SDガンダム外伝 騎士ガンダム物語 光の竜/ほしの竜一
164 名前:騎士ガンダム物語 光の竜[sage] 投稿日:2005/04/08(金) 12:07:14 ID:???
 騎士アムロとその仲間達がアルガスで奮闘している最中、騎士ガンダムはバーサル騎士の称号を贈られていた。
バーサル騎士。それは騎士ガンダムが騎士の中の騎士と認められた証である。
帰還したアムロとアルガス騎士団を祝う祝賀の席で、騎士アレックスが腰にさげていたハープがフラウ姫に反応する。
導かれるようにフラウ姫がハープを奏でると、天を貫く光の柱が生まれ、ガンダムたちを連れ去った。
「俺も行く!」
光の柱に突っ込んだアムロは拒まれて弾かれてしまった。ぼろぼろの鎧、傷だらけの身体を抱えてアムロは呻く。
「僕じゃ駄目なのか……」

 ガンダム達が運ばれた先はムーア界と呼ばれるジオン族の拠点。それぞれが一騎当千のガンダムの騎士を
相手に次々と倒れるジオン族。ジークジオンのいる塔にやすやすと侵攻するガンダム。だが、塔一階の鏡の間で
ガンダム達を待っていたのは自分たちの影だった。アルガス騎士団の影が生み出した闇の獣に先手を取られた
ガンダム達は苦戦する。騎士団長アレックスとガンダムを先行させるゼータ達。
各々の武器から呼び出した光の獣と、影が生み出した闇の獣が激突した。ゼータ、ニューガンダム、ダブルゼータは戦死。
衝撃で飛び散った彼らが身につけていた羽根飾りが、騎士アレックスの掌の上にぽとりと堕ちた。


166 名前:騎士ガンダム物語 光の竜[sage] 投稿日:2005/04/08(金) 12:23:11 ID:???
 アレックスとガンダムの前に魔導師ビグザムが立ちはだかる。
「心配するな、バーサル騎士ガンダム。私は死なない」
ビグザムを牽制してガンダムを先に行かせるアレックス。
ビグザムはアレックスが放ったニューガンダムの羽根飾りを受けて麻痺状態に陥っていた。
「これが法術師ニューガンダムの羽。そして、これが剣士ゼータの技の羽だ」
アレックスの投げた羽は弧を描き、ビグザムの手から杖をはじき飛ばした。
「これが闘士ダブルゼータの力の羽だ」
額にダブルゼータの羽を受けたビグザムはあっという間に絶命した。
「……騎士団の心は私とともにある。ゼータ、ニューガンダム、ダブルゼータ、お前達はいつまでも俺と一緒だ」
舞う羽根飾りを見つめて感慨に耽るアレックス。しかし、彼の背後で絶命したはずのビグザムがゆっくりと起きあがった。
至近距離からの突然の攻撃。アレックスはかわせなかった。
「ち、違う。これはビグザムの魔力などではない。これは……」
全身を炎に変えたゴーストビグザムに抱きつかれ騎士アレックスは息絶えた。

 最上階でバーサル騎士ガンダムは行方不明になっていたガンキャノンと遭遇した。
ガンキャノンにガンダムが駆け寄ったとき、水槽のなかから蘇ったブラックドラゴンが現れた。
「こいつだ。こいつに俺は乗っ取られたんだ」
怒りのあまり勝ち目のない戦いをいどむガンキャノンだが、ブラックドラゴンにムーア界より追い出される。
光の柱を通ってラクロアに戻されるガンキャノンは、途中で自分と違いムーア界に描け昇って行く黄金の塊と交差する。
「あ、あれは黄金の騎士。黄金の騎士がムーア界へ昇って行く」



167 名前:騎士ガンダム物語 光の竜[sage] 投稿日:2005/04/08(金) 12:32:35 ID:???
 ・最上階
バーサル騎士ガンダムとブラックドラゴンが死闘を繰り広げていた。炎の剣との融合を果たしたブラックドラゴンに
翻弄されるガンダムは、三種の神器を呼んで対抗しようとするが、霞の鎧、力の盾は一向に姿を現さない。
「ガンダム神器の呪文をムーア界で唱えても、スダ・ドアカ・ワールドには届かぬ。ここで死ね、ガンダム」
「三種の神器がなくても負けやしないさ! ガンダム剣法双彗星!」
剣先から打ち出された双条の彗星のごとき剣気が見事な動きを見せる。前方から迫る彗星剣の直撃を受けて
動きを止めるブラックドラゴンの背後から、もう一本の彗星が襲う。しかし、直撃する瞬間、ブラックドラゴンの
背中の翼が分離した。翼はブラックドラゴンの息子ドラゴンベビーが進化した姿だった。
早く戻らぬかと命令する父親に息子は反抗する。
「騎士ガンダムは、僕の命を助けてくれた。殺したくない」
息子の言葉に戸惑うブラックドラゴン。そのとき、ジークジオンの幻影が放った光線がブラックドラゴンの額を
打ち貫く。光線を受けたブラックドラゴンは、身も心も魔物となってしまった。身体を突き破って現れた無数の
触手、吹き出す溶解液。溶解液の直撃を受けたドラゴンベビーは、胸のなかから竜玉と呼ばれる命の塊を
取り出すと、騎士ガンダムにそれを手渡して息絶えた。
「それを使って父上を倒して。あんな化け物は父上じゃない」
手にした竜玉が光を放ちブラックドラゴンの動きを止める。ブラックドラゴンに接近した騎士ガンダムの剣が、
ブラックドラゴンを貫いた。
「こ、これはドラゴンベビーのものと同じ……」
ブラックドラゴンの傷口からも、ドラゴンベビーと同じ竜玉が現れた。
「竜玉が教えてくれた……騎士ガンダム、我が兄弟よ」
ブラックドラゴンが騎士ガンダムの両肩に手をかけた瞬間、閃光が生じ、二人を呑み込んだ。

「ふははははっ、ついにやったぞ。ブラックドラゴンも騎士ガンダムも死んだ。これで邪魔者は全ていなくなった」
勝ち誇るジークジオンの幻影。だが、光が次第に姿を変えていくことに彼は気が付かなかった。


168 名前:騎士ガンダム物語 光の騎士[sage] 投稿日:2005/04/08(金) 14:04:57 ID:???
 光の中から黄金色の鎧をまとった騎士が現れた。スペリオルドラゴン。
スペリオルドラゴンは、黄金の騎士(シャア)、伝説の巨人の魂、アレックス、ダブルゼータ、ニューガンダム、ゼータの
魂の援護を受けてジークジオンの本体に突撃した。ガンダム族の魂に導かれ本来の光の竜の姿を取り戻した
スペリオルドラゴンの前にジークジオンは滅した。

 戦いの余波で崩れたラクロア城の廃墟からアムロ、セイラ、ガンタンク、ネモ、ガンキャノンは見た。
一つの巨大な光と、それによりそうように飛ぶ四つの流れ星が天に昇っていくのを。

「役目を果たしたガンダム一族の魂が、光の竜とともに天に帰っていくのだ」

 彼らの後ろにはジークジオンの呪いから解放され、元の姿に戻ったシャアが立っていた。

【ちょっとした解説】

・スペリオルドラゴン
 スダ・ドアカに十二柱いる神の一人。超古代、同僚であるバロックガン神との争いで弱ったところを
モンスターザクレロ(ジークジオンの本体)に突かれ、ブラックドラゴンと騎士ガンダムの二つの人格に分けられる。
竜として転生を受けたブラックドラゴンは元の世界に落ちたが、もう一つの片割れは何故かSD武者の世界に落ち、
天宮(アーク)で生を受けた。やがて彼は、武者頑駄無真悪参(まあくすりー)と名乗り、武者頑駄無を頭領とする
武者頑駄無八人衆の一人に選ばれていた。暗黒軍団を相手に活躍、名を馳せたが、ある日突然、将頑駄無から
白銀の盾を盗み失踪。以後、天宮、影舞羅武などのSD武者の世界で彼の姿を見た者はいない。その実、
盾を盗んだ際、落雷に打たれた彼は元のスダ・ドアカ・ワールドに帰還していたのだ。記憶を失った彼は、
本能の求めるままに片割れブラックドラゴンを求め、ジオン族とユニオン族との戦いに参入。騎士ガンダムと呼ばれるようになる。
そして、元の姿に戻るためのパーツの一つであるガンダム神器を手に入れ、最終的にムーア界ティターンの魔塔
の最上階においてブラックドラゴンと和合する。

169 名前:騎士ガンダム物語 光の騎士[sage] 投稿日:2005/04/08(金) 14:34:00 ID:???
・モンスターザクレロ
 ジオン族の皇帝ジークジオンの本来の姿があのザクレロであるということは知られていない。顔のモデルは
ザクレロ、背中から尾に至るまで生えた巨大な剣山はMSザクレロの鎌である(カードダス参照)
 彼の介入でスペリオルドラゴンは二つの異なる人格に分かれたという設定があったが、次々と後付けされていく
騎士ガンダム物語の設定の前に消え去った感がある。肉体は滅びたが、魂は生き延び聖騎兵編、機甲神編と
しつこく登場する。

■後日談
・騎士アムロ
 ラクロア騎士団団長となり、騎士セイラと結婚。以後、聖騎兵物語、機甲神伝説とレギュラー枠を勝ち取って
登板する。恐ろしい機動力ですね。「僕が一番上手くMS族を扱えるんだ〜」というわけではないと思いたい。

・ジムヘンソンジュニア
 伝説の巨人編で真実の鏡を持ってジオン族の城から脱走してきたジムヘンソンの息子。ガンダムに憧れるあまり、
妙なガンダムの仮面に選ばれる。その仮面の力でモンスター使いとしての能力を身につけた後は、インディガンダムと
名乗りラクロア騎士団入り。モデルはインディ・ジョーンズとアメリカン・ネイティブ(インディアン)、カウボーイだろうが、
それとモンスター使いがどう繋がるかは永遠の謎。
 
・ガンタンク
 僧正ドワーフガンタンクに出世。MP200のしょぼい僧侶からMP2000クラスに。ラクロア騎士団メンバー

・ガンキャノン
 剛戦士ガンキャノンに出世。聖騎兵物語に登場する。

・シャア
 妹をアムロに任せて失踪。軍師クワトロと名乗り、ネオジオン族、デラーズ王国の中枢に潜り込みスパイ活動に
勤しむようになる。ある形態のカードダスでは、後ろにララァの背後霊がいることも。