夏目友人帳/緑川ゆき
644 名前:夏目友人帳 緑川ゆき[sage] 投稿日:2006/06/25(日) 00:11:17 ID:???
【登場人物】
夏目貴志:
幼い頃に両親を亡くし親戚の家をたらいまわしにされてきた高校生。妖怪を見る力がある。

ニャンコ先生:
本名は斑(まだら)。招き猫を依代に封印されていた妖怪。本当は巨大な狐のような姿。
ボディーガードをする代わりに、夏目に先生と呼ばせる。

夏目レイコ:
貴志の祖母。強い妖力の持ち主で妖怪を見ることができる。友人帳の製作者。


両親を幼い頃になくした夏目少年は、今回父方の遠縁に当たる藤原家に
引き取ってもらえることになり引っ越してきた。夏目は昔から妖怪の類が見えたが
そのせいで周囲の大人から気味悪がられたり、虚言癖があると思われ
誰からも理解されなかった。自分を引き取ってくれた心優しい藤原夫妻に
気味悪い思いはさせたくないので、妖怪が見えることは秘密にするつもりだ。
引っ越してきて以来夏目は妙に妖怪に絡まれていて、その日も一つ目の
大きな妖怪に追いかけられていた。その妖怪は何故か夏目のことを「レイコ」と呼ぶ。
夏目は妖怪の入ってこられない神社を目指し森の中を走っていたが
その途中で紙垂のついた縄に躓き、縄を切ってしまった。
すると近くにあった小さな祠の封印が解け、招き猫の姿をした妖怪が現れた。
はじめは怯えていた夏目もそのかわいらしい姿に笑ってしまう。
その妖怪も夏目のことをレイコと呼ぶので、それは自分の祖母だと夏目は説明した。
彼は祖母の若い頃にそっくりだったのだ。
レイコも妖怪が見えるせいで誰からも理解されず、いつもひとりだったと妖怪は言う。
そして妖怪相手に憂さ晴らしをしていたらしい。祖母の行いに夏目は少し呆れる。
その後妖怪は「ユウジンチョウを知っているかい?」と言葉を残し、消えてしまった。



645 名前:夏目友人帳 緑川ゆき[sage] 投稿日:2006/06/25(日) 00:18:55 ID:???
家に帰った夏目は祖母の遺品の中から『友人帳』と書かれた帳面を見つけた。
帳面には絵のような変な落書きばかりが書かれていたが、夏目はなぜかこれを文字として
読むことができた。そこへさっきの猫妖怪が現れ友人帳をよこせと襲い掛かった。
しかし妖怪は夏目のゲンコツに返り討ちにされる。妖怪は負けたくせに
封印をといてもらったお礼にボディーガードをしてやってもいいと言い出す。
夏目はそれよりも友人帳の説明を求めた。

友人帳とはレイコがいじめた妖怪達の名前が書いてある物。当時レイコはうさばらしに
妖怪相手に片っ端から喧嘩をしかけ、負けたら友人帳に名前を書かせていた。
友人帳に名前を書いた妖怪は、それを持つ者の命令に逆らえなくなってしまうのだ。
だからここらの妖怪は友人帳を狙っている。ニャンコ先生もその1人だ。
夏目は面倒を避けるために妖怪達に名前を返すことにした。嫌がる先生だったが
夏目が死んだ時は友人帳を貰い受ける約束をし、名前を返す方法を伝授した。
『名前を返したい妖怪をイメージすると、友人帳が自動で名前の書いてある紙を割り出す。
その紙を口にくわえ、手を強く打ち合わせて集中し、ふっと息を吐けば返還完了となる。』
夏目は先程追いかけられた一つ目妖怪に名前を返すため、名前の紙を口にくわえた。
すると友人帳に残っていたレイコと一つ目の昔の記憶や思念が流れ込んできた。

646 名前:夏目友人帳 緑川ゆき[sage] 投稿日:2006/06/25(日) 00:20:39 ID:???
その昔、一つ目は恐れられ、他者との関わりも無く一人寂しく生きていた。
そんな時、気味が悪いと石を投げられるレイコに出逢い何かしら共感を覚えた一つ目は
友人帳に名を書き、彼女と主従関係を結んだことにほのかな喜びを感じていた。
そしてレイコの言った「名前を呼んだら飛んできてね」という言葉を信じ
彼女に呼ばれるのを待っていた。しかし何年、何十年たってもレイコは呼んでくれない。
寂しさは次第に恨みへと変わり、呼ぶ気が無いのなら名を返せと夏目を襲ったのだった。
一つ目はレイコが憎くい訳でも、友人帳を奪いたい訳でもなかった。
その思いを受け夏目は一つ目の名を呼んだ。すると一つ目からは邪悪な気配が消え
「もう一人でも平気かい?」とレイコに問いかけた。夏目は
「祖母はたぶんけして独りではなかったよ。ありがとう」と祖母の友人に礼を述べた。

妖怪のことは相変わらずあまり好きになれない夏目だったが
今回のことで、良くも悪くも出逢いのひとつだと思えるようになったのだった。
ついでにニャンコ先生は藤原家に普通の猫として暮らすことになった。
これから夏目少年とニャンコ先生の名前返しの日々が始まる。

647 名前:夏目友人帳 緑川ゆき[sage] 投稿日:2006/06/25(日) 00:26:50 ID:???
これで第一話終了です。
一話完結ものなのでどう書けばいいかわからず
今回は第一話だけにしておきました。