聖戦記エルナサーガ/堤抄子
449 :聖戦記エルナサーガ :04/03/15 04:55 ID:???
遥か昔、魔獣フレースヴェルグが現れ、世界を滅ぼさんとした。
かの魔獣は「魔風」と呼ばれる破壊の暴風を起こし、それは世界中に届いた。
しかし勇者がこれを倒した。
が、魔獣は死して尚傷口から魔風を吹き出し、世界を害した。
勇者は魔風から世界を守るべく、魔獣を屠った絶対封魔剣の聖剣(グランテイン)を
最高峰「ノルズ山」の頂上に突き立てた。
魔風は聖剣を避けて東西へ別れ、風下に広大な「守られた地」が生まれた。
これが現在の「世界」(ギムレー)の始まりである。

時が過ぎ去り現在、勇者の伝説の多くは失われてしまった。
そして今の世、ノルズ山を有するがゆえに「勇者の末裔」の伝説を持つ国家である
アーサトゥアルは、その伝説を根拠として「世界の盟主」を宣言。
現在の世界はアーサトゥアル、アンサズ、グードランドの3つの強国(と都市国家など)が存在する。
アーサトゥアルは他国への干渉を強め、アンサズとは全面戦争へと発展していった…。

アーサトゥアル王家には王子エイリークとその従兄弟であるエルナ姫がいる。
エイリークは後に戴冠式を控えており、実質的な王だった。
彼と大魔道師ヴァーリは膠着状態に陥っている戦争を打開するべく、切り札を使おうとした。

この世界の人間はすべからく大なり小なり「魔法」を帯びている。
子供でも呪文と掌相を学べば魔法を使えるのだ。
特に王家の人間は魔力の量が凄まじく多い…はずだった。

しかし、エルナ姫は、世界で只ひとり、全く魔法を帯びていないのだ。
そのために彼女は「闇の姫御子」として忌み嫌われていた。

ノルズ山の聖剣は絶対封魔剣であり、魔法を持つ普通の人間は触れる事が出来ない。
が、エルナなら触れる事が出来る。
アーサトゥアルはエルナをノルズ山の離宮に送り込み、世界を脅迫して盟主となる計画だった。

450 :聖戦記エルナサーガ :04/03/15 04:57 ID:???
他国もその企てを黙って見てはいなかった。
グードランドの精鋭部隊・女王の親衛隊(ヴァルキュリア)がエルナの馬車を襲撃。
しかしその馬車は偽物だった。

アーサトゥアルの第九王子シャールヴィは前線で戦っている際計画を知り、
彼女を暗殺すべく空馬に乗り単身アーサトゥアルへ。
彼は囮に引っ掛からず、教会で待機しているエルナを殺しにいく。
エルナは仲良しの少年アトリの姿隠しの魔法で守られたが、
彼女を渡すまいとする教会の魔道師が魔法戦に敗れて瀕死になった上に
シャールヴィによって魔精霊(ウィルス兵器みたいな魔法)を
ばら撒かれてしまい、化けもんになったのを見て飛び出してしまう。

「たった一人の魔術師のために民草を…自国を捨てるか。王族の命は自分だけの物じゃねーぞ」
「けれど私は、目の前のたったひとつの命も、見捨てる事は出来なかった…」

シャールヴィは観念したエルナの首を刎ねようとするが、アトリがそれを阻止。
剣を向けられたアトリを救うため、エルナは剣を抜く。

451 :聖戦記エルナサーガ :04/03/15 04:59 ID:???
エルナの剣は先刻魔術師に「お守りとして」渡された聖短剣(グランクニーヴ)。
過去勇者が使った短剣であり、聖剣と同じく絶対封魔剣でエルナしか触れられない。
封魔剣の力で思わぬ深手を負ったシャールヴィはその回復のために魔法を殆ど消費。

# 王族や魔術師など「魔法の量が多い人間」は「回生呪」と呼ばれる紋章を体のどこかに刻んでいる。
# 怪我をすると自動的に治癒魔法がかかる仕組み。自動ヒーリング。

しかもそこに知らせを受けたヴァーリがやってくる。
シャールヴィは劣勢を悟り、エルナを人質として教会の階段を登って逃げようとする。

が、追手のヴァーリは構わず強力な魔法をぶちかましてくる。
「てめー何てことすんだ!エルナが死ぬぞ!」焦るシャールヴィにヴァーリは答える。
「もろともに貴君を倒してしまえば、たとえ姫が死んでも他国にそれを知らせる術はない」
その答えに、シャールヴィは作戦を変更。宣言する。

「ならば俺がエルナをアンサズまで連れて行く。ノルズ山の頂で
闇の姫御子が聖剣の柄を握っているなど、大嘘だと世界に知らしめてやる」

エルナは聖短剣によりヴァーリの魔法を避ける手伝いをし、自らにも力があることを知る。
彼女は「もう一度エイリークに戦を止めるよう進言してみます」とシャールヴィに言うが、
ヴァーリは彼女を殺すべく魔法を放つ。

「エルナ、来い!」待機していた空馬を連れたシャールヴィはエルナに手を伸ばし、彼女はその手を掴んだ。

473 :聖戦記エルナサーガ :04/03/16 05:08 ID:???
「シャールヴィにさらわれる」エルナの姿はアトリやエイリークも地上より目撃。

ヴァーリは魔精霊に侵された魔術師を自らの手で処分した。
その姿に恐怖と疑念を抱いた騎士がエイリークにそれを伝える。
彼は「ヴァーリは父王の代から王家に仕えてきた大魔道師だ」と騎士を退けるが、
昔作った鳥形使い魔のカルルに「エルナを追い、助けろ」と命令。

一方エルナとシャールヴィは空馬飛行中、
竜に乗ったグードランドのヴァルキリア達に襲撃される。
かの国では上級騎士である女性3人組は先に囮のエルナを討ち、追ってきていたのだった。
「封魔呪を解く事ができるエルナ姫の手によって
アンザスに眠っている炎魔剣(レーヴァテイン)を呼び起こすつもりだろう」
ヴァルキリア達はそう言いエルナをアンサズにも渡そうとしない。

魔法が回復しないシャールヴィだったが、
戦闘と空馬の使い方は彼女らの上を行き、ふたりを撃墜。
しかし最後のひとりで隊長であるベルクゾーラが遂に空馬を落とした。
そこには狂戦士(魔精霊に感染して獣人となった人間)が待ち構えていた。

シャールヴィは落下の際に足を痛めてしまっていた。
観念した彼はエルナに「アンサズへ行け。てめーは生きろ」と、彼女のみを逃がす。
一旦は言葉通りに逃げたエルナだったが「自分だけ逃げてていいの?」と自問し、戻る。

474 :聖戦記エルナサーガ :04/03/16 05:10 ID:???
剣の心得などない彼女だったが段々聖短剣の扱いにも慣れ、狂戦士に手痛い一撃を。
すると封魔剣の効力か、魔精霊が解呪されて人間に戻っていく。
が、ベルクゾーラは「元は死刑囚だ」と言い、その人間を殺す。
それにぶちキレたエルナ、「あなたがおいでなさい」とベルクゾーラを挑発。
結局エルナはシャールヴィに守られつつもベルクゾーラに勝利する。

「エルナを殺せ!そして存分に我らの死肉を喰らうがいい!」
ベルクゾーラ最期の命令。ふたりに狂戦士が襲い来る。
その時、空から光が降り注ぎ、シャールヴィと空馬の傷が癒えていく。
追いついたカルルが治癒魔法をかけたのだ。

急いで空馬に乗り離陸するふたり。
そこに、途中で撃墜されたヴァルキリアのひとり、ラヴァルタがやってきた。
「ラヴァルタ!魔法だ!」瀕死の中、勝利を確信するベルクゾーラ。
が、ラヴァルタは不用意に使用した使い魔法により
魔法を完全に消費しており、空馬を落とす事は出来なかった。
ベルクゾーラに詫びるラヴァルタだったが、彼女は既に、勝ち誇った表情のまま事切れていた。

# これで旧版2巻終了。この辺濃いので詳しく書いてしまう…。