東京トイボックス/うめ
455 名前:東京トイボックス 概要と要約[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 06:25:02 ID:???
東京トイボックス 全2巻 講談社
週刊モーニングにて連載された。
現在、コミックバーズにて続編の大東京トイボックスが連載中。
大東京トイボックス 1巻 幻冬舎

要約
秋葉原にある弱小ゲーム会社G3の社長 天川太陽。
そんなG3にエリート社員 月山星乃が出向してくる。
効率的に仕事を進める彼女といい加減な太陽は衝突を繰り返す。
ある日、G3唯一のオリジナル・タイトルの海外版製作が決まる。
しかし海外版製作とは名ばかりで完全な下請け状態で、商標権までとられてしまう。
それでも面白いゲームを作り続けようとするゲーマー達を描いている。

456 名前:東京トイボックス1[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 06:26:29 ID:???
「ゲームを作る人になりたい」
小学校の卒業文集にそう書いたら、お前は一生遊んで暮らす気かと親父に殴られた。

一流企業でキャリアを重ねる月山星乃は美人で有能なエリート社員。
そんな彼女も家では秋田訛り丸出しで学生時代のジャージを愛用している。
日曜の密かな楽しみは電脳戦士モバイラー(特撮番組)。
テレビと一緒に変身ポーズを取って番組を見ていると、ドアの開く音が。
ゴルフクラブで侵入者を殴り倒し警察を呼ぶ月山。
警官が駆けつけるまでにメイク完了し、隙のない服に着替え侵入者を警察に引き渡す。

男の名は天川太陽。階下に住む同じマンションの住人らしかった。
徹夜の仕事明けで帰ってきた男は部屋を間違えた上に鍵を無くしたため、ピッキングで侵入したのだ。
「鍵屋呼ぶと時間も金もかかるし、郵便物確認したらすぐ開発室に戻らなきゃ行けないし…
連日徹夜でもうめんどうくさくてめんどうくさくて…」
汚らしく臭う男はゲーム会社の社員らしい。月山は告訴すると言い切るが男は逃げ出してしまった。

月曜日、出社した月山ちゃんを更なるショックが襲う。
成果を出したばかりだと言うのに、倒産しかかった会社に出向が決まったのだ。
上司の嫌がらせだ。部下を妬んだ上司に追い払われたのだ。
落ち込むが気を取り直して出向先へ向かう。
「接続!変身!電脳戦士モバイラー!」
扉を開けた月山の目に映ったのは、モバイラーの変身ポーズを取る太陽の姿だった。

457 名前:東京トイボックス2[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 06:27:46 ID:???
月山の出向先、G3はゲーム会社とは名ばかりの下請け業者だ。
パチスロのムービーやTVのCG製作を主に引き受けている。
が、そのほとんどが納期を過ぎている。呆れかえった月山はさっそく手をつける。
そしてG3が現在開発している電脳戦士モバイラーのゲーム開発。完成したはずなのに納品出来ないという。
問いつめる月山に太陽は「えー…なんて言うか…魂が違ったんです」
太陽の妄言をスルーした月山は納品を決定する。
「遅延料幾ら取られるかわかってますね?今すぐ納品して下さい!魂なんぞ犬に食わせとけ!」

翌日、一つ肩の荷が下りたと思いながら出社した月山はデスマーチ進行中の社内に驚く。
納品は!?と太陽を問いつめるが「すまねえな、OLさん。納品はまだできねえ。
思いついちまったんだ。俺の仕事は面白いゲームを作ることだ!」と仕様変更を続行する。
「納期内に面白い物を作るのが仕事だよね」と言うツッコミを受けながら。

一月後には脱力した月山ちゃんの姿があった。ストーリーの改ざん・新キャラの投入など
全く別物となった電脳戦士モバイラーのゲーム。遅延料どころか違約金を取られてもおかしくない。
落ち込む月山だが、G3にモバイラーの新作ビデオが届く。そこにはゲームで追加した新キャラの姿があった。
先方が気に入りテレビ作品にも反映され、遅延料もチャラになったらしい。
驚きから立ち直れない月山は「この俳優誰だっけ?」と言う質問にうっかり答えてしまう。
電脳戦士モバイラーヲタクと言う秘密が暴露された瞬間であった。

458 名前:東京トイボックス3[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 06:29:31 ID:???
G3に新しい仕事が入った。取引先がコンペを行うが、本命を通すためのダミー企画を作って欲しいらしい。
そんなヤラセはできない、本気の仕事がしたいという太陽に「やれるもんならどうぞ」と月山は笑う。
本命の会社はソリダス。アーケードから家庭用ゲーム機まで業界内の最大手だ。
しかし相手がソリダスと知った太陽は途端に態度が変わる。全く仕事をしなくなった。
理由がわからず手をこまねく月山に、グラフィッカー七海がこっそり教えてくれる。
太陽は元ソリダス社員なのだ。しかし上層部と揉めてソリダスを飛び出した。
ようやく腑に落ちる月山。しかし−「でも、これ仕事ですから」

ソリダスの仕事だからやらない、じゃあソリダスが面白いゲームを作れと言ったらどうするのか。
問いつめる月山ちゃんから太陽は逃げ出す。
仕事には真摯であると信じていた太陽の態度に腹を立て、月山は自分でダミー企画を練り始める。
しかし月山にダミー企画を作る事は出来ず、太陽がくれたボツ企画を提出して仕事を終えた。
その頃、ダミー企画を読んだソリダスの仙水局長は一人ほくそ笑んでいた。

G3に新しい仕事が入る。G3唯一のオリジナル・タイトルの海外版製作だ。
久しぶりのまともなゲーム製作、それも自社作品の海外版という話に湧く社内。
舞い上がってる中、七海が疑問を抱く。「どーして今更2年前のゲームを?」
そう、この話を持ってきたのはソリダスだった。ソリダスの名を聞いて固まる太陽。
「この仕事を断るならもう会社を辞める、俺はパチスロ・ムービー作るために入ったんじゃない」と言う社員や
「海外版が売れたらまたゲーム作れるのに」という社員達。
ソリダス時代を思い出す太陽。開発中のゲームの凍結が伝えられ、別の作品が新作として売り出された。
ここで負けを認めたら前に進めるんだろうか?
太陽は決めた。「よろしくお願いします」

459 名前:東京トイボックス4[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 06:31:58 ID:???
ゲーム製作に活気が戻る社内。ソリダス絡みとはいえ太陽もやる気を取り戻した。
だが後日ソリダスから細部まで完璧に決められた仕様を渡される。
現在作っているプロジェクトは中止し、全て仕様書通りに作れと通達される。
凍り付く社内。先方の要求をのむか断るか。太陽は行き詰まる。

気分転換に出かけた太陽は古びたゲーセンを見つける。そこにはドルアーガの塔があった。
懐かしさからプレイを始める太陽。しかしあっという間に死んでしまう。
昔なじみの店長に「さび付いたなあ、自作攻略本まで作ってたのに」と言われてしまう。
「まったく不親切なゲームだよなあ、ドルアーガってのは。宝箱の出現方法はノーヒント。
アイテムの効果も何の説明も無し。60面まで行ったところでひとつ間違えりゃ1面からやり直し。
コンティニューすらご丁寧に隠しコマンドになってやがる」
「でも俺ら、その不親切さに熱くなったんすよ」
社に戻った太陽は仕様変更を宣言する。
基本は先方の要求通り。その上で仕様を変更する。キーワードは不親切。

ゲーム経験のない月山はデバッグを手伝う。が、あっという間に死んでしまう。
開発は進み、次々にバグは潰されていく。
しかし完成間近になった時、月山が致命的なバグを発見する。
原因特定に社員達が奔走する中、月山ちゃんはゲームの商標権をソリダスが買い取る話を聞かされる。
G3に拒否権はない。拒否するならば1億用意するしかない。事実上、無理だ。

460 名前:東京トイボックス5[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 06:37:54 ID:???
デバッグを続けても原因が判明しない。太陽は決断した。
このバグは特定のルートだけで再現する。原因を特定できない以上、ルートをまるまる削除するしかない。
荒っぽい方法ではあるが確実だ。削除したルートは続編で加えればいい。
しかし月山は反対する。G3はもう続編を作れないのだ。社員達に後悔を残したくない。
そんな思いで反対するが、社員も太陽も聞き入れない。月山は仕方なく買収の話を打ち明けた。
それでも仕方ない。ルートを削除し24時間検証した後に完成とする。他に道はなかった。

月山は本社から呼び戻す手はずが整ったと告げられる。
これでいい、G3には金が入り月山は念願の本社に戻れる。
納品に出かけた太陽は、月山がゲームを売らない方法はないか真剣だったことを知り納品を取り消してしまう。
社員に頭を下げて「ごめん、仕様を一部変更する」
皆は「やっぱり馬鹿だ」と言いながら苦笑して作業に取りかかった。
太陽と月山はソリダス本社に出向く。納品を取り消した以上、頭を下げに行かなくてはならない。

仙水に頭を下げ謝罪する月山ちゃんだが、完全な無視モード。仙水は太陽しか見ていない。
しかも謝罪を聞くどころかゲームで対戦したいと言い出す。ついでに開発者の太陽を瞬殺。
「締め切りは延ばせる。プレス・販売、みんなが順に頭を下げてみんなが嫌な思いをするだけだから。
けどさ、それで満足?今度はあそこを直したい、こっちをいじりたい。作業にはキリがない。
お前はパトロン付きの芸術家じゃないんだ。それとも今でも若き天才クリエーター気取り?」
全くの正論に太陽も月山も反論できない。でも…
「賭をしませんか?次の対戦で勝ったら締め切りを延ばす、負けたらソースを提出するって」
面白がった仙水は勝負に乗る。「そっちが買ったら商標権あげるよ。僕が買ったらお前はソリダスに戻れ」

461 名前:東京トイボックス6[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 06:38:45 ID:???
仙水は強い。相当ゲームをやり込んでいて太陽ですら勝てない。
「太陽、お前独立してゲーム何本作った?一本だろ?
お前は自由を求めて独立し、不自由になった。
戻ってこい。お前は俺に使われてこそ価値がある」
たまらず月山がポーズを入れる。
「勝ちなさい。そしてG3にいなさい。あたしがあなたを上手に使いこなしてあげますから」

太陽はギリギリで逆転勝利する。海外版オリジナルの必殺技を使ったのだ。
「…仕様書になかったぞ」
「ゲームに合わせて仕様書を直す。よくある話じゃねえか」
「汚ねえ…」
太陽は商標権の話はチャラにし、納期を3日待ってもらう約束を取り付けた。
「みんながちょっとずつ頭を下げる。それでいいじゃねえか。エゴがなくてゲーム作れるか」

462 名前:東京トイボックス7[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 06:41:14 ID:???
新作は完成し、月山ちゃんは本社に戻った。
七海も仙水に誘われソリダスに戻っていった。
太陽はまた下請けの仕事に追われる日々を過ごし、付き合いの飲み会やゴルフにも付き合わされる。
雑事に追われる太陽はやっと気づく。「俺は社長に向いてない!」
しかし太陽はジャンケンに弱かった。ジャンケンで負けた人を社長に=いつも太陽が社長に。

太陽は月山に会いに行く。「ジャンケンしようぜ!」
が、負けた。
太陽は「おめぇはゲームのことだげ考えねば」そう言ったのはお前だと月山をG3に誘う。
完成したゲームを手渡された月山は家でプレイする。
いつの間にか上達していた自分に苦笑しながらスタッフロールを眺める。
「タスクマネージャー 月山星乃」何の役にも立たなかったのに、認めてもらえていた。

月山ちゃんは太陽のネクタイを締める。
「何でいい年してネクタイも締められないんですか。ヒゲも剃れって言ったでしょ!」
「仙水に会うのに剃る必要ねー」
二人のラブラブ会話にいちゃついてね?社長っつーより新妻?と騒ぐ社内。
G3は新しい女社長を迎えていた。



463 名前:東京トイボックス8[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 06:46:04 ID:???
そのほか
ゲーセンの店長はたぶん幽霊です。
七海は仙水と理由ありげです。
七海は太陽に惚れてました。
月山ちゃんは酒飲みで太陽は下戸です。