境界/望月花梨
232 名前:境界[sage] 投稿日:2005/10/30(日) 15:08:55 ID:???
小学6年生のゆーかは幼馴染で家が隣のやよいが大好き。
そのやよいはフユキと仲が良く、付き合ってるんじゃないかと噂されていた。

ある日、暗い中やよい以外誰もいない家の中にフユキが入っていくのを見た。
好奇心にかられてベランダからやよいの部屋を覗きこむと、
そこにはやよいとフユキの脱ぎ散らかされた服があった。
二人が裸でなにをしていたのかは、ゆーかにも想像がついた。
我慢しきれずその事を問い詰めるゆーか。やよいは笑顔で肯定した。
「私もフユキくんのこと大好きだし フユキくんも私のこと大好きなの。だから別に自然なことよ?」
「子供じゃないわ。それに年齢なんて関係ないわ。愛し合ってるんだもの。男と女なんだもの」
異常だと思いながらも、自分はやよいを奪ったフユキに嫉妬を抱いているだけかもしれないともゆーかは思った。

フユキはゆーかに言う。二人は一心同体以心伝心で、本気で愛し合っているのだと。
どちらかが死ねばもう一方も死んでしまう、そんな関係なのだという。
それからも何度か、フユキがやよいの家に入っていくのを見た。

やよいは、そっちの方の発育が遅いらしくまだ生理はきてないという。
「そんなことやんないでっまだコドモでしょ」
「前にもいったでしょう?子供じゃないわ。大人でもないけど。私たちは境界にいるの。
 だからきっと子供になってみても大人になってみても許されると思うの」
一つの価値観が絶対ではないからゆーかの考えも否定しない。
自分を軽蔑するなら離れてしまってもいい。でもフユキが好きという思いは譲れない。
そう言うやよいを遠く感じるゆーか。やがて、やよいとフユキの性関係が近所でも噂されはじめた。
やよいは全く動じず、いつも通り笑っていた。やよいの横顔がとても大人びて見えた。

ある日、フユキが事故にあった。その知らせを聞き死んだように静止するやよい。
フユキが死んだら一心同体であるやよいも死んでしまう、とゆーかは涙する。
しかしケガは大した事なく、フユキはすぐに無事な姿を見せた。
喜び泣きじゃくるやよいの顔は小学生の女の子のものだった。
その時ゆーかは、二人の間には割って入れない確かな絆があるのだと悟った。
ゆーかは二人の仲を認めた。
――私たちは二度と戻ってはこない境界を生きている  【終】