飢餓一族/高河ゆん
585 名前:飢餓一族[sage] 投稿日:05/03/21 01:14:45 ID:???
『飢餓一族』高河ゆん
ピチコミックスDXミステリー 全一巻(完結済)
月刊LCミステリー連載
1984年3月1日 第1刷発行

【登場人物】
>花園聖子(主人公)
  主人公。文芸部部長。PN「綾小寺綺羅」。眼鏡。地味。巨乳。母親は小説家。
  さばさばしていて口調は男っぽい。一人称「私」。
>日柿全次郎
  生徒会長。美形眼鏡。学校での評価は「立派な人格者・学校の人気者・清廉潔白・性格温厚」。
  普段は丁寧口調。キザな台詞をさらりと言う人。
>東るり子&西緑子
  生徒会の書記&会計。日柿のファン。金持ちのお嬢様。プライドが高い。胸は普通サイズ(?)。
>ジーン
  褐色肌。黒髪。結構巨乳っぽい。

煽り(?)
『温和で品行方正の生徒会長、日柿全次郎は文芸部部長の花園聖子の天敵。
 なんの因果かふたりは付き合うことになって…。』


高河作品はちょっと説明し辛い故、多少順番が前後するやもしれません。ご勘弁のほどお願いいたします。

586 名前:飢餓一族・第一話(1/2)[sage] 投稿日:05/03/21 01:18:35 ID:???
春のある日。聖子は東南アジアっぽい夢を見た。それが始まりだった。

この学校の文芸部は派手である。
聖子曰く「実力者たる私の鋭い批評眼、適切な指導、練りに練った活動計画のおかげだ!」とのこと。
しかし聖子は自分で小説等を書くことはない。もっぱら編集と指導ばかりだ。
部員にそのことについて問われると、「編集の方が好きだから」と答えている。

そんな聖子の天敵は、生徒会長の日柿。考え方の違いから「こいつとは気が合わない!」と思う聖子。

夢を見たその日の部活中、ふと東南アジアっぽいイメージが頭に浮かぶ。しかも日柿が中心に居る。
なんだろうと疑問に思っていると、不思議な音が聞こえてくる。ガムランの音だ。
「日柿さんが弾いてるんですよ。」「バリ島のほうとかの楽器で。」
「日柿さんって東南アジアからの帰国子女なんですって。」
部員たちのその言葉を聞き、何かを思い出しそうになり、日柿の元へ向かう聖子。廊下に出ると日柿が居た。
聖子は夢の中で何かを見たのだが、思い出せない。そのことをわかっているような口調の日柿。
突如、日柿は聖子の乳をがしっと鷲掴みにする。「おっきな胸だな。大好き。」
真っ白になる聖子。ものすごい叫び声を上げるも、既に日柿は立ち去った後。
部員に言うも「いいがかりは失礼ですよ」と信じてもらえない。
その夜、胸を握られたショックのせいか、聖子は日柿の夢を見る。
『おなかが空いたんです。花園さん、食べてもいいかな。』
聖子は頭を抱える。

587 名前:飢餓一族・第一話(2/2)[sage] 投稿日:05/03/21 01:22:54 ID:???
聖子には秘密がある。彼女が編集しかしない理由。実は彼女の文章は、ものすごく乙女チックなのだ。
幼い頃、母にその乙女チックすぎる文章を笑われ、以来それがトラウマになっている。
聖子の日記も乙女チックポエム風で書かれていて、それも母のからかいの種になっていた。

日柿を見ていると、何かを思い出しそうになる。それを突き止めたい。
会誌のための取材と称し、聖子は日柿に近づく。

外ヅラが完璧の日柿は、実は巨乳好きのケダモノである。
そして彼には更なる秘密があった。満月が近づくと、異常な大食になるのだ。それに気付く聖子。
あるものを食べたいが、食べられない故、代わりのものを食べているという日柿。
「あれ、食べたいな。」「あれって……なに?」
聖子は夢の中で見たものを思い出した。夢の中に出てきた日柿。
(そうだ。日柿はあのとき、干し首を持っていた―――。)
何を食べたいのか知りたいかと問う日柿。聖子は断り帰ろうとする。日柿は出入り口を塞ぐ。
「こんなときにいうのもなんですが、僕たちお付き合いしませんか?」「花園さん(の体)が好きなんです。」
断る聖子。しかし聖子の日記(超乙女チック)を読んだ日柿が「女の子らしくて良い」と言うと大喜び。
「いつもそれを言ってくれるなら付き合う」と承諾する。

こうして二人は付き合い始めたのだった。

第一話完。

588 名前:飢餓一族・第二話[sage] 投稿日:05/03/21 01:25:38 ID:???
聖子は毎晩日柿に長電話をしている。
日柿にポエム(超乙女チック)を聞いてもらい、「女の子らしくて可愛い」と感想を言ってもらうためである。
締め切り前の母は「高2の夏なんだからどこか出かけろ」と聖子を追い出そうとする。
話を聞いた日柿は、聖子を沖縄にある別荘へ誘う。それを聞いた東&西も無理矢理参加。4人で行くことに。

夕方。別荘にて。
ポエム(超乙女チック)を書き終えた聖子は、それを持って日柿の部屋へ向かった。
しかし日柿の部屋は、水道が壊れて酷い有様。
日柿は管理人さんに連絡しようとするが、受話器を握り潰してしまった。蛇口を捻じ切って壊したのも日柿だった。
満月が近づくと、大食になる他、怪力になったりもするかららしい。
そこに東&西が乱入。みんなで花火をすることに。

最中、飲み物を取りに行った西が行方不明になる。
日柿は「2階の突き当たりのドアを開けたのかもしれない」と言う。
日柿曰く、そのドアは異次元と繋がる時があり、その時ドアを開けると帰れなくなるらしい。
怖いから行かないという東を残し、聖子と日柿はドアへ向かう。
ドアを開ける二人。ドアの中は開閉する度に変化し、外に直接繋がったり、白い壁があるだけだったりした。
あからさまに怪しい日柿。付いて来たことを後悔し始める聖子。
聖子は日柿に押され、ドアの中に入らされる。そこには首の無い女性の肖像画が飾られていた。

「他の人は邪魔だから」という日柿の言葉に、聖子は慌てて東の様子を見に行く。しかし東は居なかった。
「あの人たちは後でおいしくいただくので…」という日柿に、
聖子は言ってはいけないと思いつつ、「人を食べちゃうのか!?」と聞いてしまう。
日柿は聖子の頬に軽く優しく噛み付いた。驚き、すごい声で叫ぶ聖子。
日柿は、聖子をからかっただけで、東&西はプールサイドに居ると言う。
聖子がプールサイドに行くと、東&西はビーチチェアーで眠っていた。
東&西は目を覚ますとあることに気付く。首の周りを一周するような切り傷が二人ともにあったのだ。
聖子は日柿を更に怪しく思うと同時に、面白いものが書けるかもと、正体を見るまで離れない決意をする。

第二話完。

589 名前:飢餓一族・第三話[sage] 投稿日:05/03/21 01:28:04 ID:???
(既に沖縄から地元に帰ってきています。)

ある満月の近い夜、聖子は夢を見て飛び起きる。日柿と褐色肌の女性がHしている夢だった。
赤い顔をしている聖子に母は「予知夢かもよ」と言う。
その日の放課後、聖子を迎えに文芸部へやって来た日柿。その首にはなんとキスマークが。
聖子は怒ってさっさと下校する。しかしその途中、街中で、夢に出てきた女性、ジーンを見かける。
「お帰りなさい、全次郎。」ジーンは日柿に寄り添った。ショックを受ける聖子。
そこに東&西が乱入して「べたべたしてるんじゃないわよっ」とキレる。
日柿はジーンのことを幼馴染みだと言ってフォロー(?)する。

聖子は日柿から離れて公園に居た。
別にいい。日柿は私の文章を理解してくれればいいんであって、別に誰と付き合おうと関係ない。
そう思おうとするも、何故かイライラする聖子。
東&西は「あとからでてきたのに奪われて黙ってるなんて、女じゃねーわよ!!」(原文通り)と言い、
「知ってる人な分だけジーンよりまだマシ」と日柿の住所を教え、聖子を応援する。

第三話完。

590 名前:飢餓一族・第四話[ハートの出し方がわかりませんsage] 投稿日:05/03/21 01:31:49 ID:???
自分は日柿なんか好きじゃない!断じて違う!ただ二股かけられるのがシャクなだけだ!
そう思いつつ、聖子は日柿のアパート(高級っぽい)に到着した。
チャイムを押すと、インターホンから大勢の声がする。
部屋の中はまるでジャングルのように植物だらけで、床には大食したらしい残骸だらけ。
中には日柿とジーンが居た。窓から満月が見える。
ジーンのことや日柿の体質について問い詰めていると、周囲からひそひそと大勢の声がする。
誰も居ないはずなのに。そういえばさっきもインターホンから声が…。
さらに日柿を問い詰めるが、あまりに声がうるさいため、ついに聖子はキレる。「喋るなら堂々と喋れ」と。
「ごっ…ごめんなさい」
近くの木から生首が飛び出した。手の平サイズで、ぴょんぴょん跳ねて、生きて喋っている生首。
固まる聖子。
日柿は笑って言った。「見てしまったからには、帰せないな。」
次の瞬間、部屋の窓が一斉に弾け割れた。窓の外にはなんとヘリコプターが。
日柿は聖子とジーンを連れ、自家用ヘリから自家用飛行機に乗り換え、屋久島へ向かう。

連れてこられたのは日柿の実家だった。
聖子はそこで首の無い女性が歩いているのを見る。それは自分の母だという日柿。
前に聖子が別荘で見た、あの首の無い女性の絵。あれは数代前の祖母だと日柿は言う。

「うちの家系は代々、跡継ぎの妻には首がないんです。
 だから僕の花嫁には、首を切っても生きられる人じゃないとなれない。」
「気持ち悪いこというな!首切ったらふつーは誰でも死ぬでしょー!!」
「いーえ、誰でも死ぬとは限りません。 ね…? 花園さん?」

聖子は拘束された。日柿は首を切るべく冷静に準備を進める。ショックで気絶するジーン。
「日柿っ!あんたいったいなんなのよ!!」
「首狩り族の王子様(はーと)」
日柿の持つ首切り包丁が振り下ろされた。

第四話完。

46 名前:飢餓一族・第5話(1/2)[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 02:18:19 ID:???
首が痛い――
聖子の意識は闇へ閉ざされた。

朝の光。鳥のさえずり。
目覚めると、聖子は布団に寝かされていた。
触ってみると首はしっかり付いていた。安堵する。夢だったのか…。
「別に夢じゃありませんよ。」
日柿の登場に心の底からびびる聖子。
やっぱり首を切ったら死にそうだから止めたという日柿。
「僕の花嫁にはなれないということだ。」「結婚しないかもしれない子と付き合うほど暇じゃない。」
日柿は聖子と結婚する気満々だったらしい。
「そんなっ、あたしのどこがそんなに気に入るの?」
「どこって。胸の形が好きだなあ。」
「それって激しくあたしの人格とかから離れてない?」
こんなことを言われるも、日柿に「花園さんの詩が好きだ」と言われただけで幸せになり、
結婚してもいいかも…なんて微妙に思ってしまう聖子。
聖子に問われ、日柿は日柿家の過去を語り始めた。

―――日柿家の先祖は領主でした。ひどい領主でした。
ある年、村は飢饉にみまわれました。
けれど領主は彼らに食料を与えず、独り占めにしていました。
さて。領主はそんな男でしたが、その奥さんは心優しい人でした。
村人たちを助けるよう、奥さんは何度も領主に頼みました。けれど領主は聞き入れませんでした。
そこで奥さんは領主を欺き、村人を倉まで案内しました。
けれど結局領主に見つかってしまいまい、倉に盗みに入った村人たちは見せしめに断首。
そして己を責めた奥さんは、自ら首をかき切ったのです。
満ちた月の夜でした―――。

「それ以来呪いがかかって、日柿の血を継ぐ者は、満月のときには食人するんです。
 そして日柿の男は必ず、妻に首を切らせる運命になるんです。」

47 名前:飢餓一族・第5話(2/2)[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 02:34:41 ID:???
聖子を引き寄せ、日柿は問う。「首をかけて、僕の花嫁になれる?」
聖子は答える。首はかけない、と。
そんな不幸な呪いは打ち破るべき、だからあたしが首を切らない奥さんになってあげる、と。
「だから!!日柿のこと、好きだっていってんの!」
そして聖子は、日柿の語った話のエンディングを作り替えて語りだす。

―――奥さんが死んで領主は気付くの。
自分の心の卑しさ、醜さ、そして奥さんをとても愛していたことを。
領主は後悔して、嘆いて、反省して、島中をさまようの。
さまよって、さまよって、さまよって、ついに一番奥の屋久杉のところで、
なんと!首を元通りにくっつける魔法の薬を発見したのよ!
そして妻と村人の首をくっつけた領主は心を入れ替えてみんなのために尽くしたの―――。
死ぬまで幸福にみんなは暮らしましたとさ!ハッピーエンドよ!

「……そんなばかな。都合が良すぎるよ。」
「いーえ! こういうラストよ!これでいいの!」
「……………花園さん。これだからあんたの作品って、バカバカしくてメルヘンで恥ずかしいんだよ。
 ……だから、俺、あんたの作品が大好きだよ。
 あんたのかっこいい胸の形より、大好きだよ。」

二人はキスを交わし、本物の恋人同士になったのでした。

48 名前:飢餓一族・第5話(2+1/2+1)[sage] 投稿日:2005/03/31(木) 02:35:47 ID:???
後日談。数日後、学校の帰り道。
先日の話で説明つかないことは幻覚のせいだと言う日柿。
日柿曰く、害虫避けの香のせいで初めての人は幻を見るらしい。
…日柿は変で、どこまで本当かいまいちよくわからない。でも、

「幸せだからいっか。」



飢餓一族・完。