするのにどうか相応しいかみきわめなければ、という父の前に見知らぬ青年が現れる。
その剣をもらいにきたという青年に、父は術を放ち応戦するが手強い。
『神剣』の雷光にも動じないその力に、相手が『七つの封印』もしくは『七人の御使い』であると感じる父は
青年に素手で心臓を貫かれ倒れた。青年は那托(なたく)と名乗り『神剣』を奪って立ち去った。

本堂での戦いに気づく封真と小鳥、そして『何か』に呼ばれた神威は本堂へ向かう。
息も絶え絶えの父は封真に「始まってしまった この世の週末のかぶら矢が放たれた」と、
神威に「『神剣』を取り戻せ 『結界』…を 七つの『封印』がとかれる前に 『御使い』を…」と告げる。
そして「封真… お前はかむいの…」と言いかけるが力つき、息を引き取った。

451 :X :04/05/03 02:36 ID:???
*とりあえずストーリーがあまりに掴みにくいのでここで少し新しい登場人物と内容まとめ。(多少かぶります)
・母親が火事で死に、遺言で神威は6年ぶりに東京へ帰ってきた。
・神威は「この世の行く末の鍵を持つ者」である。
・色々な奴が、神威が本物かどうか確かめに何度も絡んでくる。
・夢見の姫、丁は世界が滅亡し、それに神威が絡んでいる夢を見ている。
・刀隠神社にあった『神剣』を巡り、封真と小鳥の父は殺される。

丁(ひのと):国会議事堂の地下にいる最高の力を持つ『夢見』の少女。日本の未来を予見している。
       盲目であり、耳もきこえず、言葉を発することも歩くことも出来ない。会話はテレパシーで可能。

庚(かのえ):都庁の下にいる謎の妖艶な女。丁の妹。丁の夢に侵入し覗き見することができる。
       『七人の御使い』とつるんでいる。

鬼咒嵐(きしゅう・あらし):手から剣を出し戦うクール系セーラー服美少女。
    冷静で無愛想。丁との連携?で神威を監視している様子。
有洙川空汰(ありすがわ・そらた):関西弁で漫才師のノリのような明るい少年。高校二年生。
    真言宗の総本山・高野山のお坊さん。『七つの封印』の一人。ある宿命を負っている。
麒飼遊人(きがい・ゆうと):
    ホストのようなノリの美青年。区役所に勤める地方公務員。『七人の御使い』の一人。
八頭司颯姫(やとうじ・さつき):
    コンピューターに愛される少女。電脳ネットに自在に入り込みあらゆる情報を得ることが出来る。
    『匕人の御使い』の一人。庚とともに都庁の下にいる。

14 :その7 :04/05/03 23:33 ID:???

封真と小鳥の父の葬儀は雨の日に行われた。
父の死を知らされた小鳥は倒れてしまい、泣き伏して葬儀にも出席できない。
封印していた母の死の真相(バラバラになって死んだこと)もうっすら思い出してきてしまう。

そして丁は再び夢見をしていた。
(『神剣』が二つ。『神威』が双りいる。天使の羽根と悪魔の羽根を持った『神威』が…。
 双りはそれぞれ『神剣』を持ち激しく争い、光を放ち姿を消した。)
そうして丁は『神剣』が何者かに奪われたことを知った。
また丁の夢を覗き見していた庚も同様にそのことを知る。

葬儀に出席する神威に空汰は告げた。
「高野の『星見』は『神剣』が奪われることをすでに知っとった だからわいをここによこした
 『七つの封印』である この有洙川空汰を」
空汰は自分が幼い頃母と引き裂かれ高野に引き取られたことを話し、母をなくしやさぐれる神威の心に
近づこうとする。そして母の遺言で『神剣』を東京に取りに来た、受け取ったらすぐにいなくなるはずだった
と悔やむ神威に現実をつきつけ、お前の両肩に世界の命運がかかっているのだ、と喝を入れる。

すると二人に声がかけられる。そこにいたのは、神威の学校の保健医の女医。
「私の顔に見覚えがない?」といい眼鏡をとった女医の顔は、神威の母・斗織(とおる)の顔とそっくりだった。
驚愕する神威に、自分は神威の唯一の血縁だ、と告げる。
彼女は真神時鼓(まがみ・ときこ)と名乗り、斗織は自分の姉だと言った。時鼓は神威の叔母だった。
同席した空汰は、時鼓の「真神」という姓に驚く。どうやら神威の母は重要な家の出身らしい。
時鼓は斗織が失踪した晩のことを話した。
斗織は時鼓に「私はある人の子供を産む それはこの『地球』のために産む子供だ」
そういって姿を消したのだといった。

16 :その8 :04/05/04 00:47 ID:???
丁は『七つの封印』である嵐に『神剣』が奪われたことを話し、『神威』を守って欲しいと懇願した。
その話を受けて、嵐は刀隠神社の葬儀をはたから見守っていた。
そこにまたもう一人。雨の中、人の良さそうなリーマン風の男が立っていた。
そこで二人は人型の式神に襲われる。『結界』を張り手の刀を出して敵を粉砕する嵐に対し、彼は風を使って
式神を倒す。貴方は、ときく嵐にリーマンは『七つの封印』だと名乗った。
蒼軌征一郎(あおき・せいいちろう)というその風使いは名刺を渡しあわただしく去っていった。
一方、時鼓の話をきいていた神威達は『結界』が張られたことを感知し、
その場所が刀隠神社であることに焦って家を飛び出す。去り際に時鼓は告げた。
「戻ってきたら教えてあげる 貴方のお母さんのこと 真神家のこと そしてあなたの運命」

神社について嵐と相対する神威。戦闘意欲バリバリの神威と無愛想な嵐。険悪な雰囲気の二人を空汰はなだめ、
そして嵐の顔を見て「姉ちゃんに決めた」と不可思議なことをのたまった。
神社が無事であることを確認して時鼓の家に三人は引き上げるが、帰ると家は火事の真っ最中。
中に時鼓はおらず、行方不明となってしまう。戦闘開始だと言う空汰。
そんな状況を電信柱の上から見下ろしていた下着姿の美女は、にっこり笑って姿を消した。

封真は夢を見ていた。
封真は地球の中に女を見つける(庚)。女はこの地球を助けて、と言った。
そして封真は幼い頃の小鳥と神威と一緒にいた過去を見て微笑む。
しかし次に現れたのは封真にとってもトラウマの母親のバラバラ死体。そして母親の生首を持ち、
血にまみれて不吉な笑みを浮かべている神威。破壊された東京の風景、父の死の現場、
次々と不吉な場面が繰り広げられる。そして最後に巨大な十字架にかけられワイヤで縛られた小鳥の姿が。
封真の目の前で神威は『神剣』で小鳥の胸を貫いた。
こんなことは夢だという封真に、庚は「これから起こりうる『未来』だ」といい、
「地球を助けて この少女を救うためにも『神威』を殺して」と惑わせる。
夢から覚めてホッとする封真は神威を思い、父の最後の台詞に「俺は神威のなんなんだ」と思い悩む。

17 :その9 :04/05/04 00:55 ID:???
その頃神威は空汰に連れられ、嵐と3人でなぜか焼き肉屋にきていた。
空汰の軽口に辟易し帰ろうとする神威に、空汰は母親の実家「真神」について教えてやると餌をふる。
空汰の話によると、「真神」の家は『影贄(かげにえ)』の家系。
『影贄』とは誰かの災厄を全て引き受ける生贄となる、生きている身代わり人形のことである。
「真神」家は日本の重要人物の『影贄』となることを生業とする謎の一族であり、
「真神」の者なら『神威』の母親となる資格は十分にあると空汰は言う。
さらに空汰はトップシークレットとなっている「真神」家について詳しい嵐の素性を勘ぐり、
いきなり「姉ちゃんに決めたわ」と再び意味不明のことをのたまうのだった。

そして空汰は予言に従って神威を国会議事堂の地下、『夢見』の丁のところへ連れて行く。
丁と対面した途端、小鳥を死ぬ夢を見せられたことを思い出し怒りMAXで戦闘状態に入る神威。
しかし丁は神威に夢のことを詫び、話を聞いて欲しいと言う。丁を警戒する神威だが空汰にフォローされ、
背を押され丁の手をとった神威は、丁に導かれ夢の中へと入った。

導かれたのは一面の砂漠の世界。人々が死に絶え廃墟となった東京だった。
いつも通りの東京、それが一瞬にして謎の龍に壊滅させられ地震によって崩壊するビジョンを目の当たりにする神威。「あれは『地の龍』」
「『七匹の龍』が目覚める。そしてこの『地球』を 『東京』を切り裂く」
地震によって東京は滅びるのかという神威に、丁は地震を起こすのは『七匹の龍』、『七人の御使い』だと答える。
「そして『七人の御使い』と戦い、この『地球』の崩壊を防げるのは『天の龍』だけ。『七つの封印』です」
『天の龍』とは北斗七星、空の七つ星。『天の龍』が『地の龍』に負ければ地球は滅ぶ。
『東京』は地球を守る結界の要、楔(くさび)である。丁はそう次々と説明した。(→最初の用語説明参照)
そして『天の龍』を率いて『結界』を創世し地球を守れるのは神威だけだ、と言いその名の由来について述べた。
「『神威』 『神の威を代る者』」
そこに第三者の声が割り込んだ。
「そして… 『神の威を狩る者』」

18 :その10 :04/05/04 01:00 ID:???
それは丁の妹、庚だった。
突然の庚の侵入にうろたえる丁だが、庚は姉さんの夢に入り込むなんて造作もないことだと言い、
制止しようとする丁を無視して神威に語りかける。
「神威、貴方は確かに『天の龍』になれる でも… 『地の龍』にも なれるのよ」
「貴方にはふたつの未来がある」
最高の夢見である丁でさえも神威の未来は予言できなかった。神威が『天の龍』になるのか『地の龍』になるのか。
庚は神威に『もう一つの未来』を見せようとするが、術を施行した丁に夢から追い出される。
そして神威と丁は目を覚ました。

目を覚ました丁は神威に、どうか『天の龍』を率いて『地球』を救ってくれ、と懇願するが
神威は二つの未来のうちの一つしか語ろうとしなかった丁を責め、自分を騙すつもりだったかと脅す。
そして全てを知っているらしい丁に、自分がいない間に母親を焼き殺したのは誰だ、と問いつめるが
丁は神威の母は自ら命を断ったのだ、と告げた。うなだれる神威に丁は声をかけようとする。
そこで二人に割って入ったのは神威にぶちのめされた男・砕軌。
砕軌は丁姫に触んなお前が『神威』なんて認めねーと相変わらず頑なで、神威は好戦的に受けて立つ。
一触即発の気配。しかしそこにタイミング良く「犬神」が出現する。
丁は『七つの封印』のひとりがきている、といいその人物を迎えた。

一方伏せっていた小鳥は心臓の定期検診に出かける。
家に残った封真は、一人で父の遺言と夢の内容について繰り返し考え悩んでいた。
神威に殺される小鳥、神威を殺して、という女の言葉。神威にきかなければいけないことがあるのに。
…なにを? 封真は一瞬意識をとばした自分を怪しむが…。

19 :その11 :04/05/04 01:05 ID:???
小鳥は神威に思いを馳せ病院へと向かうが、途中いきなり怪奇現象発生。ケーブルや電線に襲われ大ピンチ。
そこにワイルドな兄貴(オサーン)が助けに登場。電柱白羽取り、波動拳、地球割り(笑)と披露して小鳥を救う。
礼を言う小鳥に、男は「この辺りは危ないねぇぜ」「特に『神威』の育った家らしいからな」と返す。
神威の名前に驚く小鳥だが、男は屋根を飛び越え退散してしまった。
その頃都庁の下にいた颯姫はコンピューターで遊んでいたが、急な衝撃を受ける。
遊びで襲ったものの撃退されてしまったという颯姫。
彼女の力を退けるなんて相手は『七つの封印』か、という遊人に対し『匕人の御使い』かもしれないと言う庚。
小鳥の情報を得て、庚は神威に関わる者達が『東京』に集まってきた、楽しくなりそうだ とほくそ笑んだ。

新たな『七つの封印』を待つ神威たち。
そして登場したのは三峰神社の猫依譲刃(ねこい・ゆずりは)という少女だった。
明るい彼女は、周りの人をマイペースに会話に巻き込み神威もたじたじである。
しかし神威は地球の未来なんぞ興味ない、と立ち去ろうとし、砕軌はそんな神威に絡み再びぶつかり合う。

が、ぶつかった瞬間に神威達は全員何者かの異空間に取り込まれていた。術者の術中にハマったらしい。
『匕人の御使い』による攻撃だ、と判断し全員戦闘態勢に入り、幻覚による攻撃に応戦する神威たち。
業を煮やした神威はフルパワーで皆が圧倒する程の力を放ち、術をうち破る。
そこに降ってきたのは桜の花びら。丁は『桜塚護…』と呟いた。

そしてそこに地震発生。嵐をかばい空汰は軽い怪我を負う。
気づかう嵐に、またも「わいは姉ちゃんに決めたんやさかい、気にするな」と意味不明の空汰。

20 :その12 :04/05/04 01:09 ID:???
丁は自分が神威に見せた夢、小鳥が死ぬことも地球が滅ぶことも真実だと告げる。
なぜ真実の『夢』が二つもあるんだと尋ねる神威に、丁は貴方が『神威』だからだ と答えた。
「『神威』『神の威を代る者』」
「神の力を授かった者達を束ね、神の『力』と『意志』を代行し、この地球を救う者という意味です」
しかし神威の名にはもう一つの由来がある。
「『神威』『神の威を狩る者』」
「神の『力』を授かった者達を狩り、この地球を 滅ぼす者」
神威は『天の龍』にも『地の龍』にもなれる。
自分が地球を滅ぼす? 驚愕する神威に丁は再度、地球を救ってくれと頼むが神威は部屋を出ていってしまう。
追いすがる丁に空汰は大丈夫、と言った。
「神威にはまだ 『守りたいもの』がある」
そして早く残りの七星を探さなければ、と皆に話した。

街を歩く神威は、母が言っていた『運命』とはこのことだったのかと痛感していた。
そして病院へ行く途中の小鳥とバッタリ遭遇する。
うろたえまくって転ぶ彼女をかばい、大丈夫かと気遣ってきく神威に昔の優しい彼を思い出しときめく小鳥。
「いつも私を助けてくれてありがとう」という小鳥と話し、神威はひととき甘い優しい時間を過ごす。
自分の守りたい者を再認識する神威。

21 :その13 :04/05/04 01:11 ID:???
それをちゃかしながら覗き見している空汰と嵐。
嵐は空汰が度々言う「決めた」というのは何のことなのかと彼に尋ね、空汰は
「わいの命を やる相手や」と衝撃の答えを返した。
高野の星見のじいさんが予言したことだ。
「『神威』と出会い 『神威』の助けとなれ 命の限り『神威』を守れ しかし」
「お前が死ぬのは『女』のためだ」
「お前はお前の愛する女のために 命を落とすだろう」
あっけらかんと自分の死を宣言する空汰に嵐は声を荒げるが、空汰は運命に従って生きるしかないと言う。
そして小鳥を見て、あれが神威の守りたいもののひとつだ、彼女が地球の命運を握っているかもしれない 
と言った。
さらに聡い空汰は、嵐の素性も言い当てる。嵐は『伊勢神宮の隠し巫女』だと。
『七つの封印』のうち三人が業界の者だという事実から、他のメンバーも宗教団体系ではないかと空汰は推測した。
後可能性がありそうなのは、現存する陰陽師の頂点に立つ『皇(すめらぎ)一門』の第十三代目当主、皇昴流。

美人ばっかでラッキーと軽口を叩く空汰の前に現れたのは、下着姿の美女である。
彼女は『七つの封印』のひとり、夏澄火煉(かすみ・かれん)と名乗った。
自分がここに来たのは、ある人の伝言を伝えるためだと言う。
そのある人とは、神威の叔母で行方不明の時鼓。
時鼓はある男達に連れ去られる時、偶然それを見ていた火煉に伝言を頼んだ。
「この家を燃やして 神威に伝えて 『神剣』を守れ」
伝言は確かに伝えた、と発火して火煉は消えた。

22 :X :04/05/04 01:16 ID:???

ここまでのまとめ
・神威は『天の龍』『地の龍』いずれにもなりうる。
・丁は神威に『天の龍』を、庚は『地の龍』を求めている。
・神威がどちらになるかは、神威の『守りたい者』即ち小鳥と封真にかかっている。
・空汰は自分が嵐のために死ぬ、ということを宣言した。


<新たな登場人物>
蒼軌征一郎(あおき・せいいちろう):『七つの封印』の一人。眼鏡をかけて優しい物腰の男性。
      角川書店の編集部員。風使いである。
猫依譲刃(ねこい・ゆずりは):『七つの封印』の一人。14歳の明るく人なつこい美少女。三峰神社に所属。
      「犬神」である相棒・犬鬼を剣に変えたりして戦う力を持つ。
夏澄火煉(かすみ・かれん):『七つの封印』の一人。ソープランド「フラワー」で働く優しげなセクシー美女。
      発火系能力者。いつも下着姿で登場する。

89 :X その14 :04/05/05 02:32 ID:???

巻き込むことを恐れ封真と小鳥を避けていた神威だが「逃げていても大切な人は守れない」そう気づき始める。
そうして小鳥と懐かしい時間を過ごしていたが、二人して再び何者かの異空間にとりこまれてしまう。
仕掛けたのは国会議事堂で自分たちを襲った人物、『桜塚護』である。
問答無用で攻撃を仕掛けてくる『桜塚護』は相当強く、しかも小鳥をかばっている神威は防戦一方。
もはやこれまでという時、なんと二人を助けに異空間に飛び込んできたのは封真であった。
無意識に『桜塚護』の術をはねのけ術中空間に入り込んできた封真に驚き、『桜塚護』は退散する。
しかし詫びる神威に手を伸ばした封真は、そのまま『何か』に乗っ取られる。
「俺は お前の…」 そういいかけた封真は、目を覚ました小鳥によって元に戻った。

一部始終を見ていた空汰と嵐は『桜塚護』の力を思い知り、裏の陰陽師である『桜塚護』に対抗する
表の『皇一門』の当主に会わなければ、ということに。当主の昴流は『桜塚護』と因縁があるらしい。
京都の『皇』本家に連絡をとった空汰は、本人とは連絡がとれずその祖母の前当主と話した。
昴流の祖母は当主は今『東京』にいると言い、昴流はまた辛い思いをしなければならないのか、
あの子と『桜塚護』はもう一度戦う運命にあるのかと嘆いた。

一方封真に連れられ桃生家に来た神威は、彼らを巻き込んだことを悔やみ封真の質問にも答えようとしない。
そんな神威に封真は昔の『約束』を語った。神威は小鳥を守り、封真は神威を守る という『約束』を。
その頃眠っている小鳥は夢を見ていた。同じ夢を丁も見ている。
(粉々になった地球のかけらが降ってくる。次に現れた7人の人影。その一人は神威だ。
 天使の羽根をはやした神威に小鳥は駆け寄るが、もう一人悪魔の羽根を持つ神威も現れる。
 天使の羽根の神威は冷酷な笑みで小鳥に迫り、小鳥は悲しげな顔をした悪魔の羽根の神威に助けを求めた。
 そして小鳥は自身が巨大な十字架につり上げられ、ワイヤでバラバラにされるのを見る…)
目を覚まし丁は暗い予言をした。「未来は常に『ひとつ』」

90 :X その15 :04/05/05 02:43 ID:???
『約束』を守りたいという封真に、神威はこれから起こることに巻き込みたくないと返す。
しかし封真の様子は一変し、冷たい目で不可思議なことを告げ始めた。
「重なり合うふたつの『運命』…  俺はお前のために生まれた…」
神威の呼びかけに封真は元に戻るが今のことは覚えていなかった。
神威は「あれは封真じゃない」と危機感を覚える。

そこに傷だらけの時鼓が現れる。瀕死の時鼓は「私はもうすぐ死ぬ」と言った。
「『神剣』は奪われるのが運命だった。そして『神剣』は女の体から生まれる」
6年前に『神剣』を産み死んだのは小鳥と封真の母の紗鵺。2本目の『神剣』は今日生まれる。
自身に術をかけ、時鼓はその身から『神剣』を生み出した。
なぜ『神剣』は2本あるのか考えろ、と言い時鼓はさらに謎掛けのようなことを言い残す。
「神威、『北斗七星』にはひとつだけ添え星が… 双子星がある」
そして時鼓はバラバラとなった。泣き叫ぶ神威に時鼓の魂は「これは自分で選んだ運命だ」と慰め、
『神剣』を来るべき日まで『CLAMP学園』(笑。シリアスな場面なのに…)に隠せと助言し昇天する。

起き出してきた小鳥はバラバラとなった時鼓の死体を見てしまった。
母親の姿をダブらせ過去を思い出した小鳥は心が壊れてしまう。
時鼓の生首にフラフラと近寄る小鳥を止めようとした神威は、冷たい目をした『別の』封真に邪魔される。
「『神剣』はふたつ誕生した… そして『神威』も…」 そう囁く封真に冷たいものを感じる神威。
「選択の時は近づいている 『神威』 己の運命を選べ」そして封真は再び記憶を無くしていた。
壊れてしまった小鳥は再び夢を見ていた。夢の中で人魚となった母親・紗鵺に会う。
(紗鵺は「貴方も私と同じよ。貴方は愛する人のために死ぬわ」と小鳥に告げた。
 小鳥はそのまま夢に沈み溺れるところを、他の夢見に助けられる。
 その人物は牙暁(かきょう)と名乗り『地球の最後を選択する日まで』眠り続けている、と言った。
 牙暁は眠り続けていて淋しくないのかと問う小鳥に「自分の会いたい人はもうこの世にいない」と話す。
 そして「神威の双子星はもうすぐ目覚める」と告げ、小鳥を元の世界へと戻す。次の予言を告げて…)

91 :X その16 :04/05/05 02:51 ID:???
狂った小鳥は時鼓の生首を抱きながら「もうすぐ中野が崩れるんだって」と笑って言う。
そして牙暁の予言通り中野に大地震が起こった。
『桜塚護』が『結界』の一つである中野サンプラザを血で穢したためだ。
丁は庚になぜ『地の龍』を集めこの世の破滅を望むのだと叫び、庚は「貴方のためよ」と真摯な顔で返した。
二人は小鳥の夢を覗き、小鳥が地球の未来のために死んでしまう、ということを確かめる。

神威の呼びかけにも戻らず、小鳥は夢見の才能を開花させ「神威の双子星は もうすぐ目覚める」と
予言して気を失った。そんな神威達の前に現れたのは3人の男性。
CLAMP学園の理事が時鼓から連絡を受け『神剣』を引き取りにやってきたのだ。
そして牙暁は神威の添え星である封真を夢見し、封真と神威の因縁を予言した。

中野の地震に反応しそれぞれ向かう面々。空汰と嵐、譲刃と砕軌、そして『桜塚護』を追う昴流。
中野でのんびりと己の起こした惨状を眺める『桜塚護』の元へ、昴流はとうとう辿り着く。
「昴流くん」と呼ぶ『桜塚護』と相対し、『結界』を張り攻撃態勢に入る昴流。
「ずっと探していました 僕の『望み』を 現実にするために」
地球の未来に何の興味もありません、と言う昴流は激しい攻撃を仕掛けるが、余裕綽々の『桜塚護』は
術を破り、「それでは また」と幻覚を見せ消え去った。桜の花びらを掴み「星史郎さん…」と呟く昴流。
空汰と嵐は昴流に『天の龍』だと自己紹介し、昴流も名乗り『結界』を解いた。

一方CLAMP学園に連れられていった神威たち。
理事長は学園が『神剣』を守る形に作られていることを説明し、時鼓の残したビデオメッセージを見せる。
時鼓は神威に「自分はどうしたいのか 誰を守りたいのか」考えろと言い、
「『天の龍』となって『今』を守るか 『地の龍』となって『変革』を望むか」
未来を選び取れと言い残していた。
その言葉に、そして小鳥と封真と共にいて、神威は己の選択をする。
それが一つの『終り』となるとも知らずに。


92 :X  :04/05/05 02:58 ID:???
これまでのまとめ
・封真は『別の』人格を持っている
・小鳥はバラバラになって死ぬ予言がなされている
・時鼓は『神剣』を生み死に、『神剣』はCLAMP学園に隠される
・神威には添え星があり、二人の神威がいる。そしてその添え星は封真である

新たな人物紹介(とうとう出てきたか、というような感じですが)
牙暁(かきょう):コードに繋がれてベッドにずっと寝ている優しげな容貌の『夢見』。
     その正体に関してはこの後判明する。『会いたい人』がいるがその人はもう生きていない。
皇昴流(すめらぎ・すばる):『七つの封印』の一人。無口な美形の兄さん。
     『東京BABYLON』の昴流と同一人物であるが、容貌もさることながら煙草を吸っていたり
     あまりに無愛想で暗い雰囲気なため、BABYLON既読者は「あの無邪気な昴流くんが」と
     その変貌ぶりに驚く人は多いと思われる。現在大学生。
     ある『望み』をもって、姉の仇である『桜塚護』の星史郎を追い続けている。
桜塚星史郎(さくらづか・せいしろう):『匕人の御使い』の一人。『桜塚護』という暗殺者。
     サングラスに黒スーツのいでたちの、一見穏やかで優しげな青年だが冷酷無比。
     トップクラスの術者で相当強い(負けなし)。右目を失明している。
     昴流と同様『東京BABYLON』の星史郎であるが、こちらは黒さ全開以外は何も変わっていない。

*上の3人に関しては『東京BABYLON』を読んでおくことをオススメします。
 (むしろ『X』を読んだ後に『東京BABYLON』を読む方が驚きがあっていいかもしれません)
 牙暁に関しては、牙暁自身は関わっていないもののBABYLONの登場人物と深い関わりがあります。

303 :X その17 :04/05/08 00:10 ID:???

とうとう神威は最後の選択をした。
「地球がどうなろうと関係ない けど… 封真と小鳥が幸せに暮らしていける場所を守りたい」
そう神威が告げた途端、封真に異変が起こった。優かった封真は消え、冷たい目の見知らぬ封真へと変貌する。
「…選んだようだな 『天の龍』『七つの封印』としての未来を選んだな 『神威』」
「お前が『天の龍』としての未来を選んだのなら 『地の龍』となるのが俺の『運命』」
『添え星』である封真は、神威が天地どちらかの龍を選んだ時の空席を埋めるべく生まれた
もう一人の『神威』だった。
『地の龍』の『神威』となった封真は、『天の龍』を全て殺すと宣言。
止めようとする神威に容赦なく攻撃を加え、封真はサド全開で神威をいたぶる(手の平や足を串刺し、磔etc)。
「地球は『変革』を望んでいる そのために『地球を汚す者』達は全て抹殺する」
必死で叫ぶ神威の声も届かず、封真はワイヤでつり上げ磔にした小鳥の胸を『神剣』で貫いた。

さらに封真は神威を殺そうとするが、小鳥の中に入り込んだ『夢見』の誰かによって制止される。
『天の龍』達が異変を感じて集まってきて、封真は「俺がお前を殺す」と言い残し飛び去った。
小鳥の体はワイヤに引き裂かれバラバラになり、神威は小鳥の首を抱いて絶叫した。
死んでしまった小鳥は夢の中で牙暁と話す。小鳥の願いでその体を操って封真を止めたのは牙暁だったのだ。
小鳥は「みらいはまだ きまってない」と言い残し、消滅した。
残された牙暁は『天の龍』と『地の龍』の望む未来を夢見する。
『天の龍』が勝てば人々は生き延び、地球は蝕まれ続ける。
『地の龍』が勝って『結界』を全て壊せば、人の作った建造物は壊れ地球は生きながらえる。
それがそれぞれの龍が望む未来だった。

304 :X その18 :04/05/08 00:14 ID:???
最も愛していた小鳥を最も信じていた封真に殺され、神威は抜け殻となってしまう。
そんな神威に昴流はかつての自分の姿を重ねる。愛する姉・北都を『特別』な人だった星史郎に
殺された時の自分を…。昴流は神威の中に潜り、彼の心を探すことにした。
「封真と小鳥を殺さないで」と泣いて訴える幼い神威に、昴流は自分の過去を神威に見せた。
昴流は自分は己が望む未来を実現させるために生きている、君もこのまま現実から逃げるのか、
自らの『望み』のために目覚めるのかを選べばいい と神威に告げた。
そして神威は「小鳥を守れなかった、せめて封真を取り戻したい」という『望み』を叶えることを選んだ。
昴流は神威を「戻っておいで」と抱きしめ、神威は現実へと戻ってきた。そして小鳥の生首を見て、泣いた…。
また『神威』となった封真のために、牙暁は『地の龍』として夢を紡ぐことを選びその手をとった。
  
ここで登場人物紹介+番外編のまとめ
*Xでは番外編で各キャラの背景や過去が語られます。本編とほぼ同じ重要度を持っているのですが、番外編。
 今まで小出しになっていた登場人物は、そのエピソードと共にここで紹介してしまいます。
 
霞月(かづき):無性の人工生命体・那托。『地の龍』の一人。『結界』の一つ、サンシャインに眠っている。
   霞月は科学者で優しい父と、母に愛されて育っていたが病によってその命を落とす。父は執念で霞月を蘇らせ、
   霞月はクローン体となり父のパーツで補われて人工生命体・那托(なたく)として生まれ変わった。
   白紙の状態となった那托は『地の龍』として封真と小鳥の父を殺し『神剣』を奪った。
   霞月が愛した父の記憶は奥底に残っておりそれを封真に重ね、彼のために動いている。

志勇草薙(しゆう・くさなぎ):ワイルドで優しげな兄貴(オサーン)。『地の龍』の一人。
  「大切な使い魔・犬鬼の姿を誰にも認めて貰えない」そんな寂しさを抱いていた譲刃に、犬鬼が良い犬だと
   初めて語りかけ、その寂しさを埋めて惚れられたお人。木や動物の声を聞くことができ、人間の建築物によって
   その悲鳴がきこえることを嘆いている。『地の龍』に珍しい人格者。本人も敵という自覚は特にないようだ。

345 :X 補足 :04/05/09 01:01 ID:???
叔母・時鼓の遺言により、神威は来るべき日まで『神剣』をCLAMP学園に封印し、丁と話しにいく。
丁は夢を神威に見せ、神威は母・斗織が死んだ理由を知った。
斗織は『地球』の影贄だった。年々破壊され温暖化も進む地球の災厄をその身に引き受けていた斗織。
しかしその災厄を受け止めきることは出来ず、斗織は地球の代わりに燃えて死んだのである。
丁の夢に介入してきた牙暁は
「この地球を殺すのは人間達だ、貴方はそれでもこの『世界』の『維持』を望むのか」
と聞いてくる。神威は答えた。
「俺にとって『世界』は愛する人達だから その人達がいないなら 『世界』なんてないのと同じだ」
「地球が壊れてしまう、俺は間違っているのかもしれない」
神威はそれでも封真を取り戻すことを選んだ。


305 :X その19 :04/05/08 00:17 ID:???
とうとう『天の龍』はそろった。神威、空汰、嵐、征一郎、譲刃、火煉、昴流の7人が。
そして『地の龍』もそろった。封真(『神威』)、遊人、颯姫、霞月(那托)、草薙、牙暁、星史郎の7人が。
この地球最後の戦いが始まる。

あの事件が起こってから3カ月後、傷も癒えてきた神威は普段の生活を取り戻す。
CLAMP学園にいる神威は大学部にいる昴流に勉強を教わり、新しい友人ができたりと自分なりに前に進み始める。
だがその頃も『地の龍』は暗躍していた。サンシャインの那托の元に封真は訪れ『地の龍』として誘う。
封真は那托のことを、父が呼んでいたように『霞月(かづき)』と優しく呼び、
封真に父の面影を重ねた那托は、その側にいたいがため『地の龍』として加わることを選んだ。

そして『地の龍』の霞月により地震が発生する。場所はサンシャイン60の『結界』を持つ池袋。
封真に付き従い己の居た場所を破壊した霞月はさらに彼を創造した祖父を殺そうとするが、
それは神威の到来によって中断される。神威は封真と再会した。
サンシャインが倒れると大変なことになる、それが分かっても神威には未だ『結界』は作れない。
封真は相変わらず冷たい瞳でとまどう神威を攻撃し、神威は再びいたぶられ大ピンチに。

そこを助けたのは昴流だった。『結界』をはった昴流に霞月は攻撃を仕掛けるが手強く、封真が動き出す。
封真の姿になぜか星史郎がダブり、昴流は思うように攻撃できず術を返されて重傷を負ってしまう。
ぐったりしながら封真に星史郎の姿を重ねる昴流は、なぜ星史郎にそんなにも似ているのか、と封真に問う。
封真は「お前がそう望んでいるからだ」と答え、その手で昴流の右目を潰した。
必死に力を放った神威だが、すでに昴流は瀕死。昴流によって張られた『結界』も解け、池袋は壊滅した。
泣きながら何も出来なかったことを詫び続ける神威に、瀕死の昴流は
「君のせいじゃない これは…僕が望んだことなんだ」 そう告げて、意識を失い手術室へ運ばれた。

306 :X その20 :04/05/08 00:20 ID:???
昴流の右目は失明した。
自分を責める神威は昴流の側を離れなかったが、昴流に頼まれた空汰に家に連れ帰られる。
昴流は「この目が見えなければいいと思った、でもその望みをなぜ『地の龍』の神威が知っていたのだろう」
と一人考える。「彼は…僕の本当の望みも知っているのか」
そして封真は星史郎と接触。昴流の本当の望みは星史郎にしか叶えられない、そう言う封真に笑む星史郎。
しかし封真は、昴流の『本当の望み』は星史郎が考えているものとは違う、と謎掛けのように答え飛び去った。

空汰に連れられて家に帰ったが落ち込み続ける神威に、空汰は
「後悔はもう十分した、だったら後は前をみて歩いていかなければ」と話し、神威は立ち上がる。
友人ができ、大切なものが増える中で神威は考え出した。大切なものを守ること、『結界』を作ることを。
丁に会い『結界』を作るにはどうすればいいのか、と尋ねる神威だったが丁にはわからない。
しかし素直で大人しくなった神威に反感が消えたのやら、砕軌が神威にアドバイスをくれた。
征一郎が言っていた『結界』の創世についてのことを。
「大事なものをこの手で守りたい 『結界』を作るとき いつもそう強く願っていると」

その頃、昴流を見舞った帰り道に大好きな草薙とのデートに向かっていた譲刃は封真とぶつかった。
封真の顔も正体も知らない譲刃だが、草薙をかぶらせる。
そのことを草薙に話すと、草薙は封真のことを思い出して語った。
「誰にでも似てて 誰にも似てねぇ 
 まるで自分を捨てて 相手の望むように『誰か』を演じてやってるみてえに」
そんな二人のいた地域は『地の龍』八頭司颯姫の操るコンピューター『獣(ビースト)』によって攻撃を受け、
譲刃は草薙から離れ『結界』を張って立ち向かう。

347 :X その21 :04/05/09 01:04 ID:???

犬鬼と共に戦う譲刃に、颯姫は『獣』を仕掛けながら質問を投げかけてきた。
人は沢山の生き物の命を奪っている、それも自分に不都合だと理由だけで許されて。
「もう一度聞くわ 『どうして人間を殺しちゃいけないの?』」
譲刃はその質問に答えられなかった。そして『獣』の猛攻から譲刃をかばい、犬鬼は消滅してしまう。
犬鬼を失った譲刃は気を失い草薙に助けられる。しかし『結界』は解除され新宿は壊滅状態。

その頃新宿の近くに居た砕軌は封真と遭遇してしまう。
「命をかけて丁を守り死ぬ」その『望み』を叶えてやろうと、妨害に入った丁をものともせず
封真は砕軌を殺した。神威が戻ってきた時には、そこにはバラバラになった砕軌の首が…。
泣きながら怒りで神威は封真を攻撃するが、傷を負わせることにはためらいがあり攻撃しきれない。
優しい顔で封真は再び神威とSMショーを披露。神威は血だらけ(いつもだな)大けがで瀕死。
嵐と空汰が駆けつけるも『結界』を張るには間に合わず、新宿は完全に崩壊した。

新宿を破壊した颯姫は「なぜ人間を殺しちゃいけないの?」の答えを遊人に聞き、
遊人は『悲しむ人がいるから』だと答えた。そんな親しげに話す二人に『獣』は何やら反応を見せる。
一方草薙に助けられた譲刃は、自分が質問に答えられなかったせいで新宿を守れず犬鬼も失ってしまった、
と泣きじゃくる。そんな譲刃に草薙は
「こうやって『泣く奴がいるから』だ」
「死んで悲しまれない奴なんかいない、だから誰も誰かを殺しちゃいけねぇ」
と質問の答えを返した。
しかし「お嬢ちゃんが『天の龍』とかいうののひとりだったとはなぁ…」とひとりごちる。

348 :X その22 :04/05/09 01:19 ID:???
働き者達の『地の龍』による『結界』破壊はなおも続く。
会話していた火煉と征一郎は、山手線の『結界』が壊されかけているのを察知し共にそこに向かおうとする。
しかし火煉は「自分には死んでも泣く人は誰もいない」と言い、妻子のいる征一郎に命を大切にしろと
薬を盛って眠らせ単身で山手線へと向かった。(火煉は征一郎に見返りは期待しないものの好意を抱いている。)
山手線の『結界』を壊そうとしているのは霞月(那托)だった。火煉は炎の攻撃で霞月を破る。
死ぬのが嫌だなどという感情はない、という霞月に火煉は
「感情がないなんて生きものはいない、そう思いこんでしまっているだけよ」と優しく言った。
そこに遊人が霞月の、火煉には征一郎が援護に現れ、戦いは中断される。
征一郎は火煉が死んだら自分が泣く、と言い火煉はありがとうと微笑んだ。

傷ついて眠る神威は夢で牙暁と会う。
「まだ戦うのか」という牙暁に「封真を傷つけてでも取り戻す」と神威は言う。
牙暁は『地の龍』でありながら神威に色々教えてくれる。
「『神剣』を使えば『封真』に会えるでしょう。それはさらなる悲劇につながるでしょうが…」
「貴方を苦しめる『もう一人の神威』は貴方自身でもある
 そして貴方の側にも『もう一人の自分』に苦しむ人がいる」と。

349 :X その23 :04/05/09 01:21 ID:???
目を覚ました神威は側についていた昴流に、どうあっても自分は封真を取り戻したいと話す。
「幸せは人それぞれだよ たとえそれを他人が不幸と感じても」と返す昴流。
そして空汰と嵐が見舞いに来て、昴流は丁に砕軌を失ったことを謝りたいと言った。

再び眠りについた神威は夢で丁に会う。
そして牙暁に言われたことをきくが、丁の様子はどこかおかしく別人のようだと神威は思った。
丁は『もう一人の自分』に苦しんでいた。邪悪な雰囲気を放つもう一人の丁は、少しずつ元の丁を侵食してゆく。
しかし側近も『天の龍』達も妹の庚も、夢見の牙暁以外は誰もその変化に気付けない。

相変わらず働き者の『地の龍』封真によって恵比寿も崩壊。
さらに星史郎まで荷担して、輪状の『結界』山手線も完全に崩壊。東京の『結界』は確実に破壊されていく。
アイスを喰いながら呑気に話す封真と星史郎。
余裕の『地の龍』に対し、後手に回るしかない『天の龍』と状況は圧倒的不利である。

自分の影に苦しみ続ける丁は未来を変えて、定めた夢のように自分を殺して、と願う。
そんな丁を見て「未来は変えられない」と呟く牙暁。彼は過去を思い出していた。
夢見の力のせいでずっと閉じこめられていた牙暁は、誰かに会うことを望み夢の中で一人の少女と巡り会った。
少女の名は皇北都(すめらぎ・ほくと)。
明るく優しい彼女は弟の昴流の話をしたり『外』の世界へ連れ出そうとしたり、夢の中で牙暁の心を癒す。
しかし牙暁は彼女が死ぬ未来を夢見し、その未来は変えられなかった。
夢見達は己の無力を嘆く。

→続く

350 :X  :04/05/09 01:26 ID:???
これまでのまとめ+補足
・封真は天地どちらかの龍の『神威』となるべき者、つまり神威の敵となる運命だった。
・小鳥は未来は決まっていない、と夢見して死ぬが、丁と牙暁は未来は決まっていると確信している。
・『天の龍』『地の龍』が揃った。
・丁は『もう一人の自分』に乗っ取られて閉じこめられてしまう。
・庚は姉の丁のために『地の龍』を集めており、丁を『夢見』の運命から解放しようとしていた。
・牙暁の「会いたい人」は皇北都のことだった。(北都の死に関しては『東京BABYLON』を参照のこと)


106 :X その24 :04/05/22 02:24 ID:???
すいません前スレに書いてしまった。再度こっちに書きます。

大分間空きましたがXの続きです。
前スレ >347-350

譲刃は回復し神威たちの元へ帰ることにした。
草薙に告白し、優しい返事をもらって犬鬼を失った痛手を乗り越えようとする。
しかし帰る途中で地震を起こそうとしている封真と遭遇し、またも封真に草薙を重ねる譲刃。
『結界』を張ったが犬鬼がいない譲刃は戦えず、一気にピンチに陥ってしまう。
「死にたくないと本気で願っているなら死ぬことはない」と不思議なことを言い、封真はとどめを刺そうとする。
そこに神威が現れる。封真は神威相手に再びSMショー(もういい)を繰り広げ、譲刃は神威を守りたい、
「力が欲しい」と切に願った。すると譲刃の中から新たな力が生じた。
その力は子犬の形をとって神威を守り、封真は退散する。譲刃は子犬に「犬鬼」と名前を付け抱きしめた。

神威は譲刃、空汰、嵐と共に丁の所に向かい、新たに壊される『結界』の場所を聞きに行く。
しかし小犬鬼は丁に怯え、神威は丁に何か違和感を感じた。
丁は次に壊される『結界』は靖国神社だと夢見し、神威達は先回りして向かった。
それがもはや別人となった丁の策略だとも気づかずに。
そして昴流は一人丁に呼ばれ、別の場所の『結界』ことレインボーブリッジが危ないと告げられ、単身向かった。
レインボーブリッジで再び昴流は星史郎と会う。昴流は『結界』を張り、攻撃に入った。
一方靖国神社で敵を待っていた神威達だが、別の場所に『結界』が張られたことを察知する。
張ったのが昴流で、戦う相手が『桜塚護』であることを見た神威達は二手に分かれ、神威と嵐は昴流の所へ急ぎ向かった。
だが丁は一人ほくそ笑んだ。
「無駄だ 『天の龍』には 一人ずつ死んでもらう」

107 :X その25 :04/05/22 02:32 ID:???
戦い続ける昴流と星史郎。そして二人がぶつかり合い、昴流の張った『結界』が解けた。
『結界』が解けるのは術者に何かあった時。急いでかけつけた神威と嵐が見たものは、昴流が星史郎の胸を
貫いた光景だった。呆然とする昴流に息も絶え絶えの星史郎は真相を話す。
「貴方のお姉さんが…命をかけた 最後の術です」 昴流の姉・北都が星史郎にかけた術。
それは星史郎が北都を殺したのと同じ方法で星史郎が昴流を殺そうとすれば、それがそのまま返ってくる
というものだった。昴流は星史郎に己の想いを訥々と語った。
自分の心から星史郎の存在を殺して生きていこうと思った、しかし星史郎にとって昴流が数ある贄の一つでも、
昴流は星史郎の存在を無くして生きていくことはできなかったのだ、と。
「だからせめて 貴方に殺されたいと思った」 昴流の告白を聞いて、星史郎も答える。
そして「昴流君 僕は 君を…」と言い、耳元で何かを囁き息を引き取った。
「貴方はいつも 僕が予想した通りの言葉は… くれないんですね」
そう呟き、泣きながら昴流は星史郎を抱きしめる。神威はそれを見守るしかなかった。
そして『結界』が解けて守りを失ったレインボーブリッジは全壊した。

牙暁は過去の夢を見る。北都が星史郎に術をかけたときの夢だ。この術が発動しないことを信じたい、
昴流にも星史郎にも生きていて欲しい、そう願って北都は星史郎に自分がかけた術の内容を教えていた。
「償えない罪は確かにあるけど 人を愛しちゃいけない人なんていないんだよ」
そう星史郎に告げて北都は死んだ。北都が命をかけた『願い』は叶わなかった、自分は何もできなかったと牙暁は泣く。
しかし封真は昴流と星史郎を見て淡々と言った。
「少なくともこの二人は幸せだと思うがな 殺されたい者に殺される 
生きていることに執着していないんだから 幸せな最期だろう」
そしてこれから起こる未来を話した。『結界』は守るべきもののために作るもの。守るべきものがないなら…。
「『七つの封印』のひとつは消えて 『地の龍』の空席が埋まる」

108 :X その26 :04/05/22 02:35 ID:???
暗い部屋で閉じこもる昴流に、意志に反してレインボーブリッジから昴流を連れて逃げたことを神威は詫びた。
そして昴流は『桜塚護』を殺すために強くなったと思っていたのに、なぜ殺されようとしていたのかを尋ねた。
昔星史郎に殺されかけた時、昴流は殺す価値もないモノだと見られていた。だからせめて彼にとって
「目障りな存在」でもいい、『殺してもいい』存在となれるよう強くなりたかった、昴流はそう答えた。
けれどそう思っていたことすら間違いだったのだと。
そして神威には、自分の望みを叶えることだけ考えればいいと話す。自分の望みが誰かにとって不幸でも?
と訊いた神威に「誰もが幸せになれる道なんてないんだよ」と答え、昴流は姿を消した。
丁はこの結果に不気味に笑んだ。
「皇の当主は『天の龍』としては死んだ いずれ本当に死んでもらうがな
 そろそろ妾の夢見通り 次の『天の龍』に死んでもらう 今度は本当に…な」

壊れゆく『東京』、そして『地球』。
CLAMP学園で作戦を練るも、丁の夢見がないと『地の龍』にも対抗できず行き詰まる神威達。
そんな中、常に頼りになる要となり明るい空汰に嵐は段々と惹かれていた。
二手に分かれ神威と空汰は銀座に、嵐と譲刃は井の頭に向かった。
嵐と譲刃は颯姫の『獣』に襲われ『結界』を張り応戦する。必死に戦い小犬鬼を愛おしむ譲刃を見て、颯姫は
「自分にはいなくなったから動揺する存在もないし 生きていることが喜びとなることもない」
とかなり厭世観漂う台詞を吐いた。それに対し『獣』は不可解な反応を再び見せる。
井の頭公園が襲われたことを感知し向かおうとする神威と空汰の前に、丁の式神が現れこのまま銀座にいろ、
という指示が出された。しかし神威は式神の符に不信を抱く。
この符は神威が東京に来たときに彼を殺そうと放たれた符と同じものだったのだ。
『結界』中で空汰と密談する神威はとうとう丁に対する疑惑を話す。空汰は符に細工し、スパイとして丁の元へ放った。

109 :X その27 :04/05/22 02:38 ID:???
『獣』と戦う嵐と譲刃。間一髪、というところで嵐は何者かの護法童子に救われる。
それは空汰が初対面の時に嵐につけていた守護だった。そして血だらけになった空汰を抱え神威が現れる。
嵐は事の真相を知り、空汰に縋って泣き叫んだ。
重傷で空汰は入院した。
泣く嵐を慰めて「わいの命をやる相手は ねーちゃんやからな」と明るく言う空汰に、
嵐は自分の気持ちはどうなるんだ、と訴える。空汰は嵐の想いを知り、嵐は空汰に縋って泣いて二人は結ばれる。
病室のベッドで目覚めた嵐(こいつら病院でヤりおった。しかも重傷のくせに)は己の変化を感じ取った。
自分の伊勢の巫女としての力は消え、剣も出せなくなったことを知る。
皆の足手まといになることを恐れ、嵐は姿を消した。

一方封真は「元は封印であったものを迎えにいってくる」と言い、昴流の元へと向かった。
昴流は星史郎の生家にいた。もう自分は何にも興味ない、とつれない昴流に封真は
「お前の望みは叶わなかった けれど 桜塚護の願いは叶えられるかもしれない」と話す。
封真は他人の『望み』が分かる。その人間が何を一番望んでいるのか、強く願っているのかを。
そして「桜塚護の望みはその傷を消すことだ」と昴流の右目を指して言った。
亡骸からとられ封印された星史郎の目を使い昴流の傷を消す、それが星史郎の望みだと。
それは『桜塚護』の力も受け継ぐことになる。しかし昴流はその目を受け取った。

丁は征一郎と火煉を招き、次は銀座が狙われる、と夢見する。
二人が銀座に向かうのを見て、丁は再び暗く笑った。それを影から見ているのは、空汰の放った符である。
牙暁は閉じこめられた本来の丁と話し、『天の龍』『地の龍』の未来を夢見する。
『地の龍』に新しく埋まったのは昴流。そしてもう一人埋める者がいる…それは嵐だった。

110 :X その28 :04/05/22 02:42 ID:???
銀座の『結界』を守る征一郎と火煉。
そこを攻めてきたのは霞月だった。しかしどうも様子がおかしい。
実は霞月は火煉に好意(親子のような)を持っており、火煉を『結界』の場から追い払おうとしていた。
辛そうな顔の霞月に「貴方にはちゃんと感情があるわ 優しい心が」「貴方は子供なの」と優しく語る火煉。
そんな火煉に霞月は己の生い立ちを語り、『地の龍』にいるのは『神威』の側にいたいからだと話す。
そこに『神威』である封真が登場。征一郎をダブらせる火煉に、それが貴方の一番大事な人だからだ と告げる。
火煉をかばい逃げる霞月は大好きな封真に逆らうことに葛藤しまくる。しかし火煉の
「その心が告げる通り動けばいいの」という言葉に、霞月は己の『願い』を選んだ。
そして封真は「お前のその願い 俺が叶えてやろう」と言って激しく攻撃してきた。
崩れるビルから火煉をかばい、霞月は重傷。そして近寄ってきた封真から火煉をかばい続けて胸を貫かれた。
ありがとう、と火煉に告げて霞月は死んだ。

火煉は激怒し泣きながら封真に詰め寄った。
封真は『一番大事な人を守って 一番大好きな人の手にかかって死ぬ』 
それが霞月の願いだったと話した。父を封真に、母を火煉に重ねていたのだろうと。
なおも怒り、泣きながら「誰も誰かを殺すことは許されていないわ」と訴える火煉に、封真は
「ならどうして大事なことを見失ってしまうんでしょうね 大事なことを」
と不可解なことをのたまい飛び去る。
霞月の遺体を抱きしめ、封真の台詞を反芻する火煉は、封真自身の『望み』について何か気づいたようだった。

111 :X その29 :04/05/22 02:43 ID:???
その戦いを見ていたのは『地の龍』となった皇昴流。黒一色の出で立ちで『桜塚護』の雰囲気満点である。
その右目は星史郎のものを受け継いでいる。『地の龍』となってもやる気ゼロの昴流だが、
自分が死ぬと星史郎の目も死んでしまうため自殺も出来ず生きる屍状態。
神威の願いが分かるんだろう、と尋ねる昴流に封真は
「知っている だからこそ神威は俺に勝てない」
とまたも不可解MAXの答えを返す。
神威の本当の願いは、神威自身も気づいておらず封真しか分かっていない。
さらに昴流が君の願いは?と尋ねると
「俺の願いは 神威にしか叶えられない」 と封真は柔らかく笑った。

『天の龍』の神威が『地の龍』の『神威』の願いに気づかない限り、未来は変わらない。
牙暁は小鳥の願いは叶わないのか、と嘆いた。
しかし神威は霞月の墓参りをしていた火煉と話し、封真の『願い』の片鱗を掴む。
「とても大事なことだけど 忘れてしまうこと
 誰かを大切に思えば思うほど見失ってしまって その大切な人を傷つけてしまうかもしれないこと」
火煉は貴方もそうかもしれないと神威に告げた。

『結界』は後ふたつしかない。『東京タワー』と『都庁』。丁は暗く笑んで呟いた。
「そろそろ 最後の戦いを始めてもらおうか」

112 :X  ラストまとめ :04/05/22 02:45 ID:???
これまでのまとめ+補足
・丁の読み通り、昴流は星史郎を殺し『天の龍』の席を失い、代わりに『地の龍』となった。
・さらに星史郎の目を受け継ぎ『桜塚護』を継いだ。
・星史郎は自分が殺した母に「貴方は一番好きな人に殺される」という予言をされている。
・星史郎が昴流に囁いた最期の台詞は未だ不明である。
・嵐は空汰への想いを自覚し、二人は結ばれる。
・セクース後、嵐は巫女としての力を失い行方をくらました。
・封真は本人ですら気づいていないような、他人の『一番の望み』を知ることができる。
・さらにその人間の一番大事な人を模倣?することが出来る。
・神威は自分の『望み』に気づいていない。
・封真にも『望み』があり(判明していない)、それは神威にのみ叶えることが出来る。
・現在の時点で、『天の龍』は神威、空汰、譲刃、火煉、征一郎
        『地の龍』は封真、牙暁、草薙、遊人、颯姫、昴流 となっている(これに嵐が加わるらしい)。


これで既刊分は終りです。いつ出るやら19巻。
一応雑誌掲載分はまだ残っているんですが、内容がかなりうろ覚えですので
どなたか知ってらしたら継げたしお願いします。

やっぱり東京BABYLON→Xと入ったので、どうも昴流と星史郎に比重がおかれてしまいますね。
贔屓してるつもりはないんですが。描写がしつこくてうざかった人スマソ。
(しかしこれで本当に未完になったら、Xは単なる東京バビロンの続きものと認識されてしまいかねないぞ…)