お父さんは心配症/岡田あーみん
130 名前:お父さんは心配症:1[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 15:16:54 ID:???
単行本に第一話として掲載されている投稿作品版を紹介します。
手っ取り早くあらすじがわかる濃縮版ですのでまるまるご紹介。

放課後の公園で、佐々木典子は腕時計を見て大慌て。
「きゃあーもう5時50分、帰らなくちゃ」
「えーもう帰るの?」BFの北野は不満そう。普通の人なら当然の反応だ。
「ごめんね北野くん、うちのおとうさん心配症なの」
まあしょうがないかと快く手を振ってくれた彼に何度も謝り、必死で走る。
『うちのおとうさんのことだから今ごろきっと大騒ぎしてるわ』
「ただいまぁ」
「娘がまだ帰ってこんのですよ、ちゃんと聞いてるんですか?あんた本当に警察官?」
『やっぱり…』
典子の父光太郎は、案の定警察に電話をしていた。その受話器を奪い電話を切る典子。
「おとうさんたらちょっと遅くなっただけで大騒ぎしないで!
私はもう16歳よ!門限が5時半だなんて守れないわ!」
「なんだと、かあさんが死んで以来男手一つでお前を育てたのはわしだぞ!」
毎回恒例の問答中、電話のコール音。ぶつぶつと部屋に戻る父を尻目に受話器を取る。
「あっ…典子か、おれ北野!」「えーーー!」
男の子からの電話は困るとわかってはいたが、ノートを借りたままだったからと言う。
「あっ…うんわかったすぐに行く。大丈夫よおとうさんはトイレにでも行ったみたい。うんじゃあね」
早口で話して受話器を置く。…光太郎が電話の横に座って、紙筒を耳に当てていた。
「おとうさん!」「典子!今の男は誰だっ!」
「どっ…同級生よ、ただの友達!いってきまァース」

131 名前:お父さんは心配症:2[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 15:57:31 ID:???
急いで家を出る典子。気がつくと光太郎が後ろについて走ってきている。
「なんでついてくんのよ」「うるさい!」「みっともないから帰ってよ!」「ええい!はなせ」
「あっ…おとうさんですかこんばんは」もみ合う二人の前に現れた北野。
「うるしゃい!気安くおとうさんと呼ぶな!バカタレ!二度と娘に近付くな!色魔!変態!」
「ご…ごめんね北野くんまた今度ね」「う……うん」
悪態を吐く光太郎を引きずる典子を、背中に血管を浮き立たせて見送る北野だった。

「本当にもう!恥ずかしいったらないわ!!いい加減にしてよね!!!」
「まだ子どものくせに生意気言うな!」「何よ万年平社員!」
言い負かされて病人のように咳き込みながら床につく光太郎。
『ったく自分の立場がヤバくなるとすぐ誤魔化すんだから』
だけど、いつからおとうさんはこんなに厳しく心配症になったんだろう。
小さい頃はとても優しかったのに…。

翌朝、食事中もずっと父を無視する典子。
日曜だからピクニックに行こうと誘ってきたが遮って夕食の買い物に出かけた。
「典子のやつずいぶん機嫌悪いナァ」掃除機をかけながら悩む中年、光太郎。
「そうだ、典子の部屋も掃除してやろう」
『まあお父さまありがとう…さっきはごめんね』
きらきらと目に涙を浮かべながら謝る典子の姿を想像し、歌いながら典子の部屋を掃除する。
「おっ」蛇腹ホースが当たり、机の上の本が落ちた。「なんじゃこりゃ」

【9月13日 今日北野くんが誕生日のプレゼントにAをしてくれた】


132 名前:お父さんは心配症:3[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 16:07:49 ID:???
「Aってなんだァ?」
アルバイト?アルギンZ?アンヨは上手?アンアン・ノンノン?アンマ・ちちもみ?
自分の部屋に戻り「年頃の娘をもつおじさまたちのほん」を開く。

【女子高生たちのwords
A→キス B→ちちをもむ C→17歳の作者にはとても言えない D→Cによってできる物体】
「ブッ」鼻血を噴出する光太郎。混乱してバックダンサーたちとともに歌い踊る。
『まーいにち僕ねェーむれなぁい や〜る〜せ〜ないィ ハッハッハッ』
「ただいまァ」
「コラ典子!お前というやつはキスだなんてふしだらな!」
「にっ…日記を読んだのね、いやらしい!」
「うっうるさい!親が娘の心配をして何が悪い!わっ…わしはやらしくないぞ」
「あんたなんて親じゃないわよ、大嫌い!」買い物カゴを投げつけ家を飛び出す典子。

「心配しすぎよ!まるで異常者よ!」夕暮れの公園で北野に父のことを話す。
「昔はあんなんじゃなかったのにもうイヤよあんなおとうさん…」
「今のままじゃあんまりにも典子が可哀想だ!お前のおとうさんと話し合ってみる!」
「北野くん……」
ふたりで暗い家に入る。ボソボソと父の声。「おと…」
「かあさん さっき典子はわしのことを親じゃないと言ったよ。フフ、なさけない…」
赤ん坊の典子を抱いた母の写真に向かってひとりごちる光太郎。


133 名前:お父さんは心配症:4[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 16:19:17 ID:???
「だけどナァ最近典子のやつ何もしゃべらなくなってな…
昔はいろんなことたくさん話してくれたのに…
もしかして非行に走るんじゃないかとわしは心配で心配で…
だから門限を厳しくしたり男の子との交際を禁じたんだ…」
「!」おとうさんが心配症になったのは私のせいだったの?
そういえば私ったら昔はいろんなこと話し合ったのに今じゃ面倒になって何にも話してない。
だからおとうさんは心配症になったんだ!それなのに私ったらおとうさんを異常者扱いにして、
「典子のやつ出て行ったよ、フフフみじめだな」
「フフフフ」「フフアハハハハハ」「ヒーヒッヒッ」
「ヒーヒッヒッエヘエヘエヘエヘエヘエヘ」
本当に異常者だったりして……………。
「エ?」笑ってのけぞった勢いで後ろに倒れ、典子に気付いて起き上がる。
「典子!」
「あ…あのごめんなさい私知らなかったの、だっておとうさんたら何も言ってくれないし」
「典子!」「ハ…ハイごめんなさい」
「よく帰ってきてくれた…ほんとうに……あり…とう、ありが…う」
典子にすがりつき、泣き出す光太郎。
やだおとうさんたら、まるで子どもじゃない。心配かけてごめんね…おとうさん…
「さっ立って」「のりこ…」「ちくしょう涙のやつ…」神々しい父娘の光景に背を向け泣く北野。
少年は青春ドラマが大好きだった…。

134 名前:お父さんは心配症:ラスト[sage ttp://kaita-1.e-city.tv/] 投稿日:2005/04/04(月) 16:26:46 ID:???
本当にごめんねおとうさん。私これからいろんなことしゃべるわ、前のように…。
ぎこちなく挨拶を交わす父と北野。頭をかき申し訳なさそうにする父の姿にほほえむ典子。
だからもう、心配しないでねおとうさん。

「よかったな門限がなくなって」「うん」公園をふたり並んで歩く典子と北野。
本当によかった…北野くんのことも認めてくれたし、おとうさんも優しくなったし…ホントにし・あ・わ・せ

………と思ったんだけどてかぼちゃ☆

【Aをすませた高校生たちは興味本位にBやCへと走る】
北野と名前のついた藁人形を木に打ち付ける光太郎。

だけどおとうさんの心配症は当分治りそうにもありません…。