ジョジョの奇妙な冒険 第五部 黄金の旋風/荒木飛呂彦
159 名前:ジョジョ五部[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 02:37:07 ID:???
未解決リストから、ジョジョの五部。


これは一世紀以上に渡るディオとジョースター家の因縁の物語である。
2001年春。スタンド(超能力)使い・広瀬康一は、ジョースター家の末裔・承太郎の奇妙な依頼を受けてイタリアのネアポリスに居た。
それは日系イタリア人の少年シオバナ・ハルノから皮膚の一部か髪の毛を取ってくる、というものだった。
シオバナ・ハルノはジョースター家の宿敵ディオの息子であり、
その細胞を分析することで、父親の邪悪な能力を受け継いでいないかどうかを調べるためだった。

シオバナ・ハルノはイタリア語の発音でジョルノ・ジョバァーナと呼ばれている。彼の夢は「ギャング・スター」だった。
幼い頃ギャングに助けられた彼は、イタリア南部の汚職をやるような腐った警官などよりも、ギャングに憧れたのだ。
ヤクザな夢だが、康一はジョルノの目に、以前に杜王町(ジョジョ四部参照)で知り合った
ジョースターの血を引く人々と同じ「黄金の精神」を見た。
ディオは邪悪な吸血鬼ではあるが、その肉体はジョースター家の先祖ジョナサンのものであり、
ジョルノにも紛れも無いジョースターの血が流れていたのだ。

ジョルノはギャング「涙目のルカ」から身を守るために彼を殴り倒してしまい、
ギャング組織「パッショーネ」のスタンド使いブチャラティに命を狙われる。
ジョルノ自身もスタンド使いであり、戦いによってブチャラティを倒すが、とどめは刺さなかった。
ブチャラティは戦闘の最中に見かけた一般人の少年が「麻薬」をやっているのを見て、
それに心を痛め、一瞬ジョルノへの攻撃が遅れたのだ。ジョルノはブチャラティをギャングだが善人だと信用し、
「麻薬」を扱っている「パッショーネ」自体のボスを倒し、組織を乗っ取るという自分の夢を語る。

160 名前:ジョジョ五部[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 02:38:59 ID:???
ブチャラティの協力と紹介を受け、ジョルノは「パッショーネ」の入団試験を受ける。
試験を取り仕切る巨漢ポルポは手下にスタンド使いを増やしており、
スタンド使いを作り出すためなら他人の命などどうなってもよいと考える邪悪な男だった。
ジョルノは入団試験の最中に「スタンド使いを増やす能力」を持つポルポのスタンドに襲われ、これを倒すが、
このスタンドはたまたま少し関わっただけの、何の因縁も無い一般人をも試験に巻き込み、殺してしまっていた。
これに義憤を抱いたジョルノは、ポルポから入団試験合格のバッヂを受け取る際に罠を仕掛け、自殺に見せかけて彼を暗殺する。

ジョルノはブチャラティのチームに編入された。チームの先輩アバッキオ、ミスタ、ナランチャ、フーゴらは彼のことを、
生意気なガキ、何を考えているのか判らない奴だと思っていたが、任務での仕事ぶりを見て、徐々にジョルノを認めていく。

ポルポの隠し財産を横取りしてこれを上納することで組織の「幹部」となったブチャラティに、
誰も知らない「謎のボス」の娘トリッシュを護衛するという大役が与えられる。
ボスに反旗を翻す暗殺チームの面々が、ボスへの手がかりを得ようとトリッシュを狙っているからだ。
暗殺チームとの死闘に次ぐ死闘の末、ブチャラティたちはトリッシュを無事、
イタリア北部の都市ヴェネツィアに居るボスの下まで連れて行くことに成功する。

161 名前:ジョジョ五部[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 02:40:51 ID:???
しかし、ボスの目的は、自分自身の手で確実にトリッシュを殺害することだった。
正体を隠し続ける彼にとって、自分の手がかりとなる彼女の存在は邪魔そのものだったのだ。
親が自らの子を自分だけの都合で殺す、この非道はブチャラティを激怒させた。ブチャラティはボスを裏切り、戦いを挑む。
ボスのスタンド能力は「時間を消し去る」という凄まじいもので、予知や自分自身への攻撃の完全無効化などを可能としていた。
ブチャラティはボスに敗北するが、トリッシュを取り戻し、またジョルノの助けを得て逃げることに成功した。

イタリアはおろか世界にも影響力のある組織「パッショーネ」を裏切るのは自殺行為だ。
チームの仲間たちは悩むが、アバッキオはブチャラティとの友情により、楽天家のミスタは組織の次期幹部の座を狙って、
ナランチャはトリッシュへの仕打ちに対する悲憤を抱いて、それぞれ組織を裏切ることを決めた。現実主義のフーゴだけはその場に残る。
ボスの刺客と戦いつつも、ブチャラティたちはトリッシュの記憶を頼りにボスの故郷サルディニア島に渡る。

一方、サルディニア島を訪れた旅行者の少年ドッピオは、自分を観た占い師に「正体」を見破られ、彼を撲殺する。
少年ドッピオの正体は、ギャング組織パッショーネの「謎のボス」が世を忍ぶ「二重人格」の表の顔だったのだ。
ドッピオはボスの過去を暴こうとする反逆者ブチャラティたちを追い、アバッキオを殺害する。

162 名前:ジョジョ五部[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 02:41:56 ID:???
どこかの街で、アバッキオは自分がかつて正義の心に燃える警官だった頃、自分のミスのせいで死んでしまった仲間を見かける。
警官の頃もギャングになった今も、自分のやることは全部中途半端で終わってしまうと悲しみに暮れるアバッキオに対し、
彼は「大切なのは『真実に向かおうとする意志』だ。真実に向かうことを諦めなければ、自分がたとえ途中で倒れたとしても、
あとの者がそれを受け継いでくれる」と語った。

アバッキオは死んだが、彼は最期のスタンド能力で、ブチャラティたちにボスの素顔を伝えることに成功していた。
ブチャラティはネットを通じて警察などの記録を探るが、ボスの正体は掴めない。
するとその時、彼らのパソコンに何者かが通信を送ってきた。その人物は自身もまたボス「ディアボロ」に敵対する者であり、
ボスのことを探るブチャラティたちに協力したいと言ってきたのだ。彼はブチャラティたちをローマのコロッセオに呼び出す。

ボスの放つ最後の刺客二人との激闘で、広範囲を攻撃する敵をジョルノたちに任せ、ブチャラティは単身、強敵セッコに挑む。
ブチャラティはセッコを倒すが、彼自身もかなりの重傷を負っており、
サルディニア島から彼らを追跡してきたドッピオが娘トリッシュに変装しているのを見破れず、彼を連れてコロッセオに行ってしまう。

コロッセオに居たのは、かつて承太郎やジョセフと共にディオを倒した歴戦のスタンド使い、ポルナレフだった。
ポルナレフは以前ディアボロの正体を突き止め、彼を追い詰めたことがあったのだが、彼のスタンド能力に敗北し、身を隠していた。
ディアボロは少年ドッピオの姿を利用してポルナレフに近づき彼を殺害するが、ポルナレフは死ぬ前に、
自分の「スタンド」にあの「矢」を刺していた。「矢」に刺されたスタンドは形を変え、ローマ中の全生物を眠らせる。

163 名前:ジョジョ五部[sage] 投稿日:2007/02/01(木) 02:43:04 ID:???
ポルナレフは過去の偶然により、スタンドに「矢」を刺すことで、更なる能力「レクイエム」を得ることが出来ることを知っていた。
これを使えば無敵のスタンドを持つディアボロにも勝てるが、戦闘者として再起不能のポルナレフには、レクイエムを支配できない。
レクイエムは暴走状態となって、周囲の生物たちの魂を入れ替え、肉体をも別のものへと変異させるという滅茶苦茶なことをしていた。

コロッセオに辿りついたジョルノたちは、混乱した状況の中、肉体を入れ替えて生き延びていたポルナレフやブチャラティと合流する。
ジョルノたちは「矢」を持ってそこらをうろつくレクイエムを倒し、「矢」を手に入れようとする。
ディアボロとの戦いによりナランチャが、そしてブチャラティが死亡するが、「矢」は最終的にジョルノが手に入れた。
ジョルノのレクイエムは圧倒的な力でディアボロを倒す。

エピローグ「眠れる奴隷」
ジョルノと出会う少し前、ミスタはブチャラティの指示を受け、恋人を殺したという彫刻家スコリッピの調査をしたことがあった。
スコリッピはスタンド使いであり、その能力は「死の運命にある者を安楽死させる石を彫る」というものである。
彼の恋人も、自分の父親の死病を「臓器移植」によって助けるために、その石によって安楽死したのだ。
この能力は「運命」というどうすることも出来ないパワーによって自動的に動いており、スコリッピ自身にも止められない。
石はブチャラティの「死の姿」を写し、彼を安楽死させようとするが、ミスタは決死の行動によりどうにか石を破壊することが出来た。
だが、石は破壊されつつも姿を変え、ブチャラティに加えて二人の死者(アバッキオとナランチャ)の姿を写し出す。
いっとき死を逃れたとしても、やはり我々は皆「運命の奴隷」であり、それを変えることは出来ないと考えるスコリッピ。
しかし仲間の命を救うために命を賭けて戦うミスタの姿を見た彼は、人間は苦難に立ち向かう努力を続けることで、
ただ運命に従うばかりでなく、何か意味のある物事を切り開いていく「眠れる奴隷」なのではないか、そうであってほしいと祈っていた。

現在。
どこかの邸宅で、大勢の部下たちを従え「ギャング・スター」となったジョルノの姿があった。第五部完。