ナイトガンダム物語外伝/ほしの竜一
157 :マロン名無しさん :04/02/29 22:39 ID:???
『騎士ガンダム物語外伝』「エルガの妖怪」

『騎士前史』(「エルガの妖怪」一巻所収)
この話が「エルガの妖怪」シリーズに所収されているのには理由がある。
エルガの妖怪は三巻の前半部で完結を遂げ、以降物語は「アルガスの魔童子」に
バトンタッチする。その際、この話が伏線となるのだ。では、以下、本編へ。

 場所はヨルダイ国の国境。襲い来る数匹のモンスターを一瞬のうちに切り伏せる
MS族の姿があった。彼の名は騎士ガンダム。この国を襲うドラゴンの話を聞きつけ、
真相を確かめるべく駆けつけたラクロアの騎士である。モンスターを追い払い
一息ついた彼の前に、マントとフードで姿を隠した謎の少女が姿を現すところから物語は始まる。
 半信半疑の彼に少女は語った。山から姿を現した巨大な竜が、生贄として
この国の王女ハマーンを求めている、と。
「お願いです。騎士ガンダム。どうか、竜を倒して王女を救ってください。」
少女の頼みを前に、竜の噂が真実であると確信した正義の騎士ガンダム。
竜の住まう山へ勇敢にも向かうのだった。
 一方、ヨルダン王国の首都では、国王が国中の十二歳になる娘を法外な手段で
集めていた。国王には端から竜の願望を叶えてやるつもりなどなかった。
夕刻、替え玉の王女を乗せた馬車が竜の住む山へと抜けて出発した。
そのころ、騎士ガンダムは山の中腹で謎の男の手によって深い穴の底へ
叩き落とされていた。


159 :マロン名無しさん :04/02/29 22:56 ID:???
 深い穴のそこで騎士ガンダムを待っていたのは、三体の光り輝くボールであった。
ボールの砲撃を盾で防いだ騎士ガンダムは、盾から抜きはなった剣で斬りかかるが、
驚いたことに剣はボールの体を素通りしてしまう。驚愕した騎士ガンダムの好きを付いた
二体のボールの砲撃が彼の体を捕らえる。
「ほらほら、後一発でゲームオーバーだよ」
「ゲーム……? 何のことだ」
「これは、対ドラゴン用に光の舟の者が組んだシミュレーションさ。いいことを
 教えてやろう。こいつらの弱点は一つだけある。たった一つだけだよ」
騎士ガンダムをクレーターの底に落とした謎の男の声がする。
「“しみったれ”だか“しょんべん”だか知らないが、こいつらの弱点が一つ
 というなら、こうだ! 剣は斬るのではなく、突くだけだ!!」
豪語と供に放れた騎士ガンダムの三段突きは、狙いあまたずボールの体を貫いた。
その恐るべき手腕に感嘆した、謎の男は「山に住まう妖精族の長老」だった。
今までの非礼を詫びると、彼は騎士ガンダムをクレーターの奥へと案内した。
クレーターの奥にある小高い丘。そこには一本の騎兵槍が突き立っていた。
「はるか昔、天空より二つの流星が飛来した。一つはおぬしが求めるドラゴンの
姿をしておった。もう一つは光り輝く舟じゃった。光の舟より降り立った者達は
儂にこう言った。『やがて、竜は目覚める。その時、試練に乗り越えた者にこの
電磁スピアーを渡して竜を倒させろ』とな」
「電磁スピアー。確かに、こいつならドラゴンを倒せそうだ」
スピアーは騎士ガンダムの意志に反応して、先端を伸ばしてガンダムを穴の底へ
と運んだ。「こいつは優れもんだ」と喜ぶ騎士ガンダムを嬉しそうに見送る長老に、
年若いエルフの子供が声を掛けてきた。少年が指さす壁には無数のMS族の絵が
描かれていた。壁画は光の舟の住民が最期に残したものだ。その中に、火を吹く
ドラゴンに立ち向かう一人のガンダムの姿があった。
「騎士ガンダム……天よりやってきた光の舟の住民と関わりのある者なのか……」
長老は唯それだけを呟いた。

160 :マロン名無しさん :04/02/29 23:14 ID:???
-終局-
日も暮れはて、月が山の頂にさしかかった頃、生贄とされた王女の前に、
巨大な竜が姿を現した。その巨大な手を差し伸べて、王女に触れた竜は驚愕する。
王女はハマーン王女と瓜二つである平民の娘が変装した姿だった。
「違う。この王女はハマーンではない。腕輪の石も偽物だ!」
謀った国王に怒りを募らせるドラゴンは、腹いせに目の前の偽物の王女に再度
手を伸ばす。その時、騎士ガンダムが颯爽と飛び出した。

-戦闘-
高々と跳躍して斬りかかる騎士ガンダムの姿を見て、竜はひどく狼狽した。
「ガンダム……この星に何故ガンダムがいる! 奴らの宇宙船「光の舟」には
ガンダム族は乗り込んでいなかったはず!!」
振り下ろされた剣がドラゴンの装甲に肉薄する瞬間、ドラゴンの体が光の網に
覆われた。「電磁バリアー」 張り巡らされた光の帯が、剣を簡単にはじき飛ばす。
剣を弾かれ空中でバランスを崩した騎士ガンダムに、竜の尻尾が追い打ちをかける。
体勢を立て直したガンダムに向けて電磁バリアーの隙間からエネルギーを吐き出して
ドラゴンが攻撃を仕掛ける。攻め手をかいたガンダムは、エネルギーを盾で受けとめると、
ドラゴンの隙をうかがう亀作戦に出た。戦局は一進一退。天秤に掛けられた秤が
ガンダムに傾くのは、冒頭で登場した謎の女性が二人の戦場に分け入ってきた時である。

161 :マロン名無しさん :04/02/29 23:32 ID:???
-宇宙船「竜(ドラゴン)号」-
 突如割って入った乱入者に二人の注意が向けられる。マントとフードを取り去った
その姿は、鎖に繋がれた生贄と瓜二つだった。彼女こそが本物のハマーン王女(十二歳)
だったのだ。保身から自身の身代わりを立てた国王に激しくプライドを傷つけられた
彼女は、密かに城を抜け出して戦場まで来たのだ。驚く騎士ガンダムに向けて
王女は事の真相を明かして聞かす。全ては、竜の眠る場所より、彼女の父ロンメル
が一つの石を持ち去ったことから端を発したのだと。
国王は、やがてその石を腕輪に填め込んで王女への贈り物とした。
竜が欲したのは王女ではなく、王女の持つ腕輪に填め込まれた石だったのだ。
「竜よ。人間の娘が食べたいというのなら、私を食べなさい。腕輪の石が欲しいなら、
 持って行くがいいわ!」
ハマーンの手より投じられた腕輪は、放物線を描いて竜の額へ舞い降りていった。
腕輪欲しさに竜はその一点のみバリアーを解いた。しかし、その一点がガンダムに
絶対の勝機を与えた。電磁スピアーは伸縮自在。貫いた者を電磁波の高熱で溶かす
ことも、電撃で破壊することもできる。竜の眉間、本来ならば石のあった場所を、
スピアの先端が貫いた。「電磁スピアガンダムスパーク」
「あ、あの石さえあれば、この宇宙船『竜』号は再び飛び立てたものを……」
電磁スピアの電撃に全ての機構を破壊されたドラゴンは、木っ端微塵に砕け散った。

 一夜明けて、ヨルダン国には新たな女王が立った。ハマーンである。
父である国王ロンメルは、国民をも謀った罪で地下の牢獄に繋がれた。
全てを見届けた後、騎士ガンダムは電磁スピアーを背に携えて、ラクロアへ帰還
していくのだった。

162 :マロン名無しさん :04/02/29 23:35 ID:???
意外にSFしてるんだな、騎士ガンダム物語外伝。
時代は本編で言うといつ頃になるのかな?
サタンガンダムを倒してから巨人編までの間?

164 :マロン名無しさん :04/03/01 00:10 ID:???
>162
いや、完全な外伝形式で、既にアルガス騎士団と騎士ガンダムに面識があったり
する本編とは独立したパラレルワールド。ちなみに、騎士アレックスが登場
してこないので、偉く不評だったりします。「アルガスの魔童子」