聖剣伝説レジェンドオブマナ/天野シロ
313 名前:聖剣伝説レジェンドオブマナ 1[sage] 投稿日:2006/10/23(月) 01:19:31 ID:???
その樹は言った……
  『私は全てを限りなく与えます
    ──私を見つけ、私へと歩いて下さい』


ファ・ディールと呼ばれる世界。豊かな自然の中に様々な種族が暮らしている。
この世界はマナという力で成り立っており、
全てを生み出したマナの女神は、発展し続ける世界を支えるためマナの樹を生み出したのち
姿を隠したと言われている。

剣士の少年トト(漫画版の主人公。元のゲームでは主人公を男女から選択できる)はある日、
メキブの洞窟で真珠姫と名乗る珠魅の少女に出会う。
(珠魅とはその胸に宝石の核を持つ麗しい種族。男女の別はあるが繁殖能力がない。
 基本的に「騎士」と「姫」というペアで行動する。
 核を狙う者達との争いを経て絶滅寸前の為、基本的に他種族との接触を避ける傾向にある)
パートナーとはぐれてしまったという危なっかしく天然な真珠姫とともに、洞窟を出るトト。
その頃、ドミナの町では珠魅の少年がイライラしながらうろついている。
彼こそが真珠姫のパートナー、騎士である瑠璃だった。
トトが二人を引き合わせると、二人は礼を言い去っていった。

七賢人の一人、ポキールがいずことも知れぬ地で一人歌う。
「人々は忘れてしまった。
 大地の記憶、マナの力。世界はイメージによって形作られていること。
 マナの樹……忘却の果てに世界は希薄なもととなってしまった。
 創造主たるマナは救いを求めている」


314 名前:聖剣伝説レジェンドオブマナ 2[sage] 投稿日:2006/10/23(月) 01:20:34 ID:???
トトは獣人の少女、ガトの町の僧兵であるダナエと出会う。
彼女は七賢人の一人ガイアに会うためやって来たのだが、
(七賢人とは、大昔の妖精戦争にて活躍した7人の英雄達のこと。
 そのうち一人は世を去り、現在6人)
「知恵の賢人」と呼ばれるガイアに一人で会う勇気が持てないのだと語る。
同行することにしたトト。
その頃ガトの町では、青年剣士エスカデが寺院の重要人物マチルダと強引に面会を果たしていた。
すっかり老い、立つこともままならないマチルダの姿に驚愕するエスカデは
彼女をそんな姿にした悪魔・アーウィンを倒す為10年ぶりに奈落から帰って来たのだと告げる。
(比喩でなく、死者の魂が行く奈落と言う場所がある。
 と言っても生き返るような芸当が可能なわけではなく、エスカデが帰って来れたのは
 彼が不慮の事故により生身で奈落に落っこちた=死んでいなかったため)
ガイアへの道中、トトにダナエは語る。
寺院の司祭の一族であるマチルダ、騎士の一族であるエスカデ、僧兵の自分と
悪魔の血を引くアーウィンはかつて幼なじみだったのだと。
しきたりに仕切られる生活を嫌ったマチルダはアーウィンに惹かれ
彼とともに寺院を出る。
が、彼女はすぐに帰って来た。アーウィンに精霊力を奪われた姿で。
そのせいでマチルダは急速に老衰し、今や死の淵にいる。
自分はマチルダを助けたい、一体どうすればいいのかとダナエはガイアに問うた。
ガイア(顔のついた巨大な岩山で、彼の知識はこの世界の知識そのもの)は答える、
「彼女の望むことをしてあげればいい」
「彼女は運命を受け入れようとしているのよ。つまり死を」
「人は自分で自分を決める力を持っている。それを知るべきだ。
 彼女があなたに教えようとしていることに耳を傾けなさい」
黙って見ていろとも聞こえるガイアの言葉に、思わずトトは反論する。
「友達が死ぬっていうのを、黙って見てるバカがいるのか!」
その言葉に何かを得たダナエは礼を述べると、ガトの町へと戻る。
遠ざかる二人を見ながら、ガイアは呟いた。
「そうか、あの少年が……マナの選んだ希望」


315 名前:聖剣伝説レジェンドオブマナ 3[sage] 投稿日:2006/10/23(月) 01:21:13 ID:???
たとえアーウィンと戦うことになってもマチルダを助けると決心したダナエ。
だがガトの町に戻った彼女の目の前で、マチルダはアーウィン配下の魔物に攫われてしまい
ダナエはエスカデとともにその後を追う。
その頃、ダナエに置いていかれたトトはようやくガトの町に到着。
寺院の修道女に化けた魔物に気付かず、マチルダを封印の間へと運ぶ手伝いをしていた。
ようやく追い付いたダナエ・エスカデの前で真の姿を現し襲いかかる魔物。
それを難なく撃退したトトの技量に二人は驚く。
アーウィンを許せない、倒しに行くと息巻くエスカデにマチルダは語る。
アーウィンは、マチルダが精霊力を失えば司祭にならなくてすむはずだと
しきたりから解放しようとしてくれただけで、自分は今幸せなのだと。

トトが自宅に戻ると、空き家だと勘違いした獣人の双子コロナ(姉)とバド(弟)が居座っていた。
トトが貰い物や拾い物を適当に並べて作った箱庭を見て、二人はトトが
伝説のアーティファクト使いだと言う。
(アーティファクトとは古の世界の記憶を封じたと言われているもの。
 持つ者のイメージが現実化するらしい)
感激した双子はトトに弟子入りし、留守番役となる。
次の朝、コロナが大事にしているほうき(親の形見)がなくなり大騒ぎ。
ゴミ山へと探しにいったコロナはアーティファクトクリーチャー
(アーティファクトのなりそこないが思念を持ったもの)に襲われるが、間一髪で
トトがクリーチャーのリーダーである人形を倒し助かる。
ほうきを届けてくれたゴミ山の管理人・ルーイは言う。
「このほうきはずっと持ち主(コロナ)を呼んでいた。
 あなたもアーティファクト使いだったらわかるはず」
だがアーティファクト使いという言葉に全く覚えのないトトは首をひねるのだった。


316 名前:聖剣伝説レジェンドオブマナ 4[sage] 投稿日:2006/10/23(月) 01:22:02 ID:???
トトは枯れかかった大きな樹の夢を見た。見せたのはポキール。
合流した七賢人の一人セルヴァは言う。
「彼にマナの樹が「見えた」のなら、何も心配することはない。マナの導きだ」

ある日目覚めたトトは、自分が奈落(死者の国)にいることに驚く。
傍にいた獣人・ラルクは、奈落の底で自分の主であるティアマットが呼んでいると言う。
ティアマット(人の姿をしているが、実態は竜)の頼み(というか生き返るため)で
トトは世界を統べる三匹の「知恵の竜」を倒しに行くはめに。
ラルクとともに首尾よく二体を倒したトトは、最後の竜ヴァディスのもとで
ドラグーンでラルクの姉であるシエラに襲われる。
(ドラグーンとは知恵の竜直属の騎士で、主の竜が死なない限り歳をとらず生涯をともにする。
 ラルクはティアマットの、シエラはヴァディスのドラグーン)
ラルクの本当の目的は、竜が守るマナストーン。ヴァディスはその在処を教え、
ラルクはマナストーンを持って奈落へと戻る。
トトとシエラはそれを追い奈落へと駆けつけるが、
ラルクはティアマットによりマナストーンの力を無理に注がれ怪物化していた。
姉シエラの手によって倒されたラルクは今際の息で語る。
「間違いだとわかっていても、俺は生き返ってもう一度、姉さんと……」
(ラルクはかつて死んだが、奈落にてティアマットと契約することで地上でも活動していた。
 マナストーンの力でちゃんと生き返ることこそが、彼の本来の目的)
トトとシエラは、地上に復活したティアマットを協力して倒す。
城の崩壊に巻き込まれたシエラは「現世と奈落の狭間」でラルクと再会する。
ティアマットが死んだことで自分はまたしばらく奈落に繋がれる、と語るラルクは
シエラに帰るよう促す。主たる竜が生きていればドラグーンは死なないのだ。
地上で目覚めたシエラは、マナストーンがあるべき場所に戻り
トトに倒された知恵の竜二体も無事復活したことを知る。


317 名前:聖剣伝説レジェンドオブマナ 5[sage] 投稿日:2006/10/23(月) 01:23:15 ID:???
巷では、珠魅を襲い核を奪う(=殺す)宝石泥棒サンドラが話題になっていた。
ただでさえ少ない仲間を殺され激高する瑠璃に、トトは
狙われる珠魅を先に保護すれば良いと提案、魔法都市ジオへと向かう。
そこで出会ったエメラルドの珠魅・エメロードの頼みで、
トトと瑠璃は彼女の三人の姉(既に死亡し、核のみの姿)を捜すこととなる。
核の共鳴を頼りに、宝石商アレックスの助けを借りてジオ中を捜索する三人は
とある店の倉庫で石化したダイヤモンドの珠魅・ディアナを発見。
ディアナは100年ほど前に滅びた珠魅の集落・煌めきの都市の族長だった。
(瑠璃は非常に若い珠魅で真珠姫以外の同族を知らず、都市の存在も知らなかった)
彼女の口から珠魅の実態が語られる。
「涙が涸れさえしなければ、私達の歴史は永遠の物だったはず」
珠魅は不老長寿、核が壊れない限り生き続けるが、
一度傷つくと「涙石」という特殊な石がないと治せない。
姫を守る「騎士」、涙の結晶である涙石で騎士の傷を癒す「姫」。それが本来の姿。
涙石はあらゆる傷を癒し、核だけとなった者すら生き返らせる神秘の石。
だが自分達だけの集落で安穏と暮らすうち、珠魅は泣くことを忘れてしまった。
唯一人、玉石の姫の蛍姫を除いて……。
(珠魅は核となる宝石のランクで、上から玉石・輝石・半輝石・捨石という階級制があった)
だが蛍姫はあるとき、騎士とともに失踪。
涙石を失い傷を治すことができなくなった珠魅は
身を隠すため都市を放棄し、各地へと散って行ったのだ。

やっと三つの核を集め終わる三人。
「もし私が死んじゃっても、絶対泣かないでね」
騎士になると宣言したトトに対し、エメロードは言う。
「珠魅のために涙するもの、全て石と化す」という言い伝えのためだった。
エメラルド四姉妹が揃うのを待っていたサンドラの罠にはまり、エメロードが捕まってしまう。
「泣いて命乞いをすれば許してあげる」
姫なのにどうしても泣けないエメロードは、トトと瑠璃の目の前で
核を抜き取られ殺されてしまった。
ジュエルビーストを召喚しサンドラは逃走、トトはエメロードの墓に核の奪還を誓う。


318 名前:聖剣伝説レジェンドオブマナ 6[sage] 投稿日:2006/10/23(月) 01:24:55 ID:???
アジトで変装を解くサンドラ。その正体は宝石商であり
実はアレキサンドライトの珠魅でもあったアレックスだった。
異形の男・宝石王に取ってきた核を呑ませたアレックスは、
蛍姫の苦しみを思えばこの身を同族の血で汚すなど容易いことだ、とひとりごちる。

ジオにレディパールがやって来た。
(真珠姫のもう一つの人格で、核は黒真珠。有数の力を持つ元玉石の騎士)
合流しアレックスの店を訪ねた三人は、店内の宝石箱から語りかけられる。
中の異次元空間には、失踪したはずの玉石の姫・蛍姫がいた。
珠魅で唯一人「涙」を流せる彼女は死にかけており、その核は傷ついて真っ白。
己の命を削り涙石として、他者に分け与え続けた結果だった。
宝石泥棒の正体を現玉石の騎士であるアレックスだと明かした蛍姫は
彼の同族狩りを止めるようトトに依頼、三人は煌めきの都市へと向かう。
アレックスの目的は、1000個の珠魅の核を宝石王の体内で融合させ涙石と変え
蛍姫を救うことだった。
ディアナをも殺し、集まった核は998個。瑠璃とパールの核であと2個が揃うと、死闘が始まる。
傷つき倒れたパールの核を奪おうとするアレックスに、瑠璃は自分の核を抜き取り
これをやるからパールを見逃せと迫り、死ぬ。見事だと感嘆するアレックス。
宝石王に1000個目を求められた彼もまた自分の核を抜き取り差し出すと、
蛍姫に涙を頼むと言い残し死亡。
だが1000個の核を呑んだ宝石王はその力を暴走させてしまい、煌めきの都市は壊滅。
後に残ったのは傷ついたパールと蛍姫、地面にぶちまけられた珠魅の核のかけら。
皆が皆のことを思っていた。一体何がいけなかったのだろうと、
核の記憶を垣間見たトトは噛み合ない歯車を思う。

319 名前:聖剣伝説レジェンドオブマナ 7[sage] 投稿日:2006/10/23(月) 01:25:33 ID:???
「ここ、どこですか? 瑠璃くんは……?」
傷ついたパールの代わりに目覚めた真珠姫は何も知らない(記憶は共有していない)
昏睡する蛍姫を見つけ、仲間だと無邪気に喜ぶ真珠姫に
トトはどうしても真実を告げることができない。
傷だらけの蛍姫を前に「私にも涙が流せれば」と呟く真珠姫を見、トトはついに泣き叫ぶ。
「涙なんて、流そうと思って流すものじゃない!!
 心が満タンになった時溢れてくるものなんだ!!!! おさえろって方が無理なんだよ!!」
みるみるうちに石化するトト。その涙が地に落ちたとき、奇跡が起こった。
種族を越えた思いが涙石となり、珠魅の傷を癒す。
瑠璃、エメロード、ディアナ……次々と復活する1000人の珠魅。
「……みなさん、今度は私達が彼に返す番です」
すっかり傷の癒された蛍姫は、そう宣言した。

トトの自宅では双子が留守番中。大雨に、バドは古い言葉を思い出す。
「珠魅が泣くと空も泣くから、嵐になるんだって」
雨が上がったころ、扉とともにトトの元気な声が響いた。
「おーい! 帰ったぞー」