新撰組異聞PEACE MAKER/黒乃奈々絵
416 名前:PEACE MAKER 導入部[sage] 投稿日:05/01/16 17:04:58 ID:???
PEACE MAKERは主人公・市村鉄之助が新撰組に入り
「池田屋事変」が終わるまでのストーリー。(全6巻)
入隊後かなり詳しくオリジナルストーリー混みで池田屋をやっている。
鐵はその続編で現在連載中。

登場人物紹介1
市村鉄之助・・・鉄。15歳。見た目幼い。剣の才能はあり。二刀流。単純熱血タイプ。
市村辰之助・・・鉄の兄。辰兄。実父にそっくり。神経性胃炎持ち。極度の心配性。
*****

元治元年(1864年)弥生三月、京都。
新撰組隊士募集の立て札を見た市村鉄之助は屯所門前で隊士と言い争っていた。
入隊したいのに入隊させてもらえないのだ。
この鉄之助、年齢は十五なのだがどう見ても十二くらいにしか見えない少年である。
その姿は本人には大きなコンプレックスになっており
門番の言った「チビ」という禁句に切れた鉄之助は
既にソロバン隊士として採用されている兄・辰之助が止めるのも聞かず
禁句を吐いた彼に一撃を食らわし騒動を起こしそうになるのだった。

結局隊士になるチャンスさえなく、(´・ω・`)ショボンヌな鉄之助。
一方、辰之助は「新撰組はただの人斬り集団」「自分はお金のために働くだけだ」
と言い切る。辰之助は弟が新撰組に入りたがっていることを心配しているのだ。

417 名前:PEACE MAKER 導入部[sage] 投稿日:05/01/16 17:07:28 ID:???
鉄之助が新撰組に入ろうとするのには理由があった。
両親のことである。

鉄之助・辰之助の父親は、生前英語の勉強をしたり、この時代の人間にしてはグローバルな
平和主義的考え方を持つ変わった人だった。(鉄之助の回想)
鉄之助に「ピースメーカー」になれ、お前はデカイ男だとよく言っていた父親。
そしていつも優しい母親。
(↓これはもっと後に語られる話だけど分かりやすくするためにここで入れます)
しかし二年前に両親は殺された。
辰之助は不在で、両親と鉄之助のいる家に入ってきた男に殺されたのだ。
そのとき、一人押し入れに隠れていた鉄之助はただ震えていただけだった。
両親を殺した男は、なぜか鉄之助の存在に気付いていながらも、彼を切ることなく家に放火。
その後、帰ってきた辰之助が自宅の異変に気付き、燃える家から鉄之助を助けたために無傷。
両親を失い、家を失い、色々な仕事をしてなんとか弟を食べさせてきた兄・辰之助(=辰兄)は
過保護とも思えるほどの心配性で、突拍子もない行動をする弟にいつも胃をキリキリさせている。
しかしそんな兄の心配も無下にしても、鉄之助は仇を討つためにどうしても新撰組に入りたいのだ。

彼の父は斬られる直前、現れた人物を「さては長人だな!!」(※長州藩士)と言っていたのだ。

418 名前:PEACE MAKER (ACT.1-2)[sage] 投稿日:05/01/16 17:11:51 ID:???
鉄之助は、町でとある優男と知り合う。
「自分は新撰組には仲良しの人がいるから掛け合ってあげます」という彼。
連れられた新撰組の道場で、その「仲良しの人」が近藤勇局長だと知り唖然とする市村兄弟。
「総司に勝ったら一番隊隊長にしてもいい」と言う局長の前に現れた沖田総司は
他でもない、町で知り合い局長に便宜を図ってくれた男だった。
総司に挑むも軽くあしらわれた鉄之助は、二刀流や定石に嵌らない型で攻め
なんとか攻撃の糸口を見つけるものの、本気になった総司に吹っ飛ばされてしまう。
実は手加減がとても下手な総司。諦めない鉄之助にマジモードで竹刀を振り下ろそうとしたところ
副長・土方歳三が現れ、総司を諌めるのだった。

近藤局長は鉄之助の根性の良さを気に入り入隊させようとするが、土方はそれを一蹴。
「新撰組では仇討ちの剣なんぞ身につかねぇ」
と心の内を指摘され、落ち込む鉄之助。
本気モードの切れた目をした総司に、鉄之助は両親を殺した男を重ねて見ていたのだ。
強くなりたいと切に思う鉄之助はもっと強くなって新撰組に戻ってくることを考える。
「仇を討つ、その為になら人すら捨てられますか、鬼すら恐れませんか」
「・・・鬼すら倒してみせます!」
総司は鉄之助に土方の姿を重ねるのだった。

総司の入れ知恵で、色町である島原の遊郭に深夜潜む鉄之助。
そこに現れたのは遊女を連れた土方。お色気満点のムードの中現れたのは数人の刺客。
土方は、遊女をグルにした暗殺計画に巻き込まれていたのだ。
しかし全く動揺することなく、刺客を切り捨て、助けを求める遊女も無慈悲に惨殺する土方。
新撰組が付く頃には全て終わっていた。事前にバレていた計画だったのだ。
返り血を浴び、血の海と悲惨な死体の群れに唖然とする鉄之助に土方は言った。
「新撰組で身に付くのは鬼のなり方だけだ」
その言葉に総司の質問の真意を知った鉄之助。
現実を重く受け止めつつも、鉄之助は翌朝、雨の中屯所前に佇み
「鬼すら恐れません。俺を鬼にしてください。」と真剣な眼差しで言った。
その姿にとうとう折れる土方。
「お前総司に似てるな。総司に免じて採用してやろう」
そうして、ようやく鉄之助の表情が緩むのだった。

419 名前:PEACE MAKER (ACT.3-)[sage] 投稿日:05/01/16 17:26:54 ID:???
登場人物紹介2
沖田総司・・・優男。新撰組一番隊隊長。にこやかだがクール。
近藤勇・・・新撰組局長。作中では優しげでややニブイ。
土方歳三・・・新撰組の副長。鬼と言われる。冷酷。

山崎歩・・・屯所に住み込み働いている女性。料理は絶品。
山崎烝・・・新撰組監察方。隊内でも謎の人物扱い。無口。
永倉新八・・・二番隊隊長。隊内でも有数の剣士。頭も良い。
原田左之助・・・十番隊隊長。大男。豪快で物事をあまり考えない。
*****

入隊して大食する鉄之助。
料理番の山崎歩、通称"アユ姉"は隊士達の姉的存在。
忍たまの食堂のオバちゃんを若く綺麗にしたような人である。
そこへ現れたのは、鉄之助に興味を持った原田左之助と永倉新八。
隊長(副長助勤)の二人に対しても、礼儀や節度を見せない鉄之助だが
そこが良かったのかもしれないと言う永倉。

鉄之助に任せられた仕事は、土方副長の小姓。
お茶も満足に運べない鉄之助だが、なんで小姓なのだと総司に不満を漏らす。
「君だからできるんです」という総司。鉄之助の不満は溜まる一方。
屯所で寝泊りすることになった鉄之助。
当然寝るのは大部屋だが、皆の寝静まった深夜こっそり押入れを
開けようとするところを中から辰兄が出てきて入れと言う。
実は鉄之助、両親を殺された時のショックで押入れじゃないと眠れないのだ。
そのときのことを忘れるように言う辰之助だが、鉄之助は上手く答えられない。

眠ろうとしたとき、外に潜む人影を見た鉄之助はその後を追う。
追った先は土方の部屋。部屋からは先日調べた件がどーだのと怪しい話が漏れ聞こえ。
土方に報告していた人物は、山崎烝という監察だと後から歩に教えられる。

420 名前:PEACE MAKER (ACT.-4)[sage] 投稿日:05/01/16 17:35:51 ID:???
仕事内容は所謂「密偵」。
その話を聞いて、監察という仕事に興味を持つ鉄之助。
辰兄は歩の態度から、山崎烝が彼女の弟だと察する。

翌朝、土方の指示を待つ烝の前に現れた鉄之助。
勝手にライバルに設定し、挑発的な鉄之助にも烝は完全無視。
土方からいくつかの店を調べるよう指示を受け、美しい女性に変装する烝。
その姿にただ只管感心する鉄之助。
自分の本来の目的を思い出すと、自分も女装し(・・・)後を追うのだった。
指示された最後の店である「枡屋」へ来訪した烝(女装版)。
以前にも出入りしていたらしく、親しげに番頭と話す烝。
そこへものすごい女装姿の鉄之助が現れ、烝は結果的に仕事を邪魔されてしまう。

路地裏で引っ叩かれた鉄之助は、反応の薄い烝に暴言を吐き、
「いい加減にしろ。お前の力じゃ・・・なんも出来へん」と言われてしまう。

通りがざわつき、見ると枡屋の前で少女が三人の浪人に囲まれていた。
彼女は枡屋の客で買い物帰りだったところ、カツアゲされそうになっている。
やめるように言う番頭も止めることが出来ず、手を出せないと怯える衆人。
鉄之助は一人で彼らに立ち向かうのだった。

421 名前:PEACE MAKER (ACT.5-6)[sage] 投稿日:05/01/16 17:53:16 ID:???
総司・左之助・新八の三人は町で浪人にくってかかってる少年がいると聞きつけ、
左之助・新八は正義の浪士に扮して長人を倒すが、鉄之助と少女を逃がした総司は
鉄之助が自分の名前を呼んだのを浪士の一人に聞かれ口封じに殺してしまうのだった。

実は枡屋は長人の溜まり場になっていて、その内偵のために烝は派遣されたのだ。
今回のカツアゲ三人衆も長州訛りの男達。
この騒ぎのせいで、少なからず枡屋に潜む長人に警戒心を抱かせてしまった。
少女を助けたことで気楽なことを言う鉄之助に、とうとう烝はブチギレて
鉄之助の頬には真っ赤な手形が。

烝の悪口を言う鉄之助に、総司は騒動の背景を語る。
その話の中から、あの騒ぎで総司がカツアゲ男の一人を殺したと聞き驚く鉄之助。
「新撰組の人間だとバレたら、枡屋に潜む長人に逃げられてしまう」
そんな理由で殺したのかと訝る鉄之助に、総司は自身を鬼と言い、局中法度を見せた。
新撰組隊士として刀を抜けば、相手か自分かどちらかは死ぬ。
殺さずにすむのが小姓なのだと教えられ、烝の不可解だった態度の理由を知るのだった。

事件報告を聞いて、通報もしない枡屋への疑惑を確信に変える土方。
カツアゲなんてするバカな長人は、田舎から出てきたばかりの無知な人間だと言い
枡屋を寄り所に長人をどんどん上京させていると考える。
なにか裏に大きな計画があると踏んだ土方は、まだ乗り込まずに引っ張るつもりだ。

一方、枡屋では生き残った二人の長人が「処刑だ」と言われ殺されてしまう。
その男は吉田稔麿。吉田松陰の弟子である。

422 名前:PEACE MAKER (ACT.7-8)[sage] 投稿日:05/01/16 18:07:24 ID:???
登場人物紹介3
吉田稔麿・・・京での長州藩潜伏活動の黒幕。放火好きのイカレ男。
        作中では土方歳三とそっくりな容姿で色男。
*****

鉄之助は屯所前で枡屋で助けた少女に会う。
少女・沙夜が話せないことを知る鉄之助。
しかし全く気にする素振りのない鉄之助に、微笑む沙夜。
鉄之助は昔、「強くなれますように」と願ったことを思い出し、両親のことを沙夜に話す。
そして沙夜の両親も殺されてしまったことを知る。
鉄之助は、ずっと仇を討ちたいと思ってきたけれど、実際人を殺せるのか悩んでいる。
自分の甘さを皆が知っていたからこそ、おのおのに忠告されたと。
沙夜は鉄之助に「変わらないで」と(文字で)言うが、鉄之助は人殺しは嫌だが強くなりたい。
それに怒った沙夜は泣きながら帰ってしまうのだった。

屯所内首脳会議では、山崎からここ最近の放火に関する調査を聞き、
土方は吉田稔麿が事件の裏に潜んでいることに察しをつける。
そして近藤局長は鉄之助に隊服と差し料(※自分が差すための刀)を与えると言う。
それに対して微妙な表情の土方と総司。

道場に現れた総司は、鉄之助と打ち合う。
自分の心の迷いを漏らす鉄之助は、総司になんで強くなろうと思ったのか聞くが
「私の答えはあなたの答えにはなりません」
と総司は言い、結局鉄之助の気が済むまで稽古は続いた。
「何のために強くなるかは人それぞれだから」存分に悩むように言う総司。
しかし話し途中で鉄之助が眠ってしまい、呆れながらも「(土方に)似てる」と口走る。

なんの為に?
「言ったらきっと笑われちゃいますよね?土方さん・・・」
総司は虚ろにぼやくのだった。

423 名前:PEACE MAKER (ACT.9-11)[sage] 投稿日:05/01/16 18:20:59 ID:???
一連の騒動で焦りを感じていた烝はこのままではラチがあかないと
土方に進言して、吉田稔麿の寝首をかく為に、深夜忍装束で枡屋に現れる。
そこに現れたもう一人の忍は長州側につく女の忍だった。
技で勝る彼女に烝は負け、怪我を負わされ追い払われてしまう。

その様子を見ていた吉田稔麿とその小姓である北村鈴。
慎重に動くように言う忍に、わざと派手に振舞っているのだと吉田は言う。
新撰組がギリギリまで大きく動かないと言うことは、逆に言うとそれまでは自由に動ける。
計画の実行は大博打。
楽しそうに話す吉田稔麿に忍は寒気を感じる。
彼女は幕府に恨みがあるだけで、特に長州と関わりや結びつきがあるわけではない。
吉田の小姓である北村鈴は、兄の仇を討つために吉田について上京。
復讐の相手は新撰組。形見である刀を手に、気を高ぶらせるのだった。

烝の報告を受けて、吉田が博打をしてることを知る土方。
今後の枡屋に関する仕事は"髪結いの弓"に任せると言う。
吉田の暗殺に失敗した烝は切腹をしようとするところを姉・歩に止められる。
「あんたは武士とは違うんよ。"忍"なんよ。勘違いしたらあかんよ」

一方、いつものように鉄之助をからかう左之助と新八。
三人の前に現れたのは遠地から戻ってきた藤堂平助と山南敬助だった。
山南が副長と聞いて、土方を偽者かと勘違いする鉄之助に
辰兄は、副長が二人いて新撰組の意向は三人で決めていることを説明する。
鉄之助は「鬼副長の独断に見える」と率直なことを言い
山南は一瞬暗い表情を見せるが「山南さんだけが副長なら良かった」と
またも子供らしい感想を言って、山南は「勇気が出た」と笑い屯所内に戻るのだった。
どうやら副長二人の間には大きな確執があるらしく、
現在、実質新撰組の権限を握っているのは土方なのだ。
立場の弱くなっている山南を三隊長(左之助、新八、平助)は心配している。

424 名前:PEACE MAKER (ACT.11-12)[sage] 投稿日:05/01/16 18:40:40 ID:???
登場人物紹介2
風魔のくのいち・・・徳川に恨みを持つ風魔一族の末裔。
北村鈴・・・吉田の小姓。兄の仇を討つため上京。剣の腕はすごいらしい。
山南敬助・・・新撰組の仏の副長。実質名前だけの副長なので暇らしい。
藤堂平助・・・八番隊隊長。お調子者で口が悪い。隊長の中では最年少。
*****

鉄之助を正式に隊士にすることを決めた近藤は、隊服や何番隊に入れるかなど
現実的なことを口にするが、そこへ怖い笑顔で現れる山南。
殺伐チックになり「あんな子供に人殺しをさせたいのか」と
土方を責め、結局鉄之助の入隊はうやむやになって小姓継続になった。
今回隊士にすると決めたのは自分で、土方は鉄之助に刀を握らせたくないらしいと
後から近藤に聞いた山南は、勘違いを恥じる。

暗い顔の土方を連れ出した総司は、どうやら先ほどの話を盗み聞きしていたらしい。
「本当に鉄クンのことを話してるのは近藤さんだけだ」と言う総司。
十五のガキだから刀を握らせないと言う土方に、自分は九つだったと矛盾を指摘。
「・・・つまりこういうことですか。私の二の舞は御免ですか。」
結局、土方も山南も鉄之助に総司を重ねて見ていたのだ。

土方の前に現れた歩は、料理の方はしばらく休む、本業を頂きに来た、と告げる。
鉄之助は刀屋で大刀の値段の高さに驚く。
同じく訪れていた北村鈴と口喧嘩になり、鉄之助は鈴を怒らせてしまう。
鈴は他の客まで巻き込み大騒ぎになるところに、辰兄が仲裁に入り上手く回避するが
市村兄弟のやり取りに暗い気持ちになった鈴は、何も言わず立ち去るのだった。

425 名前:PEACE MAKER (ACT.13-14)[sage] 投稿日:05/01/16 18:57:09 ID:???
登場人物紹介5
明里・・・島原で働く遊女で山南の恋人。鈴と吉田の来訪を厭う。
*****

吉田稔麿は桂(小五郎)から計画をやめるよう書かれた文を見て、
吉田は桂を腰抜けと言い、その文を笑って燃やしてしまう。
猟奇的な吉田に枡屋の主人・古高は恐怖を覚えるものの、計画実行に向け動く。

鉄之助は沙夜と喧嘩別れになってしまったことを気にしている。
三隊長は彼が恋煩いをしていると勝手に解釈し、その話を漏れ聞いた山南は
鉄之助と非番の平助を島原(色町)に連れて行ってしまった。
三人が訪れたのは、山南の恋人・明里のいる置屋。
そして明里の後ろにいた少女こそ、鉄之助の探していた沙夜だった。
「友達になってよ」と言う鉄之助に仲直りする二人。

山南と楽しく過ごす明里に、「どうしても明里でないと駄目だ」と言う客の来訪が伝えられ
その客の特徴を聞き、動揺する明里。
「・・・嫌な客なのかい?」
「そうやね。山南さんと比べたら他はみーんな嫌な客かもしれへんね(はぁと」
結局断るように言う明里。その客とは北村鈴であった。
「空くまで待つ」と鈴。
表ではクールな態度を装っていても、内心こんな仕事をさせられているのが不満な鈴。

その正面の部屋では、偶然にも鉄之助と沙夜が目隠し鬼をして遊んでいた。
鉄之助は鈴と再会し、最初は嫌味を言い合いながらも徐々に仲良くなっていく。
鈴の癖から、彼が小姓であることを見抜いた鉄之助。
立場上どこの小姓かは隠しながらも、お互いのことを話す二人は、親近感を感じる。
鉄之助は鈴のようには主人を好きになれないと言うが、鉄之助の話を聞いた鈴は
「"小姓"として(鉄之助を)雇っているというより"預かっている"みたいだ」と指摘する。

426 名前:PEACE MAKER (ACT.15-16)[sage] 投稿日:05/01/16 19:07:38 ID:???
登場人物紹介6
沙夜・・・両親を失い、置屋で小間使いとして働く少女。口がきけない。
*****

山南が置屋に鉄之助を連れて行ったと新八らから聞いた辰兄は
置屋の入り口で弟に取り合うよう騒いでいた。
そこへ現れた吉田稔麿は辰兄の顔を見て目を剥く。

明里は山南がすっかり寝入ったのを見計らい、ハナから
断った客(北村)の特徴を聞き直し、別に右前髪を垂らした色男(=吉田稔麿)
がいないか聞くと、ちょうどそんな人物が来たところだとハナは答える。
そこに北村の言動から、明里を怪しく思う長人が乗り込んだが
いつの間にか起きていた山南が追い払う。
助けてもらったことにほっとしながらも、気まずくなる明里だが
山南は事情も聞かず明里の膝枕で寝入ってしまうのだった。ラブラブ。

辰兄はようやく鉄之助に会い、過保護っぷりを沙夜や鈴にまで披露し、恥ずかしい鉄之助。
鈴はどこか羨ましそうである。
そんな和やかムードの中、彼らの前に現れたのは幽霊のような表情をした吉田。
「鈴、ソレ(鉄之助)から離れろ、穢れる。」
どう見ても瘴気を放ってるのは吉田のほうなのだが
吉田の狂気の表情は皆を凍りつかせ、その姿が鉄之助に強く過去の両親を殺した犯人を
フラッシュバックさせてしまう。

以降篭ってしまった鉄に、山南はオロオロ。バカ三隊長は全く見当外れな見解。
事情を聞かれ誤魔化す辰兄。
鉄之助は彼があの時の犯人ではないかと思っているのだ。

総司は辰兄が全てを忘れて平和に暮らそうとしていると言う。
それが悪いのか、と言い返す辰兄に、「あなたが忘れようとしても鉄クンは忘れない」と総司。
強くなってもどうにもならないと嘆く辰兄の言葉に、総司は少し動揺し、咳き込む。
忘れようとしても、心の傷は治らないんじゃないかと総司は言う。

427 名前:PEACE MAKER (ACT.16-17)[sage] 投稿日:05/01/16 19:14:32 ID:???
丸一日食事を取っていないと聞いて、鉄之助を心配する歩。
今日は久々に歩の料理。普段は「飯時逃すは食うべからず」のアユ姉だが
今日は皆に食べてほしいのだと言う。
いい加減お腹のすいて仕方の無い鉄之助は、鈴を見つけ出して事情を聞こうと決意。
ようやくヒッキー状態から出た鉄之助は、外で山崎烝の女装姿そっくりの女性を見る。
それは烝ではなく歩だった。
その瓜二つっぷりに、「烝はアユ姉の顔目指して作ってるんだ」と言う鉄。
落ち込む事情を話さない鉄之助にも優しく慰める歩を、"姉ちゃん"って感じ、と鉄。
無邪気なその姿に、歩は烝の幼い頃を思い出す。
歩は鉄之助に「あの子と仲良うしたって」「嬉しいこと楽しいこといっぱい教えたって」
そう泣いて頼むのだった。

一方、会津藩本陣の光明寺に赴いた近藤勇は公用方の外島喜兵衛と会う。
会津藩士と長人の切りあいや、長人の放火が目立つのを憂える外島に
近藤は「手は打っています」と言う。

歩を心配する鉄之助は烝に歩の今の仕事を聞きに行くが、冷たい言葉を返されるだけ。
鉄之助は歩の言う「あの子」が烝で、弟なのだと知っていた。
「仕事なのだから例え死んでも止める道理はない」と言う烝に鉄之助は切れるが
烝は苛立ちを隠しきれず、鉄之助を放り投げる。

歩は「髪結の弓」として枡屋を訪れ男に取り入り、情報を引き出そうとしていた。
しかし「野郎と情報食うために来る泣き黒子のええ女」と情報は筒抜けになっており
歩は一人の男と情を交わした直後に長人に一斉に囲まれてしまう。
その「泣きボクロの女」は本当は烝なのだが、歩はわざと自分の口元の黒子を隠し
泣き黒子を化粧したのだ。

428 名前:PEACE MAKER (ACT.18)[sage] 投稿日:05/01/16 19:28:25 ID:???
鉄之助は、烝をどうにもできないことに無力な自分を感じる。
雨の中、屯所に男に集団で暴行されている女の通報が入り、
歩ではないかとぎょっとする鉄之助。

枡屋では手首を縛られ、血だらけの歩がいた。
それを見た番頭は驚き、枡屋の主人・古高に彼女を殺さないよう懇願するが
歩は爪に隠していた凶器で手首の縄を切ると懐刀で古高に襲い掛かり、
苦無を主人の腕に放って怪我を負わせるも、後頭部に一撃をくらい捕まるのだった。
放たれた苦無を見て、先日の忍びもこの女だと古高は言い、
先生(吉田)に指示を仰ぐまでもない、と処分を命じる。
ふっと最後に微笑む歩。最後の反撃は忍を自分と見せかけるためだっだ。

烝は鉄之助の前に怒りを隠せない。鉄之助のせいでこんな思いをするのだと言う。
鉄之助は、歩のところに行くよう言うが烝は取り合わない。
姉だと思ったことはないと言う烝。
「お前が言ったらエエやろ、泣かれて遺言聞いた仲や」
鉄之助はどしゃぶりの地面に烝を叩きつけ、殴りかかる。
「・・・アユ姉はなぁ、俺になぁ、"弟"のこと頼むって、お前のこと頼むって言ったんだよォ・・・!」
泣きながら去る鉄之助。目を見開く烝。
新撰組は通報を受けて枡屋を強襲するが、すでにそこはもぬけの殻だった。
残されていたのは、血まみれの歩の着物だけ・・・。

  なんちゅう顔してんの
  泣いたり笑ったりする忍びがどこにおんの
  まだ怖いだの恥ずかしいだの言うとんの
  はよ捨てなそんなん
  あんたの周りは誰もおらん
  一人で全部出来なあかんよ
  あんたは武士とは違うんよ
  "忍"なんよ
  ウチのこと姉とは思わんでエエ
  こっちも、弟とは思っとらん

429 名前:PEACE MAKER (ACT.18-19)[sage] 投稿日:05/01/16 19:37:12 ID:???

「もうちょい大きゅうなったら、ウチに化けて仕事するんやで
 そうしたら
 万一失敗しよっても、あんたは生き残れる」


泣きながら雨の中、屋根を這い、ようやく烝が姉と呼んだのは
引き摺られ、斬られ、四肢をボロボロに折られた歩の死体だった。
「無能なあんたが死ねば良かったのよ」
現れたくのいちが烝を忍失格だと言った。
「身代わりにした女を助けに来るなんて中途半端じゃないの」
烝はただ茫然自失になり、膝をつくのだった。

屯所内での葬儀が行われ、その場で近く出動があることを土方は告げる。
葬式の場でのそんな言葉に、山南は土方を不信がるが、
総司は土方が悲しみにくれていることを察して「あなたのせいじゃない」と言う。

鉄之助は烝に、アユ姉の最後の飯を全部食べなかったことを後悔しているのだと言う。
話しながら涙が止まらなくなる鉄之助に、烝も涙を誘われようやく思い切り泣くのだった。
鉄之助に慰めてもらったと感じる烝。
鉄之助は去る間際に彼を初めて"烝"と呼ぶのだった。
「・・・俺はなァ!友達は名前で呼ぶ主義なんだよ!」
それを聞いて驚き、赤くなる烝だった。

     
474 名前:PEACE MAKER (ACT.20-21)[sage] 投稿日:05/01/23 18:51:37 ID:???
>>429 の続き

一八六四年、六月五日早朝。
物音を、吉田の帰宅だと思い玄関に赴いた古高が見たのは
殺した筈の歩(本当は扮装した烝)だった。
悪趣味だと言い逃れようとするも、腕の怪我を指摘され青ざめる古高。
そこに新撰組が現れ、捕り物が始まる。
逃げる古高に、烝は大男を両手に持ちながら静かに歩の死に様を語る。
殺気を感じた古高は、殺されるよりは捕まったほうがマシだと外に逃れようとするが
「・・・ホンマは殺ったらあかんのやけどなぁ カンニンなぁ」
そう言って烝苦無を振り下ろすのだった。
「もう忍にはなれへんのや」

捕り物が全て終わった後、烝を心配する鉄之助が駆けつける。
烝は「手加減できなかった」と、思い切り殴った拳を見せた。
殺すつもりだったのに最後まで中途半端だと言う烝に、自分もアユ姉も嬉しいという鉄。
しかし吉田稔麿は枡屋には居らず、取り逃がしてしまった。

屯所に戻る途中、鉄之助は鈴と再会する。
鉄之助を狙う鈴に、怒る鉄之助。鉄之助は刀を避け、鈴の苦しそうな顔を見る。
そこに現れた吉田稔麿。鈴の行動は彼の命令によるものだったのだ。
鉄之助を殺そうとする吉田を、鈴は堪りかねて止めようとする。
一方、鉄之助の方は過去の恐怖が先行して逃げることしか出来ない。
パニックを起こし、空き家の押入れに隠れる鉄之助。
吉田はその家に放火すると、鉄之助の潜む押入れを開け喉元に刀を突き立てた。
恐怖に怯え、失禁する鉄之助。
そこを鈴が止めに入り、泣きながら吉田に殺さないよう頼むのだった。
人が集まりだし火の回りも早いことから、吉田は鈴と共に燃える空き家を後にする。

両親の墓参りをしていた辰之助は、立ち上る煙を見て、嫌な予感を巡らせる。
火事の現場に走り、勘違いでありますように・・・と祈りながら押入れを開けると
そこにはもう一歩も動けず蹲る鉄之助がいた。

475 名前:PEACE MAKER (ACT.22-23)[sage] 投稿日:05/01/23 18:56:35 ID:???
完全に正気を失い、押入れに閉じこもってしまった鉄之助。
散々引っかかれた辰之助は、総司に押入れを開けないように言う。
もう誰が誰かなど認識できず、ただ押し入れで毛布に包まって怯えているのだ。
両親が死んでから、全く鉄之助は成長しなくなったという。
総司の自分の心の傷について咳き込みながら考えるのだった。

先日捉えられた古高は、土方にひどい拷問を受けていた。
ふと歩のことを口走る土方。
吉田の行動にしては、歩を殺したのはおかしな行動だと土方は言う。
それまでギリギリの均衡を保ってきた両者。その均衡を簡単に崩してしまった。
その言葉から、自分の独断で歩を始末したことが裏目に出たと気付く古高。
専属の忍を持ちながら、なぜ吉田らだけ逃げてしまったのか。
古高は吉田に見捨てられたのだ。
それまで黙秘していた古高は、土方に吉田の姿を重ねとうとう口を割ってしまうのだった。

「御所の風上から火をかけ京を火の海にし、その混乱に乗じて親幕派を暗殺、
帝を救い長州へ連れて行く」というのが吉田の計画である。

古高の土蔵から武器一式が奪われ、状況は一変する。
枡屋の一件で、善後策を講ずる会合が開かれると踏んだ新撰組は活動を開始し
午後六時、東には土方・原田ら24名が、西には近藤・沖田・永倉・藤堂ら10名が御用改めへ。

土方の頼みで押入れを開けようとする烝。
野生動物のように気を立たせていた鉄之助も、烝の説教で少しずつ正気を取り戻す。
烝は鉄之助に隊服と差し料を渡した。
辰之助は「勝手な真似をするな」と烝に怒りをぶつけるが、烝は彼の過保護に釘を刺すのだった。
鉄之助は決意し、先に出発した新撰組の後を追う。

476 名前:PEACE MAKER (ACT.24-26)[sage] 投稿日:05/01/23 19:06:25 ID:???
池田屋で会合を開く長州藩士達。二日後に計画を実行しようと吉田は言うが
宮部は古高を気にかけない吉田に異論を唱える。
しかし吉田はどうしても早く計画を実行したいらしい。(鉄之助の存在が原因?)

新撰組の動きを嗅ぎつけたくの一は池田屋へと急ぐが、途中烝に足止めをくらう。
池田屋についたのは近藤ら、少ない面々であった。
逃げ回る長人達を容赦なく斬る近藤・総司・永倉・藤堂。
数的優位にも関わらず、長州側は混乱し不利な状況に立たされていた。
裏口に脱出口を確保し退避を促す吉田に、宮部は同意せず切り殺されてしまう。
それを見た吉田は全てご破算になったことを悟り、自嘲気味に笑い池田屋に戻るのだった。
そこへ謹慎中だった鈴が、吉田を心配し駆けつけ自分も戦うと言う。
吉田は長州藩邸へ援兵を頼むようにと命令を与えるが
それは鈴を池田屋から遠ざけるためで、援兵が来ないことを吉田は知っていた。

槍を持ち店内に戻る吉田。藤堂が不意打ちを仕掛けるも寸でのところで外し
逆に頭部を突かれそうになるところを永倉に助けられるが額に重症を追ってしまう。
くのいちと対峙する烝は自分が力しか上回らないことを考慮し、至近距離での勝負に持ち込み
隙をついて発光弾を打ち上げた。

吉田を蹴り飛ばした総司が刀を突き立てようとしたその時、鉄之助が到着し
名前を呼ばれ振り向いた総司の隙をついて、吉田は瓦礫を吹き飛ばし、総司は倒れる。
吉田は総司には目もくれず、現れた鉄之助に焦点を定める。
恐怖に、またも押入れに逃げ込んでしまう鉄之助。総司は吉田を追い止めようとするが
それでも吉田の眼中には鉄之助しかない。
総司は吉田の左腕に一撃を入れ、優勢になったかと思われたが、その時激しく咳き込んでしまう。
力の入らなくなった総司は刀を落とし、窮地に陥る。
鉄之助は押入れから一部始終を見ていた。
そして、自分が強くなりたかったのは、殺すためではなく大事な人を守るためだと思い至る。


※宮部=宮部鼎蔵

477 名前:PEACE MAKER (ACT.27-29)[sage] 投稿日:05/01/23 19:16:09 ID:???
土方らは、池田屋に急ぎかけつける。
忍同士の戦いも終わり、二人は別れを告げる。忍の女は金髪の異人だった。
鈴は長州藩邸前で援兵を叫ぶが、誰も応答することはなく、涙を流す。

池田屋では鉄之助が吉田に立ち向かっていた。
吉田に突進し、足に刀を突き刺す。立ってはいても吉田の両足そして左腕は
ほとんど使い物にならなくなっていた。
残った右腕も切り落とされ倒れた吉田に、鉄之助は二年前になぜ自分を殺さなかったのか聞くが
吉田からは「なんのことだ。」という答えしか返ってこなかった。
トドメを差さない鉄之助に吉田は刃物を咥え、鉄之助の喉に突きたてる。
殺さないと殺されると分かっていても、鉄之助は吉田を慕う鈴のことを思うと動くことが出来ない。
刀が刺さるその直前、総司は吉田の首を刎ねるのだった。

騒動の後、会津藩から手柄を横取りすようとする連中が現れるが、土方・近藤らが追い払う。
総司を心配する土方は、総司が咳き込んでいるのを見て驚くが、総司は全部返り血だと嘘をつく。
土方に初めて優しくされ喜ぶ鉄之助は、置き去りになっていた刀を回収しているところを
空ろな表情で池田屋に戻ってきた鈴に見られるが、鉄之助は鈴に気付かずにその場を後にする。
呆然として吉田の死体に話しかける鈴。
凱旋の列の中、総司は土方に「鉄クンは自分のようにはならない。強い子だから大丈夫」と言う。
その列とは一人逆方向、吉田の首から滴り落ちる血の筋を道に作る鈴がいた。

こんな大事件がありながら、祇園祭は敢行され新撰組もお祭りムード。
祭りに出かけた鉄之助、烝、辰之助だが、辰之助の表情は暗く、
気まずい鉄之助は明るく振舞いながらもずっとお面を被ったままである。
刀を握ることをまだ反対する辰之助に、それでは鉄之助が可哀想だと烝は言うのだった。
祭に沙夜を誘いに来た鉄之助は、明里が寝込んでしまったため沙夜は看病していると聞く。
窓越しに沙夜と会った鉄之助は、刀を握っても人は殺さないと誓った。

それぞれの隊士達が祭りの夜を穏やかに楽しみ、池田屋事変は静かに幕を閉じるのだった。

                                                  <終>

478 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:05/01/23 19:30:17 ID:???
一応これで終わりです。
謎は謎のままで終わりという・・・
続編の「鐵」は連載中なので続きはそちらでどうぞ。