怪異いかさま博覧亭/小竹田貴弘
473 名前:怪異いかさま博覧亭1[sage] 投稿日:2007/09/29(土) 17:17:40 ID:???
「怪異いかさま博覧亭」(小竹田貴弘)一迅社刊

<ストーリーと構成>
江戸時代・両国の繁華街にありながら、全く流行っていない見世物小屋「博覧亭」。
妖怪モノで見世を開いているが、中身はニセモノばかりのお粗末なもの。
興行収入はゼロに等しく、小屋の住人で傘貼りをしたりと、内職で補う日々。
キャラ同士の掛け合いや日常、妖怪騒動を描いた、ドタバタコメディ。

基本的に1話完結。
しかし、登場人物に掘り下げの余地がありそうな伏線があったり、
一度登場したゲストキャラやその絡みネタが後に再登場したりと、
連載の順番通りに続けて読むことで、更に楽しめる仕様になっている。
ゲストキャラは女性率・かわいい生き物率が高めかも?

作者の江戸・妖怪知識がハンパなく、相当な下調べをしていることが垣間見える。
決してなんちゃって時代劇などではなく、物語内の生活感に彩りを添えている。


<登場人物>
・榊(男、20代前半?)
博覧亭の現在の主。妖怪マニアなのは、先代主の「親方(故人)」ゆずり。
年齢の割に頭髪が総白髪で、幼い頃何かの事故で死にかけたのが原因らしい。
親方に見世物小屋の住人として仕込まれた為、軽業や手品のような技も持っているが、
親方の後を継いで自らが主になった今、妖怪興行しかやる気はない様子。
妖怪マニアを自称する割に、身近に居る人外の者を差別することを好まず、
普通の人間との差異を、「身体的特徴」と言い張って譲らない。
その点、趣味人・人情家としての性質の方が先に立ち、儲け主義には薄い。
いつも着ている羽織も、「小袖の手(中から人型の手が何本も出る)」
という妖怪なのだが、いつも「カラクリ」と言っている。

474 名前:怪異いかさま博覧亭2[sage] 投稿日:2007/09/29(土) 17:20:09 ID:???
・柏(男、見た目は少年、歳は取らなそうw)
博覧亭の番頭。お客の入らない見世の現状に悩んでいるせいか、守銭奴の気配アリ。
その正体は、「妖怪そろばん小僧」。
どこからともなくそろばんを出し、操る妖術を使う。

・蓮華(女、20代前半?)
博覧亭の近所に住む、売れない絵描き。度々、博覧亭に入り浸っている。
貧乳、大食らい、年増、行き遅れ、辺りがNGワードな、男前ヒロイン。
博覧亭の表に飾られている看板の作者だが、家計苦しさゆえ代金を払ってもらえない。
父親は、博覧亭の元主の「親方」。しかし見世を継ぐ気は全くない。

・蓬(女、10代前半?)
博覧亭の家事担当。家事が好きらしい。
正体は「妖怪ろくろ首」。
榊に拾われる前は、父親の元で虐待され、常に怯え荒んでいたが、
博覧亭で暮らすうちに、歳相応に優しく天真爛漫な性質になった。

・八手(女、15歳)
忍の里出身の、忍者娘。育ちの割に、純真でおっとりしたところがある。
怖いもの・化け物が苦手で、気を失って倒れることもしばしば。
博覧亭住人には不向きそうながら、天然ゆえ、柏や蓬の正体に全く気が付いていない。
得意忍術は、驚異的な命中率で投擲武器(手裏剣など)を扱う事。
かなりの巨乳な為、蓮華に妬まれている。

・杉忠(男、20代前半?)
博覧亭の近所の「四ツ目屋」従業員。剃髪にあご髭という少々胡散臭い容姿。
「四ツ目屋」とは、淫薬淫具販売店、いわゆる「大人のおもちゃ屋」で、
当人もそれを表しているかのような、下劣さやけれん味のにじむ性格。
自称、榊の親友(榊は悪友と言う)だが、2人の仲は、
四ツ目屋の元主人が瀕死の榊を治療し救った事に由来する。

475 名前:怪異いかさま博覧亭3[sage] 投稿日:2007/09/29(土) 17:23:49 ID:???
単行本1巻収録分の大まかな内容

□序幕(連載前に掲載された読み切り。単行本巻末に収録)
「妖怪・かまいたち騒動」の瓦版を見て、ぜひ見世物にと捕獲作戦に出るが、
かまいたちの正体は、妖怪ではなく、普通の人間、八手だった。
故郷を無残な事件により追われ、復讐の念から捻じ曲がった暴行に走る八手を、
榊は諭し、博覧亭の住人として迎え入れる。

□第1幕
貧乏を嘆き、座敷わらしが住み着きでもしてくれたらと話していたところ、
何故か押入れの中から、全く逆の「貧乏神」がみつかる。
居心地が良いと出て行く気配のない貧乏神を、何とか追い出そうとする。

□第2幕
「橋は異世界とつながる場所」という迷信を語り、両国橋で妖怪探しをする榊。
そこにタイミング良く、遊女の幽霊と遭遇する。
彼女は、成仏出来ない理由を忘れてしまって、彷徨っていた。
その理由を探り、吉原とそこの元客を巻き込んでの騒動が展開される。

□第3幕
突然、見世を閉めると言い出す榊。閉店ではなく、新しい興行を始めるらしい。
改装の間、両国の町を散策する、蓮華・八手・蓬の3人組。
そこで蓬は、楊弓(弓でやる射的)の景品に出ていた、名品の箒に惚れこんでしまう。
榊の考案する新しい見世は、八手の技を利用した「かまいたち」。
箒を取るため、見世の為、八手が活躍する。

476 名前:怪異いかさま博覧亭4[sage] 投稿日:2007/09/29(土) 17:25:57 ID:???
□第4幕
2話で起こった幽霊騒動の時、
見世内の柱には鎮奇怪符の札が貼ってあったのに、まるで効果がなかった。
榊と柏は、札の売主の元を訪れ、代金の返金を求めるが、
生臭尼僧の石蕗は、既に使い込んでしまった後だった。
何か値段分の代わりになる、妖しい物品や妖怪物件はないかと交渉を続ける2人。

□第5幕
商品の仕入れから戻った杉忠が、大きな荷箱を博覧亭に持ち込む。
薬の材料として仕入れた珍しい生き物を、加工する前に、
博覧亭で見世物にして、珍しさやご利益を宣伝しようという作戦らしい。
しかし中に居た動物は、カワイイもののいまいち派手さに欠け、
榊たちは作戦に頭を悩ますことになる。

□第6幕
3年前の過去編。妖怪騒動を聞きつけ、遠方の辺鄙な田舎まで駆けつけた榊と柏。
「妖怪ろくろ首」と噂になっているのは、親子二人住まいの娘の方で、
父親は、金をいくら積まれても娘は決して売らない、と言って聞かないらしい。
当然だ、娘を売りたい親など居るはずもない、と諦めようとする2人だったが、
様子がどうも「仲の良い親子」には見えず、謎な点も多いことから、
2人は目的を「見世のため」から「娘を救うため」へと変えて動き出す。

以上です。

480 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2007/09/29(土) 23:26:08 ID:???
ゆめやしきへようこそみたいな感じ?

481 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 09:08:38 ID:???
自分もそれ思い出した

485 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2007/10/01(月) 16:59:48 ID:???
>>480-481
「いかさま」書いた者です
「夢やしきへようこそ」は知らなかったので、まとめサイトの方読んできましたが、
確かに、設定は似てる感じはしますが、作風の違いからすると別物かと…

基本ギャグオチですし、登場人物に女性が多いのも少年誌連載だから
「妖怪」についても、物や娯楽があふれている何でもアリの繁華街にあって、
「変なもの」への嫌悪感や差別の目がマヒしちゃってるような世界観です
作中の人外な人たちも、人目を気にして暮らしている様子はありません