スケバン刑事/和田慎二
136 名前:スケバン刑事 1/6[sage] 投稿日:2006/03/21(火) 18:17:17 ID:???
とある山奥にある、苛烈な懲罰と脱走不可能な環境から“地獄城”と呼ばれる少年院。
ここに収監されていたスケバン、麻宮サキの元に、謎の黒メガネの男が現れた。
男の正体は、警察内で強い権力を持つ「暗闇警視」。彼は、閉鎖社会である学校の中で起きる事件を
より深く捜査するため、学内に潜入する調査員としてサキをスカウトしたいと言う。
報酬として、死刑囚である母親の減刑を突きつけられたサキは、不本意ながらこの条件を承諾。
桜の代紋が入ったヨーヨーを武器に、学生刑事としてのサキの活躍が始まる。
最初の事件を首尾よく解決したサキが次に送り込まれたのは、母校・鷹ノ羽高校。
一見平穏な学校生活の中では、政治家である海槌(みづち)家による黒い陰謀が蠢いていた。
鷹ノ羽高を乗っ取り、上流階級の子弟のみを入れて父兄から金を巻き上げる悪辣な計画の一方で
海槌三姉妹の次女亜悠巳(あゆみ)は、金目当てに不良を対象にした賭けバイクレースを仕切り
名誉欲の強い三女の詠巳(えみ)は、絵のうまい同級生を殺してその絵を奪い、画家デビューを目論む。
私利私欲のために大量殺人も厭わぬ海槌家の陰謀を、私立探偵の神(じん)恭一郎
サキを慕う後輩、野分三平、そしてサキを敵視しつつも学校の正常化を願う教師、沼重三といった面々の
力を借りて解き明かしていく。
だが、真の黒幕は三姉妹の長女、麗巳(れみ)であった。妹たちを争わせて同士討ちを狙い
他の家族が皆死んだところで全財産を持って高飛びを図る彼女こそ、真の悪の華だった。
脱出寸前の麗巳を発見し、激しい戦いを繰り広げるサキ。辛うじてその戦いに勝ったサキは
個人的憎悪から麗巳を殺すのではなく、真に彼女を裁くため、殺さずに手錠をかけて逮捕した。

137 名前:スケバン刑事 2/6[sage] 投稿日:2006/03/21(火) 18:18:04 ID:???
学生刑事として、各地の事件を解決していくサキ。その中で、サキは生き別れの妹、美幸と再会する。
妹の美幸ばかり可愛がっていた母親のせいで、美幸に複雑な感情を抱くサキだったが
美幸が自分に寄せる無垢な愛情にサキも慰められるのであった。
だが、一方でサキは不吉な情報を得る。海槌麗巳が少年院を脱走し、暗躍しているらしい。
意を決して、ふたたび“地獄城”に収監されたサキは、麗巳が影武者を残して院を抜けていたことを知った。
時を同じくして、サキの周辺にも怪しい事件が起こり始めた。
実は財閥の御曹司で、美幸と婚約していた三平が殺され、同時期にサキの母が刑務所から姿を消す。
麗巳の手によるものだとは明らかだが、その所在はなかなかつかめない。
だが、サキも知らぬことだが、麗巳は彼女のすぐそばにいた。美幸を密かに誘拐して
自ら美幸そっくりに整形し、彼女に成りすましてサキを監視していたのである。
仕上げとして麗巳は、サキが唯一頭の上がらないサキの母に嘘を吹き込んで、サキを殺させようとする一方
誘拐していた美幸を、もとの自分の姿そっくりに整形して野に放つ。
美幸を愛する人々が、何も知らずに麗巳そっくりの美幸を殺そうと襲い掛かる中で
神に助けられ、母親の手を逃れたサキだけがそのからくりを見抜き、美幸を助けようとする。
しかし、すでに致命傷を受けていた美幸は、サキの手の中で息絶えた。
外国の犯罪組織に合流すべく船に乗り込んだ麗巳を、サキは追う。
サキが生きて現れることを望んでいたかのように、嬉々としてサキとの決戦に臨む麗巳。
不倶戴天の憎悪と、好敵手とめぐり合えた歓喜が入り混じりながら二人の死闘は続き
やがて、爆沈する船と共に二人は海の底へ消えていった。
事件が終わり、生き残った人々はサキの死を嘆く。だが、沼先生は生徒たちの中にサキの面影を見、
一方、神は今なお麗巳のために動く麗巳の部下を退けることで、サキの生き様を知るものが居る限り
サキは生き続けるのだと思い返すのだった。

138 名前:スケバン刑事 3/6[sage] 投稿日:2006/03/21(火) 18:19:07 ID:???
船上の死闘が過去となり、皆がサキの死を受け入れつつあった頃、神はアメリカである偶然と出会う。
サキと共に東京湾に沈んだはずのヨーヨーが、ニューヨークで発見されたのだ。
沼先生と共に謎を追った神が見出したのは、日本生まれの富豪ゴルド=小松崎の娘、ナツキ。
サキとは似ても似付かぬ淑女のナツキだったが、調査中の事件によって彼女は覚醒する。
彼女こそ死んだはずのサキだった。亡き娘の面影を追う小松崎は、救助したサキを娘として庇護していたのだ。
記憶を取り戻したサキは学生刑事として復帰する。だが、彼女の立場は微妙なものであった。
すでにサキに代わる新たな学生刑事が複数赴任しており、サキの帰還は彼らの敵対心の的となる。
暗闇警視を敵視する警察内部の勢力争い、先の戦いで死んだはずのサキの母親の生存情報など
サキを脅かす事態は多いが、サキはそれらを乗り越えていく。
事件解決の手腕を巡って、サキに勝負を挑んだ学生刑事の一人、吉村美鈴も
そんなサキの芯の強さを認めて、他の学生刑事と袂を分かってサキの味方に付く。

サキは順調に学生刑事として復調しているように見えた。だが、神は彼女を縛る問題に気付く。
小松崎の娘として過ごしていた時期に施された心理操作が、彼女の判断力を微妙に奪っているのだ。
不調を頑として認めないサキだが、自分を慕っていた後輩の少女が事件に巻き込まれて発狂してしまったことで
否応なしに己のトラウマに向き合わざるを得なくなる。
神の知り合いの僧侶・樹真坊や、小松崎家の精神科医ワタナベ女史といった人々の手で
サキの復調のための特訓と、発狂した後輩の治療計画が進む。
途中、外国で活動中の神が死亡したとの報が入り、彼を慕うようになっていたサキは激しく動揺するが
そのショックすら乗り越え、サキはトラウマを克服、後輩の治療にも成功して大きな精神的成長を遂げる。

139 名前:スケバン刑事 4/6[sage] 投稿日:2006/03/21(火) 18:19:53 ID:???
サキが挑む次の仕事は、地獄城以上に難攻不落といわれる要塞少年院“梁山泊”の調査。
多数の不良を束ねていた中央連合の総番長、多門寺忍を探し出すための潜入調査である。
日本国内とは思えぬ秘境に設置された梁山泊の、複数に渡る囚人房を渡り歩きながら
地獄城時代からの友人アグラ、そしてなぜかサキに寄ってくる女囚ツグミを協力者として
サキは忍の居所だけでなく、梁山泊の謎に迫る。梁山泊はただの監獄ではなく
その一角に、監獄に偽装された軍事教練施設が存在していた。
囚人の中に紛れた密告屋“小判鮫”に悩まされながらも、サキは謎の三日月傷の男に助けられて
ついに忍の救出と、梁山泊からの脱走を果たす。
梁山泊の追っ手から逃げる中で、サキはツグミの正体を知る。密告屋かと疑っていたツグミは
実は学生刑事の一人、小塚左智子だった。サキをサポートしつつ、その能力を見極めるのが彼女の目的だった。
そして、サキは無事帰還した。左智子もサキを認めたことで、学生刑事全体がサキ支持に動き始める。
だが驚いたことに、一連の事件と梁山泊の存在は、暗闇警視でも探れぬほどに隠されていた。
背後にとてつもない陰謀があることを嗅ぎ付け、サキは戦慄する。

梁山泊から帰還したサキの元に、死んだと思われていた神がアメリカで生きていたとの連絡が入った。
慌ててアメリカに飛んだサキの前に、梁山泊で会った三日月傷の男「ムウ=ミサ」が現れる。
サキに惚れたと公言してはばからぬムウ=ミサに翻弄されながらも、神を追っていくサキ。
そして二人は再会するが、間もなく神はサキを突き放し、ひとり去っていく。
神が宿敵とする国際犯罪結社“猫”と戦うため、彼はあえてサキを突き放し、孤高の道を選んだ。
サキは傷心のまま日本に帰国するが、二人を見ていたムウ=ミサは
二人の間に今なお強い絆があることを知り、圧倒される。

140 名前:スケバン刑事 5/6[sage] 投稿日:2006/03/21(火) 18:20:44 ID:???
帰国したサキは、全国の不良グループをめぐる抗争に巻き込まれていく。
各地の不良グループを潰し、傘下に取り込んでいく新興の団体“青狼会”の活発化に伴って
他の大きなグループも、同盟や勢力拡張に動いていた。
サキに梁山泊から救出された多門寺忍率いる“中央連合”は、サキのカリスマに嫉妬した忍によって
青狼会と結びサキと敵対するが、最終的には、忍自らの死を以って青狼会との同盟を破棄。
忍の遺言によって、サキは中央連合の総番長に祭り上げられてしまう。
さらに、アグラの率いていた南九州連合、そして青狼会の刺客に翻弄されていた伊賀上野の赤目グループら
有力なグループがサキの下に集い、サキの勢力は増大していった。
だが、その活動は当然ながら青狼会の標的となっていく。
青狼会の会長、埴輪一彦は、背後であの犯罪結社“猫”と繋がっていた。
そして“猫”の首領、鳴海碧子は、あの海槌麗巳の親友で、サキへの復讐に燃えていたのである。
敵の反撃が始まった。最後までサキに反発していた学生刑事の一人が敵方に寝返ったために
青狼会に潜入していた左智子が殺され、サキたち学生刑事の存在もマスコミにすっぱ抜かれる。
警察組織の後見もなく、不良グループもサキが警察側の人間と知ってサキの元を去っていく中
サキは、ただ一人で“猫”の企む「グランド=スラム作戦」なる謎の計画に挑むことになる。
甲子園を目指す高校球児の支援、新型テレビの発売。
そして、なぜかムウ=ミサがプロデュースする新人アイドルの大々的デビュー。
これらの奇妙な活動が、はたしていかなる巨大犯罪に結びつくのか?
サキが謎を追う一方で、“猫”を追っていた神も、独自のルートからグランド=スラム作戦にたどり着く。
すべてが、ひとつの戦いに収束しようとしていた。

141 名前:スケバン刑事 6/6[sage] 投稿日:2006/03/21(火) 18:21:51 ID:???
8月20日、グランド=スラム作戦決行の日がきた。
すでに一彦は粛清され、全てが碧子の手で動いている。
猛暑に加え、甲子園決勝戦とアイドル歌手のコンサートが重なり、冷房とテレビで
東京の電力消費は増大していた。そこへ青狼会によるテロで発電所が止まり
東京は大停電となる。その隙に、青狼会の本隊が政府を制圧し、クーデターを起こす…。
だが、作戦には碧子も知らぬ裏があった。碧子の祖父、日本政府の黒幕とまで言われた“信楽老”が
予め配置した兵士によって碧子と青狼会を潰し、暴徒鎮圧の立役者として表舞台に乗り出す。
それこそが信楽老の真の計画だったのだ。
計画を察し、信楽老がいるテレビ局を目指すサキ。その元に、いつしか大勢の味方が集う。
サキの誠を信じて再び戻ってきた不良グループの番長たち、“猫”を追う神、
青狼会に与しながら、実は内閣調査室の工作員として切り崩しを狙っていたムウ=ミサ。
サキを中心とした彼らの活動に、ついに信楽老は目論見を砕かれ逃走した。

信楽老は、彼の要塞である梁山泊から、外国の“猫”の支部──“猫”もまた、彼の手になる組織だった──
へ逃れようとする。そこへ、サキが、神が、また裏切りを生き延びた碧子が現れる。
信楽老に殺された人々、今まで倒してきた敵、全てを背負って一人で進むサキに
彼女を麗巳の仇と狙う碧子、そして刺客として放たれたサキの母もまた彼女を認めるようになる。
碧子やサキの母が信楽老の手により倒れ、ついに神までもが命を落とすが、サキはとうとう信楽老の前に立つ。
老人とは思えぬ体力でサキと渡り合う信楽老。だが、彼が止めを放とうとしたとき、銃弾が彼の剣を砕いた。
神が手にしていた拳銃が、死後硬直で引き金を引かれたのだ。奇跡の援護射撃により
ついにサキは信楽老を倒す。だが、彼女もまた、崩壊する梁山泊の中に消えていった…。

そして翌年、鷹ノ羽高の卒業式。サキの帰還を信じる沼先生や生徒たちの前にサキが現れる。
皆の前で卒業証書を受け取ったサキは、結婚式のブーケのようにヨーヨーを投げて去っていく。
だが、入れ替わりに現れたムウ=ミサは、その話を聞いて驚く。「俺はあの日、サキの死を見届けた」。
その言葉に、皆は先ほどのヨーヨーを直接受け取ったものが誰も居ないことに気付くのだった。

142 名前:スケバン刑事[sage] 投稿日:2006/03/21(火) 18:22:45 ID:???
和田信二「スケバン刑事」 1976年〜1982年に白泉社「花とゆめ」にて連載。
白泉社からは、単行本のほか愛蔵版、文庫版が出ていたが、1999年の「リンダリンダ事件」以降
作者が同社から版権を引き上げたため、現在新刊として買えるのはメディアファクトリーの愛蔵版のみ。
当初は海槌麗巳との決着で連載終了であったが、次に編集側の不安を押し切って連載開始した
「ピグマリオ」が打ち切られ(後に再開、完結する)、第二部が始まった…というのは、あとがき漫画で
作者自身が明かしている有名な話。第二部でも麗巳との奇妙な絆を引きずっているあたりは
「北斗の拳」のケンシロウとラオウを思わせるが、発表時期はこちらが先である。
99年から03年にかけて、二社二誌に渡って描かれた「スケバン刑事IF」は
当初新作として構想されながら、本編のパラレルワールド的存在に収束したという作品で
スケバン「天宮祐希」と生徒会長「氷室麗華」の二人が、コインロッカーベビーであるという共通点から
親友となる、という物語。本編では決定的な敵として出会ったサキと麗巳が
先に友として会っていたら、という筋書きで、孤独ゆえに悪の道を究めんとしていた「麗華」は
友情ゆえに最後には“猫”の誘いを断り、「祐希」と共に日本改革に乗り出す…という未来を暗示させて終わる。

蛇足な豆知識。同時期に「花とゆめ」の看板であった「ガラスの仮面」と本作の友好は硬く
作中で神恭一郎が速水真澄に電話をかけるシーン(『ガラス〜』本編にも、この電話を受けるシーンがある)や、
サキが北島マヤを警護する外伝(オチが物凄い)などが存在する。

143 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/03/22(水) 00:36:48 ID:???
乙でした。最後のはサキの幽霊? どちらとも取れるのかな。

>サキが北島マヤを警護する外伝(オチが物凄い)
これも知りたい

144 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/03/22(水) 10:38:07 ID:???
>>143
>最後のはサキの幽霊?
作中で火葬にしたとまで描写されているので、解釈するとしたら幽霊なのでしょう。
極めて爽やかに描かれているため、種明かしされるまでとても気付けないのですが。
後に、TVドラマ絡みで描かれた短編でも「生前」の注釈が付いています。

>サキが北島マヤを警護する外伝
演劇コンクールでマヤが一人芝居として演じた「ジーナと五つの青い壷」が異例の再演。
だが、そこに恐るべき殺人鬼が紛れ込み、サキが捜査に乗り出すことになる。
殺人鬼が、劇中の「暗闇の乱闘」シーンに紛れてマヤを襲うと読んだサキは
自分も闇に紛れて舞台に上がり、殺人鬼を取り押さえることに成功した。
殺人鬼の正体は、海槌麗巳の異母姉「美内(みづち)すずえ」。
犯行の動機はサキ曰く「漫画家より女優になりたくてマヤに嫉妬した」。
犯人は「共犯の和田慎二も死刑にしろー!」とわめきながら、サキに連行されていくのでした。終わり。
(『ガラスの仮面』作者の美内すずえ先生との合作)