午後3時の魔法/垣野内成美
318 名前:午後3時の魔法(全体の概要と注意)[sage] 投稿日:04/06/02 19:17 ID:???
〜 その手と声は魔法。薬も注射も何もいらない。午後3時を知らせる時計の音と共に、元気が戻ってくる 〜

本作ではメインヒロインと身内(祖父・母・父・叔母(父の妹)の4人が作中に登場)の素性が不明で、
出身地・年齢・サイズはもちろん名前まで全員最後まで謎のまま。
特にメインヒロインについては10代,20歳,25〜26歳,看護婦,女医,幽霊,天使,ナイチンゲールと
様々な噂が本編にて他の登場人物たちの間で飛び交ってるが、本人はプロフィールを全て内緒に
しており名前すら"忘れちゃった"と言う始末。
愛称は強いて挙げれば"白衣の天使","ナイチンゲール"のどちらかと言えるだろうが、それとて
ハッキリ固定されてない模様。
司会進行役型ヒロインとしては魅力も見せ場も充分すぎるほどあるが、これでは紹介するのに困る。
そこで以後は本スレッドでは投稿字数制限対策を兼ねて簡潔に彼女を"●●"と呼ぶ事にする。
(人外ではなく一応れっきとした日本人女性である事は間違いなさそうだが)
また、各話毎にメインとなるゲストキャラは本スレッドでは以後"主ゲスト"と呼ぶ事にする。

本作は月刊アフタヌーン(講談社)1993年3月号〜1999年3月号に(全17回)不定期連載。単行本は全4巻
その他、連載途中に本編扉絵直前のページに特別編が一度掲載された。
(カラー4ページで単行本未収録。第何話との同時掲載かは忘れた)

第1話の雑誌掲載時点では単なる読切で、扉絵の前のページでの作者紹介欄では編集側から"看護婦さん物を
描いてみない?"と提案され"まさかH物を描けって事?"と作者が一瞬早とちりした逸話等が書いてあった。
だが看護婦物と言っても●●は医療関係の仕事をした経験があるわけではなく、今は亡き祖父への憧れから
常に看護婦の姿をしてるだけらしい。(単なるコスプレ)

基本的に1話完結。謎に包まれた●●の過去が冒頭数ページで別個に少しずつ語られた後に
本編が始まり、悩みを抱えた主ゲストたちが誰も住んでないはずの洋館で●●と出会い、
その不思議な交流を通じて次第に癒される様子が描かれる。これが各話共通のあらすじ。

319 名前:午後3時の魔法(○○の事)[sage] 投稿日:04/06/02 19:18 ID:???
親の代から医者だったという白ヒゲの老人は、雑木林の奥にある町外れの洋館で医院を開いていた。
老人の娘と幼馴染だった男は秀才で、彼女らの影響で医者を目指すも医大受験失敗で挫折し、
別の職を選んだ。その男と彼女の結婚により生まれた一人娘が●●である。

●●は祖父である老医者を特に尊敬し、彼の手と声だけでなく診察室やそこにある大きな柱時計そのものにも
魔法が宿っていると信じていた。そして彼のような医者になりたいと思っていた。
だが祖父は彼女の幼い頃に死去。やがて母も病気になり、父の旧友で外国に住む敏腕医師に見せたり手を尽くすも
結局は死去。
泣き疲れて無気力となった●●は数日後、塾通い中の津川浩樹を見て思わず"元気を運んできてくれたの?"と
問いかけるが、彼は返答に困る。その間に●●の傍にいた小鳥が飛び去り、気が付くと●●の姿が消えていた。
どうやら●●と浩樹は年齢が近い(または同い年?)らしい。

さらに時が過ぎて祖父の診察室で小鳥と戯れてる最中、今度は悲痛な表情の叔母(父の妹)から、父を乗せて
航行していた友人の船が事故で炎上したと聞かされ、悲しみのあまり倒れた。
●●は以後ずっと同じ洋館にある病室の一つで眠り込み、父が大怪我しつつ何とか生還した後も最終話まで
目覚める事がなかった・・・と思われるが、倒れた後に実際どうなったかはハッキリしない。理由は以下の通り。

生還した父は何故か怖くて見舞いに行けないので、代わりに自分の妹である叔母に行ってもらってるらしいが、
その一方で「"あの洋館には今では誰もいないが、代わりに天使が住んでる"と皆で信じている」と言っている。
ここで言う"天使"とは無論●●の事だが、彼女を見た主ゲストたちは「光るインコを追って洋館へ行くと突然
●●が出現」「洋館の扉が勝手に開いて室内放送のように●●の声が何処からか聞こえた」「●●の背中に翼が!」
など現実離れした不思議な現象を次々と目撃したらしい。
そのため●●が目を覚まして直接主ゲストたちの前に姿を見せたのか?それとも本人が病室で寝たまま
幽体離脱等が発生したのか?魔法が本当に存在するのか?・・・それら全ては最後まで謎のまま。

320 名前:午後3時の魔法(第1巻)[sage] 投稿日:04/06/02 19:18 ID:???
第1話「浩樹」 主ゲスト:津川浩樹(大学生)
 両親に急かされるように弁護士を目指し有名大学へ入った浩樹は、自分の進路への疑問から風邪気味で薬局通い。
 ある日、薬を買って帰る途中に弟:優樹(高校3年)にそそのかされて例の洋館へ行き、●●と出会う。
 全快した彼は優樹を連れて再び彼女に会おうとするも、今度は仮病と見透かされたせいか彼女に会えなかった。

第2話「理恵」 主ゲスト:川島理恵(高3)
 クラスメート:津川優樹への恋心・生理痛によるイライラなどから、理恵は例の洋館のベンチで一休み。
 そこへ●●が出現。やがて優樹も洋館の診察室へ招かれ、いつの間にか途中で二人きりにされる。
 そこでしばらくおしゃべりした二人は、後にこれをきっかけに真面目に付き合い始める事に。

第3話「真理」 主ゲスト:川島真理(理恵の姉)
 大学を中退してデザイン関係の会社に勤める真理は周囲から頭の切れるキャリアウーマンと思われていたが、
 実は今までの人生に後悔ばかりでイライラ。彼女とその仕事上の先輩である戸田厚志は各々別個に例の洋館で
 ●●と出会う。そして・・・。 以後、二人の仲は今まで以上に急速に深まる事に。

第4話「映美」 主ゲスト:福永映美(高1)
 映美は1年先輩の滝田晃子に憧れて器械体操部に入りたがったが、心臓が弱くて入部届を出せずにいた。だが
 晃子自身は映美の兄(津川優樹の親友の一人で第1話にも登場)から川島理恵(晃子の先輩)らを介して、その事で
 既に相談されていた。やがて映美は晃子と共に午後3時のお茶会へと招かれ、元気になる。

第5話「雫と伸」 主ゲスト:美浜雫(准看護婦)と美浜伸(雫の息子。幼稚園児)
 かつて夫を病気で亡くした雫は、伸と共に2週間前に大阪から引っ越してきた。
 変に賢く生意気な伸はひょんな事から●●と出会って寄り道したが、それを知らない雫は大慌て。
 一連の事情を悟った●●は雫も洋館へ招き入れ、お茶会を実施。
 一方、雫が勤める病院の薬局で父の高血圧の薬を持って帰る途中の津川浩樹は、洋館のベンチで一休み。
 第1話以来●●と再会できない寂しさを、お茶会から出てきた雫と伸に吐露した。
 この頃になると浩樹は、弁護士ではなく医者になるため学部を変更して受験し直す決意を既に固めていた。

321 名前:午後3時の魔法(第2巻&特別編)[sage] 投稿日:04/06/02 19:19 ID:???
第6話「雛子と翠」 主ゲスト:川原雛子と江口翠(両方とも中学生)
 雛子と翠は周囲からレズ扱いされるほど仲良し。翠の兄:洸が事故にあった事を彼の大学のクラスメート:章博が
 学校まで電話して知らせてきたため翠は早退したが、それを見た雛子は翠と章博の関係を誤解して不信感に陥る。
 だが●●のお茶会を通して誤解が解け、友情を取り戻すのだった。

第7話「貴美」 主ゲスト:沢井貴美(高1)
 両親の不仲に悩む貴美は、上級生の彼に振られ、教師の三島に殴られ、幼馴染の章博と一緒にいた江口翠に
 嫉妬し、ヤケになり逃げ込むように例の洋館へ辿り着く。そこで●●に癒され一夜を過ごして元気が出る。

第8話「和巳」 主ゲスト:上杉和巳(中2)
 2年生に進級して川原雛子や江口翠と同じクラスになったばかりの和巳は雛子に惚れるが、なかなか思いを
 伝えられず悩んでいた。だが●●との出会いを通して雛子との仲が一歩前進する。

第9話「小夜子」 主ゲスト:河上小夜子(主婦)
 夫:洋一との結婚生活に欲求不満の小夜子は姉や川島真理とおしゃべりしてもイライラが解消されず、
 いつの間にか例の洋館へ辿り着く。だが●●との出会いを通してすっかり気が楽になる。

特別編「3時の国のナイチンゲール 〜 Special Tea Time 白衣の天使ができるまで 〜」要約
(童話仕立てで一見簡潔だが、抽象的で真意が分かり辛い内容の為、これが最適な解釈かどうかは疑問)
 長い時の流れの中で多くの人々の笑顔と涙を受ける事により、●●は小さな少女から大人(現在の姿)になった。

322 名前:午後3時の魔法(第3巻)[sage] 投稿日:04/06/02 19:30 ID:???
第10話「武雄と恵」 主ゲスト:中川武雄(定年間近の会社員)と中川恵(武雄の娘。短大卒業済)
 風邪気味で出勤途中に例の洋館の近くで一休みしていた武雄は、●●に誘われ久々に静かな時を過ごす。
 同じく風邪気味の恵もバイトを休んで小鳥に誘われるように例の洋館へ。恵がバイト先に亨という真面目な彼氏
 がいると聞いても交際を認めようとしない武雄と、頑固な武雄に反発する恵は、●●に諭され徐々に歩み寄る。

第11話「姉妹」 主ゲスト:藤綾織(長女。短大生)と藤紫織(次女)と藤美織(三女。小学生?)
 綾織は短大での油絵臨時講師である藤波柾糸と結婚する事になったが、美織が寂しさから一人だけ猛反発したため
 三姉妹の仲に亀裂が入る。だが●●が皆の仲を取り持った。

第12話「紫織」 主ゲスト:藤紫織(高2)
 綾織の結婚から数日後、紫織は物理の臨時講師である織田への恋に悩んでいた。中2の娘が嫁に行けば
 再婚を考えると言う織田への猛アタックが空回りの紫織は、●●との再会を機に手応えを掴む。
 そして午後3時の物理顧問室で●●と同じ"魔法"を、今度は織田から感じ取るのだった。

第13話「美也子」 主ゲスト:仙堂美也子(主婦)
 イラストレーターの夫の事で世間に対して引け目を感じていた美也子は、友人の赤子をあやしている最中に
 ●●と出会う。●●は美也子の夫から以前カットをもらって"魔法の手をしてる"と感じたと言う。
 その言葉に元気が出た美也子は、同じアパートに住む川原雛子からも励まされて更に元気が出た。

323 名前:午後3時の魔法(第4巻)[sage] 投稿日:04/06/02 19:30 ID:???
第14話「桐子と真紀」 主ゲスト:菅野桐子(31歳)と香坂真紀(保母)
 彼氏と別れて会社も辞めたばかりの桐子と、仕事上のストレスからうっかり無断欠勤中の真紀は、例の洋館で
 偶然ハチ合わせして●●のお茶会に誘われ、今まで溜め込んでたストレスを涙と共に吐き出し元気になった。

第15話「純」 主ゲスト:樫丘純(中3)
 将来やりたい事が何も見つからないまま高校受験に臨む純は、第5話で決意した目的のため自宅へ家庭教師の
 バイトに来ている津川浩樹から●●の事を聞かされる。その後●●と出会って小さい頃の思い出を思い出し、
 獣医を目指そうと決意し始める。

第16話「MOTHER」 主ゲスト:ある初老の主婦(氏名不詳)
 夫が過労で入院中のため寝不足の主婦は洋館のベンチでウトウトしていた。彼女は今までの人生の苦労や
 後悔と共に、●●と同じくらいの年頃の娘とその彼氏が交通事故で即死した事を涙ながらに告白。
 午後3時にそれを聞いた●●は、自分の父が船舶事故に遭ったと叔母から聞かされ倒れた時の事を思い出す。
 そして自分自身が"午後3時の魔法"を常に求めていた事を改めて自覚し、悲しみに耐え切れず天使の羽を残して
 その場から消えてしまう。
 その後、医科大学の入学案内書を手にした津川浩樹が●●に報告したくて再び洋館へ訪れた。
 その庭には、無事に生還した●●の父が今の洋館の持ち主として佇んでいた。

第17(最終)話「ナイチンゲール」
 美浜雫と同じ病院に勤めるようになった津川浩樹は●●の見舞いに洋館を訪れた。後ろめたさと怖さから今まで
 ずっと中に入れずにいた●●の父は、浩樹に後押しされ一緒に(妻を外国に連れて行くとき以来久々に)館の診察室
 へ入った。そこへ小鳥と共に突如現れた●●とそれを見て"天使だ!"と驚愕する●●の父の姿を見届けた浩樹は
 こっそり診察室を出て、別の病室で一人ずっと眠ったままの●●(本体?)をようやく発見。
 "眠れる森の美女"が王子のキスで目覚めるように、●●は浩樹のキスを受けて(数年ぶりに?)目を覚ます。
 やがて"浩樹が一人前になれば再び洋館が医院として開業するのではないか"と町中の噂に。
 その後、ある小学生の女の子たちが一連の噂を確かめようと洋館へ訪れた。
 すると扉が開いて中から●●が出現。その背中には大きな翼が見えた。