コミックマスターJ/脚本:田畑由秋 漫画:余湖裕輝
512 :コミックマスターJ :04/04/19 21:49 ID:C3RiAXG4
第一話 伝説の男・J
締め切りまじかの週刊少年ストライカー編集部に一本の電話が届く
次回号の巻頭マンガ「ブレイク」の原稿が火事で燃え、大場先生が倒れたのだ
呆然とする担当編集者榊が落ちた原稿の穴埋めを探すと告げるが
編集長は、この作品に命をかけるといったのだ!あきらめるのか!と殴りつける。
たった一日で21Pを埋めることなど不可能だという彼に編集長はある伝説を告げた

「コミックマスターJの漫画が読めるのは少年ストライカーだけ」
とある駅の掲示板にそう書き込む榊。半信半疑の彼の元にJから電話が届く
「報酬は500万、ページ数は問わない……
 ただし真に私を必要としているものに限らせてもらう」
真に必要な作品。その言葉に榊はブレイドに込められた熱い思いを語る
「いい作品です。引き受けましょう」

混乱する大場のスタッフ達。そこに榊がJを連れて現れる。
全身白ずくめの姿と髪、サングラスの下に赤眼を持つ男、それがJだ。
Jがコートを翻すと中には大量の漫画道具が現れる。
凄まじいスピードで下書きもなしにペン入れを初めるが、
それは燃えてしまった原稿のイメージと寸分も違わないものだった。
自らが10年付いても身につけられなかったペンタッチを再現するJにチーフは
ショックを受けるが、自らを奮い立たせJの補佐を仲間に呼びかける。
完成した原稿を前に喜びの声を上げるスタッフ。「まさに奇跡だっ!」
真っ白になったJは答える「奇跡なんかじゃない…俺達の力だ!」

ストライカーを手にする少年達が今週号のブレイクのを話しながら歩いていく。
栄養ドリンクを飲みながらすれ違うJ。

誰の人生にも〆切はある、それと戦い続ける希望が閉ざされた時
作品に魂があるのなら奴は必ず駆けつける……Jの伝説が始まった

こんな感じです。

378 名前:コミックマスターJ 1/2[sage] 投稿日:2006/05/04(木) 23:38:22 ID:???
卓越した技術を持ちながら、自作品を発表せずアシスタントに徹し続けるコミックマスターJ。
その理由について、彼はある時は「自分の漫画を描くための戦い」と称し
またある時は「世界を滅ぼす組織『CLUB』を追うため」と称する。
実は彼は、この世界を造った「神」によって、未来の世界を見せられたことがあった。
その未来では、Jが発表した偉大な漫画「ジャッジス」が、漫画のみならずあらゆる文化を打ちのめし
急速に社会を衰退させ、滅亡に至らしめていたのである。
「神」がJに未来を見せたのは、「神」の狭量と嫉妬によるものであった。
「神」の想定外の傑作である「ジャッジス」を、「神」は見ることができず、それゆえに「神」はJを憎み
彼に「自分の漫画で人類が滅ぶ未来」を見せて、精神的に追い詰め屈服させようとしたのだ。
だが、Jはそれで筆を折るどころか、スーパーアシスタントとして活動し、漫画文化そのものの向上を図る。
「ジャッジス」に匹敵する傑作が増え、「ジャッジス」が凡作となれば、彼は自作品の威力を恐れることなく
自由な創作と作品発表が可能になる。それがJの願いであった。

そしてある日、世界が震撼する。ついにJが「ジャッジス」を書き上げたのだ。
彼のために創刊された「少年CLUB」誌を通じて世界に広まった「ジャッジス」は、文芸だけでなく
哲学、政治、宗教すら圧倒し、国家崩壊や大規模テロが頻発、ついに狂信的テロリストによって
全世界に細菌兵器が撒かれ、人類の90%が死滅する。

379 名前:コミックマスターJ 2/2[sage] 投稿日:2006/05/04(木) 23:39:13 ID:???
そして3年後、荒廃した東京では、漫画撲滅を唱え、漫画に触れるものを皆殺しにする武装新興宗教に対し
地下活動として細々と漫画誌の刊行を続ける「少年CLUB」の抵抗が続いていた。
Jの親友だった漫画編集者の山下と、少女漫画家の木乃花一葉は、CLUBリーダーのコミックマスターに対面する。
しかしそれはJではなく、かつてJを騙った詐欺で服役していた漫画家志望の少年、小林信也だった。
漫画への憧れを捨てがたく、独自に腕を磨き、Jを追っていた彼は
今や、Jに匹敵する技量と不屈の信念を獲得していたのである。
コミックマスターJを名乗り、戦い続ける小林の元に集まってくる人々。
Jの活動によって奮い立ち、この荒廃した世界ですら漫画なしには生きられぬ、愛すべき漫画バカ達であった。
各地から集う漫画家、そしてそれを期待する読者たちに対し、圧倒された狂信者たちは
離反と粛清を繰り返し数を減らしていった。そして、CLUBは勝利したのである。
この戦いの間、Jは決して姿を現さなかった。彼は、自分が鍛えた漫画家たちを信じ、その信頼は報われたのだ。

そして十数年後、急速に復興する東京の少年CLUB編集部に、一本の投稿作品が届いた。
「ジャッジス」をも上回る完成度のそれは、しかし現行のCLUB連載陣に比べれば突出した出来というわけでもなく
ごく普通に受理されたのであった。