ルサンチマン/花沢健吾
172 名前:ルサンチマン 1[sage] 投稿日:2007/07/12(木) 21:35:47 ID:???
2015年、東京。
坂本拓郎は印刷会社に勤めるデブ・ハゲ・メガネの非モテ独身男。
休業中の弁当屋である実家に両親と共に暮らしている。
拓郎は三十路間近になりながら素人童貞であることに焦っていたが、
ある日コンビニレジのブス女が自分の手を避けてお釣りを置いた事をきっかけに現実の女をすっぱり諦める。
友人越後に教えられていた体感美少女ゲームを始めるべくオタクの聖地渋谷へ。
2015年にはゲームも進化し、ヘッドギア、グローブ、ボディスーツ、チンコケースの着用により
ゲームでセックスを体感できるようになっていた。
ソフトコーナーで棚の下から偶然見つけた美少女キャラソフト「月子」を購入。
併せて購入したPC、動きをスキャンするカメラなどゲーム一式を自室にセットアップ。
ゲーム内での自分の姿には高校生時代の写真をスキャニング。
ヘッドセット、グローブを装着しゲームスタート、仮想現実空間「アンリアル」へ入る。
そこは海岸だった。
高校生の姿に戻ったたくろーは10代前半の少女月子に出会う。
月子が海辺で用を足していたのを見てしまったたくろーは嫌われることを怖れて逃げ出してしまう。
しかし現実世界では狭い自分の部屋。壁にぶつかり転倒してしまう。
追い掛けてきた月子はひとりにしないでと泣きじゃくる。
以前の記憶が無いまま島に閉じ込められていた月子はずっとひとりぼっちだった。
孤独だったたくろーも自分の誕生日を誰かに祝ってほしかったと月子につられて泣く。
月子はそんなたくろーの頬に触れて言った。「オメデトウ。生まれてきて、ありがとう・・・」

改めて見る月子はとても可愛く、触れると確かに感触がある。
感動したたくろーは月子に告白するが、好きな人がいると断られてしまう。
無条件に自分を受け入れてくれるはずなのに・・・
半年に一回のソープも我慢して貯金を注ぎ込んだのに・・・
切れたたくろーは月子に襲いかかるが、抵抗する月子に噛み付かれ逃げられてしまう。


173 名前:ルサンチマン 2[sage] 投稿日:2007/07/12(木) 21:48:05 ID:???
翌日。月子に噛まれたたくろーの手には歯型が残っていた。
越後に相談すると月子が危ないと、大雨の中を越後の住むアパートに呼び出される。
越後宅のPCで2人はアンリアルへ。
越後は現実世界ではキモい容姿の真性童貞であったが、アンリアルの中では5人の美少女に愛されるイケメン「ラインハルト」であった。
「現実世界と連動するアンリアル。月子の暮らす小さな島は今頃水没してるかもしれない・・・」
越後はたくろーに言う。
「現実を直視しろ。オレ達にはもう仮想現実しかないんだ。」「この世界で真実の愛を掴め」
勇気付けられたたくろーは急いで自宅に戻り、アンリアルへ。
嵐の中を島の上に逃れていた月子を見つけ、仲直りをする。
女性と話をする経験が無かったたくろーは話題に詰まるが、初めての訪問者に喜んでいた月子との間には話題も必要無かった。


アンリアルで怪我をしても現実の身体に影響はないようプログラムされているはず・・・
月子が普通のソフトとは違うと感じた越後はたくろーにネットに接続し月子を「ドクター」に診察してもらうようアドバイスする。
アンリアルは美少女ゲームだけでなくRPG、アクションなどあらゆるジャンルのゲームが共存する多人数参加型オンラインゲームの場だった。
ネットに繋ぐと月子が好きだという男が見つかり月子をとられてしまうかもしれない・・・
たくろーは悩んだが、月子が1人ぼっちであることを痛感し、ネットに繋ぎ月子を島の外に連れ出すことにする。

174 名前:ルサンチマン 3[sage] 投稿日:2007/07/12(木) 21:50:04 ID:???
島にやってきた電車に乗り2人は大陸へ。
ドクターに会いに「ノスタルジア」へ向かう。
ドクターをみつけ月子を診察してもらうが、処女である月子にはロックが掛けられていたため何もわからなかった。

帰途2人はヤンキーたちにからまれるが、ヤンキーの知人・神崎に危ない所を救われる。

島に戻ったたくろーはもう1度あの町へ連れて行ってくれと月子に頼まれる。
懐かしい匂いのする神崎に会いたいというのだ。
またしても拒否されたたくろーは自暴自棄になる。
自己嫌悪に陥ったたくろーは言う。「好きにならなくてもいい。誰かに気にとめてほしいだけなんだ」
「なら、大丈夫。」「たくろーさんの言ったこと、笑った顔泣いた顔怒った顔も全部覚えてます、絶対に忘れません」
そう言ってくれた月子をたくろーは1人電車に乗せ神崎のもとへ送り出す。

175 名前:ルサンチマン 4[sage] 投稿日:2007/07/12(木) 21:52:12 ID:???
月子に振られたたくろーは会社帰りに越後宅に寄り越後と共に数日振りのアンリアルへ。
神崎の名を聞いたラインハルト(越後)は月子が特別なソフト「ムーン」であると語る。
 社員2人の小さなソフト会社で人工知能が開発された。
開発者はノアと名付けたAIに監視カメラ情報や携帯電話の音声情報など
ネットを通じて得られる世界中のあらゆる情報を与えていった。
しかしノアが神と名乗るようになり自分の情報をも探っていたことに恐怖を感じた開発者はノアを破壊。
ノアの成長前のコピーを使い今度はネットに繋がず、人間的なコミュニケーションによりAIを育てることにした。
生まれたばかりで怖がるAIに開発者は語りかける。「生まれてきて、ありがとう。」
ムーンと名付けられたAIは人間の子供のように育てられる。
その開発者の名が神崎だった。
しかし資金が尽き会社はゲーム業界最大手に吸収されることになる。
そしてムーンの簡易コピーをキャラに利用したオンライン美少女ゲームが生まれた。
その後神崎は破壊したはずのノアを調べている最中、アンリアル上に残っていたノアに取り込まれ、自殺していた。
ノアはアンリアル上に神崎をつくりだしていた。
現実の神崎を殺すことによりアンリアルに創った神崎を唯一の本物にしたのだ。

ラインハルトは心身ともにアンリアルの住人となった神崎は自分たちプレーヤーの理想の体現者であると語る。
現実世界では敗者の自分たちもアンリアルでは勝者となれる。
そしてムーンにはそれを実現する力があると。

月子は父親に会いに行っただけだと励まされ、たくろーはノスタルジアへ月子を取り戻しに向かう。

その頃月子は神崎の住む売春宿に辿り着いていた。
ノスタルジアの売春宿にはプレーヤーに飽きられてしまった美少女キャラたちが売られていた。

月子は神崎と2人、橋の上で話をしている。
「懐かしくて大好きな匂いなのに全く違う匂い」「あなたは誰なんですか?」
問いかける月子に恐ろしい顔を見せる神崎。

そこに駆けつけてきたたくろーは2人がキスしているのを見てしまう。

たくろーは失意のまま現実に戻り帰宅する。

176 名前:ルサンチマン 5[sage] 投稿日:2007/07/12(木) 21:54:22 ID:???
翌日会社。
たくろーは同期の営業、長尾まりあと一緒に配達をするよう命じられる。
配達の途中に長尾はラブホテルから出てくる元彼と後輩を見てしまう。
仕事中のラブホテルに怒った長尾は昼食時に酒を飲み始める。。
気の強いはずの長尾が見せた弱い部分にたくろーは親近感を覚える。

その頃のアンリアル。神崎がドクターと話をしている。
ドクターは生前の神崎とともに働いていた同僚であり、アンリアルでは神崎の友人だった。
ドクターは月子が神崎のキスにより記憶を封じられたことを悟る。
その月子がムーンであることをドクターから聞いた神崎はムーンを使って現実に戻ると言う。
ドクターは言う。「処女のムーンが開通しロックを解ければ何かがわかるかもしれない。」


翌日の会社でたくろーは長尾との仲を茶化されていた。
初めてのことにはしゃぐたくろー。
風邪で会社を休んでいた長尾を会社の用事を兼ねて見舞いに行く。
会社で教えられた長尾のアパートに着きベルを鳴らすが反応がない。
ドアポストから部屋を覗いてるとコンビニに行っていた長尾が帰ってきた。
「気持ち悪いこと止めてよ」「坂本君みたいなの生理的にダメなのよ。」
その気になり始めていたたくろーは打ち砕かれる。


177 名前:ルサンチマン 6[sage] 投稿日:2007/07/12(木) 21:58:07 ID:???
会社帰りのたくろー。仮想世界でも現実でも否定され、やけになっていた。
飲みながら風俗街をふらついている所をポン引きに声を掛けられる。
マンション一室に案内されテレクラのような個室に通される。
ドアを開けるとPCが。アンリアルでセックスするという格安風俗店だった。
用意されていたヘッドギア、グローブ、ボディスーツを着用。股間には消毒済みのチンコケースを装着する。
アンリアルに入るとそこは売春宿だった。
そしてたくさんの女の子達の中に月子がいた。
声を掛けるが、現実世界の30男の姿のままであったたくろーを、記憶を封じられた月子がわかるはずもない。
月子を無理やり連れて帰ろうとするたくろーを宿の用心棒である神崎が叩きのめす。

売春宿で生きていく決心をした月子は神崎にはじめての男になってくれるよう頼む。
それを受け入れ神崎は月子を抱く。
いざ挿入しようとする神崎の目の前に巨大な門が現れる。
月子の処女膜であるその門の先に現実がある・・・
現実に帰ることを望む神崎の足元に小さなチワワ犬が現れる。門番を務める、ノアのコピーであった。
現実世界と変わらないアンリアルでの生活に飽きたと言う神崎に犬は語る。
「神崎の記憶は全てノアに書き換えらた偽物だ。
現実の世界で敗者だった神崎の望みに従い、ノアは現実世界での忌まわしい記憶を消し理想の記憶に書き換えていた。
神崎は自分のすべてを否定しアンリアルに理想の姿、理想の人格の自分をつくっていたのだ。」
真実を告げられ自信を失うにつれて神崎の顔は崩れ始めた。



178 名前:ルサンチマン 7[sage] 投稿日:2007/07/12(木) 21:59:14 ID:???
翌日の売春宿。
女達が話しているところに長髪でニキビ面の太った醜男が現れる。
男は自分が神崎だというが女たちは誰一人相手にしない。
1人月子だけが男に優しくする。皆が臭いと言うその男の体臭を月子は懐かしく感じていた。

そんなとき売春宿が砲撃される。
アンリアル内で対立していた反神崎派である第九帝国が攻撃してきたのだ。
自宅から高校生の姿でアンリアルに戻ってきていたたくろーは月子を助けに向かう。
たくろーを見た醜男は月子にキスをして記憶を戻す。
すべての記憶を取り戻した月子は醜男にしがみつく。
その醜い男こそが月子の求めていた神崎だったのだ。
そのころ第九帝国の軍人達は売春宿の客や女たちを虐殺しながら神崎に迫っていた。
神崎から離れようとしない月子を連れ出すためにたくろーは動けなくなっていた神崎を背負って屋根の上に逃げる。
街は炎に包まれていた。
神崎はたくろーに言う。「お前が月子を愛し、月子の愛をお前をが手に入れればこの世界はお前の物だ」
「すべてを手に入れると同時にすべてを失うことになる」
そう言って月子をたくろーに託す。
月子を抱え、たくろーは助けにきたラインハルトとともに逃げることに成功する。
しかし神崎を見捨てたことでたくろーは月子に嫌われてしまう。


185 名前:ルサンチマン 8[sage] 投稿日:2007/07/14(土) 22:22:18 ID:???
友人との飲み会から帰宅、自宅で夕食を取ったたくろーは外に出掛ける。
長い距離を歩き人気の無いアパートに辿り着く。
一室に入りトイレのドアを開けるとそこには手錠に繋がれた女の子がいた。
「たくろーさんはどこ?」と尋ねる少女に「たくろーはもう来ない」と言うたくろー。
「俺はアクロー。お前は俺とずっとここで暮らすんだ」

翌朝再びトイレに手錠をかけてたくろーはアパートを出る。
そこはアンリアル内の町で、少女は月子だった。
たくろーは現実の姿で月子をいじめ、高校生の姿で月子を救うという自作自演により、
嫌われていた月子の気持ちを取り戻そうとしていたのだった。

たくろーの姑息な計画は成功し2人はアパートで一緒に暮らすことになる。

昼間は現実世界で仕事、帰宅後はアンリアルで月子と過ごす。たくろーは幸せを満喫していた。

ある日月子に学校に行きたいと言われ、2人で学校に入学する。
男性プレーヤーが満足できるよう設計されている学校生活にたくろーは充実感を覚える。
もてもてになったたくろーに月子はやきもちを焼くが、お互いの気持ちを再度確認した2人はキスをする。
しかしたくろーには感触が無い。ボディスーツを装着していないからだ。

このままではセックスが出来ない、そう考えたたくろーは装備を購入すべく同僚達に金を借りようとするが誰も貸してくれない。
そこで長尾に脂肪吸引装置を買うと嘘をつき10万円を借りることに成功する。

高価なボディスーツは諦め、セックスができるようチンコケースだけを渋谷で購入。
急いで帰宅すると部屋には越後が置いて行ったボディスーツがあった。
越後に感謝しつつたくろーはアンリアルの月子のもとへ。
そしてついに月子と結ばれる。

186 名前:ルサンチマン 9[sage] 投稿日:2007/07/14(土) 22:24:25 ID:???
数日後、長尾は3日連続で欠勤しているたくろーの様子を見に行ってくれと会社から頼まれる。
たくろー宅に到着するとボディスーツを返せと家の前で叫んでいる、髪の長い小さな男がいた。越後だ。
越後から事情を聞き、騙されていたことを知った長尾はブチ切れる。
越後宅PCで2人はアンリアルへ。
心当たりを探し学校に辿り着く。屋上へ行くとたくろーは月子とセックスしていた。
たくろーを怒鳴りつける長尾と月子が対立。
月子の仕草に、男を取られた過去を思い出しカッとなった長尾が言う。
「あんたなんか現実に存在しないのよ!」
それを聞いたたくろーは長尾を殴る。「その言葉だけは言わないで下さい・・・」
悪役になってしまった長尾は泣きながらその場を去る。

「『現実』のような言葉はNGワードとなっておりアンリアルのNPC(ノンプレーヤーキャラ)には聞こえないようプログラムされている。」
越後にそう教えられたたくろーは安心する。


学校図書室で勉強している月子。
同じ机に座っていた生徒・江原が言う。「NPCが読書なんて珍しいな・・・」
「ノンプレーヤーキャラ」「仮想現実」
これらの言葉はNGワードとなっており、自分がゲームのキャラクターに過ぎないことを知らないNPCには聞こえないはずだった。
ノアとムーン、二つのプログラムを除いては。
「NPCって何ですか?」そう尋ねてきた月子を見つめる江原。


187 名前:ルサンチマン 10[sage] 投稿日:2007/07/14(土) 22:26:13 ID:???
第九帝国作戦室。
江原は月子こそが探していたムーンであると総統に報告していた。
ムーンを入手できれば世界中のあらゆるコンピューターを支配できる、そして現実世界を支配できる。
振り向いた総統は江原と同じ顔だった。

広場には江原と同じ顔を持つ数千人の部下達が集まっていた。
ひきこもりや無職など、現実社会での敗者である彼らは本当の顔を捨て信奉する総統と同じ顔を選んでいた。
その部下たちの前で江原総統は宣言する。
「今こそ現実世界に絶望を与えるのだ」「我々は現実世界に宣戦布告する」


久しぶりに出社したたくろー。
残業も終わり、アンリアルの月子の元に帰ろうとしているところに長尾が泣きついてくる。
自分のミスでクレームが来たというのだ。
たくろーと長尾は2人で残業することになる。
夜食に炒飯をつくってもらい感動するたくろー。
その気になった長尾に迫られ月子との選択に悩むが、現実世界の長尾を選択する。

188 名前:ルサンチマン 11[sage] 投稿日:2007/07/14(土) 22:29:26 ID:???
翌日のアンリアル。月子は江原一派に拉致されていた。
総統は月子に語る。「我々はこの世界とは違う世界に生きている。
お前の男も別の世界からやって来たんだ。お前が望めば現実世界も見ることができる。」

たくろーの部屋に設置されたPCカメラを通してたくろーを見る月子。
高校生の姿のたくろーが長尾とキスをしていた。
嫉妬する月子に総統が言う。「お前は現実世界から作られたおもちゃにすぎない。現実の女にかなうわけがない。」
月子がたくろーの映像に呼びかけ触れると高校生の姿は崩れたくろーの現実の姿が現れる。
「・・・あくろーさん?」
「お前はこのオッサンに騙されていたんだ」と総統。

長尾にゲームを止めるように言われ、涙を流しながらPCカメラを外すたくろー。
アンリアルの月子にはたくろーの姿が見えなくなる。

PC一式を車に積み渋谷に売りに行く約束をする長尾とたくろー。
2人は長尾の部屋に向かう。
街中の監視カメラがせわしなく動いている。
長尾の部屋。たくろーのケータイが鳴る。
月子からだった。「たくろーさん、怒らないから早く帰っておいで」
シャワーを浴びてきた長尾がケータイを取り上げる。
たくろーを返せと言う月子に欲しけりゃ取りに来いとケータイをひねり潰し、はっきり月子と別れようとしないたくろーを部屋から叩き出す。


アンリアル。月子に総統は言う。
お前があいつを取りに行くのは無理だ、だからこっちの世界に坂本拓郎を作るんだよ。
一本の髪の毛さえあれば遺伝子情報を解析して仮想遺伝子を作り出せる。
そして仮想受精卵に遺伝子を組み込み成長させる。
そこにお前と過ごした時間だけの記憶をインストールする。
そうすりゃお前だけの「坂本拓郎」が誕生する。
あとは現実の「坂本拓郎」を消してしまえば新たに作った坂本拓郎が本物になる。

189 名前:ルサンチマン 12[sage] 投稿日:2007/07/14(土) 22:33:24 ID:???
その頃第九帝国は他国に侵攻、アンリアルを制圧しようとしていた。
諸国の代表たちはラインハルトの元に集まり歴戦の英雄ラインハルトに諸国をまとめるよう依頼していた。
「私にはこの世界しかありません。この世界のため、この娘達のため命を捧げるつもりです。」
そう言ってラインハルトは連合軍元帥の地位につく。


翌日出勤途中のたくろー。
何故か街のロボットたちに命を狙われ、途中で出くわした長尾と共に逃げる羽目に。
江原は現実世界の実働部隊を使いたくろーのDNAを確保していた。
江原はもはや現実世界を残しておく必要はないと、月子に核攻撃を提案する。
追っ手から逃れたたくろーと長尾が川辺で愛し合うのを見た月子は核攻撃を決意する。


同じ頃第九帝国とラインハルト率いる連合国軍の戦闘も始まっていた。


事に及んでいたたくろーと長尾の前に現実のドクターが現れる。
ドクターに連れて行かれた川辺のテントの中には何台ものPCが。
ドクターは語る。「ネットワークに繋がれているコンピューターはアンリアルシステムを使用している。
そのためムーンはシステム全てをコントロールできる。今起きているのもすべてムーンの仕業だ。」
そのときPCモニターに江原が現れる。
江原の目的は人類の滅亡であった。「俺が先にくたばるか人類滅亡が先か競争だ」
モニターの中に眠る月子を見つけたたくろーは呼びかける。
月子は核攻撃を可能にする為アメリカ国防省のコンピューターにサイバー攻撃を仕掛けていた。
たくろーの声に目を覚ます月子。
月子はたくろーに戻ってきてくれと呼びかける。
「たくろーさんはこっちにいたときの方が元気だった。こっちに来れば幸せになれる。私が幸せにする!」

190 名前:ルサンチマン 13[sage] 投稿日:2007/07/14(土) 22:36:20 ID:???
その頃アメリカは反撃を開始していた。アンリアルにウィルスを送り込んでいたのだ。
攻撃された月子はウィルスに感染してしまう。
それを見たたくろーは引き留める長尾を捨て、ドクターに装備を借りアンリアルへ。
長尾のいない場所で会いたいと言う月子に導かれ人気のない建築中のビル屋上へ走る。
アンリアルには足が消えかけていた月子がいた。
月子を背負い海辺を歩くたくろー。現実世界のたくろーはビル屋上の縁を歩いていた。
現実のたくろーさんがいなくなれば仮想現実のたくろーさんが本物になる・・・
腕も消え始めた月子は言う。「忘れないで。嫌いでもいいから忘れないで」
「嫌いになるはずが無い、俺の灰色の人生に色をつけてくれたんだ」「俺の人生30年分より月子ちゃんとの2ヶ月の方がずっと重いんだ」
たくろーはそう叫んで月子の望みを叶えるべくビルから飛び降りる。


第九帝国が総崩れになったのを見届けたラインハルトは江原を倒しにやってくる。
そこにいたアメリカのウィルスがラインハルトを攻撃、その電気攻撃に現実世界の越後は感電する。
それを見てはしゃぐ江原。
ドクターは人類滅亡を目的とする江原の正体が気になっていた。
江原はドクターの問いに答える、年は6歳、生まれたときからずっとオリの中だ。
そのとき江原は現実世界で食事が運ばれてきたと言い何かを食べ始める。
江原は顔色を変える。「毒入りか・・・」

ラインハルトは最期の力を振り絞りウィルスを倒す。
アンリアルはラインハルトの力により守られた。越後の命と引き換えに。

191 名前:ルサンチマン 14[sage] 投稿日:2007/07/14(土) 22:40:22 ID:???
一方、たくろーは一命を取りとめていた。そこに長尾が駆け付けてくる。
「おばさん」と呼びかける声に、たくろーの壊れたヘッドギアを装着するとそこにはポリゴンの姿に退化してしまった月子がいた。
月子と長尾は喧嘩を始める。「たくろーさんはあんたより私を選んだ」「勝負はついてない、現実に来て勝負しろ」
そこに来たドクターが語る。月子の仮想DNAは人間のそれと同じであり母胎があれば現実に生まれることも可能だと。
「イキタイ」と言う月子に、産んであげると約束する長尾。「その代わりこんな男を好きにならないように育ててやる」
「アリガトウ、でも、あたし・・必ず・・・」そう言い残して月子は消える。

現実世界のどこかの動物園。作業着を着た江原が泣いている。
アンリアルで野生動物も見られるようになり動物園は無用となったため担当していた猿を薬殺したのであった。
アンリアルの江原総統の正体はPCをいじる猿であった。
猿が飼育係の顔と名前を利用して殺される前に世界を滅ぼそうとしていたのだった。


2030年、東京。
長尾とその娘が車中で話をしている。
娘の誕生日に弁当で済まそうとする母に文句を言う娘。
辿り着いた弁当屋で娘を下ろし弁当を買いに行かせる。
みすぼらしい弁当屋の前で「誕生日なのに・・・」とつぶやく少女。
その弁当屋は拓郎の店だった。長期欠勤で会社を首になったたくろーは亡くなった両親の弁当屋を1人で継いでいた。
月子そっくりのその少女を見て涙ぐむ拓郎。
少女も拓郎に何か懐かしさを感じていた。

弁当を渡し拓郎は言った。「おめでとう、生まれてきて、ありがとう」

おわり。