シグルイ/原作:南條範夫 漫画:山口貴由
101 名前:シグルイ 1/3[sage] 投稿日:2007/01/09(火) 16:48:15 ID:???
武士道とは死狂いなり――。
時は寛永六年、後の世に暗君として名高い徳川忠長は駿河城内においてある試合を行おうとしていた。
出場剣士二十二名中、無事生還したのがたったの六名と言われている、駿府城御前試合である。
真剣を持って行われる危険極まりないこの試合の第一試合は、とても異様な組み合わせであった。
濃尾無双とうたわれた虎眼流の剣士、藤木源之助。対するは流派不明の美形の剣士、伊良子清玄。
源之介は左腕を無くした隻腕の剣士、清玄は盲目でしかも右足が破足の剣士、その対決である。
しかし、対峙する二人が放つ剣気は尋常ならざる程の圧力であった。
そんな二人の試合を見守る二人の美女。
源之助を見守るのは虎眼流当主であった岩本虎眼の娘、三重。清玄を見守るのは謎の美女、いく。
この四人の男女にはとてもとても深い因縁が隠されていた…。

遡ること七年前。濃尾無双とうたわれた剣客、岩本虎眼の道場に一虎双竜と恐れられた三人の弟子がいた。
藤木源之助、その若かりし頃の姿である。そこに道場破りとして現れたのが、伊良子清玄であった。
後に幾度となく戦うことになる二人の最初の対決はしかし、清玄の勝利で終わった。
源之助を破ったものの、源之助の兄弟子で虎眼流師範、牛股権左衛門に敗北する清玄。
虎眼流こそが己が信奉すべき流派であると悟った清玄は、虎眼流の門弟になることを申し出る。
当主、岩本虎眼によって入門を認められた清玄はその後めきめきと頭角を現し出した。

102 名前:シグルイ 2/3[sage] 投稿日:2007/01/09(火) 16:48:59 ID:???
一年が過ぎ、源之助がかつて虎眼流の跡継ぎに一番近い男だったことを覚えている者はもういない。
当主である虎眼はいつの頃からか心の平衡を失い、より強い種を岩本家に遺すことにしか反応を示さなくなっていた。
だから、虎眼は清玄を娘の三重に嫁がせて虎眼流の跡継ぎにと考えていたのだ。
そんな折り、事件が起きる。清玄が虎眼の愛人、いくに手を出したのだ。
いくはとても美しい女性であったが、過去彼女に手を出してきた男達はみな例外なく虎眼に斬られてきていた。
虎眼流の跡目にと考えていた清玄に裏切られた虎眼の憎悪は計り知れない。
そんな中、源之助は長い屈辱に耐え常軌を逸した鍛錬を続けていた。
剣はまだ、源之助を見捨ててはいなかった。長い鍛錬の果て、源之助は自力で虎眼流奥義流れ星の技法に辿り着く。
そして遂に、裏切り者清玄への仕置きが始まった。
秘奥の伝授だと呼び出された清玄は、そこで待ち受けていた源之助と二度目の対決をする。
源之助は以前の雪辱を晴らし、敗れたのは清玄であった。
敗れた清玄の眼前に立ちはだかるは、剣鬼とも言うべき虎眼流当主、岩本虎眼。
虎眼が放った奥義流れ星によって清玄は両目を切断され、光を失う。
こうして、虎眼流を放逐された清玄に代わり、源之助が再び虎眼流跡目の筆頭となった。
しかしこの日、三匹の怪物が生まれようとしていた。
清玄を倒した源之助、源之助と虎眼によって両目を失った清玄、そして清玄の妻になる筈だった三重。
清玄に密かに恋心を抱いていた三重の胸中は誰にも分からない。
その日以後、三重は拒食症となり一切食べ物を受け付けようとはしなくなっていた…。

103 名前:シグルイ 3/3[sage] 投稿日:2007/01/09(火) 16:49:54 ID:???
清玄への仕置き追放から三年。濃尾無双の名を欲しいままにしていた虎眼流に衝撃が走る。
虎眼流の高弟が次々に何者かに惨殺される事件が起きたのだ。
源之助はその犯人に、ある男の面影を見る。そう、盲目となり追放された筈の清玄である。
光を失ってもなお血反吐を吐くような鍛錬を続け、遂には健常者をも遙かに凌駕する実力を身につけた清玄。
清玄は盲人達の実力者、賎機検校のお抱え剣士となっていた。
源之助の留守を狙って自らの愛人としたいくと共に虎眼の屋敷を訪れる清玄。
憎い仇である虎眼と清玄との一騎打ちが始まった。魔神の如き強さで清玄を追いつめる虎眼。
かつて清玄の両目を奪った奥技流れ星の構えを取る虎眼に対し、清玄も自ら編み出した必殺技の構えを取る。
それこそが、“無明逆流れ”の構え。互いの奥技が炸裂し、そして勝利したのは清玄であった。
娘である三重が見守る中、虎眼は顔面を真っ二つに切り裂かれ絶命する。清玄は遂に復讐を果たしたのである。

そして夜が明けて、源之助が屋敷に戻った時には全てが終わっていた。
虎眼流は一夜にしてその無双の名を失ったのである。
親代わりでもある師を殺されて復讐に燃える源之助。そしてそれはまた、三重も同じであった。
父である虎眼を目の前で惨殺され、三重の心に残ったのは清玄への憎悪だけ。
三重は掛川藩に清玄への仇討ち願いを申し立てる。
仇討ち願いは掛川藩家老によって受理され、源之助と清玄、三度目の対決が迫ろうとしていた…。

以下続刊。