パールガーデン/萩岩睦美
450 名前:パールガーデン 1 投稿日:04/10/28 23:36:21 ID:???
人魚のピアは14歳。ピアは死ぬ間際の祖母から、父親が人間で、まだ生きていると聞かされる。
「パパに会いたい」と海上に出たピアは、嵐の夜に船から投げ出された若者を助ける。
人魚姫の言い伝えを聞かされていたピアは、この青年を王子様だと思い込む。
ピアは父を探し出すために、青年にデンマークに連れて行ってくれるよう頼む。
始めは乗り気ではなかった若者だが、デンマークの海にピアの先祖の宝物があると聞いて心を変える。
彼は詐欺師として身を立てており、船には結婚詐欺のハネムーンのために乗っていたのだ。
青年は、ピアにはグリーンと名乗る。

ロンドンに着いたグリーンはピアに洋服を買い与え、
ピアの住んでいた海から持ち出した宝石を売り払い、お城を買うことにする。
成り行きでスリの少年マルコも加わり、豪勢な生活を始めるグリーンとピアとマルコ。

ピアの父親探しの途中、グリーンは昔の恋人・カレンと再会する。
グリーンは彼女から結婚式当日に金を持ち逃げされ、他の男を選んだことを憎んでいたが、
カレンの泣いてすがる様子にほだされてしまう。
しかしカレンの狙いはピアだった。
ピアは、とあるお金持ちの伯爵夫人の亡くなった孫娘にうりふたつだったのだ。
カレンはグリーンのことを王子様と慕うピアに、「王子様と結ばれるにはレディにならなければならない」と
言い含め、ピアをいとも簡単に連れ去ってしまう。

二度もカレンに裏切られたグリーンは、母親から捨てられ、すさんでいった過去をマルコに語る。
ピアだけは取り戻し、デンマークに連れて行ってやりたい、とグリーンは決意し、マルコと共にピア捜索を開始。
その途中でグリーンは賭けポーカーのイカサマがバレて、城や財産は没収。一文無しになってしまう。

ピアはカレンによって伯爵夫人の娘・ローザの身代わりとして暮らすことになる。
カレンは自分がピアを育てたと偽り、ピアを引き渡す代わりに慰謝料をもらう。

伯爵夫人に連れられ、歌会にやってきたピア。
オペラを見ている最中、ピアは釣られて歌ってしまうが、ピアの素晴らしい歌声を
出演していたオペラ歌手は大変気に入り、観客も魅了される。
それはテレビ中継でも流されており、グリーンとマルコもピアがテレビに出ているのを発見する。

451 名前:パールガーデン 2 投稿日:04/10/28 23:37:45 ID:???
グリーンは資金稼ぎのために、女装してとある酔っ払っていた中年男性をひっかけるが、
彼はグリーンを追いかけていた刑事であった。グリーンは留置所に入るはめに。

歌会の一件から、ピアの元には歌手のスカウトと取材が後を絶たない。
だがピアはグリーンに会いたいがために思い詰め、衰弱していた。
ピアは意を決して屋敷から抜け出す。
その途中、何故かピアの体が急に成長し、人魚の尻尾も人に見られ、追い掛け回されることに。
ピアは初めて、人魚の存在が人から奇異に見られること、グリーンやマルコが特別なだけだったことに気づく。
ピアの父が残した伝言によると、ピアの住んでいた海と地上では時間の進み方が違うらしい。
海では、地上よりも時間がとてもゆっくり進んでおり、ピアの体の成長の速度が合わなかったのだ。

久々に自分の家に帰ったマルコは、父親がグリーンを捕まえたことを知り、
グリーンを留置所から出すために会いに行く。
マルコの父親は刑事で、母親はピアが出席した歌会に出ていたオペラ歌手であった。
マルコは両親が不仲であることにうんざりし、悪さを働いていたのだ。
マルコが刑事の息子だと知ったグリーンは、マルコが自分を捕まえるために
刑事の手先になっていたのだと誤解し、マルコと決別する。

ピアは逃げ惑う中、必死でグリーンの気配を感じ取り、グリーンと再会する。
だが、ピアを失った伯爵夫人は追っ手を雇い、ピアの歌手のスカウトに加え、
グリーンが指名手配され、二人そろってお尋ね者になってしまった。

グリーンは大人の姿になり、見違えるようにきれいになったピアに動揺を隠せないが、
中身は純粋な子供のままのピアだった。
一文無しの二人だが、ピアは自分のうろこをはいで売ってしまう。
今にも死にそうなピアの様子を見かねるグリーン。
しかし、ピアの持つ貝の中にある薬を飲ませると、ピアは元の子供の姿に戻ってしまった。
その薬はピアの祖母が「困った時に飲むように」と3粒だけ渡してくれたものだった。
グリーンは元の姿に戻ったピアに安心する。

452 名前:パールガーデン 3 投稿日:04/10/28 23:39:59 ID:???
逃走を続けるグリーンとピアは、グリーンの故郷にまでやってきた。
10数年ぶりに家に帰ったグリーンは、自分を置いて出て行った母親が戻ってきたことを知る。
母親はグリーンがいなくなったことを知って半狂乱になったらしく、今も体調がよくないらしい。
だが母親を許せないグリーンは、母に会うことを断固として拒否する。

伯爵夫人が雇った追っ手はついにグリーンとピアを捕らえ、二人を連れ去る。
グリーンは伯爵夫人に「ローザはもういない」と説得するが、伯爵夫人は聞き入れられない。
そこに助けに来たのは、マルコに雇われたカレンだった。
ピアがグリーンに書き溜めていた手紙を一通り読んでいたカレンは、
デンマーク行きの切符をグリーンに渡す。
そして、グリーンの母親が今晩もう持たないことを告げるのだった。

ピアは「母親を憎んだままじゃかわいそうだ」とグリーンを説得し、グリーンは故郷に今一度帰る。
グリーンは母親に愛されていた頃の記憶を思い出すが、既に母親は息耐えた後だった。
グリーンの母の葬儀の最中、ピアは祖母からもらった薬を無理矢理グリーンの母に飲ませる。
すると、奇跡が起きグリーンの母は息を吹き返した。
グリーンは母に、怨んでない、と言い、母と子は手を合わせる。

その後、グリーンとピアは約束通り、デンマークへと向かう。
しかし、マルコの父である刑事が追ってきていた。
ついてきたマルコはスリで捜査をかく乱させ、グリーンに逃げるよう促す。
父親にグリーンを見逃してくれと訴えるマルコ。
親子の情にほだされた刑事は、グリーンを逃がしてしまう。
そしてマルコの父は、父としての責任を果たすために辞職する。

453 名前:パールガーデン 4 投稿日:04/10/28 23:43:27 ID:???
デンマーク。やっとピアの父親の住んでいる場所まで辿り着いたピアとグリーン。
しかし、ピアのいた海と地上とでは時間のズレがあることを忘れていた。
ピアの父は既に亡くなり、ピアの父の孫(ピアにとっては姪)であるシデスが待っていた。
シデスはピアに、ピアの父が残した手紙と小箱を渡す。
それは、ピアの父がピアの母から頼まれて出会ったデンマークの老婆の人魚から託された小箱であった。
老婆はデンマークの最後の生き残りの人魚であり、ピアの父に小箱を託すと息を引き取ったと言う。
老婆の人魚は「これを生き残った人魚たちのところへ届けてほしい」と言い残したそうで、
ピアにそれを果たしてほしいと父からの手紙には書いてあった。

デンマークに来る目的を果たしたピアは、グリーンと別れることを決意する。
しかしそこに、人魚の海からピアのいとこのお姉さんたちがやってくる。
今まで、ピアの悲痛な叫びをずっと聞いていた人魚たちは、
ピアを苦しめているのはグリーンだと判断し、魔法使いのばあさんから授かってきた剣を差し出し、
グリーンを殺すのだ、とピアに強要する。
人魚の伝説では、人魚が人間に恋した場合、相手と結ばれなければ人魚の心臓は破裂してしまう。
拒否するピアだが、グリーンは「思い残すことはない」とピアに殺されることを受け入れる。
ピアはグリーンを殺すくらいなら、と自らに剣を向けるが、
その時父の残した小箱が開き、真珠の山があふれ出してくる。
その隙を見計らったグリーンは、貝に入っていた薬の最後の一粒をピアに飲ませ、ピアを抱きしめる。
すると、ピアの尻尾からうろこがはがれおち、そこには代わりに足があった。ピアは人間になったのだ。
グリーンは「おれにとって一番の宝物はピアだ」と人魚たちに宣言する。
ピアが人間になった以上は、人魚の伝説は適用されない。
人魚たちはピアの幸せを願いながら海に帰る。

454 名前:パールガーデン 5 投稿日:04/10/28 23:45:04 ID:???
グリーンはピアが憧れていた靴を買い与え、これをはいてロンドンへ帰ろう、と促す。

両親と共に新しい生活を始めていたマルコは、グリーンとピアが戻ってくる葉書を受け取り、二人の帰りを待つ。
帰路の途中、これからの生活のことを楽しそうに語るピア。
グリーンはピアの笑顔を見ながら思う。
どうやら、この笑顔を守るのがおれのライフワークになりそうだな――

おわり