てるてる×少年/高尾滋
140 :てるてる×少年 1 :04/04/07 01:12 ID:???
「てるてる×少年」高尾滋

【1〜7巻/既刊】
信州にある忍びの里のお姫様[御城 紫信(しのぶ)]と彼女に従う忍者の[奥 才蔵]。
里を出て御城の遠縁にあたる[幸田 正吾]の元に身をよせて、幼馴染の三島左介らと共に
学園生活を送っている。

御城の後継者であるしのぶの秘密を狙う一味に、左介の兄・三島四兄弟の三男[望]が
いたことを発端とし、徐々に御城その身内のスパイの存在が明るみになってくる。
いくつかの事件の中で、主と従者の信頼関係以上のものが出来始める。
しのぶを守る才蔵と、共に戦おうとするしのぶ。
お互いの気持ちに戸惑いながらもその気持ちは確かに育っていく。
才蔵は『いけないことだという気持ちがするのに』それを止められない。
才蔵フェチのお色気くの一[筧 千代]の、才蔵がしのぶを好きなのは不幸、だから
自分(千代)を好きになれという言葉に才蔵は
『許してよ 幸せなんだ』と、しのぶの側にいられる幸せを噛み締めるのだった。

141 :てるてる×少年 2 :04/04/07 01:13 ID:???
敵の一味に捕らえられたしのぶ。
体にあるという御城の後継者である印を示すよう脅される。
しのぶは逃れる為に、忍ばせていたしびれ薬を口移しでサングラスの男に飲ませた。
機を得た才蔵は逆上した勢いも手伝い形勢を逆転させ、しのぶを助け出す。
恋するしのぶの唇を敵に奪われたこと、自分を盾にとられた不甲斐なさ。
助けたしのぶに口付けたい衝動に駆られるが、しのぶ様、しのぶ様、と
何度も口にしながら強く抱き締めるしかできなかった。
しのぶは、その才蔵の腕の中で心が安らいでいくのを感じていた。

『才蔵のことを思うと心がほっこりとし、姿を見ると笑みになる』
しのぶはそんな自分に気付いたしのぶが才蔵に想いを告げる。
その一言に、才蔵の抑えていた感情が溢れ出し、口付けに想いを乗せる。
『ずるい しのぶ様 僕の努力は水の泡です――』

 ◆ ◆ ◆

二人はそれぞれに秘密にしていることがあった。
才蔵にしのぶ様の秘密とは何かと聞かれ、大輪の花の咲く背中を見せる。
しかしそれは生まれつきのアザではなく、生後彫られた刺青であるという。
それは、しのぶが御城の正当な後継者ではないことを意味した。
大輪の花のアザを持つ真の姫が別に存在する。しのぶは影武者であった。

『主への忠心を手にしたまま自分の想いを口にしたこと』を卑怯だと
悔やむ気持ちがあるしのぶだったがしかし、才蔵を前にすれば
想いは確固たる。
『…それでもお前が好きなのよ…』
才蔵は言う『信じられるものは あなたの正しさだけ』。
『それだけは疑わないで欲しい。この先に何があっても』
互いの立場と思いが、せつなくも幸せに絡み合う瞬間であった。

142 :てるてる×少年 3 :04/04/07 01:15 ID:???
 ◆ ◆ ◆ (親世代…)

しのぶ達は新年の里帰りをしていた。
偶然、しのぶの母:[松子(しょうこ)]と正吾の会話を立ち聞いてしまう。
お母さま、正兄さま、二人の間にある過去――

幼馴染であった松子と正吾。
父親の厳重な檻に閉じ込められるよう育てられたお嬢様の松子に
光と共に窓から現れるようになる少年、正吾。
真逆のような性格の二人だが恋に落ちるのに時間はかからなかった。
月数回の逢瀬で縮まる距離は僅か、しかし会えない時間に二乗に比例して
高まる想い。

そこに松子の御城との結婚が決まる。断る術を持たず受け入れる松子。
だが悲しみ怒る正吾を追い、父の手を逃れる為に雨の山を走る。
身を隠せるだけの山小屋で、二人はこの先の逃れられない運命を
分かりながら一夜の間だけ目をそむけ、その瞬間を選ぶ。

松子が御城に嫁いだ時、しのぶはもう彼女のお腹にいたのだった。
『最後に笑うのは俺だって 証明して見みせるよ』
正吾は嫁ぎゆく松子にこう言い残した。

143 :てるてる×少年 4 :04/04/07 01:20 ID:???
【第43〜53回/コミクス未掲載分本誌8号まで】

才蔵は松子の吐いた血を見て倒れてしまう。
三島兄弟の長男、で松子の側近である[義人(よしと)]に抱えられ、
幼い頃の夢を見る。
『哀しい人を知っている 涙を流さず悲しみの底にいる
 優しく抱きしめるために使いたい』
しのぶの元へ帰ると、しのぶが心からの笑顔を見せて出迎える。
その笑顔を優しく抱きしめる才蔵だが、心の奥に『相反する感情』を感じる。

 ◆ ◆ ◆

姿を消した松子を探すため、しのぶ達は御城の屋敷の隠し通路に入る。
そこで、いる筈のない義人の姿を見つける。
その会話から松子は正吾と姿を消していることを知るが、こちらの存在に
気付いた義人の従者[ユーリ]が、しのに大鎌の刃を向ける。
ユーリの行動に少なからずショックを受ける左介。
敵は身の内に有り――しのぶに疑われた?と不安になる左介だが、しのぶは
『お前や才蔵がスパイだったら しのはこの世の何を信じればよいのよ』と言う。しかし。

再びユーリに襲われ捕らわれる。薬で朦朧とする意識の中に、
才蔵が二人の大切な思い出の水晶を踏みにじり、自分はスパイだと告げる姿を見る。
『どんな悪夢なの』
首謀は、三島長男、義人であった。
またもう一人の左介の兄、次男[挙人(しげと)]がサングラスの男だった。
三島と才蔵が御城の敵となったのは、上忍の三島両親と忍頭の奥家両親を
御城の先代がその手で殺害したことであった。
幼い才蔵と義人はそれを目撃していたのだった。

何故殺す必要があったのか、しのぶが鍵となっているのではないか、
義人はしのぶに問う。

144 :てるてる×少年 5 :04/04/07 01:22 ID:???
しのぶは千代と左介の策により助け出される。
才蔵の見送るように見つめる瞳に戸惑いながら、その場を離れた。
こんな状況となっても、しのぶは才蔵の夢を見て、また好きだと思う。
そんな自分を愚かしく、腹立たしく思う。
しかし才蔵が全く敵であると思えないしのぶ達は、才蔵の「救出」を計画する。
3人の兄達の謀反を何も知らされなかったことに怒り、悲しみ荒れた左介も加わる。

しのぶを逃したと責められる才蔵だが、義人に縄を解かれる。
わざと才蔵を逃したと疑われ義人の拳を頂いた挙人は『義人は才蔵に甘い』と呟く。

再会した才蔵としのぶは逃げるが、追手のユーリの刃を受け才蔵が深手を負う。
川に身を投げその場を逃れるが、流され弱っていく。
冷え切った二人を川下で正吾が助け、ある場所へ運ばせる。
そここそが、真の姫の佇む地下座敷であった。
体を休めるしのぶの側には寝ずの看病をする母 松子の姿があった。

目を覚ましたしのぶは正吾から才蔵の無事を聞かされ、才蔵の元へ急ぐ。
自分のために深く傷つく才蔵を見て、許して、と繰り返す。
『自分を裏切ったお前を許すことを――許して――』
立場も何も関係なく、想いはただひとつだった。

 ◆ ◆ ◆

皆それぞれの葛藤の上に道を選ぶ。大切な者ために。
しかし歯車はまだ 噛み合わない。


花とゆめでドラマ展開真っ只中で連載中。
その為解釈の違いや読み間違い合ったら申し訳ない。遠慮なく訂正加筆して下さい。

3 名前:てるてる×少年1[sage] 投稿日:2005/10/08(土) 22:31:16 ID:???
てわけでこっちから始めさせていただきやす。
ひとまず前回の人の続きから、コミックス10巻まで。

【9巻(53話)〜】

『わたしを裏切ったお前を許すことを――許して――』
しのぶは幼い頃から、自分を庇い、助けるせいで怪我を負う才蔵の姿を見てきた。
自分が才蔵を手放せないせいで、才蔵を傷つけてしまう。
それに気づきながらも、離れられない自分を許してくれと乞うしのぶ。
しのぶの愛情を感じる才蔵だが、彼にはしのぶを裏切ったという罪悪感があった。
『どうして責めてくださらない』言いながらも才蔵は、怪我のせいで再び意識を失ってしまう。

才蔵は昏睡の中、夢を見ていた。しのぶの護衛として送られる前、里で義人達と交わした話の記憶。
そのころ、義人は松子の秘書として働くことが決まった。三島の人間は危険因子なので、
傍に置いて監視をする腹なのだろう。承知でそれを利用すると宣言する義人。
そして、才蔵には護衛としてしのぶに近づくことが命じられる。
それまで、しのぶの警護は秘密裏に御城の忍によって行われていた。
そこに義人が外部から手を向け、きちんとした護衛をつけるように仕向けたのだった。
望達に襲わせ、それを才蔵が助ける。そうしてしのぶの信頼を得、
御城の秘密を暴く鍵、もしくは取引材料を手に入れること。それが才蔵に下された命令だった。

護衛にやって来たのも、敵の襲撃からしのぶを守ってきたのも、全ては仕組まれたことだった。
才蔵はそんな自分の中の罪悪感を、しのぶに裏切りを責められることでどうにか清算したかった。
それを正吾に聞かされるしのぶ。しかし、それで例え才蔵が楽になろうとも、しのぶにはそんなことは出来ない。
どこからが裏切りで、どこまでが本心なのか。
『でも、お前をなじったって しのは救われないわ!』
混乱して部屋を飛び出してしまうしのぶ。残された正吾は、目を覚ました才蔵に
『逃げるな。心の中でまで、しのぶを裏切るな』と喝をいれる。

4 名前:てるてる×少年2[sage] 投稿日:2005/10/08(土) 22:33:25 ID:???
部屋を飛び出したしのぶは、地下座敷の廊下で松子に会う。
泣きじゃくるしのぶに、松子は10ヶ月前にあった才蔵とのやりとりを教えた。
三島と奥の両親が殺された理由、彼らが知ってしまった「何か」を教えてくれと頼む才蔵に、
松子は時間をくれと言う。ただし、一年と待たせることはないだろう、と。
約束された才蔵は、三島の画策を全て松子に明かしたのだった。
明かした上で、才蔵は改めてしのぶの護衛を申し出る。
いつか自分の裏切りが明らかになったとき、三島としのぶ、両方から責められることになっても、
自分の手でしのぶを守ることが出来るなら構わない、と才蔵は話した。
それが、幼い頃に交わしたしのぶとの約束だったから。
『お約束したのです。お側にゆくと、お助けすると約束したのです』

しのぶの心を傷つけたことを謝る才蔵に、もういいのだ、と許すしのぶ。
もういいよ。その言葉こそ、しのぶが才蔵から貰いたかった言葉だった。
お互いに許し合う2人。心は満たされたが、地下屋敷の外には三島の追っ手が迫っていた。


【9巻おしまい、ここから10巻】


にわかに騒がしくなる地下屋敷。どうやら地下迷路に侵入者があったらしい。
負傷した才蔵達を追跡していた三島が、とうとう踏み込んできたのではないか。
屋敷へと通じる迷路の一角で、人影を目撃したしのぶは、母を守るため
才蔵とともに侵入者を捕らえるべく走り出す。
が、折角覚悟を決めてタックルした人影の相手は、三島の末弟・佐介だった。
兄弟の中で一人だけ何も知らされずにいた佐介は、真実を知りたいと
松子を訪ねにきたのだった。(そしてまんまと迷いまくっていた)

5 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2005/10/08(土) 22:37:34 ID:???
ともかく佐介を連れ、侵入者騒ぎを収めようとするしのぶ達。
その途中、彼らより少し年下くらいの、着物を着た少女に出会う。
どこかしのぶに似た、明らかにくのいちとは違う雰囲気の少女に戸惑う3人のもとに、
部屋から消えたしのぶ達を探しにきた松子と正吾がやってきた。

部屋から出歩いていたらしい少女に、松子が『何をしているのです、多由耶(たゆや)様』と問う。
多由耶、この少女こそが、地下座敷の姫その人だった。
錯乱している少女は、『虎彦はどこだ』と呟き意識を失ってしまう。
とにかく、5人は多由耶を部屋に戻すことにした。

松子が多由耶の世話をしている間、佐介はしのぶが姫の影武者であり、
御城の本当の子供では無いことを聞かされる。
確かに、先ほどの少女はしのぶに良く似ていた。まるでしのぶの妹のように。
しのぶも、幼い頃に彼女を見たときは自分の姉なのかと思っていた。
だが、年月が流れて再び目の前に現れた彼女は、あの頃と全く変わっていない……

一方、三島はしのぶへの切り札として友人・晴海+α(仲良くなった忍の里のちびっこ)を捕らえていた。
(晴海はくっついて御城まで一緒に来てたんだけど、今回の騒動でしのぶが心配になって出歩く→捕まる)
眠らされている自分の両親を人質にとられ、悪者と三島を責める+α。
しかし、それでは御城の罪は誰が咎めるのかと返すユーリ。
両親を殺された三島同様、ユーリもまた御城に親を奪われたのだった。

6 名前:てるてる×少年4[sage] 投稿日:2005/10/08(土) 22:39:58 ID:???
さて、御城の里には古くから伝えられている御伽噺がある。
『御色草子(おいろぞうし)』と呼ばれるそれは、里の子供たちが必ず寝物語に聞かされる話だった。
それは、恋人の忍に殺されてしまう可哀想なお姫様の話。

時は室町時代……ある山里を納める城に、幼い若君と姫君の兄妹がいた。
仲の良い2人には、お付の忍びが一人つけられる。忍は兄に剣術を教え、
妹はそれを見守りながら日々を過ごした。(ここらへんで忍に恋をしちゃうわけですね)
やがて2人は成長し、兄が城主となったころに妹は隣国へと嫁がされた。
妹は忍を恋しく思いながらも、優しい夫に癒され幸せに暮らすようになる。
しかし、ほどなく二国の間に戦争が起こり、兄は妹の夫を殺してしまう。
生国に戻った妹だが、すでに夫を愛していた彼女のおなかの中には子供がいた。
もう昔のようには戻れない、生まれてきた子供を、兄はきっと殺してしまうだろう。
これ以上兄や忍を憎みたくはない。そうなる前に、殺して欲しい。
そう懇願する妹に、兄は忍に命じて毒を盛らせたのだった。
この話に出る山城こそ、御城のことである。
そして、妹姫のおなかの中の子供が、地下座敷の姫・多由耶であった。
妹姫の墓の下から見付かった赤子を、忍は妹姫への贖罪として城主に内緒で育てていた。
忍が息を引き取るときに、その秘密は息子の虎彦へと渡されたのだ。

7 名前:てるてる×少年5[sage] 投稿日:2005/10/08(土) 22:42:35 ID:???
御色草子の昔から成長せずに生き続ける少女を目の当たりにし、才蔵たちは愕然とする。
しかし思い悩む暇もないまま、松子としのぶには急ぎ用事が出来てしまった。
今や里中で騒ぎになっている、上忍三島家の謀反について、里の一般の忍達に説明をしなくてはいけない。
松子としのぶ、正吾、そして才蔵が御城の屋敷へと向かった。(佐助は三島の人間なので、留守番)
御城の重臣は三島家が殺された理由を、捏造しようとするが、松子がそれを一喝する。
故人を辱めてまで何を守ろうというのか。すでに城の一室に集まっていた里の者達に、松子は口を開いた。
三島の裏切りは両親を殺されたことによるもの。先代の当主が三島、奥両夫婦を殺した。
何故なら、彼らは御城の暗部を知ってしまったから。私には真実を語る準備がある。
困惑する里の大人たちと、狼狽する重臣達。重臣達が松子の話をさえぎろうとするが、
松子は全てを語る前に倒れてしまった。もうずっと長い間、松子は御城の因習を壊すことを望んでいたのだった。

松子も既に御城にとっての危険人物となった今、里の重臣たちはしのぶを手に入れようとした。
多由耶の存在は、御城の闇、そして力を振るうために大事な鍵となっているらしい。
しのぶを連れに来た重臣達をかいくぐり、しのぶは才蔵と松子の私兵であるくのいち達の手を借り屋敷を脱出する。
自分に対して冷たかった母、もうずっと何かを諦めるようだった母。
松子の望んだことの本当の意味が知りたい、としのぶは地下座敷に向かって駆け出した。

一方地下座敷の入り口には、松子達と入れ替えに三島がやってきていた。
しのぶの友人・晴海を人質にとり、地下座敷の奥にあるモノをつきとめにきたのだった。
しかし、迷路から座敷へと通じる扉の鍵は、当主である松子と娘のしのぶにしか
所持を許されていなかった。扉へと駆けつけたしのぶに、晴海を盾に扉を開けるようせまる三島。

こんなごたごたに一人取り残されていた佐介だが、地下屋敷内をうろうろ探索していると
目を覚ました多由耶にどこかへと誘われる。ぶっちゃけ迷ってたので天の助けとばかりについて行く佐介。
三島の兄弟の中で、一人真実を知らされていなかった佐介が、皮肉にも兄たちが知りたがっている
御城の秘密へと近づいていくのだった。