小花美穂短編集/小花美穂
410 名前:小花美穂短編集その1[sage] 投稿日:05/03/05 01:23:17 ID:???
白波の幻想(イリュージョン)
夏。主人公は、金とナンパ目的で海の家のバイトを始める。
ある日、主人公は、真昼間から大ジョッキでビールを呷る女を発見し、
ちょっとワケあり風を気にしつつも、その外見に惚れて声をかける。
女は、結婚を約束した恋人を飛行機事故で失っていた。
事故から数年たった今でも幻覚に惑わされ、現実を受け入れられない彼女だが、
生身の人間(主人公)の暖かさや優しさに触れ、混乱し、ぶっ倒れたりする。
主人公は、彼女を救おうと大事な指輪を海に投げ捨てるという荒療治に出るが、
指輪を追って彼女も海に飛び込んでしまい、主人公もダイブを敢行する。
海の底に沈んでいくふたりは、優しい光に包まれた気がした。
いつの間にか、浜辺にうちあげられているふたり。
彼の声が聴こえたと言う彼女の眼は、すっきりと澄み切って輝きを取り戻し、
ふたりは、この夏が終わっても、また会おうと約束する。 <了>

ぼくとお嬢様
ある日、主人公は、バス停のベンチで寝ている、妙に身なりのいい少女を拾う。
祖母とふたり暮しの質素な家や、ファーストフードを珍しがる少女を見て、
こりゃ生粋のお嬢様だ、どこの深窓のご令嬢だと思いながらも惹かれる主人公。
少々ワケありらしい彼女を友達と一緒に遊園地に連れて行った主人公は、
観覧車の中で、歯をぶつけ合いながらという、痛いファースト・キスを体験する。
厳格な家を嫌い飛び出したと言う彼女は、もっと強くなると言い残し帰っていく。
主人公は、いつか来るであろう再会の日を夢見ている。 <了>

411 名前:小花美穂短編集その2[sage] 投稿日:05/03/05 01:24:32 ID:???
7年目のシーン
小学生の頃に駆け落ち経験のある主人公。
相手の男は今も同じ高校に通っているが、疎遠な状態が続いていた。
ある日、合コンで顔を合わせた主人公は、彼の母親が精神を患っていると知る。
家事を手伝いながら、彼の孤独に触れた主人公は、なんとか彼の力になりたいと思う。
しかし、そんな秘密の自宅デートは、すぐに発覚してしまう。
主人公の両親は、またあのときの二の舞になるものかと彼女を自宅謹慎させる。
母親の病気を理由に交際を反対する親を許すことが出来ず、啖呵を切る主人公。
真剣な顔で訴える娘に親は圧倒され、ふたりの自宅デートは続行許可となる。 <了>

眠り姫にズレたKISS
中学時代、アイドルおたくだった主人公は、周囲の男に全く興味がなかった。
でも、そんな彼女を可愛いと思い、告白した、物好き男1号。
びっくりした主人公は、その場で彼を振るが、以降気になる存在に格上げされる。
高校に進学し、外見は美しくなるものの、天然っぷりを増す主人公。
そこに惚れる、物好き男1号の親友、2号。
彼らの三角関係は、同じ高校という舞台も手伝って面白可笑しく展開するが、
ある日、主人公の爆弾発言を男ふたりが立ち聞きしてしまい、事態は急変。
あの日、ふられた瞬間から好かれていたと知った1号は複雑な気分になるが、
友達思いの2号の一押しもあって、晴れてふたりは恋人同士になる。
数年越しのズレた片思いが実ったとき、彼らはキスをかわす。 <了>

412 名前:小花美穂短編集その3[sage] 投稿日:05/03/05 01:25:31 ID:???
そんなロマンス
バレンタイン・デー当日、ふられた者同士傷を舐めあったふたりは、新学期に再会する。
屈託ない笑顔と明るさで人気者になった彼に惹かれ、正式に付き合い始めた主人公だが、
あの日の泣き顔を思い、あんな顔をさせるなんてどんなに素敵な女だったのと心を痛める。
ある日、彼の元に、元カノから寄りを戻したいと連絡があったことを知った主人公は、
それまで彼と築き上げてきた関係を信じきれず、初めて出会った思い出の場所に行く。
そこには、あの日と同じように泣き腫らした目をサングラスで隠した彼が待っていた。
「どうしたらいいかな?彼女が信じてくれないんだ、俺はこんなに大好きなのに」
見かけによらず泣き上戸なんだと言う彼を、主人公もまた泣笑いながら抱きしめる。 <了>

無期限のしあわせ
両家公認の倦怠期カップルである主人公は、付き合いの長さで信頼を測れると思っている。
愛してるなんて言葉はいらない、だって抱きしめあえば心は伝わるでしょうと彼女は思う。
一方、彼は、そんな彼女のいつも一言少ない愛情表現を不満に思い、不安に駆られていた。
ある日、可愛らしい後輩が「自分の誕生日まで限定の彼女にして」と彼に告白する。
主人公は嫉妬を覚えながらも、短期間だからと了承し、不用意に彼を傷つけてしまう。
大好きな人と付き合う喜びをあのコにも知って欲しかった……彼女の悲痛な叫びは彼に届かない。
ある日、一緒に拾った捨て猫の世話をしようと彼の家を訪れた主人公は、
仲良さそうにしゃべるふたりを見つけて、思わず逃げ出してしまう。
約束の期限─誕生日当日。別荘でふたりきりという状況にいてもたってもいられなくなった
主人公が現場に駆けつけると、彼は、すでに帰った後だった。
主人公は、彼女を裏切れないと言った彼の気持ちを思い、今後の態度を改めようと誓う。 <了>

413 名前:小花美穂短編集その4[sage] 投稿日:05/03/05 01:26:53 ID:???
窓のむこう
喫茶店でバイトする主人公には、お気に入りで憧れの常連カップルがいる。
彼らは、いつも、大きな窓がある景色のいい席に座って楽しそうにしゃべっている。
あたしもいつか、ふたりのような恋人同士になってあんなふうにデートがしたい。
でも、そんな夢見る主人公に言い寄ってくるのは、どうにもガキっぽい同級生。
嫌いじゃないけど、こいつじゃ、あのふたりのようにはなれない。
そんなある日、ふたりは、突然口論を始め、女は店を飛び出し、男はそれを追わなかった。
それからというもの、店に顔を出しては閉店時間まで粘る彼を見て、
主人公は、きっと彼女を待っているんだと思い、気持ちが落ち着かなくなる。
憧れのふたりだからどうしても気になるという主人公の言い分を不審がる同級生は、
「その男に気があるんだろう」と暴言を吐き、主人公を怒らせる。
ある日、ゴミ出しをしていた主人公は、店の外に彼女がいるのを発見し、彼に知らせる。
抱きしめあうふたりを見た主人公は、頬に涙が伝うのを感じた。
その後、相変わらずスキスキ言い寄る同級生となんとなくいい雰囲気になった主人公。
彼らは、すれ違う中学生に「あんなカップルが理想だな」と言われる。 <了>

※この他にもいくつか短編がありますが、記憶が曖昧で書くことが出来ません。
登場人物の名前も頭の中で混交しているので、あえて挙げませんでした。

420 名前:小花美穂短編集その5[sage] 投稿日:05/03/06 05:36:03 ID:???
せつないね
パチンコ屋のひとり娘千絵。中学生の千絵は、従業員の恭司に一目惚れするが、
彼には駆け落ちしてきた郁子という彼女がいて、ともに住み込みで働いていた。

「立ち仕事は脚にくるよな」そう言って、恭司は郁子にマッサージをする。
千絵は、郁子のことを、とても素敵でライバルなのに憎めなくて辛いと思う。
でも、郁子は休憩時間にふと姿が見えなくなると、時々、目を赤く腫らして帰ってくる。
遠く離れた両親を思って影で泣く郁子は、恭司をとても不安な気持ちにさせている。
千絵は、私を見て欲しいと思う。郁子さんじゃなくて……私を。
郁子さんがいなくなれば、恭ちゃんは私を見てくれるかもしれない。きっと……。

恭ちゃん恋しさに思いつめた千絵は、事務所から郁子の履歴書を盗み出し、実家に連絡する。
その日の夜、思い出話に花を咲かせ、幸せになりたいと肩を寄せ合うふたりを見た千絵は、
早く逃げてと叫ぶ。一刻も早く……そうしないと、離れ離れになる……!
千絵の取り乱した様子に、訳も分からず、ただ呆然とする恭司と郁子。
そんな彼らの前に、怒りに身体を震わせ、気色ばんだ表情をした郁子の両親が現れる。
父は恭司を殴り飛ばし、母は泣いている郁子の腕を取った。連れ戻される郁子。
郁子の居場所をリークしたのが千絵だと知っても、恭司は責めることはせず、
逆に、これで良かったのかもしれないと言って、泣いて謝る千恵を慰める。

421 名前:小花美穂短編集その6[sage] 投稿日:05/03/06 05:36:58 ID:???
ある休日、どこかに出かけようと誘うために恭司の部屋を訪れた千絵は、
郁子のヘアバンドをつけて放心している恭司を見て、胸を痛める。
気丈な恭司は、普段はいつも以上に元気に振舞い、皆に心配をかけまいとしている。

ある日、郁子から恭司に、別れを告げる電話が入る。
落ち込む恭司に、千絵は意を決して告白するが、郁子を想う恭司の言葉に傷つけられる。
しかたない……恭ちゃんから郁子さんを遠ざけたのは、私だもの……。
それでもそばにいたいと思う千絵だったが、恭司の寂しそうな表情は一向に晴れない。
ああ…今になってわかった…私は郁子さんを一生懸命愛してる恭ちゃんを好きになったんだ…
郁子さんがいないと、恭ちゃんが、私の好きな恭ちゃんじゃなくなってく……。

数日後、郁子から恭司宛に手紙が届き、千絵は迷いながらもそれを恭司に手渡す。
手紙の内容には、察しがついていた。別れの電話を打ち消すように届いた手紙。
恭司に会いたい……郁子の気持ちを再確認した恭司は、郁子の元へと急ぐ。
はじめてのキスは恭ちゃんとしたかった……そういう千絵の唇に優しいキスを残して。<了>

422 名前:小花美穂短編集その7[sage] 投稿日:05/03/06 05:37:52 ID:???
この手をはなさない
両親を早くに亡くし、小さな喫茶店を経営する兄とふたり暮しの高校生中野恒(なかの・こう)。
彼は、小学生の頃に、今でも思い出すたびに胸が痛くなる「初恋との別離」を経験していた。

季節外れの転校生だった少女は、学業優秀・スポーツ万能で、すぐにクラスの輪の中心となった。
しかしそんな笑顔の裏で、少女は、母とふたり、借金取りの執拗な追跡に怯えながら暮らしていた。
人伝に事情を知った恒は、生活苦を全く感じさせない、明るさと素直さとひたむきさを持った少女に
惹かれるが、ある日、突然、少女は失踪してしまう。少女の名は、光部由香子(みつべ・ゆかこ)。

ある日、恒は犬の散歩中に万引き現場に遭遇し、成り行きで追われていた女を助けてしまう。
ガリガリに痩せ細り、着る物もままならない「小汚い女」。でも、その顔には見覚えがあった。
「由香子なのか……」俄かには信じ難い恒だが、女は、あのときと変わらぬ笑顔で恒に微笑む。
しかし、手首に自殺未遂を思わせる傷痕を残し、母は既に他界したと話す由香子は、
自堕落で荒んだ生活をしており、その変貌振りに心を痛める恒は、なんとか彼女を救いたいと思う。

由香子は、母の元恋人ハルキと暮らしていた。恒は、不本意ながら「ペットと飼い主の関係だから」
という由香子の言葉を信じ、栄養失調気味の彼女のために、日々餌付けに勤しむ。
さらに、恒のバイト先で働き始めた由香子は、徐々に本来の明るさを取り戻し、雰囲気も一変する。


423 名前:小花美穂短編集その8[sage] 投稿日:05/03/06 05:38:40 ID:???
ある日、恒と由香子はガラの悪い連中に取り囲まれる。彼女は未だに借金取りから追われていた。
彼らの話から、由香子の手首の傷痕は、無理心中のときに母から負わされたものだと知った恒は、
彼女をこれ以上危険に晒すくらいならと、亡き父が遺してくれた土地を差し出す。
由香子には多くを語らず、ただ「これで自由になった」と笑う恒だったが、事実を知った彼女は、
土地を買い戻そうと金を得るために、再び恒の前から姿を消す。

由香子の2度目の失踪に、過去がフラッシュバックし、パニックになる恒。
一方、旅館の仲居として働いていた由香子も現金盗難の疑いをかけられ、追い出されてしまう。
なんとか由香子を見つけた恒は、ふたりで働きながらいつか土地を買い戻そうと彼女を説得する。

恒の元に帰った由香子の前に、ある日、元カレの淳也(じゅんや)がやってくる。
強引に由香子を連れ出し逃げる淳也を追いかけた恒の目の前で、クラッシュし、横転するバイク。
タンデム・シートに座っていた由香子は、勢いよく投げ出され、流血し、病院に搬送される。
しかし、今にも倒れ込みそうなほど心配する恒が病室を訪れると、そこには元気に笑う由香子がいた。

一連のヤクザな取り立てが違法行為だと分かった由香子は晴れて自由になり、恒も土地を取り戻す。
ふたりは結婚し、狭いながらも新居を構え、子どもたちと幸せで温かい家庭を築く。 <了>