ウルトラ・スーパー・デラックスマン/藤子・F・不二雄
116 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/04(月) 05:57:45 ID:???
ウルトラ・スーパー・デラックスマン

 日星商事の一室、真昼間からもう帰ろうとする男がいる。しかし誰も咎めるどころか恐れおののいている。
彼の名は句楽兼人。トイレから出てきた同期の片山に、久々に飲みにこいよ、と声をかける。
 片山は帰って妻に句楽のところへ行くことを告げる。ひどくなじられるが、いかないとあの化け物に何をされるか
わかったもんじゃない、と車で彼の家へ向かう。句楽の家の近所で警官にこの先は廃墟で何もないと言われるが、
句楽の家へ行くと告げると驚きながらも通してくれる。約束の時間が近いので車を飛ばす。と、そこに女性の影が。
なんとかよけるが、電柱に激突、車から投げ出される。辺りを見回すが女性は消えていた。あれは幻だったのだろうか…。
車を見ると大破しており、慌てて走り出す。もうだめだ、バラバラだ、と途方に暮れたところ、人が飛んできた。
「私はウルトラ・スーパー・デラックスマン。弱き人、善良な人を助けるために日夜働いているのです」
どうみても句楽です。本当に(ry
彼は片山を連れて自宅へ戻る。「みんな知ってることだけどタテマエとして一応言っておく。”喋るとタダじゃおかない”。」

「お前さ、どうしてそんな体に…?」
「俺にだってわかるもんか」
 句楽兼人もどこにでもいる普通のサラリーマンだった。正義感が強く、大きなところでは政治家の収賄、
小さなところではお年寄りに席を譲らないドキュンなどに心底腹を立てるが、当然のことながら手が出せない。
そうした憤りを新聞に投書するのが趣味だった。

 ある日目が覚めると飛行能力、透視能力、超怪力、銃弾をも跳ね返す体になんの前触れもなくなっていた。
句楽はウルトラ・スーパー・デラックスマンを名乗り、ありとあらゆる悪を潰していった。
しかし法治国家がそんなことを許しておくわけにいかない。マスコミも徹底的に叩く。
「俺の力は世の不正を正せと神が与えたもうたものだ。
その俺にさからう者はすなわち悪だ
悪を抹殺するのがなぜ悪い!」
警察もマスコミもビルごとぶち壊され、機動隊、自衛隊とエスカレートするが武器はまったく利かないので犠牲が
出るばかり。ついには付近住民をこっそり避難させて超小型核爆弾を打ち込んだ。しかし彼はそれでも生きていた。
世界は諦めた。

117 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/09/04(月) 06:00:13 ID:???
「ウルトラ・スーパー・デラックスマンなどという荒唐無稽な人物は存在しない」と公式発表した。
会社は待機室長というポストを新設し彼をあてがい、マスコミは沈黙し全く犯罪を報道しなくなった。

 飲みながらテレビを見ているとアイドル歌手が歌っていた。句楽はテレビ局に電話して「お茶飲もうよ」と
その子を呼びつける。ひと心地つくと、人影が句楽を襲った。先ほど片山の車の前を横切った女性だった。
包丁を何度も刺すがウルトラ・スーパー・デラックス細胞は通さない。片手で思い切り放り投げ、今度来たら
ギタギタにするぞ! と恫喝する。句楽の話によると、先日チョイとヒネったケチなカッパライについていた
女で、仇をとろうと何度も何度もやってくるという。

 歌手がやってきた。お茶を勧めるが、この後仕事があるのでやることあるならさっさとお願いします、と冷たい。
句楽は片山を放置して歌手と寝室へ向かう。一人でチビチビ飲っていると、放り投げられた女性がハンマーを
持って戻ってきた。やめとけ、今度こそ殺されるぞと止めるが寝室へ向かう。いざコトに及ぼうとしていた句楽にハンマーが直撃。
片山はハンマーの女性を連れて逃げる。廃墟の地下室へ逃げこんだ二人だったが、句楽の透視能力で発見されてしまう。

「女を渡せ。渡さないとお前も虫ケラの同類とみなす。」
「おまえは正義の味方なんかじゃない! 血に飢えたバケモノだ!」
「言ったな! 生き埋めにしてやる!」

天井が崩れ始める。死を覚悟した。が、急に崩壊が止まった。
おそるおそる地上に出ると、句楽が血を吐いて倒れていた。

ウルトラ・スーパー・デラックスマンは公平に言って現代最高の医療受けたといえよう。
しかし、ウルトラ・スーパー・デラックスガン細胞の増殖を抑えることは不可能であった。