ドリームネットPAPA/柴田亜美
304 名前:ドリームネットPAPA 1[sage] 投稿日:05/02/15 05:25:39 ID:???
大手ゲームメーカー「ドリームス」のプロデューサー、五味ヒデハルは飛行機を待っていた。
身ごもったまま2年前に別れた妻がアメリカで出産ののち1年で他界、残された息子を引き取ろうというのだ。
パソコンを習わせよう、いつか自分の作ったゲームで遊ばせたいと夢をふくらませるヒデハル。
しかしその彼を飛行機を暴走した飛行機が襲った。
…(息子より)妻のほうに早くあえそうだ…

病院で目を覚ましたヒデハルの前に、目の座った赤ん坊の姿があった。叫ぶヒデハルに、
「それが息子に対する第一声か」と憮然と答える赤ん坊。
赤ん坊の名前はネット。1才にして流暢な日本語を使い、マサチューセッツ工科大学を卒業済という天才ベビーである。
その後ニュースで、飛行機の操縦桿を奪った赤ん坊の目撃証言が流れ、
ヒデハルは全治3ヶ月の怪我をおして病院から逃げることになる。

305 名前:ドリームネットPAPA 2[sage] 投稿日:05/02/15 05:27:44 ID:???
早速自分の作ったゲームで遊ばせ、父の偉大さを見せようというヒデハル。
しかしネットの作った携帯ゲーム機「トイボックス」の前に父の威厳は粉々になる。
「トイボックス」は現在のゲーム機の上の性能を持つばかりでなく
バーチャルペットのホログラフィー、ウサたんを操ってしまうという夢のゲーム機だった。
ヒデハルは父の威厳を捨て、トイボックスの構造を教えてくれと頼む。
しかしネットは「これはクラリスママのために作ったゲーム機だ。金もうけのためには使わせない」と拒んだ。
怒るヒデハル。彼は金もうけのためにゲームを作った事は一度もない。
子供達の笑顔を見たいがために、今までゲームを作ってきたのだ…が、それをネットに言い返すことはできなかった。
ヒデハルはまだ、自分の息子の笑顔を見ていない。

…でもやっぱりトイボックスがあれば、と会社で悩みつつ働くヒデハルの前に突然ウサたんが現れる。
ネットと「トイボックス」の存在を知ったライバル「リアール社」のスーツマン秀樹が、ネットを誘拐したのだ。
ウサたんはネットが送ったSOS 。ヒデハルはフェラーリを飛ばし中学生の自転車を奪いとり、
(ウサたんの力で)なぜか空を飛び杉並区の皆様に思い出を残しながら、ウサギと共に秀樹を追う。
「俺のトイボックス〜〜ぅぅぅ!!」
そのままその迫力で秀樹を倒し、トイボックスとネットを助け出したヒデハル。
助けられたネットは「助けにきてくれるか知りたかった」と言い、トイボックスをヒデハルに差し出す。
これさえあれば夢のゲームが作れる…。思わず手を出しかけたヒデハルだったが、その時彼の頭に亡き妻の笑顔が浮かんだ。
「(ヒデハルの作ったゲーム、好きよ!)」
ヒデハルは出しかけた手をネットの頭に置いた。「バカにするな。父はこんなモン、自分で作れるさ!」

315 名前:ドリームネットPAPA[sage] 投稿日:05/02/18 03:07:54 ID:???
papaのエピソード3つ分貼ります。
>308
papaはどこかで見たようなキャラ(実在の人物含む)が多いです。ヒデハルのモデルとか。
他作家のパロも多くそのあたり個人的に好きなのですが、
文章力がないので全部拾うとキリがない&収拾つかないので省いてます。

316 名前:ドリームネットPAPA・エピソード2[sage] 投稿日:05/02/18 03:45:13 ID:???
ヒデハルは、育てたキャラを通信対戦させるゲーム「セルフ」を製作していた。
何度でも挑戦することで「昨日よりさらに強い自分になる」…というのがコンセプト。
その前向きさを憎む刺客がリアール社からやってきた。かつて天才少年プログラマーと呼ばれた男・アキラだ。
彼は「セルフ」のモニターの子供達にバグを送りこみ、キャラが流血の殺しあいをするようしむける。
かつてアキラが作った問題作「ブラッディマンデー」から犯人をつきとめたヒデハルは、ゲームでの直接対決を約束した。
ジャージの上にキャラジャンパー姿で気合を入れるヒデハル。
しかしその気合むなしく、アキラ作「痛みが伝わる格闘ゲーム」で一方的にやられてしまう。
苦しみながらも「痛みや苦悩を表現したゲーム」を批難するヒデハル。
アキラが作った「ブラッディマンデー」は学校に現れた殺人鬼(教師)を主人公が殺すというもの。
裏モードではその殺人鬼=父親で、主人公が父を憎みメッタ差しにするというエンディングもあり、
ヒデハルはその残虐さを嫌悪していた。「そんなゲームは認めない!」
「子供ってのは残酷なもんなんだぜ!…自分より立場が弱いと分れば際限なくイジメやがる」
アキラには父親の横領が原因で同級生に虐められた過去があった。
しかし勝手なもので、アキラがゲームで賞を取ると、同級生は皆急に好意的になったのだ。
「そんな奴らのために…ゲームなんか作れるかァ」
心情を覗かせたアキラに、今度はネットが対戦を申し込む。
プログラムに送り込まれたウサたんの活躍で、アキラのキャラは自らリングアウト。
リングアウト=自滅行為の痛みに耐えられないアキラを
「本当の痛さをわからん奴がゲームを作るなッ!」とヒデハルが一喝する。
一方、ネットは「ブラッディマンデー」のもう一つの隠しシナリオを見つけていた。
殺人鬼は教師でも父親でもなく自分。自分を殺すとこのゲームは、データごとこの世から消えるのだ。
制作者の少年の思いはそこにあった。それを知ってヒデハルはアキラに言う。
「お前は夢を売るゲームが嫌いだそうだが…俺は自分が夢を忘れんためにゲームを作っているんだ。」

後日「セルフ」を遊ぶ子供達に対戦を約束するアキラの姿があった。lv1からやり直しだと彼は笑う。
「でも明日の俺は今日より強いぜ!」

317 名前:ドリームネットPAPA・エピソード3[sage] 投稿日:05/02/18 03:51:27 ID:???
ネットの家の隣には「安土 麗(アンドレ)」というロココな名前を持つ少年が住んでいる。
アンドレは両親を亡くし、厳格な祖母と二人ぐらし。全てを祖母の好みに合わせて生活しているという。
獣医になりたいが動物嫌いの祖母のせいでペットさえ飼えない、と愚痴をこぼすアンドレに、
ネットは昔自分が作った「メッセージ」というゲームをプレゼントした。
「メッセージ」はバーチャルペットに話しかけて仲良くなるゲーム。親密度が上がればペットも様々な反応を返すのだ。
すぐに夢中になったアンドレは、日々「メッセージ」に語りかけ続ける。
が、そのせいか成績が下がってしまい、祖母はそのゲームを捨ててしまう。
「今迄アンタの言う通りにやってきたじゃないか!」シヨックで家を飛び出すアンドレ。
ネットは1人残されて泣く、アンドレの祖母の姿を見る。
「あの子が動物を飼いたいのは知ってたわ。でも動物の寿命は短いじゃない…大切なものを失う辛さ、もう味あわせたくなかったのよ」
それが孫を籠にとじこめることになっていたのかと悔いる祖母。その思いを知ったネットはアンドレを追う。
沢山の言葉を受け止めてくれていた友達が捨てられた、と祖母を恨むアンドレ。
ネットは言う。「お前はそのメッセージの一つでも、おばあさんに伝えたことがあったか?
…そしてお前自身はおばあさんの本当のメッセージを受け止めていたのか?」
二人はゴミ処理場に「メッセージ」を探しに行く。
そこには必死の形相でゴミの山をあさる、アンドレの祖母の姿があった。
アンドレは祖母の目を見て、獣医になりたいという夢を語る。祖母も認め、アンドレは祖母に「ありがとう」と言う。
ネットはその二人を見て、「メッセージ」を作るきっかけになった人物・母クラリスとの最後の対面を思い返す。
ネットが動かなくなってしまった母に送った、最後のメッセージ。
「これからもずっと…大好きだぞママ!」

その後遅くに帰宅したネットを待っていたのは取り乱したヒデハルの姿だった。
「心配したんだぞ…このバカ息子ッ」ネットは珍しく、素直にあやまるのだった。

318 名前:ドリームネットPAPA・エピソード4-1[sage] 投稿日:05/02/18 04:01:51 ID:???
リアール社の社長…もとい総統のイリエから新たな刺客がやってきた。
名前は八神キョウジ。元天才脳外科医である。
八神はヒデハルに開発中のとあるゲームソフトを送る。それを見たヒデハルは血相を変え、開発中のゲームの強化に取り組む。
2人の対決はゲームショウの業界日、負けた方は一般公開をとりやめるということになった。

当日、招待された子供たちとネット、そして大学で八神に医学を教わっていたというアキラが、二人のゲームを体験することになる。
まずはヒデハルのゲームから公開。タイトルは「H and S 〜かくれんぼ〜」。
その名の通り、スコープで見る森の中にいる動物たちを探すゲームだ。
見るものをどこか懐かしくさせる森に囲まれ、子供達は夢中でかくれんぼを楽しむ。
ネットは、その木々がアメリカ杉(母クラリスの好きな木)であることに気が付いた。
続いて八神のゲーム「ブレインショック」。
これは脳の視角野部分に刺激を送ることで、仮想空間を脳内に造り出すというもの。
どんなジャンルのゲームでも、脳への信号ひとつでプレイヤーはそれを現実のように感じてしまう。ある種究極のゲームだ。
しかしネットは興奮状態の子供達を見て、脳への刺激が映像だけでなく感情を動かす扁桃体にも送られていることに気付く。
プレイヤーの感情までコントロールしてしまうのはもはやゲームではない。
怒りを露にするネットとヒデハルに八神は言う。「例えつくられたものだとしても、幸せだと感じるのならばいいじゃありませんか!」
その八神をさらに否定したのはアキラだった。「アンタは弟が死んでやけになってるだけなんだよ」
八神の弟は脳腫瘍で亡くなった。最後まで苦しんで死んでいったその姿に彼は医学の限界を知り、
感情を造り出すことへの可能性を求めるようになったのだ。
「私が信じていた医学は間違いだったんですよ!」と叫ぶ八神。「間違いだったなんて言うなよ」と恩師を諭すアキラ。

319 名前:ドリームネットPAPA・エピソード4-2[sage] 投稿日:05/02/18 04:13:40 ID:???
その時、ブース内に子供の泣き声が響いた。
「ブレインショック」で脳に強い刺激を受けていた子供が、さらに脳内のカーレースでクラッシュをしてしまったのだ。
脳に刺激を与えるゲームだけに、体調が万全でないと返ってくる衝撃も大きい。
八神は頭が痛いと泣く子供と、病床にあった自分の弟とを重ね、なんてことをしてしまったのかと我にかえる。
救急車を呼ぼうとするアキラを止めて、ネットは子供に「H and S」のスコープをつけさせた。
「このままだと、この子は一生ゲームは恐いものだと思い続けることになる」
そしてトイボックスを起動。あたりは森の香りにつつまれる。
「…夏休みに遊びに行った奥多摩の香りだぁ……」
ヒデハルの作った森の映像とアロマテラピーの相乗効果で、泣いていた子供はやがて意識を取り戻し笑顔を見せた。
他の子供達も「H and S」のスコープを付け、それぞれの森を楽しむ。
アキラに勧められ、スコープを手にする八神。そこで彼が見たのは、八神と弟の故郷である信州の森だった。
ネットが言う。「ヒデハルの作った森を子供たちはちゃんと自分の思い出の風景に受け取ったんだ。八神だってそうだろう。
心なんて誰かがつくらなくていい。みんなちゃんと心に、自分の風景を持ってるんだ。」
八神の弟は東京の病院で、ずっと故郷の信州に帰りたがっていた。
偽りの安らぎを作ることで逃げていたのは自分、弟にはちゃんと帰る場所があったのだと泣く八神。

その後八神はアキラに促されて大学に復帰。ゲームショウの一般公開日に「ブレインショック」は発表されなかった。

245 名前:ドリームネットPAPA[sage] 投稿日:2005/08/20(土) 00:42:57 ID:???
ネット…1歳にしてホログラフィーのバーチャルペット「ウサたん」を操るゲーム機「トイボックス」を造った天才ベビー。
メディア…ネットのことが大好きな天才ベビー、2歳。バーチャルペット「クマたん」とゲーム機「ラブボックス」を造った。
ヒデハル…ネットの父。大手ゲーム会社のプロデューサー。妻クラリスとはささいなことで離婚→死別。
アキラ…雇われゲームクラッシャー。血と猟奇物が大好きな医大生。
イリエ…ヒデハルの会社のライバル社「リアール」の社長、もとい総統。
秀樹…リアール社のサラリーマン。ネットの持つ「トイボックス」を狙っている。


246 名前:ドリームネットPAPA・エピソード4-1[sage] 投稿日:2005/08/20(土) 00:44:03 ID:???
ある日アメリカから、ネットのガールフレンドがやってきた。
彼女の名前はメディア。マサチューセッツ工科大学でのネットのクラスメートで、
ネットとおそろいのバーチャルペット「クマたん」を操るゲーム機「ラブボックス」を作った天才2歳児だ。
彼女との対面を避けようと、防犯レーザー・落とし穴・バズーカ…様々な罠をしかけて彼女を迎えるネット。しかしメディアも手段を選ばずそれに反抗、36年ローンのヒデハル邸はボロボロになる。
「いやでちゅわー、あたくちったらはちたない」
たまたま遊びに来たアキラに仲裁され、今度は結婚をかけてゲームで争う事になった二人。
勝負は集中力を欠いたメディアの自爆で終わる。ショックで飛び出すメディア。
ネットに邪険にされ彼女が可哀想だというアキラにネットは言う。
「恋は盲目とはよく言ったもんだ…それに…最後に女を落とすのは男に決まっとる!」

飛び出したメディアに偶然出会ったのはネットの「トイボックス」を狙う、リアール社の秀樹だった。
メディアの持つ「ラブボックス」に目をつけた彼は、メディアに協力しゲームでの再戦をネットに申込む。
今度のゲームは「アルティミットダンシングマスター」。
メディアとネットが大学で共同開発したダンスゲームだ。
1000種類の踊りが組み込まれているというそのゲームのために、2人の赤ちゃんは丸二日、ダンスの猛特訓をする。
ネットが勝ったらメディアはアメリカに帰り、メディアが勝ったらネットは彼女の言うことを何でも聞かなければならない。

247 名前:ドリームネットPAPA・エピソード4-2[sage] 投稿日:2005/08/20(土) 00:46:56 ID:???
勝負の日。ヒデハル・秀樹・アキラの見守る中メディアとネットは激しいダンスバトルを展開する。
ケチャ・ハンガリーのビンの踊り・室戸市シットロト踊り…
なかなか決着が着かない勝負を中断する人物が現れた。胸にシリコンを持つメディアの母、もとい父のエリオットだ。
有名会社の社長でもある彼はヒデハルとも知り合いだった。驚く周囲。
「私はクラリス(ネットの母・故人)と親友だったのよ…」
彼女はこんなしみったれたしょっぱい男と結婚する人じゃなかった、とヒデハルを批難し嘆くエリオット。
「アタシは五味ヒデハルの家になんて一秒もいたくないの、帰るわよメディア!」
勝負半ばにメ娘を連れ帰ろうとするエリオットに2人の赤ちゃんが抵抗。
「理由はともあれ、勝負を途中で投げ出させるのは教育上良くないぞ」
「ダディーにはオカマの意地ってものがありまちぇんの!」
二人に説得されエリオットは勝負を見届けることに。戦いは次のナンバー・コサックダンスに移る。
やはり実力は五分、ヒートアップする超コサック。
勝敗を決めたのはメディアのポケットからころがりおちた5円玉だった。
「ダメ…!!」
5円玉を追い床に手をついてしまうメディア、そしてゲームオーバー。ネットはその5円玉を見て驚く。
「メディア、それ…持ってたのか…」
「当たり前じゃないでちゅか」
メディアは泣きながら答えた。
「ネットちゃまがメディアにくれたプレゼント…女の子だったら持ってて当たり前じゃないでちゅか…!」

248 名前:ドリームネットPAPA・エピソード4-3[sage] 投稿日:2005/08/20(土) 00:50:12 ID:???
ネットが5円玉をメディアにプレゼントした日、それは母を亡くしたネットが日本へ発つ日だった。
飛行機を爆破してでもついて行くというメディアに、ネットが渡した5円玉。
「クラリスママからもらったラッキーアイテムだ。ご縁があるように、という言霊が込めてあるらしい。」
ご縁の意味が分からないメディアに、ネットは「また会えるさ」と言い残し日本へ発ってしまったのだ。

「お母ちゃま亡くしてネットちゃまもつらいんだから…メディアがまんしまちたの…いい子にしてればまた会えるって……でも、「また」っていう日はいつなんでちゅのっ!!」
泣き崩れるメディア。エリオットはかつてクラリスに5円玉を渡したであろうヒデハルを責める。
「アンタでしょ、クラリスにそんな迷信教えたの…だからアタシはアンタが嫌いよ!
 いい加減なことばかり言って…女にとって好きな男の言葉はすべて真実なんだ。……曖昧な言葉で俺の娘を泣かせるな!」
それを聞いたネットはゲームプログラムにラストナンバーを要求した。曲はテネシーワルツ。
泣くメディアの手をとり踊るネット。学校の単位は取得したが、自分たちはまだ人から与えられて生きているのだと言う。
「…きっと、ボクがキミに何かを与えて、キミにボクが何かを与える日がやってくる」
だから待っていてくれという言葉に、前回の別れよりも真実を感じたメディアはうなずく。
一方、踊る二人を見てエリオットはネットの母・親友クラリスのことを思い出していた。
(踊ってくださる、カウボーイ?)(聞いて私、結婚するの…)

249 名前:ドリームネットPAPA・エピソード5[sage] 投稿日:2005/08/20(土) 00:51:51 ID:???
メディアとエリオットが帰る日。ネットは見送りにはいかないと強がりながらも異様にしおらしく、ヒデハル邸には常にない静かな朝がやってきていた。
そこに取り乱したエリオットがやってくる。やはり恋に生きたいメディアが、ホテルをぬけだしてしまったのだ。
さらに彼女を「ラブボックス」目当ての秀樹が誘拐、メディアの行方はわからなくなってしまった。
クマたんの情報でそれを知ったネット達は、東京のネットワーク中にウサたんを送りこみ、秀樹の車を探しだす。
追う車の中でヒデハルはネットに言う。
「メディアちゃんにあったらちゃんと自分の気持ちを言葉にするんだぞ!」
大人になったらそれができなくなることもあるのだ、と。助手席で黙って聞くエリオット。
「わかったぞヒデハル」

そして追い付いたヒデキの車にエリオットが呼んだ軍用ヘリが発砲、
「命惜しけりゃオレの娘を置いて行きな!」という父の一喝にメディアはあっけなく解放される。
解放された彼女を、ネットは軽く指でついた。
「…また勝手な行動をとって皆を困らせたな。お前をひとりにしておくと心配だ……ボクのそばにいろ」
泣きながらネットに抱き着くメディア。
笑んで見守るヒデハルにエリオットが話しかける。
「卒業パーティーでクラリスとワルツを踊ったわ…アタシはカウボーイの格好、クラリスは初めてドレスを着てみせて…結婚するとアタシに告げたの」
自分の本当の気持ちに気付いたのはその時だけだ、と語るエリオット。
「すまん、俺はクラリスを最後まで…」
「謝るなよヒデハル。殴りたくなるから」
そしてメディアの父は1人で帰国。ヒデハル宅の赤ん坊は2人になった。

379 名前:ドリームネットPAPA・エピソード6-1[sage] 投稿日:2005/09/01(木) 00:16:00 ID:???
ヒデハルの部下、アートディレクターの大嶋ナオトがネットの家に泊まりに来た。
次回作である「家族」をモチーフにしたゲームの絵コンテが行き詰まっているので、ヒデハルの家族を参考にしようというのだ。
家族の愛情がわからないと悩むナオトのため、そして天才幼児の存在を世間に騒がれないために「普通」のアメリカンなファミリーを演じようとするヒデハル。
しかしやはり理想と現実には高い壁があり、ネットとメディアのことはすぐナオトにばれてしまう。
「返答次第じゃ拉致監禁ッ!」
仕方なくナオトを縛り上げたヒデハルに、ナオトは誰にも言わないと約束し、
ネットに、形はどうあれ父親に心配してもらうのは羨ましいと言うのだった。
「僕は父親に手さえ握ってもらったことがないよ」
幼いときに事故で母を亡くしたナオト。父はナオトが手を差出しても背を向けた。
父に背をむけられたナオトの不安は不信に変わり、今では病気となった父の見舞いにも行けないほど距離が開いてしまったのだと言う。
「オマエも大変だな。でもオマエの父も辛かったと思うぞ、自分の子供に戸惑わなきゃいけないなんて」
ヒデハルに我がまま放題のネットがそんな事を言うのに驚いて言い返すナオト。
「君たちだって言ってたじゃないか…父親だったら子供のためにもっとガマンして…」
「ボクとヒデハルは我慢なんかせんぞ。お互い大変だってことを見せつけあった上でワガママしてるんだ。
親は親なり、子は子なりに大変なんだからそれが分っていればいいんだ」
「それが分からない…分からないんだよ…」

381 名前:ドリームネットPAPA・エピソード6-2[sage] 投稿日:2005/09/01(木) 00:22:52 ID:???
相変わらずコンテは描けないまま、悩むナオトに田舎から父の危篤の知らせが入る。
駆け付けたナオトが病室で見た父の姿は小さく、ナオトは途方にくれる。
「あんな弱そうな人じゃなかった…あんなの親父やない…」
もうどんな態度をとっていいのか分からないというナオトに、ナオトの叔母が昔起きた水害のことを語る。
その時流されたのはナオトとその母の2人だった。とっさの事に父はナオトの手しか取ることができず、
結果ナオトは母を失うことになったのだ。
口どめされていたが、あれがしこりになったのだろうと叔母が言う。
慌てて病室に入るナオト。枕元で泣きながら謝る息子に、父は母に会ったと涙を流した。
「あれがわらっとったよ…おまえば助けてくれてありがとうって…許してくれとったんやね」
ナオトの父は息子と手を繋ぐことを避けた。何かの罪であるように。
しかしそれは罪ではなかったのだと、ナオトは父の手を握り礼を言った。
後日、ネットの所に出来上がったゲームのオープニングムービーが届く。
父を亡くしたばかりのナオトがよくやってくれたとヒデハルが言う。
そしてネットにと言付けられた一通の手紙。ネットはその手紙を、決してヒデハルには見せなかった。

『いつかキミもお父さんの手を話す時がくるでしょう。
 だから今、しっかりとその手を握っててください。』