魔法騎士レイアース/CLAMP
「魔法騎士レイアース」CLAMP

「この『世界』を助けて…『魔法騎士(マジックナイト)』たちよ……助けて」

1993年東京。
この日、東京タワーにはたくさんの中学生たちが社会見学で訪れていた。
単純で天真爛漫な獅堂光(しどう・ひかる)、剣道部。
一見我侭だが仲間思いの龍咲海(りゅうざき・うみ)、フェンシング部。
いつも笑顔で低姿勢だが、意外と策士な鳳凰寺風(ほうおうじ・ふう)、弓道部。
異なる制服を着た3人の目があったその時、まぶしい光とともに助けを求める童女の姿と声。
3人は突然謎の世界に引きずり込まれてしまった――。

困惑する3人の前に現れた導師(グル)・クレフ。
3人を『魔法騎士』と呼び、この世界『セフィーロ』を救うべく召喚されたのだと言う。
召喚したのはこの世界の平和と秩序を支える姫・エメロード。
ザガートという敵に幽閉されているらしい。
東京に戻るには姫の願いを叶えなければならない…。

セフィーロは自然豊かな美しい世界だが、姫が幽閉されてから魔物が出るようになった。
エメロードはこの世界の柱として、セフィーロの平和と秩序を祈りで支えていたのだ。
セフィーロは何よりも意志の力が勝る世界。信じる心が力になるのだ。
伝説の魔法騎士となるためには、『魔神(マシン)』を蘇らせなければならない。
だがただの中学生である3人は装備も身を守る魔法もない。
クレフは3人にプロテクターのような防具と、魔法を1つずつ授けてくれた。
光は炎、海は水、風は風……。
クレフに教えられて創師(ファル)・プレセアに武器を授けてもらいに行くことになる。
プレセアの家で卵形の白いウサギのような生物、モコナを案内役に借り、
成長する、自分専用の武器の材料を調達しに向かった。
道中、ザガートの手下に襲われたり、材料調達の試練もあったりしたが、
3人は新しい魔法を覚えたり仲間に出会ったりもした。
調達した材料で自分専用の武器を作ってもらった。光は剣、海はレイピア、風は弓矢。
心の成長とともに形を変えてゆく不思議な武器……。

3人はそれぞれ魔神に心の強さを試され、認められた。
光には獅子『レイアース』、海には龍『セレス』、風には鳥『ウィンダム』。
3人の成長とともに武器や防具や魔法もレベルアップした。
それぞれの魔神の中に入り込み、そしてとうとうザガートとの闘い。
彼が自分の心の力すべてを注ぎ込んで創造した魔神を相手に苦戦する魔法騎士たち。
「どうして姫をさらったんだ!?セフィーロを支える柱なんだろう!?
姫が祈らなければこの世界は崩壊してしまうんだろう!?」
「なぜ姫だけがセフィーロのために祈り続けなければならんのだ!」
この世界の柱は自由もなくただこの世界の安定のみを祈り続けなければならない。
なぜエメロードだけが……。
最後の力を振り絞って、ザガートを魔神もろとも倒すことができた。
「エメロード……どうか じゆ…う…に……」
『いやあああああ!!』ザガートの消滅を感じ取り、泣き叫ぶエメロード。
その感情は身体に変化をきたしはじめる――。

「これで東京へ帰れる!!セフィーロを救える!!!」
姫の幽閉されている城へ向かう魔法騎士たち。
ところがそこにはエメロードと名乗る美女がいた。
救いを求めてきた時には小さな女の子だったのにと不思議がる3人。
「私の愛するザガートを殺したのはあなたたちね……!許さない!!」
巨大な魔神で闘いを挑んでくるエメロード。事情がわからず必死に攻撃を避ける3人に
姫の声が聞こえてきた。「本物の姫はまだどこかに幽閉されているんだ!」
『いいえこれは私…私なのです………。セフィーロの柱であることより
ただ愛する人のために生きることを選んでしまった愚かな私の姿なのです』

セフィーロは心がすべてを決める世界。
柱はその世界の安定と幸せのみを祈らなければならなかった。
けれどザガートを愛してしまった。
柱としての務めを忘れ、ザガートの幸せのみを祈るように…。
己を戒めるために、ザガートを忘れるために、自分から牢にいたと言う。
祈る心さえあればどこからでもどんな妨げがあっても世界の安定は祈れるのだ。

柱は自ら死ぬことができない。
セフィーロの何人たりとも柱に危害を加えることはできない。
だから柱には他の誰にも使えない召喚魔法がある。
自分を殺してもらうための、魔法が……。

『お願い 私を殺して………もう私も消えてしまう……
もうすぐ憎しみと殺意で心がいっぱいになってしまう……
そうなればきっと私はセフィーロの完全な崩壊と消滅を望んでしまう……』
そんなことできない、と泣き叫ぶ光を容赦なく攻撃するエメロード。
『……私を ザガートの元へいかせて………
これからはザガートのことだけ思っていられるように
ずっと2人でいられるように………』
3体の魔神が合体し、エメロードの本当の願いを叶えるために、姫の魔神を倒した――。

東京タワーを包み込んでいた光が消えた。あれからほんの数秒しか経っていないようだった。

光・海・風の3人は抱き合って泣き叫ぶ。
「こんなのって こんなのってないよー!!」


「魔法騎士レイアース2」CLAMP

東京に戻ってから3人はずっと思い悩んでいた。
自分のしていることは正しいこと、正義のための闘いだと思っていたのに…。
思い出の場所・東京タワーで待ち合わせ、「もう一度セフィーロに行きたい」と願う。
その時、召喚されたあの時と同じ光が……!
空は真っ暗、海は枯れて雷が鳴り響く世界の中央に、卵形のオーラに守られた城があった。
プレセア、クレフたちと感動の再会を果たす3人。
クレフは魔法騎士の辛い戦いの事実を3人が東京に戻った後で知り、
辛い闘いに巻き込んでしまったことを心から詫びる。
そしてエメロードの最期の言葉を伝えてくれた。
『魔法騎士にすまなかった』『ありがとう』と…。

柱を失ったセフィーロは混沌と化していた。
かろうじてこの城だけはクレフや他の魔導師たちの意志の力でもってはいるが、
1日も早く柱を見つけないとセフィーロは消滅してしまうと言う。
さらに他国がセフィーロに道を繋げ、柱の座を狙っていると……。
魔法騎士たちを召喚したのは何者かはわからない。
敵を退けながら柱を探すというクレフに自分たちも闘うと申し出る3人。
クレフに防具を、プレセアに武器を出してもらい、再び魔神とともに城の上に出た。

敵国は3つ。
「オートザム」高度に機械化された国。精神エネルギーを変換して力にしてきた。
だが空が汚れ地表は蝕まれている。だから柱システムが必要なのだ。

「ファーレン」我侭な姫・アスカの支配する中華的な国。
セフィーロの柱になってお菓子いっぱいな幸せな国にすると言うのだが…。

「チゼータ」褐色の美人姉妹(なぜか大阪弁)が支配するインド系の国。
自国のあまりの狭さに耐えられなくなり、領土拡大を願っている。

オートザムのリーダー・イーグルの魔神と一騎打ちになる光のレイアース。
そこに乱入してきた1人の男。彼の出現に動揺し、イーグルは帰っていった。
城に行く男を追う3人。光が男に礼を言うと無愛想に去ってしまう。
彼はランティス。なんと彼はザガートの弟だった。
ランティスは3人が召喚される前にオートザムに行き、
柱が消滅したと同時にここに帰ってきたのだというのだ……。
「あなたの兄様を殺してしまった」と謝る光。
ランティスは「自分を責めることはない」と言う。
光は自分でも気付かないうちにランティスに惹かれていた――。

柱になれるのは誰よりも心の強い者。
柱になるには試練の道を通らなければならない。
クレフは次の柱になる者にはエメロードの生涯を話すつもりだと言う。
「もう二度と柱である重責に誰の心が引き裂かれる姿も見たくない」
そのために柱候補が柱になることを拒んでも。

ランティスとイーグルは仲のよい友人だった。
ランティスは自分の兄と仕えていたエメロード姫の悲しい運命を知り、
魔法騎士の伝説も柱制度も終わらせると言ってオートザムを去ったのだ。

オートザムのイーグルが他の2国に侵攻をやめるように言う。
3時間後に返事を聞く、それでも闘うならまずオートザムが相手だと。
ファーレンの我侭姫は、自国を治めるためにもセフィーロで起こったことを知りたいと、
知らねばならないと思い、セフィーロに行くことにした。
チゼータの姉妹は外敵と闘っても勝ち目のないセフィーロのために、
かわりにオートザムと闘う決意を固める。

三つ巴の闘いの中、イーグルと光が再会を果たす。
「悲しい目………胸が痛い……」
モコナの額の石があやしく光る――。

『時はきた』
まぶしい光がさしてくる。モコナだ。モコナが宙に浮き、皆に言う。
『セフィーロの新たなる柱を選ぶ時がきた』
ファーレンのアスカ、チゼータの姉妹、彼女らの願いは柱には弱すぎる。
「おのれのすべてをかけてかなえるもの」ではないからだ。
ランティスの「柱をなくすために柱への道を破壊したい」という願い、
おのれの命を懸けても叶えたいその心はとても強い。
『しかし、彼を越える強い心の持ち主がここにいる』
モコナの開かれた口の中に吸い込まれる2体の魔神。光とイーグルだ!
そこは時間の止まった東京だった。再びセフィーロに戻ってきた者が柱になるのだ。
モコナは自分を創造主だと言う。地球を含む世界を創ったが、
だが地球の者は日々争い自ら世界を破壊している。そこでセフィーロを創ったのだ。

イーグルは精神エネルギーの使いすぎで、永遠に覚めない眠りにつこうとしていた。
セフィーロの柱となって、この国を永遠に眠らせるつもりだと言う。
住人は隣国に移し、自分1人でここに残ってセフィーロとともに眠り続ける。
憧れていたセフィーロの空と同じ瞳をした人を――ランティスを死なせたくない、
それがイーグルの願いだった。
「…違う…それじゃエメロード姫と同じだよ!
自分を犠牲にして大好きな人を守ってくれたけど、残された人たちはどうすればいいんだ!?
姫を大好きで何よりも大切に思っている人たちの心はどうなるんだ!?」

海と風がモコナに光のところへ行かせろと言う。
「私たち約束したのよ!どんな時も3人一緒に頑張るって!!」
「光さんを1人で闘わせるわけにはいきませんわ!!」

「一緒に帰ろう セフィーロへ」光が手を差し伸べる。
「あなたのことを愛している人たちが待ってる」
ランティスと同じ、悲しい目をしていると言う。
「もう愛する人たちを失って泣く人たちを見るのはいやだ。
そして……後悔するのは……ぜったいにいやだ!!」
『新たな道が開いた。次の柱は 光 』
衝撃を受ける仲間たち。
『セフィーロに戻れるのは新たな柱のみ、資格のない者は消滅する』
「絶対に一緒に帰る!」
衝撃で傷だらけになりながらも一緒に帰ろうとする光。
『このままでは2人とも……消える!』
「セフィーロに帰っても僕は長くは生きられません!このままではあなたが……!!」
「それでもせいいっぱい最後まで生きなきゃ。あなたの大切な人たちのために。
そして、あなたのために」
海と風が、モコナに道を開けろと泣き叫ぶ。
消滅しそうになる光の――魔神の手を、海と風の魔神が引っ張った!

合体した魔神が、モコナの前に立つ。
「この魔神は柱を殺すために作られたものだ…でも私たちはこの人を助けることができた」
魔神の手の中、大切に横たえられたイーグル。
「私が新しい柱だと言ったよね。私が新しいこの世界の約束を作っていいんだね」
信じる心が力になる、この世界の理は素敵だと思う。
でも1人の肩にこの国のすべてを背負うのは重すぎる。だから……。
「一緒に闘ってきた海ちゃんや風ちゃん、このセフィーロで出会えた大切な人たち、
そしてオートザムやチゼータ、ファーレン…この世界の別の国の人たちと
ゆっくり考えていきたい」
『それは柱制度をなくすということか』
「セフィーロはこの国を愛してるみんなのものだよ」

エメロード姫はセフィーロをそしてみんなを愛していた。
しかし信じてはいなかったのかもしれない。
姫は生命をかけて愛するものたちを守ろうとしたが
自らの重責を分かち合いともに歩こうとはしなかった。
セフィーロは柱がすべてを司る世界。柱制度をなくすことも姫にはできたのだ。
それでも姫は己の死を選びこの制度の存続を望んだ。
しかしセフィーロの新しい柱は己の死ではなく制度の死を望んだのだ。
『お前たちは愛する者を信じている』

モコナ――創造主は魔神とともに新たな次元へと旅立った。
最後に一言「ぷう」と……初めて会った時のように言って。

1996年。
東京タワーで待ち合わせる3人。手を握り合って異世界へと旅立つ。
すっかりきれいになった元セフィーロの城内には、各国の代表たちも集まっていた。
イーグルは光の願いのおかげで少しずつだが回復に向かっている。
眠っていてもちゃんと会話もできるほどに。
光はランティスと、海や風もそれぞれ想われ人や恋人と上手くいっているようだ。

モコナはセフィーロの変革を望んでいたのでは、とクレフが言う。
光の乗っていた魔神は「レイアース」、地球の言葉で「光る大地」と言う意味だ。
すべての世界が光あふれるところであれとの願いが込められていたのかもしれない。
「私たちをもう一度召喚したのはやっぱり………」
「柱なきセフィーロで異世界の者を召喚できるのは創造主だけだろう」

「元セフィーロ」の新しい名前に悩む光。
「新しい国の名前はあなたがつけて!私たちをずっと見守ってくれた、あなたが!!」