ドラえもん のび太の海底鬼岩城/藤子・F・不二雄
453 名前:のび太の海底鬼岩城[sage] 投稿日:2005/07/26(火) 19:40:05 ID:???
夏休み、海に行くか山に行くかでもめているいつものメンバー。
そこでドラえもんは海の中の山に登る事を提案するが、海底なんて薄気味悪いといって皆帰ってしまう。
怒ったドラえもんは、水中バギーを出し一人で海底にキャンプをしにいくことに。
それにこっそりとついて行こうとするのび太。
しかしバギーがいきなり海に潜ろうとしたため溺れかけ、ドラえもんに気づかれてしまう。
ドラえもんはテキオー灯という道具の光線をのび太に当て、改めて2人はバギーで海に潜ることに。
テキオー灯を使えば24時間どんなところでも住めるようになるのだ。
海の中でも陸上と同じようにいられることに驚くのび太。
テキオー灯のおかげで辺りも暗くならず、まるで昼間のように明るいまま。
さっそく深海底まで潜り、キャンプによさそうな海底の山々を発見する。

海中でとった写真を見せしずかをキャンプに誘ったのび太。明日出発することにする。
しかしママに夏休みの宿題を終えるまでは遊びに行ってはだめだといわれてしまう。
やる気を見せるのび太だが、すぐにあきらめてしまう。
そこに、バミューダ沖で発見された宝を積んだ沈没船が
引上げ作業の途中に姿を消してしまったというニュースを見たジャイアンとスネ夫がやってきた。
自分達が行くのは沈没船の見つかった大西洋ではなく太平洋だからね、とドラえもん。
ジャイアンが行き先を変えさせようとするが、スネ夫のとりなしでとりあえず言うことを聞くことにし
自分達も一緒にキャンプに行くことにする。
そこにのび太の宿題の様子をみにしずかがやってきた。
のび太の宿題が終わるまでなんて、それじゃ永久にいけないかもしれない。
そう考えた四人の励ましやら脅しやらのおかげでのび太は何とか三日後に宿題を終え、ママのお許しをもらえた。

454 名前:のび太の海底鬼岩城[sage] 投稿日:2005/07/26(火) 19:40:45 ID:???
翌朝、キャンプに出発し水深2000メートルの山に降り立ったのび太たち。
さっそくドラえもんの道具でものすごい立派なテントを建て食事をすませる。
この日は深海をドライブして深海魚ツアーをすることにした五人。バギーに乗り込み出発。
色々な魚を発見しバギーに解説させるが、安物のせいか口は悪いし知識はいまいち。
と、突然近くの海底火山が活動を始めた。泥が舞い上がり視界がよくないため逃げ出すことに。
その途中のび太は巨大なイカを見たが、みんなにはそんなのいるもんかと馬鹿にされてしまう。
スリルを楽しんだと満足してテントに戻ってきた五人。
その晩はキャンプファイヤーでバーベキューをすることに(もちろんドラえもんの道具で)。
食事の後スネ夫は海の怪談「魔の三角地帯」について話し始めた。
そこは宝を積んだ沈没船が見つかった場所と同じ所で、通りかかった船や飛行機はなぜかみな姿を消してしまうのだ。
僕らでその謎をときにいこうと言うスネ夫に、そんな危険なところには絶対に行かないとドラえもんは宣言する。
しかしジャイアンとスネ夫はどうしても行方不明になった沈没船を見つけ出したいと考える。

翌朝目覚めたドラえもんは、ジャイアンとスネ夫、そしてバギーが姿を消していることに気づき慌てる。
なんとテキオー灯の効果があと一時間で切れてしまうのだ。大慌てで追いかける3人。
しかしタケコプターでバギーのスピードに追いつくはずがない。
バギーのスピードが速すぎるから「とりよせバッグ」は使えない。どこでもドアも四千メートル離れた海の上。
とにかくタケコプターでぶっ飛ばすドラえもんたち3人。

そのころジャイアンたちは徐々にあたりが暗くなり息苦しくなってきたことに気づいた。
テキオー灯の効果が切れそうなことに気づいたバギーだが、今さら戻っても無駄だと言い走りつづける。
ついに放り出された2人を冷静に見つめるバギー。


455 名前:のび太の海底鬼岩城[sage] 投稿日:2005/07/26(火) 19:41:21 ID:???
タイムリミットを迎え泣き崩れるのび太たち。
そこでようやくとりよせバッグでどこでもドアを取り寄せればよかったことに気づいたドラえもん。
自分を激しく責めながらも、ドアでジャイアンたちのもとに行くことに。
岩陰にもたれ動かない二人を見て涙する3人。
しかしなんと2人は生きていた。不思議に思いながらも大喜びする一同。
ジャイアンとスネ夫は全部バギーのせいにして、バギーに殴りかかる。
行けといわれたから行っただけだと怒るバギー。
もともとあまり調子もよくなかったし廃車にしてしまおうかと考えるドラえもんだったが、
バギーには善悪の概念がなく命令を守っただけなのだから壊すなんて可哀想と言うしずかの言葉に思い直すことに。
ジャイアンたちも反省し、みなはバギーでキャンプに帰る事にする。
バギーはすっかりしずかに懐いてしまった。
しかし2人が無事だったのは何故だろうか。誰かがテキオー灯をあびせてくれたとしか考えられないのだが…。

キャンプは続行することにして、マリアナ海溝に出かけた一同。
そこでジャイアンが沈没船を発見した。どうやらこの船はバミューダで発見されたものらしい。
誰かが引上げ作業の前にわざわざこんな所に運び隠したようだ。しかし誰がなぜそんなことを。
ひとり怖がって中に入らず外で待っていたのび太。
そこに巨大な怪魚が現れのび太に攻撃を加えてきた。必死で逃げるのび太。
しかしドラえもんたちが船の中から戻ってきたころには怪魚は姿を消していた。
どうせまたのび太のみた幻だろうといわれてしまう。

キャンプ最後の夜、眠りについたしずかをバギーが外に呼び出した。
なんとバギーはジャイアンとスネ夫を助けてくれた人のことを見たのだと言う。
そしてそれを記録したテープをスクリーンに映し始める。
そこに映ったのは、倒れた二人に近づいてくる不思議な乗り物だった。
そこから降りてきた2人の男。「なぜ陸上人が…」と言いながら2人にテキオー灯をあびせてくれた。
そこにしずかを探しにきた他のメンバーも加わって映像の続きを見ることに。
ジャイアンたちを運ぼうとする二人の男。そこに昼間のび太が見た怪魚が現れ男たちに攻撃を始めた。
男たちはそれをバトルフィッシュと呼び、慌てて逃げ出した。映像はここで終わっている。

456 名前:のび太の海底鬼岩城[sage] 投稿日:2005/07/26(火) 19:41:53 ID:???
男たちは海底人だろう。そして海底人には敵がいるようだ。
怪魚が実在していたからにはきっと巨大イカだっているはずだ、とのび太。
そこになんと本当に巨大イカが現れのび太たちを攻撃してきた。
テントに逃げ込む五人。しかしテントは壊され、五人はイカに捕らえられてしまう。
そこに現れ五人を助けてくれたのは海底人だった。
お礼を言おうとするのび太たちを問答無用で気絶させた海底人。

…のび太は夢をみていた。早く家にかえらなくちゃ…。
そこに声が聞こえてきた。故郷はこの海じゃないか。あらゆる生物は海からうまれたのだ。
海から陸に上がっていった生命。しかし再び海に帰っていった生物もいる。そう、例えば海底人。

目が覚めたのび太。そこには同じ夢を見ていたドラえもんとしずかもいた。
そこに一人の海底人がやってきた。彼はのび太たちが危険な人物でないか判断するために気絶させたのだという。
なぜなら海底人たちは陸上人の血みどろの歴史を見てきたため、陸上人には厳しいのだ。
三人は安全と判断したから客として迎えるが、ジャイアンとスネ夫は凶暴性と嘘つき性がでたから
地下牢に閉じ込めてあると彼・エルは言う。お願いだから出してあげて、というしずかに負け地下牢に向かうが、
そこで暴れている二人を見て様子をみることになってしまう。

ここはマリアナ海溝の底にある、ムー連邦首相公邸である。
エルによると「魔の三角海域」には鬼岩城があり、そこに無理に立ち入ると世界は破滅するという。
あの沈没船は、その近くをうろうろされたくないために海底人が運んだものだった。
その後首相に会わされた3人。市民権を与えるから、二度と帰る事は許さないと言われる。
陸上人に海底人のことを知られたくないためだ。
誰にもいわないと訴えるが、国境を越えたら死刑にするといわれてしまう。
怒ったドラえもんはジャイアンとスネ夫を助けると、国外脱出を始める。

457 名前:のび太の海底鬼岩城[sage] 投稿日:2005/07/26(火) 19:42:28 ID:???
町の外へ逃げ出した五人にエルたちが追いかけてきた。
ドラえもんの「カメレオンぼうし」に乗り込み地中に姿を隠す五人。
国境を越えることはできたが、この帽子では垂直には動けないため海溝の終わりで立ち往生してしまう。
エルたちは上に昇るためにはそのうち姿を現すだろうといって上空から離れない。
そこにバトルフィッシュが現れた。不意打ちをくらい墜落するエル。
とどめを刺すために戻ってきたバトルフィッシュをみて、思わずジャイアンが助けに飛び出してしまう。
エルを救った五人だったが、集ってきた海底人たちによって再び捕らえられてしまう。

自分を助けるために飛び出してくれた勇敢な五人を無罪に、と訴えるエル。
しかし頭の固い上の連中は取り合ってくれない。激昂するエル。
そこに「鬼岩城が活動を始めた!」との報告が入ってきた。騒然とする邸内。
鬼岩城には誰一人として近づけないようにしていた。だが海底火山の爆発を鬼岩城がキャッチしてしまい
臨戦状態に入ってしまったのだ。さらに、近々また大規模な噴火が起こるという。
そんなことになったら世界は破滅である。
それを防ぐには鬼岩城に潜り込みポセイドンを破壊するしかない。
だが死の壁に囲まれ死の軍団に囲まれた死者の国にかなうはずもない…。
そこでエルは首相に提案した。「不思議な力を持つドラえもんの力を借りれば潜入できるかも」と。
ドラえもんに頭をさげ、世界を救って欲しいと頼む首相。
こうしてドラえもんたち五人とエルは、バギーで鬼岩城に向かうことになった。

バギーのがんばりのおかげで一日でだいぶ近づくことができた。
テントでお礼をいうしずかにバギーは、しずかのためなら壊れても構わないという。
エルは皆に、とんでもない冒険に巻き込んですまないと謝ると、詳しい説明を始めた。

458 名前:のび太の海底鬼岩城[sage] 投稿日:2005/07/26(火) 19:43:05 ID:???
ことの起こりは何千年も前のこと。
海底の国々は、太平洋のムーと大西洋のアトランチス、それぞれ二つの連邦に属していた。
二つの連邦は激しく争い、遂にアトランチスが鬼角弾(核ミサイル)を作り出した。
アトランチスは自国の周囲に海から空までバリヤーを張り、ムーが降伏しなければ
世界中にこの鬼角弾を発射すると脅した。だが皮肉なことに、その後すぐアトランチスは滅んだ。
核実験の失敗により国中に放射能が広がったのだ、バリヤーにより外の世界は無事だった。
しかし国は滅びても、鬼角弾と鬼岩城のポセイドンは残っている。
ポセイドンは自動報復システムのためのコンピューターである。
このまま火山が爆発したら、ポセイドンはこれを敵の攻撃と受け取り鬼角弾を発射するだろう。
そうなったら地球は一瞬にして死の星になってしまう。
それを防ぐために自分達は向かっているのだ。

敵の領海に近づいた一行。バトルフィッシュがうようよしている。
こいつらは敵を探し攻撃するだけの機能を持ったロボットである。
遂に魔の三角地帯に辿りついた。バリヤーにかかれば即死である。
そこで一同はドラえもんの帽子に乗り込み地中から乗り込むことにした。
もしも地中までバリヤーがのびていたら…。
だが六人は、無事に侵入することに成功できた。無事を喜び合う。
バギーに乗って鬼岩城の神殿に向かう一同の前に、船と飛行機の墓場が広がる。
魔の三角地域の謎、それはみなバリヤーにひっかかって墜落したのだったのだ。
さらに先を進むが、音に敏感な鉄騎隊が集ってきた。
ひとまず隠れ、奴らの戻っていく方向に神殿の位置を定めた六人。しかし一向に見つからない。
そこでしずかが、自分が囮になり捕まるから、そのあとをつけるという作戦を提案する。
皆心配するが、決行することに。そして遂に鬼岩城まで辿りついた。
ポセイドン破壊としずか救出を誓い、それぞれ武器を持ち神殿に侵入した五人。
襲いくる鉄騎隊をかわしながら、目指すはポセイドンただひとつである。

459 名前:のび太の海底鬼岩城[sage] 投稿日:2005/07/26(火) 19:44:30 ID:???
ポセイドンの前に連れられたしずか。
アトランチスはとうに滅びたと言ってもポセイドンは聞く耳を持たない。
攻撃を受け眠りから覚めたからには世界中に鬼角弾をふりそそぐという。
そんなことはさせない、というしずかにポセイドンは外の仲間の映像を見せつける。
敵の攻撃を受け落下していくドラえもん。他の仲間も次々と捕らえられていく。
そしていま、火山が活動を始めた。…いよいよ噴火するのだ。
生贄としてしずかの首をはねさせようとするポセイドン。
そこにドラえもんが駆けつけたが、力尽き倒れてしまう。
ドラえもんに覆い被さり涙を流すしずか。「もう、おしまいなのね。なにもかも」

「ナイテイルノ?シズカサン」
そこに声が聞こえてきた。バギーの声だ。
「ナカナイデ、ボク、シズカサンノタメナラナンデモスル」
そう言うとドラえもんのポケットから飛び出してきたバギー。
「シズカサンヲイジメルナンテユルサナイ!」
叫びながらバギーはポセイドンに向かって走り出した。攻撃を受けてもなお突っ込んでいく。
そして、ついにポセイドンに飛び込んだバギー。
大爆発を起こすポセイドン。

爆風に飛ばされたしずかとドラえもん。
気がついたドラえもんはポセイドンを倒したことに気づき喜ぶが、しずかからバギーのことを聞く。
とにかく噴火の前に逃げなくては。捕まった仲間を助け鬼岩城をあとにした六人。
これでもうアトランチスが復活することもないだろう。

ムー連邦に戻り、功績をたたえられる六人。
勇敢なこの六人の少年達と、身を捨てて世界を救ったバギーの功績は永久にこの国に語り継がれるだろう。
バギーのかけらを見つめるしずか。一生忘れないと誓う。
地上に戻った五人。エルと固い握手をかわす。
「いつの日か、海底人と陸上人が仲良く手を取り合える日まで…」
きっとくるその日まで、別れを告げ、エルは海に帰っていった。

《完》