ふしぎ遊戯 玄武開伝/渡瀬悠宇
441 名前:ふしぎ遊戯 玄武開伝 1 投稿日:04/06/07 14:30 ID:???
 大正12年。17歳の女学生 奥田多喜子は肺病を患う母の療養のため、
母の実家の盛岡へ引っ越した。作家の父・永ノ助は中国へ行ったまま帰らない。
多喜子は永ノ助の友人・大杉高雄に恋をしているが、彼には妻子がいる。叶わぬ恋だ。

突然、多喜子の視界を銀色の光が覆う。光の中には蛇と亀が融合したような生き物が。
その幻覚から覚めると、目の前には帰宅した永ノ助がいた。
「1年もどこをほっつき歩いていたんですか?母様は心労のあまり弱っておいでです。
 お医者様には余命幾ばくもないと言われました」永ノ助は「そうか」と答えるだけ。
一言でも謝るかと思えば、永ノ助は傍らに置いた汚い手帳ばかり気にしている。
怒った多喜子が出て行った後、永ノ助は大杉に言う。
「詳しくは言えないが、支那で貴重な文献を見つけた。試しに一冊作ってみようと思う。
 いや…私は作らねばならんのだ。この手帳に全てを記してきた―――」

 気の張っている多喜子に、大杉は良かれと思って8歳になる娘の鈴乃の写真を見せる。
「鈴乃ちゃん、幸せね。お父さんに大事にされてるもの」笑顔で言う多喜子が痛々しかった。
帰宅すると、母は死んでいた。母を放って執筆にばかり夢中になっていた永ノ助が今更来る。
「母様に近寄らないで!」多喜子は泣きながら走っていく。
「何故待たなかった…もう少しであの本が完成したのに…」永ノ助はつぶやく。

 通夜の日。肺病が感染したら困るからと近所の者は手伝いに来ない。父は書斎に篭りきり。
大杉の妻子に自分のような思いをさせてはならないと、多喜子は大杉に帰るよう言った。
『四神天地書 訳 奥田永ノ助』そう書かれた父の本を多喜子は奪い取る。
父は母よりも自分よりも、本が大切なのだ。多喜子は本を破ろうとする。
その瞬間、本の中から銀色の光が溢れ出し、本に吸い込まれるように多喜子は消えていった。
後には多喜子のつけていた二本のリボンのうち一本が残っていた。
拾い上げると、リボンはまるで凍てついているかのように冷たかった。

 多喜子は気付くと、凍てつくような雪山の中にいた。体中が冷えている。
しばらく歩くと、木に磔にされた少女を見つける。鎖で緊縛されている。
少女は言う。「用がねえなら早く逃げな」背後からは恐ろしい化け物が現れた。


444 名前:ふしぎ遊戯 玄武開伝 2 投稿日:04/06/07 21:10 ID:???
 もしや…そう思い、永ノ助は四神天地書を開く。自分が書いたはずのない文に変わっている。
『―――物語はそれ自体が一つの呪文になっており、読み終えた者は
 主人公と同様の力を得、望みが叶う。何故なら物語は頁をめくった時
 事実と成って始まるのだから――四神の一つ 玄武に選ばれた少女は今、
 母を亡くし、父との諍いに心を破られんばかりに痛め――遂に異世界の扉を開け――
 玄武の巫女となりし、運命の道を歩き始めた少女の名は――――』


 体育で習った薙刀を思い出し、多喜子は棒を拾って化け物と戦うが、キリがない。
「仕方ねえな」少女がそう言った途端、突風が吹き、少女を緊縛する鎖が切れ、
化け物の体をも切り裂いた。長時間この場にいたのだろう。少女は熱を出し倒れる。
多喜子は少女を背負って雪山を歩くが、寒さで倒れる。目覚めると、悟った目をした子供がいた。
「来たな 玄武の巫女」子供が指す方向には、町があった。人々の服装からして日本ではない。

 宿に入り少女の濡れた服を脱がす。胸元に『女』という黒い文字があった。
「…父…上……」熱でうなされ、涙を流しながら少女は言う。
多喜子は人肌で熱を吸うため、自らも服を脱ぎ少女に覆い被さる。
目覚めると、少女がいたはずの場所に、少女と似た顔の男がいた。胸もとの『女』はない。
見知らぬ男と床を共にするなんて嫁にいけないと半泣きの多喜子。
「女同士ならいいんだろ」男は先ほどの少女へと姿を変える。胸元に『女』の字が浮かぶ。

 男にも女にも変われる特異体質なのだと男は言い、多喜子にどこから来たのかと訊く。
多喜子自身にもわからない。もしやここは、あの本の中?四神天地書と多喜子はつぶやく。
「余所者が何故その存在を知っている!お前…まさか玄武の巫女か?」
玄武とは青龍・白虎・朱雀・玄武の四神の中の一つで、北甲国の守護神。
玄武の巫女とは、国が乱れ滅びようとする時、異界から現れる伝説の娘。
その娘は『玄武七星士』と呼ばれる七人を集め、玄武を召還し、あらゆる願いをかなえ、
国を救い、平和に導くという。「下らねぇ伝説だ」男はそう言って部屋を出て行く。

445 名前:ふしぎ遊戯 玄武開伝 3 投稿日:04/06/07 21:13 ID:???
多喜子も追う。二人に向かい矢が飛ぶ。
「てめえ風斬鬼リムドだな!」弓を構えた男は言う。周りの者たちが騒ぐ。
「あの風で千人殺したという殺人鬼!?」警吏もやって来る。
リムドは多喜子を抱きかかえ、弓を持った男から逃げる。
熱のせいで女に変身できない。『風』は女の時にしか使えない。警吏が迫る。
「やめてーーー!」多喜子が叫ぶと、多喜子の体から銀色の強い光が。
皆がそれに目をくらますうちに、男が現れリムドを連れ去った。
現代では多喜子の残したリボンから銀色の光が放たれていた。
「この本の中にいるのか 多喜子!」多喜子は父の叫び声を耳にする。

 ソルエンという男の用意した馬に乗り、リムドは旅立つ。
「先ほどのあの銀の光…もしあの娘が玄武の巫女ならば、貴方のもう一つの名が
 必ずや星の運命(さだめ)へと導くはずです。玄武七星士 女宿(うるき)としての」
「黙れソルエン!俺はその名は生涯使わん!俺の運命はこの手で父を倒す事のみ!」

 リムドの女だと間違えられ、多喜子は弓を持つ少年・チャムカに捕らえられる。
チャムカのもとから逃げようとしてもみ合う内、チャムカの服が脱げる。
チャムカの背中には『虚』の字が。そこへチャムカの母・ボラーテが来る。
「どこから来たんだい?西廊国?紅南国?まさか倶東国じゃないだろうね」
倶東国とは東の軍事大国で、四神のうち青龍を守護する国。
気候は悪いが、鉄などの鉱物が取れる北甲国を狙っているのだという。
玄武の巫女さえ現れれば、玄武を呼び出しこの国を守ってくれるのにとボラーテは嘆く。
その話はやめろとチャムカは怒鳴る。「お前は七星士の一人じゃないか!
虚(とみて)…その背中に浮かぶ黒い文字は、巫女を守る玄武七星士の証じゃないか!」
こんな字迷惑なだけだ、第一玄武の巫女など現れはしないとチャムカは言うが、
先ほど多喜子が銀の光を放った事を思い出す。「お前が玄武の巫女か?」

 身を隠すため倶東国へ来たリムドは村を襲う盗賊を倒す。そこへ男が現れる。
「私は玻慧(はけい)。倶東国皇帝 憲揮帝(けんきてい)の子。今の戦い見せてもらったぞ。
 気に入った。私とともに来ぬか。その気があるのなら そちの名を申せ」
「……タキ」決めていた偽名があったのだが、何故か多喜子の名が浮かんだ。

468 名前:ふしぎ遊戯 玄武開伝 4 投稿日:04/06/09 00:44 ID:???
 玄武の巫女と知られ、多喜子は崇められ、村の半分の者が様々な品を捧げた。
そこへ倶東の軍が村を襲い掛かる。倶東はきまぐれに奇襲をかけ、
もう幾つもの部族が壊滅している。軍の中にはリムドの姿が。
軍の者は人々を次々に殺し、多喜子へ矢を引く。
それをかばいボラーテの背に矢が突き刺さる。チャムカは怒り、背中の『虚』の字が光る。
チャムカの手の平から銀色の光を放つ氷の刃が無数に飛び出し、敵を襲う。
リムドは咄嗟に女に変わり、風で氷の刃を阻む。チャムカはリムドに殴りかかる。
二人はお互いを七星士と認識する。リムドはソルエンの助けを得てその場を逃げた。

 ボラーテの怪我は幸い致命傷ではなかった。
そこへ風に乗りリムドが現れ、玄武の巫女になったら殺されるぞと忠告する。
多喜子はただの女学生でなんの力もない。しかし現代に帰った所で誰も必要としてくれない。
それならば、自分を必要としてくれる者のためにも玄武の巫女として頑張りたいと言う。
「バカな奴。殺されたって知らねーからな」リムドはそう言って消えていく。
多喜子は七星士を探すため、チャムカと共に旅立った。

 チャムカには一人知っている七星士がいる。すぐ隣の部族のエムタトという男だ。
七星士名は『斗宿(ひきつ)』。ある事件があって一年ほど姿を見た者はいないという。
ある事件とは何だと訊く多喜子に、七星士に生まれたために苦しむ者もいるのだとチャムカは言う。
チャムカの母をはじめ村の半分の者は七星士の伝説を良いようにとっているが、
たいていの国民は『国が滅ぶ前兆の不吉な存在』として忌み嫌っているのだ。
 火事から子供を救うため、七星士としての氷の力を使うチャムカ。
力を使い果たし、 疲れて宿に泊まろうとするチャムカを町の者たちは避ける。
火の中から救われた子供の母・マイジンが泊めてくれた。

 リムドは自分と同じく雇われた兵の紫義(しぎ)と緋鉛(ひえん)に会う。
二人から玻慧の命令を聞く。「玄武の巫女と玄武七星士を討て」

 マイジンの父から、かつてこの町にいた七星士について聞く。
斗・牛(いなみ)・女・虚・危(うるみや)・室(はつい)・壁(なまめ)の
北方玄武七星宿のうちの一人、室宿が三年前この町にいて、
その者は力を使い町の者を殺そうとしたのだという。

637 名前:ふしぎ遊戯 玄武開伝 投稿日:04/11/23 15:52:04 ID:???
まだ本編は終わってませんが、朱雀編で出た粗筋。

作家の奥田永ノ助は中国で手に入れた「四神天地書」を和訳する。
かつては不思議な力を持っていたと言われるその古文書は、
和訳されても尚その力を留め、永ノ助の娘の多喜子を本の世界に吸い込む。
本の世界で「玄武の巫女」となった多喜子は、体のどこかに
星の名のアザを持つ「玄武七星士」を探す事になる。
玄武七星士を全員揃えると、玄武を呼び出しあらゆる願いを叶える事ができる。
苦難の末、玄武を呼び出す事に成功した多喜子は現代へ帰る。
しかし、玄武は願いと引き換えに多喜子の体を少しずつ喰らってゆく。
永ノ助は苦しむ娘に耐え切れず、娘を刺殺し、古文書を破壊しようとするが、
不思議な力によって破る事も燃やす事も出来ない。
永ノ助は友人の大杉に古文書を託し、娘を殺した罪の意識から自害した。