ナイトメア☆チルドレン/藤野もやむ
245 名前:ナイトメア☆チルドレン[sage] 投稿日:05/02/07 10:21:56 ID:???
作品紹介。

ナイトメア☆チルドレン
作:藤野 もやむ
ガンガンWINGにて99年頃〜02年頃まで連載。
全5巻。
世界観はファンタジー。というか近現代のヨーロッパ辺りをイメージしてください。
「ナイトメアチルドレン」を巡るストーリー。
最初は一話完結だがキャラが出そろってくるにつれて、一本筋のストーリーになってくる。
無駄な回がほとんど無く、5巻いっぱいいっぱいに詰まっている感じ。
なお、マッグガーデンからこの作品のプロローグというか外伝みたいな物がでている。
詳細が知りたい人は言ってください。


250 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:05/02/07 20:19:43 ID:???

―パパもママもお兄ちゃんもすごく忙しくて私の相手なんてしてられない。
だからこそ特別だったんだ。
いつも私の頭をやさしくなでてくれるのは…
お姉ちゃんだけだった―
話しかけてもこっちを見ようとせず、
一日中ベッドの中で、
まるでそこにいないみたいにいつもどこかを見ている。
世間知らずなお嬢さま、クレームドゥ=カカオはそんな姉を助けるため、
ベルスタシオ=イヴルというなんでも屋をたずねた。
しかし、事情を話しても相手にされず、追い返されてしまう。
カカオが途方にくれていると、家にいるはずの姉が背後に現れた。
しかしどうも様子がおかしい…。
疑問に思っていると、ペット兼相棒のバクの反応が気にかかり、カカオを追ってきたベルスタシオが姉を拳銃で撃ち抜いた。
すると、『カカオの姉』の死体が収束し、
カカオと同じくらいの年の少年の姿をかたどっていく。
その少年は、ナイトメアと呼ばれ、捨て台詞を残し姿を消した。
家に帰れとベルスタシオに言われるカカオだが、なぜかこう思った。

―この人じゃなきゃいけない…気がする―

ベルスタシオのうでに思わずしがみつき私も連れてってと頼むカカオ。

―似てる…。―

「守って、やろうか?」
「え?」
突然のベルスタシオの提案に驚くカカオ。
どうして急にベルスタシオが自分を守ってくれると言ったのか、
どうして自分も守ってもらいたかったのか、
この時のカカオはまだ何も知らなかった。

247 名前:ナイトメア☆チルドレン 1[sage] 投稿日:05/02/07 10:33:08 ID:???
それから何日か経った日のこと。
ベルスタシオとカカオは、依頼のあった町にやってきていた。
ベルスタシオが情報を集めている間にカカオは、アミエルという、依頼の手紙を届けた郵便配達の少年と出会い、話すにつれ、次第に仲良くなっていった。
話の流れでナイトメアの話になり、
カカオは自分がベルスタシオの仕事にくっついて来たことを話す。
それを受けて、アミエルは言う。
―邪眼(イーヴルアイ)を持つナイトメア。人間に「幸せな夢」を与える代わりにその人の命を奪う、そんなおとぎ話―
ナイトメア最大の特徴である邪眼。しかし、それはおとぎ話ではない。
生まれつき邪眼をもつ少年、それが自分だと、目を見せるアミエル。
そこにはあのナイトメアと同じ目があった。
不意にベルスタシオが現れる。
カカオを遠ざけるとベルスタシオはアミエルに銃を構えた。役場からの依頼。それは、アミエルを殺すこと。
「最後に答えてくれ。お前はあの手紙の内容を知っていたのか?」
そう聞かれ、アミエルはそっと目を閉じた。
カカオが戻ったとき、すべては終わっていた。
泣きながら平手打ちするカカオを尻目に淡々とベルスタシオは語る。
「邪眼には不思議な力がある。癒す力、壊す力、、手紙の中身を勝手に読んでしまう力…とかな。
こいつは手紙の中身を知っていた。それでも逃げなかったんだ」
人はその力を恐れ、不安を感じ、それがいつしか憎しみに変わり、邪眼の人間―ナイトメア―を殺そうとする。
「でも…、これじゃあ、ただの人殺しだわ!!」
カカオはこの晩、ベルスタシオの家の中で眠らず、
毛布一枚で外の家の壁にもたれ掛かって眠りについた。

255 名前:ナイトメア☆チルドレン 2[sage] 投稿日:05/02/08 21:20:48 ID:???
あれから夜が明けて、朝になった。
天気は雨。外で寝ていたカカオはびしょ濡れであった。
一方、ベルスタシオ。
なんだかんだいってカカオを心配していると、耳元で囁く声が聞こえる。
―誰(なに)が欲しい…?―
「…ニセモノなんて、いらねぇよ」
「ウソばっかり…。」
ハッとするベルスタシオ。不意に窓のところにナイトメア―あの少年―が現れた。
「よほど強く意識してないと見分けもつかない癖に」
そういい残すと少年は消えて、部屋にはベルスタシオだけが残された。

カカオはバクを抱えながら雨に打たれつつしゃがんでいると、前から17、8歳くらいの女性が歩いてきた。
「そんなところで何してるの〜?」
その女性はベルスタシオを「ベル」とあだ名で呼んだ。
どうやらベルスタシオの知り合いらしい。
「待って!依頼ならいらないわ。お願い…!!もう、あんなの見たくない…」
カカオは女性にしがみついていた…。

場面は変わり、ベルスタシオの家。
本を広げつつも、頭の中はカカオと、もう一人の女性のこと。
「なんだかな…。似すぎだよ…、コルク…」
バン!バン!
ドアがものすごい音で鳴った。開けると女性がカカオを抱えながら勢いよく突っ込んできた。
カカオは苦しそうにしている。どうやら、熱があるようだ。
ひとまず、カカオを別室のヘッドに寝かせた。
「で?今回は何をしに来たんだよ、アーリ」
その女性(タイムズ=アーリ)はその質問に答えかけ、いったん止めた。
「隣の部屋で話さない?」

256 名前:ナイトメア☆チルドレン 2[sage] 投稿日:05/02/08 21:21:53 ID:???
アーリはベルスタシオに依頼を持ってきたのだと言う。
カカオのことを考慮して目の前で話すことを避けたのだった。
ベルスタシオがカカオの反応の訳を言う。
昨日、邪眼の子供を殺したこと。
その子とカカオが仲良くなっていたこと。
ちゃんとその子を人間扱いしていたこと。

カカオは何も知らない。ナイトメアも邪眼も。
それが故に純粋なのだ。
アーリがその部屋から出ると、カカオは起きていた。
支離滅裂なカカオの話を優しく聞くアーリ。
大体の事情を把握し、ベルスタシオにバトンタッチする。
たどたどしい会話の末に、ベルスタシオは約束する。
…もう、殺したりはしないことを。
食卓ではアーリが食事を用意していた。
3人で囲む食卓。食事の最中、カカオが突然叫ぶ。
「決めた!これからはベルスタシオ=イヴルを略してベイルって呼ぶ!!」
それは彼女なりの気分転換だったのかもしれなかった。

一方、カカオの家。
二人の男が女性の眠る部屋の前で話し合っている。
「コルクはずっとあの調子なのか」
「ああ、兄さん。…もう手遅れじゃないのかな」
「やはり、ベルに頼むしかないか…。ついでに『カカオ』も迎えに行くとしよう」