うすべにの嵐/矢沢あい
494 名前:うすべにの嵐1[sage] 投稿日:05/03/11 16:18:33 ID:???
矢沢あい(やざわ・あい) 単行本『うすべにの嵐』より 他短編2編とともに収録済

<あらすじ>
リトルリーグの監督をする親父の夢、「息子たちを野球選手にすること」を叶えるために、
日々、泥にまみれながら必死に白球を追いかけていた、兄・タカシと弟・キヨシ。
しかし、親父は、そんなふたりの晴れ姿を見ることなく、逝ってしまった。
あの夏の日、親父が愛した向日葵畑で、親父の大きな背中に誓った約束を胸に抱きながら、
成長する兄弟。彼らの絆を軸に、周囲の人々の人間模様も絡んで描かれる話。

親父が死んで6度目の春、名門校のエースを務める兄は、あと一歩で選抜甲子園への切符を
掴もうとしていたが、中学生のキヨシは、野球部を離れ、焦燥に駆られる日々を送っていた。

他界した親父と寮生活の兄がいなくなった家は、幼いキヨシにとって寂しく居辛かった。
母は、親父が高校時代にバッテリーを組んでいた親友との再婚をほのめかし、
最近気になり始めた同級生の幼馴染は、兄の勇姿に憧れと感嘆の声を惜しまない。
キヨシは、自分を取り巻く環境の変化にうまく対応できない苦しみをずっと感じていた。

キヨシは、兄が久しぶりに帰省したときも、すすんで顔を合わせようとはしない。
しかし、母も兄もそんなキヨシの複雑な心情を理解し、暖かく受け入れようとする。
ふたりの優しさが歯痒いキヨシは、ますます反発を強め、兄の肩の故障に気づけなかった。

495 名前:うすべにの嵐2[sage] 投稿日:05/03/11 16:19:22 ID:???
甲子園がかかった重要な試合で打ち込まれる兄・タカシ。
予想だにしない兄の乱調に、ラジオを聴いていたキヨシは、思わず家を飛び出す。
「もう間に合わないよ」自転車をこぐ友人の言葉を制し、荷台でラジオに耳を傾けるキヨシ。
そのとき、周囲の雑音に塗れながら漏れ聞こえる音声が、兄の高校の敗北を伝えた。

高校を訪れたキヨシは、出迎えた野球部の仲間が一様に晴れやかな顔をしていることに
戸惑いを覚える。彼らは、兄の故障を承知の上で、マウンドに送り出していた。
肩にテーピングを施された兄は、その痛々しい姿とは裏腹に明るい表情でキヨシを迎える。
そこで、親父との思い出を語った兄は、「まだ、夏があるさ」とキヨシに微笑んだ。

キヨシは、兄と同じ道を歩もうと心に決めるが、ひとりになる母や家計を思い、言い出せない。
しかし、葛藤するキヨシを見た母は、援助を惜しまないと発破をかけ、次男の成長に目を細める。
兄と母の愛に支えられ、キヨシは親父との約束を果たすために道を切り開いた。 <了>

<補足>
野球好きにはニヤニヤ出来る小ネタ有り。主人公家族の苗字が「三原」だったり、甲子園悲運の
エースで、連載当時には日本ハム期待の若手だった松商学園・上田佳範の名前があったり、等。
ちなみに、物語のラストで、キヨシは幼馴染に対して(高校)球児らしい愛の告白をします。
画は、今のように洗練されてもなく、初期のように荒くもなく、受け付けやすいかと思います。

197 名前:うすべにの嵐・書き手[sage] 投稿日:2005/04/11(月) 23:06:54 ID:???
先日、某大手古本屋に行ってパラパラ捲ってみたところ、
恐ろしく沢山の勘違いが見つかったので、修正点を以下に書き出します。
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物語冒頭。兄・タカシは既に選抜出場を決めており、甲子園準決勝でサヨナラ負けを喫する。
「まだ夏がある」と泣きながら慰めるのは、弟・キヨシで、この時点でキヨシは野球部復帰を決める。

季節は巡り、夏。甲子園予選大会初戦で、肩を負傷していた兄は大量失点で敗退する。
兄(の高校)が格下相手に負けるワケないと思い、観戦をしていなかったキヨシは、
兄の最後の勇姿を見ることが出来ず、泣いて悔しさを滲ませる。

その後友人に自転車をこがせながら高校に駆けつける→チームメイトの輪→兄の穏やかな笑顔→
父の思い出→母に兄と同じ高校に進学したいと進言→幼馴染に告白 という流れ

以上、表題作『うすべにの嵐(春の選抜)』とその続編『空を仰ぐ花(夏の甲子園)』のあらすじです。