ギア・アンティーク/外薗昌也
178 名前:ギア・アンティーク[sage] 投稿日:2006/03/32(土) 19:49:53 ID:???
フィラム王国の下級貴族グタンツィオ家の三男マルタンは、追われていた緑の瞳の少女を助けた。
彼女は、小国メルフィアの若き女王テレーズ。侵略国家ヴァルモンの軍隊に狙われていたのだ。
祖国をを救いたいというテレーズに応え、マルタンは兄タガードとニコラス、そして祖父と共にメルフィアへ向かう。
だが彼らの前に、ヴァルモンの青年将校ヴェリエルが指揮する空中要塞「ヴァダック」が立ちはだかる。
敵の砲撃で追い詰められたテレーズがトランス状態になると、突如木の枝が伸びてヴァダックを落とした。
メルフィア人には植物と感応する力があり、それこそがヴァルモンの侵攻の目的。
ヴァルモン軍は、要塞の動力にメルフィア人の脳を使っていたのだ。
自らの異能を恐れるテレーズは、マルタンたちの前から姿を消すが、彼女に恋していたマルタンは
兄たちと別れて彼女を追う。そこにケファと名載る男が現れ、テレーズの居場所を語った。
彼女はメルフィアに戻り、ヴェリエルと刺し違える策を立てていたのだ。
だが、ヴェリエルはすでに新たな兵器「ヴァベロス」を完成させつつあった。メルフィアの聖なる大樹を取り込み
周囲の樹木を操る能力を持つ新型空中要塞である。テレーズの幼稚な策を見破ったヴェリエルによって
テレーズはヴァベロスの頭脳として供されようとしていた。そこへ、マルタンが駆けつける。
マルタンを返り討ちにしようとするヴェリエル。だが、そのとき樹が動き出して軍隊を蹴散らし始めた。
テレーズもまたマルタンに惹かれていたため、彼の危機に感応力を暴走させたのである。
慌ててヴァベロスを浮上させ、樹の攻撃から逃れようとするヴェリエル。だが、マルタンを追ってきた
グタンツィオ家の飛行船による奇襲と、マルタンとテレーズの仕掛けた時限爆弾によってヴァベロスは破壊された。
しかしテレーズは「脳さえ無事ならいい」というヴェリエルの射撃によって致命傷を負ってしまった。
己の無力に泣くマルタン。だが、彼の前に再びケファが現れ、テレーズを蘇生させて姿を消す。
蘇ったテレーズは、自分を助けたのがケファと聞いて驚く。ケファとはヴァベロスと共に消失した大樹の名前。
彼女を救ったのは、大樹の化身だったのだ。
焼け跡から見つかった大樹の若芽に、テレーズとマルタンはメルフィアの復興を誓う。

179 名前:ギア・アンティーク2[sage] 投稿日:2006/03/32(土) 19:50:37 ID:???
亡き父の跡を継いで自動車設計を志すリデル、ラピス、ローザの三姉妹は旅の途中、
ロケット研究家のランドレット教授に出会う。教授の屋敷に招かれた三人だが、そこでヴァルモン軍の襲撃を受けた。
ヴァルモンは、教授が研究していた「降魔フィールド」からエネルギーを得る研究を進めており
すでに教授のかつての協力者、ドリル博士を抑えているらしい。
ファザコンの長女リデルが、父そっくりの教授に惚れ込んで協力を約束したため、三姉妹は教授と共にヴァルモンへ。
その途中、末娘ローザは野獣に襲われそうになり、通りすがりの軍人に救われる。再会を祈って別れた二人だったが
実はその士官こそ、降魔フィールド利用を狙うヴェリエルであった。
ヴァルモン帝都近郊の敵基地へ侵入を試みる三姉妹だが、あっさり捕らえられてしまう。
この基地で、敵として再会したローザとヴェリエルだが、ヴェリエルは計画の真相をローザに語る。
皇帝の甥に当たるが、その頭脳ゆえに疎まれてきたヴェリエルは、皇帝打倒を目論んでいたのだ。
戦いのパートナーとして求婚してくるヴェリエルにほだされかけるローザだが、ヴェリエルは婚約の誓いとして
降魔フィールドを掘削する巨大掘削機「キュルテン」の発信ボタンを押し、帝都壊滅の引き金を引くよう強要する。
一方、牢に取り残された姉たちとランドレットの前にドリル博士が現れた。
ドリルは計画の真意を明かす。キュルテンが降魔フィールドを貫けば、帝都どころかマキロニー全土が壊滅する。
かつてヴァルモンに娘を殺されたドリルは、世界もろともヴァルモンを滅ぼす気だった。
だが、三姉妹の両親もまたヴァルモンに殺されたと知ったドリルは
他人の未来を閉ざすような復讐の愚を悟って、教授と共に計画を阻止に向かう。
リデルの自動車でキュルテン格納庫に飛び込んだ一行はローザを救助するが、ヴェリエルはキュルテンを起動した。
キュルテンを止めるべく、一行は車でキュルテンの掘削坑を辿りキュルテンを追う。
キュルテンに追いついたドリルがギアを逆転させると、キュルテンは掘削坑を逆戻りし、基地を吹き飛ばした。
無事脱出した後、ドリル博士は三姉妹を養女にし、自動車開発の夢を後見することを申し出る。
三姉妹は喜ぶが、リデルと婚約していた教授は「お前が私の義父になるのか」と複雑な表情であった。

180 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/03/32(土) 19:51:15 ID:???
外園昌也「ギア・アンティーク」92年1月
        「ギア・アンティーク2」92年8月 共にJICC出版局 宝島コミックス(A5版)。
伏見健二のスチームパンクTRPG「ギア・アンティーク」の世界観に基づく書下ろし長編二作。
産業革命期のヨーロッパを思わせながら、古代文明の存在や、世界を汚染する「降魔」の存在により
不可思議な怪異や魔法の多数存在する「マキロニー地方」を舞台とする。
(ちなみに、伏見氏による東南アジア風エスニックTRPG『ブルーフォレスト物語』と本作は同じ惑星の別地方である)
両作品で悪役として登場するヴェリエルは、2のラストでもしっかり生き残っており
次巻の構想があることを匂わせていたが、残念ながら3以降は刊行されていない。