いつもポケットにショパン/くらもちふさこ
389 :いつもポケットにショパン1 :04/04/15 01:55 ID:???
須江麻子は六年生。お母さんとおばあちゃんと暮らしている。
麻子ときしんちゃんはとても仲良し。一緒にピアノ教室に通っている。
麻子のお母さんはピアニストでとても厳しい人。
不器用な麻子に不器用だから自分でやらせると髪も結ってくれない。
きしんちゃんのお母さんはきしんちゃんに甘く麻子にもやさしい。
麻子はきしんちゃんのお母さんに「麻子のお母さんは努力型のピアニスト」
「きしんちゃんのお母さんは家庭を取って引退したが天才ピアニスト脚光をあびた」
と聞かされて育つ。

ピアノの発表会の日、麻子は机に指を挟んで怪我をしてしまう。
痛みを誤魔化すため「酒を飲めば痛みが消える」という映画を思い出し
酒を飲んで酔っ払ってしまう。
麻子の番「須江愛子の娘」と注目をあびるが、弾こうとした瞬間寝てしまう。
きしんちゃんは発表会で認められドイツに行くことになる。
大事なデイズニーの時計を麻子に渡し、戻ってきた時にノクターン一緒に弾こうね。
と言ってドイツに発つ。

2ヵ月後麻子はきしんちゃんからの手紙を待っていた。
そんな時、麻子は「西ドイツで列車事故」という新聞を見る。
新聞には緒方華子(きしんママン)死亡。長男季晋くん失明のおそれありとあった。

390 :いつもポケットにショパン2 :04/04/15 01:58 ID:???
高校生になった麻子。白河音楽学園の生徒で寮に入っている。
クラスでオーケストラを聴きに行った帰りの電車で転校生と知り合い
学校まで一緒に行くことになる。1つ年上の転校生上邑は音楽高校の中でも
トップの堂園音楽学園の「三羽カラス」の一羽で有名人だった。

実技試験の時麻子は、人前で厳しくて有名な松苗先生に
「もう充分きみは感情を表現できる年なんだから
いつまでも子どものつもりで弾いていちゃだめだな」と言われてしまう。
教室を飛び出していく麻子。感情表現が下手なのをずっと気にしていたのだ。
心の中のことがうまく伝えられないという麻子に「照れ屋」なだけだと上邑はなぐさめる。
麻子はお礼にハンカチに名前を刺しゅうしてプレゼントすることにする。

ミュージカル同好会の伴奏を頼まれていた麻子だったが、前の日に刺しゅうをしていたため寝過ごしてしまう。同室の依里が起こそうとするが、二段ベッドのカーテンが死角になり麻子がいないと大騒ぎになる。
どうにか開演には間に合うが途中でつっかえてしまう。途中で変わる上邑。
ミュージカルは成功する。
実は前日もしもの時のために依里が上邑に頼んでいたのだ。
ムッとする麻子。

春休み前日、「プレゼント」が入ったバックを寮の同室で親友の依里ちゃんが持って上邑と話しているのを目撃する麻子。バックにはハンカチが入っていると焦る麻子だったが、
依里ちゃんは麻子が止める前に「麻子が照れて渡し損ねたと思った」
と上邑に渡してしまう。二人は大喧嘩してしまう。
上邑と一緒に帰ることになった麻子に松苗先生が週末コンサートに出るように言う。
麻子は、先生は上邑が弾いた後半を聞いて誤解しているから出ないという。

新学期、麻子は寮の部屋変えで3年の折田と同室になる。
話しかける麻子に折田はそっけない。(というより嫌そう)
麻子は折田の荷物に煙草があるのを見てしまう。

391 :いつもポケットにショパン3 :04/04/15 02:00 ID:???
レッスンの担当の先生が入院してしまい松苗先生に変更になる。
麻子の演奏をサル芝居もいいところ幼稚園児が花形ピアニストの物真似する様そのままだという。
ショックを受けた麻子は「先生は大嫌いです。先生なんかに習いたくありません!」と言ってしまう。出て行きなさいという松苗に
「いやです。先生が出て行ってください。わたしは動きません。ここはわたしのレッスン場です。」と言い返す。
そんな麻子にショパンのバラード1番を弾くように言う。松苗のレッスンを受けた麻子はいつもと違う手ごたえを感じる。

麻子の部屋を訪ねる依里。その時、折田は部屋で煙草を吸っていた。
窓を開けてから応対する折田は、麻子は練習室だろうと言う。

麻子がレッスン室から戻ると部屋が火事になっている。
きしんちゃんから貰った時計が置きっぱなしなのを思い出して飛び込もうとする麻子に
依里が時計を渡す。依里は麻子が枕の下に入れていたのを知っていたのだ。
礼をいう麻子だったが依里は黙って行ってしまう。
そして、先生に麻子を訪ねて行ったとき折田が一人でいて、その時煙草のにおいがしたと話してしまう。折田は退学になる。
煙草のことを知っているのは麻子だけと思っている折田は麻子を逆恨みし、
「覚えてらっしゃい。今に痛い目にあわせてやる!!」と行って去っていく。

週末コンサートが開かれる。上邑の演奏に聞きほれる麻子。
上邑の演奏後、近づいてくる麻子を無視する上邑。励ましの言葉を期待していた麻子はがっかりする。
麻子の番が来る。感情を込め自分のショパンを弾く麻子に拍手が沸く。
そんな麻子に「ぼくはきみを憎み嫉妬しているんだ」と言う上邑。
目障りならピアノを止める。上邑に嫌われたくないという麻子だったが、
きみの顔はしばらくまともに見られないと言われてしまう。

392 :いつもポケットにショパン4 :04/04/15 02:02 ID:???
火事で焼けた物を買いに出かけた麻子。折田の今に痛い目にあわせてやるという言葉に
不安を感じて、楽譜を買いに行くという依里の幼なじみで先輩の「伊波」と一緒に出かける。
楽器屋に寄ると上邑が「三羽カラス」の2人目「二階堂まりあ」といた。
とっさに隠れる麻子。二人は麻子の話をしだす。
「とし」がどうして麻子を意識するのか分からなかった。だけど近頃は見違えるほど上手くなった。曲に対する感情のとり入れ方が普通じゃない。「とし」の言うとおりになった。「とし」には先見の目があったと話す上邑。
伊波は3羽目の「緒方季晋(おがたとしくに)」だと気づく。
それ、「きしんちゃん」だ・・・!と言う麻子。
「きしん」はあだ名で本名は「としくに」なのだ。
その様子を後からきしんちゃんが見ていたのだが、麻子は気づかずに調べたいことがあると寮に戻る。

どうせ祖母の代筆と読んでなかった母からの手紙を調べると、ドイツから戻ってきて横浜にいることが分かる。
ただ、消印は1年も前だった。手紙にはきしんちゃんの目のことは書いていない。
堂園に友達がいるという友達に目のことを聞くが見えるに決まってると言う。
あいにきてくれなかったのは目が原因じゃなかったと落ち込む麻子。
家が分からないため、仲直りをした依里ときしんちゃんの学校まであいに行くことにする。

417 :いつもポケットにショパン5 :04/04/16 00:58 ID:???
堂園学園の最寄り駅に着いた麻子と依里。
二人の後をつけている人物がいた。折田だ。
折田は不良に麻子がピアノを弾けなくなるように手を傷つけるよう雇う。
依里が助けを呼びにいくとまりあがいた。まりあは季晋を呼びにやる。
きしんちゃんと泣きつく麻子に帰れと言う季晋。
ショックを受ける麻子をまりあはお茶に誘う。
だが、季晋は「掃除当番だと理由をつけ学校に戻ると言うが、まりあは連れて行くから
喫茶店で待ってるように麻子に言う。

麻子と依里はこっそりついていって堂園学園に忍び込むことにする。
教室でピアノを弾く季晋を窓の外から覗く二人。
そんな季晋を見て「すっごくピアノが好きで愛してるって感じ」という依里に
「ううん・・・・・・逆なんだ。昔からこれだけは感じていた。きしんちゃんはピアノに愛されてるの」と麻子は言うが、仲良さげな季晋とまりあを見てその場から逃げ出す。

麻子が喫茶店で待っているとしぶしぶ季晋が来る。
「きしんちゃんから貰った時計」をおばちゃまの形見になったからと返そうとするが
いらないと言われてしまう。
「そんなに麻子がキライ?」と泣き出す麻子。
「ライバルだから?」
「どうしてライバルだなんて思えるの?」
「わたしは昔っからきしんちゃんよりヘタだってわかってるじゃない」
「「努力型のピアニストの娘だ」って毎日毎日おばちゃまから聞かされて育ってきたのに
どうしてきしんちゃんのライバルになれるの?」と責め立てる。
そして季晋は「「うそ」だったら?じつはまったくの正反対で努力型ピアニストの子がおれで、天才ピアニストの子がおまえならどうする?」と話す。
季晋の母親は麻子の母親を憎んでいたのだった。
一つは才能。もう一つは麻子の父と母の結婚に。
麻子には才能がないという先入観を植え付けることによって内側から麻子を壊していくことで復習していたのだった。
おばちゃまは麻子をきらいだったの?かわいがってくれたのは演技だったの?
と落ち込む麻子の手を振り払って季晋は喫茶店を出て行く。
放心状態の麻子は学校やめる。ピアノもやめると言い家に帰る。

418 :いつもポケットにショパン6 :04/04/16 01:00 ID:???
外出届も出さずに勝手に帰ってきた麻子を理由も聞かずに怒る母。
今度こそうまくやれると思っていたのに、やっぱり気が合わないと落ち込む。

麻子はなぜ、父がそんな母を選んだのかが気になり母親がピアノ室にいる間に部屋に忍び込む。
麻子は父親の写真は1枚しか見たことが無く物心つく前に亡くなっているので思い出も無かった。
母の部屋を漁ると何回も見たあとのある(指紋の跡があり汚れている)アルバムを見つける。そこには「指揮」をしている父の写真があった。
こんなことやってる人だったなんて聞いたことないと驚く麻子。
アルバムには季晋の母が写っている写真もあった。
どの写真も父の方を見ていることに気づき麻子は切なくなる。
その時、アルバムを見ているのを母親に見つかってしまう。
いつからドロボウのようなまねをするようになったと怒る母を見て、
わたしたち一生こうねとあきらめる。

今度勝手に帰ってきても家にはいれないと無理やり学校に戻された麻子。
学校に行くと定期公演でやるピアノ協奏曲の独奏者に選ばれていた。
ピアノをやめようとしていた麻子は辞退しようとするが松苗に甘ったれるなと怒鳴られてしまう。
中途半端な状態に決着をつけようと上邑に電話番号を聞き住所を調べ、
初めて学校をさぼって季晋の家を訪ねる。
訪ねると、まりあが来ていて連弾中だった。
そこに上邑から電話がかかってくる。(麻子は上邑からの電話と知らない)
事情を知った季晋は、わざとショパンのノクターンを連弾しようとまりあに言う。
わたしと約束した曲をわたしの前で別の人と弾くなんて!とくやしさと悲しさで泣き出す麻子を見て季晋はまりあと麻子を代わらせる。
連弾はピッタリと息が合う。弾かずにはいられない衝動にかられた麻子は学校に戻る。

419 :いつもポケットにショパン7 :04/04/16 01:02 ID:???
オケの練習中、麻子ばかりが集中的にしごかれる。
少しでも時間を無駄にしたくないメンバーからの顰蹙をかう。
そんな時、伊波は麻子の爪が割れて血が出ていることに気づく。
松苗に麻子のケガのことを言い庇うが逆にそんな甘い考えの奴はいらないと降ろされてしまう。
その一件に対し、オケメンバーの麻子への不満が爆発する。
麻子が降りないならメンバー全員が降りると言い出し、松苗は麻子を降ろし上邑に変更すると言う。
麻子はこの曲だけは弾かせてくださいとすがりつくが松苗は行ってしまう。

2日後、ピアノを上邑に変更して合わすがオケはピアノにひきずられてしまう。
2楽章に入るが上邑は途中で演奏をやめてしまう。
上邑は、麻子の演奏は自分と比べ地味だが常に管弦楽を意識していた。
協奏曲は独奏部と合奏部とが1対1の地位にあるのに自分のは2対1になってしまっている。そして、それに気づいて麻子の弾き方の真似をしていたと言う。
人のものまねをしてまで弾きたいとは思わないと上邑は降りてしまう。
上邑が言うならとメンバーは麻子で納得する。

420 :いつもポケットにショパン8 :04/04/16 01:03 ID:???
定期演奏会に季晋とまりあが来る。季晋は折田が来ていることに気づく。
演奏会は大成功を収め、まりあは誉め、季晋は動揺する。
好きな人の演奏はただの感動ではすまされないと言うまりあに、
おれが好きなのはあなただと言う。
麻子のことは憎んでいるという季晋に
「あなた本当は麻子さんを好きなくせに、須江親子をよく思ってらっしゃらなかった
お母さまのことが頭にあるから、子であるあなたも無理に憎もうとする。
だけど、それはとんでもない勘違いよ。あなたのお母さまのことはお気の毒に思うけど
麻子さんに罪はないわ。お母さまのあやつり人形じゃあるまいしあなたはあなたよ。
せめて、ピアノを弾く時だけでも過去のことは忘れなさい」と言うまりあに
「ピアノを弾く時こそ忘れるわけにはいかないんだ!!」
「おれは母の力でピアノを弾くことができるんだ。おれの体の中にいる母のおかげでなに不自由ない人生を送れる」と季晋は言う。どういうことかと尋ねるまりあに
「おれは数年前事故で失明したんだ。そして、死んだ母から角膜をもらった。
おれの目は母なんだ。須江親子を死ぬまで憎み続けた母の目なんだ。
そんな目にうつる麻子をどうして好きになれるんだ!なれるわけがないじゃないか!」
と声を荒げる。

季晋の母親は目が痛いと泣き叫ぶ季晋の手を掴みながら
「麻子ちゃ・・・に ピアノ 負 負けな・・・・・・いで・・・・・・・・ お願・・・・・・・い」
と言って死んでいったのだ。
季晋が母親の目で初めて見たものは手にかすかに残っていた母の爪あとだった。
その話にまりあは愕然とするが、その後母の日記を盗み見することができたと季晋は続ける。
日記は、独奏者に選ばれるも、愛子(麻子の母親)とテニスをした時に怪我をし、晴れの舞台を愛子に奪われた。くやしくて、練習量を愛子の倍に増やすが腱鞘炎になり半年の休養。
病院でボランティア活動をしていた指揮者と知り合い救われるが結末は・・・といった
麻子の母への恨みだった。
日記なんて主観だらけで半分も信じてないけど、母がかわいそうだからどうしても麻子を負かしたいと季晋は言う。

演奏後の麻子の前に折田が会いに来る。
麻子を恨み今日はやじるつもりできたが、麻子のピアノに感激し立ち直る。
あなたの手ダメにしなくて良かったと折田は言った。

526 :いつもポケットにショパン9 :04/04/20 20:59 ID:???
泣いている季晋にまりあはキスをする。それを季晋を探しにきた麻子が見てしまう。
ショックを受け謝りながら泣く麻子を無視して季晋は行ってしまう。

終業式の日練習室からショパンのポロネーズが聞こえてくる。
それを聞き、こんなやさしいピアニストになりたいと思う麻子。
誰が弾いているのか見に行こうとすると、同級生二人が入っていくのを見かける。
自分もとついていくと弾いていたのはなんと松苗だった。
あの先生にこんなやさしい弾き方ができるなんて・・・!!と驚く麻子。
ドアの陰から同級生の会話を立ち聞きするとコンクールに出ることを反対されていた。
二人は麻子なら松苗にひいきされてるから喜んで教えるはずだ。
親がピアニストだと得だと言いながら行ってしまう。
麻子は松苗と母親が知り合いってことはないだろうかと思う。

母親のリサイタルに行く麻子。
控え室には子供の頃季晋と通った教室の先生も来ていた。
母もこの先生に習っていたのだ。学校の様子を聞く先生に、母に聞こえるように
「松苗」という厳しい先生がいると話す。「松苗」という名前に母親は反応する。
仲が良かったかと聞く麻子にあんなに相性の悪い人はいないと言った。
意地悪でもされたかと聞く母にあの先生に限ってそんなことと松苗を庇う。
とっさに嫌っている松苗のことを庇ってしまった自分に麻子はとまどう。

リサイタル会場で麻子はまりあに会う。昨日のことは彼への「おわび」だというまりあ。
どんな意味でもわたしには同じという麻子に季晋とよりをもどす法を伝えにきたと言う。
季晋はコンクールでまりあと麻子が競って麻子が勝てば仲直りするという。
呆れ返る麻子に競うつもりはないから安心しろというまりあ。
条件つきにしても、麻子と仲直りするつもりが季晋にはあることを伝えたかっただけだと言う。

527 :いつもポケットにショパン10 :04/04/20 21:07 ID:???
夏休み、葉山の別荘に出かけた麻子。
そこに母の弟子にしてくれと親子連れが訪ねてくるが祖母がうちは弟子はとらないと追い返す。

別荘からの帰り、麻子は上邑と横浜駅で待ち合わせをする。
家に電話したら駅にいると聞いたとまりあが上邑に会いに来る。
混んでいたので挨拶程度で別れてしまうが、去り際に上邑と麻子が一緒にいるのを見てショックを受ける。
上邑の家に行く麻子。泳ぎはダメだが、海につかって適当に唄うのが好きなことや、
今日はお母さんが別荘に来るから帰ってきてしまったことなどを話す。
そこで、賞状の山を見つける。
54年度「学生音楽コンクール」二位 上邑恭二
54年度「ジュニア音楽コンクール」二位などがあった。「ジュニア音楽コンクール」は
「学生音楽コンクール」よりもひとランク下だから今の麻子なら入賞できるという上邑。
その時、麻子は「ジュニア音楽コンクール」の1位がまりあだということに気づく。
髪型が違うために気づかなかったのだ(ちなみに季晋は3位)
きしんちゃんはわたしとまりあさんを競わせることでコンクールでのわたしの力を試すつもり・・・?
そんなことしてまでわたしを敵対視してるなんて考えたくない。
本人に直接会ってすべてを確かめたいと思う麻子に上邑は、
「学生音楽コンクール後コンクールから遠ざかっていてかなりあせった」と話す。
「きみの出現は痛かったけど天狗になっていた自分へにききめは十分あった。
あのまま1位2位争いに参加していたらただのタイトル目当てのピアニストになっていたと思う。
それでは音楽を冒涜している。」麻子は「はい・・・・・・」と答える。

家に着いた麻子。外から子どもの泣き声が聞こえる。
飼い犬の「トリスタン」が近所の子を泣かしたのだろうと外を見に行くとこの間、
母の弟子にしてくれと別荘に来た子がいた。

528 :いつもポケットにショパン11 :04/04/20 21:08 ID:???
何を聞いても黙り込んだままのその男の子はママからと手紙を差し出す。
その手紙には「須江先生にはお願いしても受け入れていただけませんでした。
お嬢様がおひとりで本宅にお帰りになられたと伺い
せめてお嬢様にでも教えていただければと連れてまいりました。
3日間いいえ1日でもかまいません。レッスンをよろしくお願い申し上げます」とあった。
呆れ怒り狂う麻子だったが「ママ」に対し怯える男の子を見て1晩だけ泊めることにする。
次の日の朝、教えてくれとピアノの足にしがみつく男の子に
あなたのお母様は好きになれない。わたしが教師ならいくらあなたがいい子でもお母様のことを思うとぜ〜ったい教えたくないと言う。
さらに、だからうちのお母さんだってことわったに決まってるしわたしを教えてくれる先生なんかもぜ〜〜ったい・・・・・・・・と言いかけて男の子にピアノを弾くように言う。

母と松苗が相性が悪かったことを思い出したのだ。
松苗先生からすれば鼻持ちならない女の娘な上、ずいぶんさからったのにあんなに引っぱってくれた。ステージに立てば真っ先に拍手してくれるのも松苗だった。
意地悪だったから、今までお母さんと同じに見ようとしていた。松苗先生は本当の大人なんだなと麻子は尊敬せずにはいられなく思う。

1曲弾き終わった男の子の、これがいちばん難しい曲だからママが弾けといったのを聞き
麻子は一番好きな曲を弾くように言う。男の子は「茶色のこびん」を弾き出す。
そこに季晋から電話がかかってくる。コンクールに参加するか確かめるためにかけてきたのだ。出なければ一生絶好だと言う季晋。麻子は上邑の「ただのタイトル目当てのピアニストになっていたと思う」「それでは音楽を冒涜している」という言葉が響く。
しかし麻子は出ると答える。そして、コンクールの手続きの仕方が分からないからこれから会ってと季晋に伝える。

529 :いつもポケットにショパン12 :04/04/20 21:10 ID:???
楽しそうにピアノを弾く男の子に「すっごくよかった。もう1回弾いて」と麻子は誉める。
男の子はぼくこの曲好きなのにママがこんな赤ちゃんの曲弾くなっていうのと言う
「ぼく、この曲ばかり弾けたらもっとピアノすきになれると思うよ」と言う男の子に
麻子は自分は「つきのひかり」という曲が好きだったことを思い出す。
そして、なにがあっても、すべてあの時のときめきからはじまっていることを
忘れるものかと思う。

男の子を送り届けながら会うことになった麻子と季晋。早く申し込み用紙に記入しろと急かす季晋に、あわてなくても平気と麻子は海に誘う。
二人で1日過ごして、きしんちゃんは昔と変わってないと感じる。会って確かめられて良かったと思う麻子。
麻子はどうしてまりあが「学生音楽コンクール」に去年は出なかったのか問う。
季晋は「・・・・・・・・あいつと競いたくなかったんだ」と答える。
麻子は「あいつ」が誰なのかピンとこない。
この間のキスが気になるが聞き出せなく、もじもじしている麻子にまりあは親愛の情を示す時男にでも女にでもすると話す。

夏休みがあけ「学生音楽コンクール」の予選日が10月26日と発表になる。
伊波は文化祭の前夜祭で自作の歌を唄うことになり相手を探していた。
上邑に麻子が海で唄うのが好きと聞いた伊波は麻子を誘う。
コンクールの日だけどあんたも出るのか?と聞かれ
「コンクールには、はじめっから・・・参加しない・・・って決めてた」と言う。
事情を上邑と伊波に説明する麻子。
コンクールをふってもダメになる仲じゃないと自分なりに確信したから、あえてコンクールをふった。この後のきしんちゃんの出方に不安はあるけど、ほんのわずか見せた昔と同じやさしさにかけてみたい。という麻子に緒方は君が思ってるほど甘い人間じゃないと上邑は言う。

530 :いつもポケットにショパン13 :04/04/20 21:11 ID:???
麻子は松苗にコンクールのことで呼び出される。黙って応募したことを怒られる。
が、麻子がそんなに自惚れが強いとも思えない。なにか事情があるのだろう。と言われる。
麻子は「きらわれてた人にピアノを聞いてもらうだけで握手をもらえたり
大キライな先生を冷静に見つめ直すだけで尊敬できてしまう
なにもかも180度状況が変わってしまうこともあるのね
もしかしたら・・・・・・もしかしたらお母さんとだってうまくいくかもしれない
今までわたしは先生にもお母さんにも「反論」することしかやってこなかった」と思う。

麻子はきしんちゃんへコンサートには出ないと手紙を書く。
これと文化祭のチケットを一緒に送ろうと思うと上邑に相談するが、だましたのはまずかった。何を書いても怒らせるだけだといわれてしまう。緒方はじぶんの信念をつらぬき通す奴だ。こうだと決めたからには必ずそれをやりとげるんだと言われ麻子は不安になる。

10月26日。季晋の家にまりあが来る。手紙がたまっていたといって手紙の束を季晋に渡す。
その手紙を季晋はポケットに押し込む。予選会場に着くが麻子は来ていない。
もし着たら麻子を軽蔑するとまりあは言う。気になるなら電話してみたらと言うまりあに
はっとしてポケットに入れた手紙を調べる。
「ふざけるなよ麻子。引きずり出してやる。」と怒る季晋。二人は麻子の学校へ向かうが、
前夜祭のため関係者以外は入れなかった。
裏から忍び込もうと塀を登ると麻子の弾き語りが聞こえてきた。
麻子は夏休みに季晋と二人で海に行った時のことを歌っていた。

531 :いつもポケットにショパン14 :04/04/20 21:14 ID:???
その様子を見て季晋は言う。「知ってるんだ。あなたがごきげんな時、
学園のみんなによくやるキスをなぜかたった一人の男にはそれをやらないのを
自分で気がついていた?」びっくりするまりあ。更に
「おもしろいな。あなたの愛情表現は逆なんだよ。照れてしまってそれが出来ないんだ。」と続ける季晋にまりあは動揺する。
「去年のコンクールに出なかったのは上邑とぶつかりたくなかったから時期をずらしたね?」と問う。
「おれも同じだ」と季晋は言う。
「おれにも競いたくない人間がいる。あなたならコンクールでそいつより上を行くと思った。」誰のことを言ってるのか気づくまりあ。
「あなたがそいつをぬいてくれれば、それだけで的をあなたにかえられる。
それが唯一のそいつとぶつからずに勝てる方法だと思った。」とまりあを利用したことを詫び走り去ってしまう。

文化祭の日、まりあが麻子を訪ねて来る。季晋は夕べから行方不明だという。もしかしたら麻子や上邑に心当たりがあるのではないかと来たのだった。
コンクールに出なければ絶交と言われたのを思い出し不安になる麻子。
恭二(上邑の名前)に会いたいとまりあが言い出す。
まりあは、季晋のよき理解者とばかりに友人づらしてきたけど今度のことで半分も彼を理解していないことがわかった。
完全にふりまわさせてすごく疲れたから恭二に会って相談すれば落ち着くと思うと麻子に言う。
探しても上邑は見つからなかった。
きょうはどうもありがとうといって麻子の頬にキスをしてまりあは帰っていった。
まりあの姿が見えなくなると上邑が出てくる。会うのが辛くて・・・・と上邑は言う。

まりあが上邑に会えば落ち着くと言っていたのを思い出しコンクール本選会場に連れて行こうと思う麻子。
だが、文化祭の日の様子から普通に誘ってもだめだと思いだまして会場に連れて行く。
上邑を見つけたまりあは落ち着きを取り戻し演奏する。
が、演奏後上邑はすぐに席を立ってしまう。まりあと話していけという麻子にこれ以上会うと未練が残る。
来春ウィーンに留学すると言う。

532 :いつもポケットにショパン15 :04/04/20 21:16 ID:???
そこにまりあが現れる。留学を「もう決めた」という上邑にまりあは
「「決めた」ですって?みずくさいじゃない。
どーしてそんな大事なこと教えてくれなかったの!」とまりあは怒る。
「としには無視されるし、あなたには嫌われる」と言うまりあに
「ちがう ぼくは・・・・・・!」と言いかけ麻子が居たことを思い出し言葉を止めてしまう。
まりあは「さよなら」と言って行ってしまう。
わたしがこの場にいなければ上邑さんは告白できたのだと気づき焦る麻子。

帰りの電車の中で上邑はなぜ、白河に転校してきたかを話す。
まりあと一緒にいたくなかったからだと話す上邑に麻子は「まさか!」と言う。
ピアノ以外は緒方にかなわなかった。まりあには緒方の方がふさわしいと思った。
あの二人を見ているのがつらかった。と話す上邑。
そんなことで気持ちが高じてピアノがめちゃくちゃになり
ピアノすら緒方に抜かれそうになって転校を決意したのだった。
それでもダメだった。会えば胸をときめかせている。弱いんだぼくはと言う上邑に
「ちがってます。わたしもまりあさんも上邑さんをとても精神的に頼りにしてるんです。
その点きしんちゃんは力はあるかもしれないけどガキです。」と麻子は言う。

その日の夜まりあから電話がかかってくる。
コンクールで1位になれたのは上邑を連れてきた麻子のおかげと礼を言う。
そして、麻子を「としも誘った」とクリスマスパーティに誘う。
麻子は「でも・・・わたしがいったら、きしんちゃんこないんじゃないかしら」と言う。
こんなセリフをいわなきゃならなくなったなんてと麻子は寂しく思う。

いくら待ってもパーティにきしんちゃんは来ない。
麻子はまりあの先輩だという「戸部」に気に入られてしまい、
きしんちゃんが戸部からたすけてくれればいいのにと思う。
麻子はパーティでまりあが上邑を思ってることを知る。
まりあも麻子のように上邑を頼れる人として慕っていただけかと思っていた
麻子はこれならすぐに誤解もとけるとホッとする。

533 :いつもポケットにショパン16 :04/04/20 21:17 ID:???
帰り際挨拶をする麻子をまた来てねと外国人のまりあの父は抱きしめる。
麻子は上邑のまりあへの気持ちを言ってしまいたくてウズウズするが本人同士が告白するのが一番と思い上邑もまりあが好きということを匂わせる。

帰り際挨拶をする麻子をまた来てねと外国人のまりあの父は抱きしめる。
麻子は上邑のまりあへの気持ちを言ってしまいたくてウズウズするが本人同士が告白するのが一番と思い上邑もまりあが好きということを匂わせる。

家に帰るとお母さんはまだ帰ってきてなかった。
麻子は今回からはまりあの家みたいに抱きついて友達の家みたいに「第九」に誘って・・・と考えてるうちに寝てしまう。
物音がして、玄関に行くと母と祖母が争っている。麻子はさっき思ったことを実行しようと「お母さん!!あの「第九」聞きにいかない?」とにこにこして誘う。
「第九だって!?」とおばあちゃんが過剰反応する。
「お母さんも聞きたいと思ってチケットを頼んだけれどほとんど売り切れてますよ」と母は言った。
もう遅いから寝るように言う母に麻子は「おやすみのキスをしてもいい?」と聞くが
「なにを気色悪いこといってるの!!早くおやすみなさい」と怒られてしまう。
だが、母は麻子が部屋に行った後、麻子の方を見て後悔したような顔を向ける。

麻子はその日から三日三晩きしんちゃんの夢を見た。夢を見て無性にきしんちゃんに会いたくなり家に電話をかけてみるがその番号はもう使われてなくつながらなかった。
イライラする麻子に母はピアノで精神統一するように言う。
麻子が一心不乱にピアノを弾く中、母は出かけて行く。

卒業式が済み上邑がウィーンに行く日が来た。
見送りに行った麻子はまりあに告白するように上邑を炊き付ける。
そこにまりあが来る。
まりあは「わたし、麻子さんととしのこと考えると、じぶんがものすごく
はずかしくなったわ。あなたとまともに話せるだけでも、じぶんは幸せだと思うの」
と気持ちを上邑に伝える。笑い出す上邑。

534 :いつもポケットにショパン17 :04/04/20 21:18 ID:???
上邑は「きみには最後の最後までだまされぱなしだったけど、
最後のとどめはぼくが勝ったかな?」と最後のプレゼントだと言い季晋を呼んでいた。
早く話したらと上邑は言うが
でも・・・・・・でもわたし「絶交」をいいわたされてる。きしんちゃんの反応がこわい!!と
どうしていいか分からない麻子の横を季晋は通り抜けて上邑の方に行ってしまう。
やっぱり無視されたとショックを受ける麻子。
上邑は「須江さんをあまりいじめてくれるなよ」とそっと耳打ちをする。
まりあが立ち話もなんだからすわりましょうと上邑達に呼びかける。
麻子さんもいらしゃいよ。と言われ困っていると季晋が麻子の方を見る。
わたしに笑いかけてるの!?と麻子は思うがすぐに季晋は後を向いて行ってしまった。
上邑が挨拶をしている間、麻子、季晋、まりあで椅子に座っていた。
パーティをすっぽかしたことを怒るまりあに誰が来たのか季晋は聞く。
先輩の戸部が麻子を気に入っていたことをまりあが話すと季晋は
「麻子は美人だからな。顔立ちが愛子さんによく似てきたな。だけど性格はやばいな。
おやじさんにそっくり」といい麻子の方を向いて笑いかけた。
「きしんちゃん・・・・」
「はい」
「手紙にも書いたけどわたしのやったことごめんなさい。ゆるしてくれる?」
「ゆるすもなにもあれはあんな条件つけたおれの方が悪かったんだ」
「それじゃ、また昔みたいにつきあってくれるの!?」
「もちろん」
というやり取りを見て上邑とまりあはほっとするもののあまりにも上手く行き過ぎてひっかかると上邑は言う。

そろそろチェックインしないとと言う上邑にまだ、大事なことを言ってないとまりあは慌てる。
楽しみが無くなる帰国してから聞くと照れながら上邑は旅立って行った。
もう、遅いからハイヤーを呼ぶという上邑母にまりあはパパが車で迎えに来るからと断る。
としも乗ってく?と誘うのを見て私だけ違う方向ね・・・と麻子は寂しくなるが
「おれ麻子をおくっていく」と季晋は言う。麻子は大喜びする。

535 :いつもポケットにショパン18 :04/04/20 21:18 ID:???
地元の駅から家に電話をしていると季晋はいなくなっていた。
麻子が探すと自転車置き場にいた。のれよと季晋は言う。
麻子が誰のか聞くと、知らねー。ちょっとお借りするだけだってと季晋は答える。
帰り道、季晋は毎月新聞主催「音楽コンクール」に出るように麻子に薦める。
出ないという麻子に「本当におまえのことを思ってすすめてるんだぜ。表面的な競い合いばかりにとらわれるのではなくてコンクールの本来の意味をしっかり把握しろよ」と言う。
でも、結果的にはきしんちゃんと競うことになるという麻子に「とんでもない。おれコンクールは苦手なんだ」と季晋は言う。
きしんちゃんがコンクールに出ないならと思うが、先生が厳しいのを思い出し、
たとえレッスンしてくれなくとも先生に認められて参加したいからだめだと麻子は言う。
それなら、それ相当の生徒になるようがんばってみたらっと季晋は言う。
考えてみる・・・・という麻子の言葉を聞き、人通りが多いから帰ると季晋は言う。
その時、自転車に「OGATA」と書いてあるのを見つける。
きしんちゃんちどこ!?と聞く麻子に来たことあるじゃないと季晋は答える。
引っ越したでしょ?と聞く麻子にそのうち連絡するよと季晋は行ってしまう。

家に帰った麻子は髪をおろしていたのをだらしがないと母に怒られる。
「稔さんのだらしなさが麻子にそのまま・・・・・」とおばあちゃんが言いかけたのを
「「稔さん」ってお父さんのことでしょ?」と麻子が聞くと二人とも黙ってしまう。
部屋に戻り、ずっと依里ちゃんに編んでもらってたから上手く出来るか困っていると
きしんちゃんもわたしの性格はお父さん似だっていってたわとぼんやり思うが、
ちょっとまって!!
わたしですらお父さんの記憶がないのに、なんできしんちゃんがそんなこと知ってるの!?
「おやじさんにそっくり」なんて、知ってるどころかまるで会ったことあるような口調じゃない!!ともしかしてお父さんは生きてるんじゃないかと思う。

確かめようと母親に鎌を掛ける麻子にお母さんは「お父さんに会いたい?」と聞く。
麻子はお父さんは生きてると確信する。
おばあちゃんは「お父さんは亡くなっているんだよ。ばかなことおいいでないよ」と声を荒げる。
おばあちゃんがおこるなんてと麻子は驚く。

536 :いつもポケットにショパン19 :04/04/20 21:19 ID:???
その頃、季晋はピアノを弾くと手首が痛むようになっていた。

新学期、麻子達は3年生になった。
麻子は母が倒れたのですぐに家に帰るように言われる。過労だった。
大屋医院まで薬を取りに行くように頼まれた麻子はお父さんがいればどんなに心強いだろうと思う。
病院のあたりは暗いから嫌だなと思っていると向かいのもときしんちゃんの家にあかりがついていた。
もしかしたらきしんちゃんがもとの家に帰ってきた?思う麻子。
その時、一台の車が止まって男の人が家の方に歩いていった。
そっとあとをつける麻子。
声が聞こえる。
「いや、きみはあの時日記を持ち帰ったはずだ。わたしが彼女からあずかった以上かえしていただきたい」
「おれ知りません」きしんちゃんの声だ!
麻子が玄関から覗いているのに気づいた季晋が家から出てくる。
だれだい?と出てきた男の人はお父さんだった。
写真にそっくりと驚いて声も出ない麻子。
「元気でね麻子ちゃん。季晋くん麻子ちゃんをよろしく」と去っていく父親を季晋は追うようにいう。

お父さんに家まで送ってもらうことになった麻子。
亡くなったと聞かされてたという麻子にむこうであった大きなバス事故の誤報で日本では信じる人が多かったようだと父は言う。
お母さんの病状を聞く父にお父さんが来てくれたら特効薬になると答える麻子に
ぼくは愛子さんに嫌われてるからと話す父。
あのころ指揮者になるんだとわめくだけで実際なにもしないぐうたらだったから、それで彼女もいいかげん愛想をつかしたのかもしれないなと話す父に
そんなことありえない。それならお母さんはじめから結婚しなかったと思うわ。
そーいう人よ。きらわれた原因はもっと他にあるのよ。言う麻子。

537 :いつもポケットにショパン20 :04/04/20 21:20 ID:???
お父さんは麻子に「雪の女王」という話を知ってるか聞く。
雪の女王がカイ少年の目の中に落とした鏡の破片のためにカイ少年は突然冷たい少年になってしまう話だと話す。
麻子はちょっと前のきしんちゃんみたいと思う。
お母さんも目の中にもただ鏡の破片がはいってるだけなんだと思う。
破片さえとれてしまえばもとの愛子さんにもどるはずだ。
ぼくはこの童話を信じてもいいと思うかい?麻子ちゃんと父は言う。
「麻子ちゃん」と呼ぶ父に「麻子」でいいですよと麻子は言う。
昔、父は母に子どもが生まれたら「チャン」づけで呼ぼうと言っていたのだ。
友だち同士みたいでいいでしょ?という父にその時お母さんはなんと言ったか麻子は尋ねる。
父が「・・・・・・・・・気色悪い」と答えるのを聞いて麻子はこの人ぜったいわたしのお父さんだと思う。
家に着くと父は母に会わずに帰えると言う。
実はお正月に会ったと話す父。それにおばあちゃんに特マルつきできらわれていると話す。
そして、ぼくとお母さんの関係を知ってるものはほとんどいないから、会ったことをだれにも話さないほうがいいと言う。
ぼくは、おばあちゃんに認めてもらおうとドイツで一生懸命修行をつんだんだ。
だからもうじきだよ。もうじき、きみをびっくりさせることがあると麻子に言う。

ところで麻子ちゃん・・・・・・抱いていい?「だっこ」だなんて年でもないし「さわる」ってのもいやらしいし・・・・と言う父に麻子は拒絶してしまう。
ぼくは麻子ちゃんのお父さんだよ。残念だな。と去っていく父を見て
お父さんの胸に飛びこんであげたほうがよかったのかしら。
ものすごくがっかりしたでしょうねと後悔する麻子。

7 :いつもポケットにショパン21 :04/04/20 21:48 ID:???
次の日の朝、麻子は駅で季晋を待ち伏せしていた。
定期を買うと言う季晋に6か月にするように麻子は言う。
6か月なら少なくとも6か月間はここにいるでしょ?という麻子にもう引っ越さないと季晋は言う。
季晋は大喜びする麻子を見て、感情を露骨に出すようになった。麻子は変わったなと思う。
そして、麻子は二人で麻子の父が指揮をするコンサートに行く約束を取り付ける。

学校でも機嫌がいい麻子。
掃除中に「「緒方」と「二階堂」はよっぽど失敗しない限り2次予選までいくわよ」という
クラスメイトの会話が耳に入る。
「緒方くんは「毎コン」にはでないわよ」と麻子は言うが
「へたな口工作でわたしたちを油断させるつもりなのよ」と言われてしまい麻子は怒る。
そこに伊波が来る。堂園大学に入ったことを自慢しにきたのだ。
伊波と一緒に依里を探しにいく。依里はレコード屋にいた。
その店で麻子は父の指揮した第九の録音盤を見つける。
クラスメートの「この人顔に似あわずすっごくおかしいの。
譜面台たおしそうにるし、花たば落っことすし」と笑うのを聞いて恥ずかしく思う。

父が指揮をするコンサートに行く途中、花たばを買うことになる。
どうせ渡しても落としちゃうような人だから花なんかいらないと言う麻子に
どういう人だろうと母のあこがれた人だから悪くいうなと季晋は言う。
結局花屋で花たばと季晋の父の趣味のサボテンを買う。

父の指揮をする姿に目を奪われる麻子。
たった1人遠い外国でわたしたちと暮らすために一生懸命苦労してがんばってきたのに、
何年も夢みてきたのにこの間は残酷なことをしてしまったと涙をながす麻子。
演奏が終わると麻子は花たばとサボテンを間違えて掴み「おとー・・・・・・さん」と舞台にかけよって行く。
父の昭和フィルの常任指揮者が決まる。
麻子はもうじききみをびっくりさせることがあると言ったのはこのことだったかかと思う。

8 :いつもポケットにショパン22 :04/04/20 21:52 ID:???
季晋は今年から「昭和フィル」は「毎コン」の受賞者発表会のバックもすることになった。
麻子が受賞したらお父さんの指揮するオケと競演できることになると季晋は続ける。
お父さんの指揮でわたしがピアノと麻子は夢見る。
麻子は先生に話して、ゆるしてくれたら参加すると季晋に言う。

松苗にレッスンを頼む麻子。松苗は1か月だけレッスンすると言う。
2か月後堂園大学へ転任するというのだ。
麻子は悲しむがクラスメイトはあっさりとしていた。
麻子はみんな音楽やりすぎで感情がマヒしてるんじゃないかしらとなじる。

依里が伊波にきしんちゃんが毎コンに出場するのかを調べさせる。
リストをやると言っていて、実際に弾いてるところも見たという伊波はきしんちゃんの弾き方の真似をする。
その真似から麻子はきしんちゃんが腱鞘炎だと気づく。
心配し、きしんちゃんちに向かう麻子。きしんちゃんは父の客がくるからとすきやきの準備をしていた。
麻子はこれだけは作れると言って勝手にシチューを作っていく。

麻子は毎コンに向けて先生から「おほめのことば」を貰うことを目標に練習を重ねる。
父が麻子を訪ねてくるが会わずに練習を続ける。
最後のレッスンの時、
「最後の先生のレッスンだけはほめていただきたくて、ていねいにみてきたつもりです」
という麻子に
「おまえはわたしにほめてもらうためにピアノを弾いているのか!?」と怒られ
先生に誉めてもらうことばかりを考えていたことを反省する。
まわりを良く見ろ。おまえが他生徒よりいかに人間的に劣ってるか分かるという松苗にショックを受ける麻子。
レッスンは数時間に及ぶ。外は暗くなる。
松苗はわたしがきみを手助けできるのはここまでだ。
見聞をひろめなさい。頭をやわらかくし、いろいろな考え方のできる人間になりなさい。
自分をみがけばみがくほど美しい絵がかけるだろう。楽しみにしていよう。
と言って松苗はレッスン室を後にする。
ドアの外では掃除の時間でもないのに掃除をしているクラスメイトがいた。

147 :いつもポケットにショパン23 :04/04/25 03:44 ID:???
父親と食事に出かけた麻子は「月刊おんがく」の編集者坂本と知り合う。
坂本は季晋の母華子の日記のことを知っているようだった。
日記帳のことを聞く麻子に、坂本は愛子には日記帳のことは知られてはならないと言う。
坂本は麻子の父から聞いたと言って話し始める。
麻子の母は父よりもピアノを愛した人だが、ピアノと父の間にもう一つ大事なものがあったと。
友人のいない愛子に初めて接してくれたのが華子だった。
そして、愛子は華子とのピアノの刺激あいが今日のピアニストとしての自分を
つくりあげたと信じてるという話だった。
麻子は坂本の話で愛子が華子を友人でありライバルとして大切に思っていることを知る。
問題の日記帳は新婚当時の麻子の父に華子自身が
「あなたにあずけることで気持ちの整理をしたい」と押し付けた物だった。
だが、父は日記帳を盗まれて無くしてしまっていた。
父と初めて会った時の玄関でのきしんちゃんとの会話を思い出し、
盗んだのはきしんちゃんだと麻子は思う。
坂本は愛子が日記を知ったら相当ショックを受けるだろうし、
華子の気持ちに気づいていたら父のプロポーズも断っていただろうと言われていた事と
母との復縁を願う父も不利になるから日記のことは愛子に内緒と釘を刺す。

麻子は父に日記を返してもらうきしんちゃんに話すと言う。
父は日記にはさんであった写真のことを話す。
麻子は「母の部屋で見たアルバム」が日記帳だったことを知る。
母が日記帳のことを知っていたことに気づき、復縁の望みがうすれたこと、
きしんちゃんがお母さんに日記帳を見せたことに麻子は愕然とする。
麻子は「毎コン」で優勝して父と共演し、麻子を見に来たお母さんとおばあちゃんが
麻子がいっぺんで魅了された父を見て心を動かしてくれることを願う。

148 :いつもポケットにショパン24 :04/04/25 03:46 ID:???
レッスンの担当が松苗先生から高橋先生に替わる。
麻子は松苗と逆のことを言う高橋にとまどう。
教室に戻ってきた麻子は学級日誌に
―――きょう松苗先生が行ってしまわれた。あの先生のことだ、送別会をやっても
「そんなヒマあるか!!」とどやされることになりかねないので、そうじするふりして
先生の歩く道をきれいにしつつひそかに見送ったが門前で斉藤が
「先生を追って堂園大学へいきます」と声をかけたところ
「おまえら不自然な時間にそうじなどするな」と結局どやされた。―――
とあるのを見つけた。
みんな本当に先生を慕っていたのにじっと取るべき態度をとって耐えた。
わたしはただただいかないでといわんばかりに泣くばかりだったと反省する。

麻子は友だちと一緒に堂園大学をまりあに案内してもらう。
まりあは季晋が毎コンに出ないと言ったが麻子への復讐心が消えた今、
出ないのはもったいないと話す。
あちこちのレッスン室から「毎コン」課題曲のショパンのソナタが聞こえてくる。
一番奥の部屋からタッチといい音色といい全然違う曲が聞こえてくる。
松苗先生だ!麻子は奥の部屋を目指して走っていく。
窓からのぞくと弾いていたのはきしんちゃんだった。
きしんちゃんが松苗先生のレッスンを受けていたのだ。
思わず中へ入ろうとする麻子にレッスン中よとまりあが止める。
迫力ある季晋の演奏に麻子は
信じられない。これが本当に腱鞘炎の奏でる音だろうかと驚く。


149 :いつもポケットにショパン25 :04/04/25 03:46 ID:???
音が突然途切れてしまう。中では松苗と季晋が話していた。
松苗は季晋の手のことを見抜いていた。
なぜ、無理をしてまでコンクールにでる?と松苗は聞く。
黙り込む季晋に「須江麻子に勝ちたいかね?」と松苗は言う。
松苗は華子の愛子へのライバル意識のことを知っていた。
ライバル意識は結構だが君のやり方は不自然だ。間違っていると季晋に言う。
例えば今年の「毎コン」で麻子を負かして優越感に浸っても、数10年後いや数年後には
まったく逆転しうるかもしれない。ピアニストの価値など簡単にはかれない。
今年の毎コンはやめておけ。もっと自分を大事にしろ。
そんな手で弾き続けたらヘタをすりゃピアノをやめるはめになるかもしれないと言う松苗に
ぼくは・・・そうなってもかまいません。逆転がなければいいんです。
この「毎コン」で須江麻子に勝てたらピアノをやめます。そして記録は永遠に残る。
それほど今度のコンクールはぼくにとって命がけなんです。と季晋は言う。
きみの特別指導はことわる!!と言い松苗は部屋を出て行く。

レッスン室の前にいた麻子達に気づく季晋。
どうして大学にいるのかまりあが季晋に尋ねると
音楽界でも名うての松苗先生にぜひ一度レッスン願いたくてわがままいって頼んだんだ。
と麻子の方に向かって答えた。
課題曲を弾いていたから気が変わって毎コンに出るのかと思ったとまりあが言うと
やはり麻子を見て、あれは先生があの曲をとおっしゃったんだよと言う。
麻子はわたしはなんにもたずねてないのに、なぜわたしに向かって答えるの?と不安に思う。

夏休みで言えに帰る前に麻子は「大屋医院」に寄る。腱鞘炎について聞きにきたのだ。
そこで、華子は腱鞘炎が慢性化してしまってピアノを止めたと麻子は知る。
医者は季晋は大事をとってピアノを休んでると聞いたから大丈夫だと言う。

150 :いつもポケットにショパン26 :04/04/25 03:47 ID:???
家でピアノを弾いていると、
おばあちゃんに「ショパンのソナタ」第3番を弾いてごらんと言われるが、
松苗の「そこは重々しく」と高橋の「そこはしっとりと」という正反対の意見に
麻子は混乱してしまい弾けなくなってしまう。
そこにお母さんからきょうも別荘に泊まると電話がかかってくる。
麻子が「毎コン」の第2次予選の曲と相性が悪いことを話そうとすると
自分の言いたいことだけを言って切れてしまう。
お母さんの「つきのひかり」という言葉が気になった麻子は別荘に行くことにする。

麻子は別荘に行く前に去年の男の子の音が懐かしくなり、会いに行くことにする。
「茶色のこびん」聞きにきたわよと言う麻子にもう弾かない。ピアノやめたいんだと話す。
ぼくももう子どもじゃないもん。いろいろと悩みがふえるんだよ。と言う男の子の話に
麻子は子どもの頃は先生のおっしゃる通りに弾けはよかったから悩まなかったが今は
考えるようになった。もしかしたら相性がわるいわけでなく、
どちらの弾き方もしっくりきてないんじゃないかしらと思う。
男の子はピアノを習ってるぼくと習ってないクラスメイトが「茶色のこびん」を弾いた時、
その子とぼくは同じくらい拍手されたよ。
ぼくは、ちゃんとピアノを習って一生懸命勉強してるのにどうして
そのクラスメイトと同じくらいの拍手なの?と涙ぐむ。
そんなことないよ・・・・・・きっと、きみの方がひとり分拍手が多かったわよ。
こんどは数えてごらん。努力して勉強してるんですもの。
普通の人の力よりプラスα分多いわよ。と麻子はなぐさめる。


151 :いつもポケットにショパン27 :04/04/25 03:48 ID:???
男の子は麻子をそのクラスメイトがいるバレエ教室に連れて行く。
そのクラスメイトの女の子は発表会で主役になれなかったことを拗ねて座りこんでいた。
レッスン後、麻子と男の子はバレエ教室に入っていく。
わたしたちに踊ってみせてくれない?わたし音楽の係りやらせてもらうわ。
と話しかけるが女の子はそっぽを向いてしまう。
「あたえられる音楽が楽しければわたしたちは歌いたくなる
おどり手はおどりださなきゃうそだわ
どんなふうに弾くかなんて考えるのはしばらくやめよう
いまのわたしにできるのはあの少女のためのたったひとつの弾き方しかない
りくつなんか二の次よ 完璧なんかのぞまない
あのこが踊ってくれるほど楽しく弾ければすてきじゃない」
と麻子は自分のショパンを弾く。
女の子はたった一度きり、トゥール(回転)する。

別荘に着いた麻子は「毎コン」の曲はぜたったいショパンのソナタ3番に決めたと
母に話す。
「ほらごらんなさいよ、外。海面にね、つきのひかりがうかんできれいなのよ」
という母の言葉に電話でのつきのひかり意味が分かる。

1次予選の日。麻子は一人で会場に向かう。
入り口で友だちの応援にきたという折田に会う。
折田はさっき、きしんちゃんを見たと麻子に話す。
うそよ。きしんちゃんは腱鞘炎だもの。出られるわけがないわという麻子に
勝負したがってるのは彼の目の中のお母さんかもしれないわと折田は言う。
カイ少年だ。きしんちゃんは鏡の破片が入ったままだった!と麻子は楽屋に走る。

152 :いつもポケットにショパン28 :04/04/25 03:49 ID:???
手をどうするのよ。そんなムリしてひけなくなったらどうするのよ。震えながら麻子は言う。
どうするかなと言う季晋をひっぱたく麻子。そして
「おばちゃま!おばちゃまは腱鞘炎にかかって苦しんだと聞きました。
その苦しみを知っていながらなぜ同じことをきしんちゃんにやらせるんですか?
おばちゃまはだれかのピアノを聞いて、
涙があふれるほどの感動を体験したことがおありですか?
わ、わたしはたったいちど、昔のきしんちゃんが弾いたショパンのワルツを聞いた時だけです。
今のきしんちゃんはピアノはうまいけど、まるでピアノをにくんでいるみたい。
前のピアノに愛されていた時のきしんちゃんとはちがう。
今ピアノを弾いているのはほんとうのきしんちゃんじゃない・・・・・・
きしんちゃんをかえして、かえして」と泣き出す。
「やめろ!!」と季晋は怒鳴るが
「・・・・・松苗先生が・・・・・・音楽にはその人自身が素直にあらわれるっておっしゃった。
勝負するですって?いいわよ。お望みどおり参加してあげる。
だけど、今のきしんちゃんがピアノ弾いたってだれにも勝てっこない。勝てっこない!」
と麻子は言い返す。

麻子が待機するよう呼ばれる。
こんな気持ちでどうやって弾けばいいのよ。と麻子は舞台の下手に走っていく。
おちつけ、おちつけと自分に言い聞かせる。その時、調律する音が聞こえる。
子どもの頃、きしんちゃんと音当てして遊んだことを思い出し落ち着きを取り戻す。

季晋の心の中に麻子の「今のきしんちゃんがピアノ弾いたってだれにも勝てっこない」
という言葉が響く。

153 :いつもポケットにショパン29 :04/04/25 03:51 ID:???
数日後、痛み止めの注射を打ちに大屋医院へ来た季晋。
その帰りに道でうずくまっている麻子のおばあちゃんを見つける。
家に送っていく季晋にまた昔みたいにおいでよ。わたしもひとりが多いし、あんたも麻子もひとりっ子。そうだよ、またくれば楽しいじゃないかと話す。
黙っている季晋に
もっとも・・・・考えようによっちゃあんたはいつもお母さんと一緒にいるようなもんだねぇ。
麻子なんか親が健在でありながら、ほとんど一緒にいてもらえないんだから
これじゃほんとにどっちが不幸だなんて決めかねるわねぇとつぶやく。

季晋がおばあちゃんを送りとどけ麻子の家を出ようとすると、麻子が帰ってくる。
麻子は、なっ・・・・・なにやってんのよ!!と怒鳴る。なんにもしてないよと言う季晋に、
家にうらみを持ってるきしんちゃんがわけもなくここに来るわけないじゃないと言う麻子。
季晋が黙ってると、追い詰められた麻子は
あっ、そう。わかったわ。「偵察」ね。
きしんちゃんは「偵察」なんかするほどなさけない人になっちゃったの!?と逆ギレする。
そこにお母さんが帰ってくる。
お顔を見せてと季晋を見つめる母に「・・・・目を、目をみるな!!」と叫び逃げ出す。
目をそらしたのは季晋の中の季晋の母だった。

154 :いつもポケットにショパン30 :04/04/25 03:51 ID:???
母は麻子に1次予選合格を告げる。高校生で受かったのは麻子と季晋だけだった。
おばあちゃんに知らせてくるとはしゃぐ麻子に
「なあに?さっきの季晋くんへのいいぐさ。
あなたがあんな陰険な言い方するなんて。はっきりいってがっかりしたわ」と母は言う。
あれは・・・と言い訳しようとする麻子に
「よくもまああんないい方する人が予選を通過するような曲を弾けたこと」と続ける。
お母さんはきしんちゃんを誤解してる。と麻子は
「い、いっとくけど予選を通過できないような人はきしんちゃんの方よ」と言い返す。
そこにおばあちゃんが来て「きしんちゃんはいい子だよ。
あの子わたしが病院前で気分悪くしてるとこ助けてくれたんだから」と言う。
「2人ともわかってない。きしんちゃんはコンクールを争いごとの道具にしているのよ。
友だちのことばをかりれば、そんなの音楽への冒?でしょ!?ゆるせないわ」と言う麻子に
「へんねぇ、どうも今までの様子を見た限りでは
コンクールの「勝ち負け」を意識してるのは「あなた」の方みたい」と母は笑う。

明日の公開レッスンが早いからもう寝るという母に
わたしですら教わったことないのに!!
お母さんがだれにもレッスンしない主義だったから、がまんしてきたのにずるいわ。
わたしにも教えてよ。と麻子は言う。
お母さんに一晩特訓してもらえば、もしかしたらひょっとしたら、
第2次予選もパスできるかも。とただ勝つことを意識してピアノに向かう麻子に
「ねぇ麻子。あなた今どんな顔で弾いているかわかる?」と母は言う。
えっ?なにかついてる?と鏡を見に席を離れると母はピアノに鍵をかけてしまう。
蓋をガタガタさせる麻子に
「おぼえてないかもしれないけど小さな時の麻子はね、ピアノに頭をぶつけたら
じぶんの頭よりもピアノをなでたのよ。
なのに近頃の麻子はそんな思いやりをどこへやったのかしら。
コンクールのせいで頭がおかしくなっちゃったのかしら」と母は言う。
ほかのピアノを弾きに行こうとする麻子に
「残念ね。家中のピアノの鍵よ」と母は鍵の束を見せる。
あけて、あけてよーっと麻子はピアノを叩き続ける。

155 :いつもポケットにショパン31 :04/04/25 03:52 ID:???
翌日、母の公開レッスン会場に向かう麻子。
母は「キャベツのせんぎり」でも思い出して軽快に楽しくと指導する。
会場はキャベツですって!?と騒然となる。
生徒の母親は指にケガしたら大変だから、
せんぎりどころか包丁を持たすことすらしない。と当たり前のように答える。
「・・・・それはこまりますね。
体で覚えた感覚というのはことばではいくつあっても伝えられないことがあります。
ですけど、音にならじゅうぶんすぎるほど素直に伝わりますわ。
皆とわかりあうためには、皆と同じ生活が必要です。
ピアノの音にだけでなく、まわりの音にも耳をすましてみることがどんなに楽しいか
少しでも音楽を愛する者なら、まわりの音を音楽にかえることなんてたやすいことですわ」
「先生は、そんなおそろしいこと人の子には平気でおっしゃる。
先生のお子さんにはそんなことさせられますか?」と非難する生徒の母親に
「麻子はシチューが得意です」と自信気に答える。

その様子を見ていた麻子は
はっきり知った。お母さんはわたしに生活させるためにわたしをつきはなした。
わたしをつつむみえないお母さんの腕のあたたかさが、すっかりひえきっていた
わたしの体に充電される。すごい秘密兵器だ。
どんどんきもちを大きくしてくれる。
さっきまで、しっとや裏切りにふりまわされていた自分がうそのよう。
といままでの母への誤解が解けていく。

人ごみの中麻子に気づかずに会場を去ろうとする母に
もしかしたらお母さんは口をきいてくれないのではなく、
昔のわたしのように口ベタなのかもしれない。
もしかしたらお母さんは人づきあいが悪いのではなく、
はずかしがりやなのかもしれない。
もしかしたらお母さんはことばではなかなか答えてくれないけれど
もしかしたら、これならふりむいてくれるかもしれないと鍵盤を叩く。
母の音と重なる。横目でみると隣には母がいた。
「あなたなにしてるの?」と呆れたような母の手を麻子は掴んだ。

156 :いつもポケットにショパン32 :04/04/25 03:54 ID:???
コンクールの朝、父から電話がかかってくる。
母と麻子を間違えて父は一方的に喋る。
その内容から二人は常にコンタクトしていたことをしり嬉しくなる。

母が出がけに季晋くんに渡してと紙袋を麻子に渡す。
渡すのは演奏後にと念を押す母に中身は日記帳だと気づく。
母は以前から送り主が季晋だと知っていたと話す。
「きしんちゃんへの怒りは消えてもお母さんにショックを与えるような罪をおかした
きしんちゃんをゆるす気にはなれないわ」と言う麻子に
「残念ながらショックなんてうけなかったわ。だから彼も罪をおかしていない」と笑う。
驚く麻子に
「だってその中身は新婚時代に盗み見してしまって、とっくの昔から知ってたんですもの。
盗み見なんて簡単よ。だらしない稔さんの机の上に放りっぱなしだったもの。」
呆れ何も言えない麻子に
「もし、あがってしまったら客席でひとりだけ知ってる人の顔を見つけるとおちつくわよ」
と言って母は出かけて行く。

予選会場には依里と伊波が応援に来ていた。荷物を預かると言う。
日記帳の入っている紙袋にも気づき、預かると言う。
あとできしんちゃんに渡すものだからと一旦断るが結局預けることにし楽屋に向かう。
伊波がおれが緒方くんに渡してくると言う。
依里は昔勝手なことして麻子におこられたと注意するが、伊波は
「これ、須江さんからきみにわたしてくれってあずかっただよ」と渡してしまう。

157 :いつもポケットにショパン33 :04/04/25 03:56 ID:???
蒼い顔で麻子のところに来る季晋。
麻子は季晋の手に日記帳があることに気づきまっさおになる。
「こーいうもんちらつかせて、おれがどうかするとでも思ってんのか」
「それは・・・・お母さんが持っていても意味がないからおかえししたんです」
「まったく強気だな、おまえのおふくろ」
きしんちゃからみれば、私のお母さんは幼いわたしがいだいてたイメージと同じで
いまだにこわく冷たい人なんだ。無理もないことだわ。
娘のわたしですらお母さんを理解するのにこんなに時間がかかったんですもの。
だからきしんちゃんのやり場のない気持ちが、印象悪いお母さんへのにくしみに
変わってしまったのはしかたのないことかもしれない。
本当のお母さんを語るのは簡単よ。
だけど「今のきしんちゃん」じゃわかってくれっこない。
そこにまりあのクリスマスパーティで会った戸部が麻子に近づいてくる。
肩に手を伸ばす戸部に
「さわるな!!」子どもの頃のきしんちゃんが重なる。わ・・・・・わかってくれる!!
「きしんちゃん!きしんちゃん聞いて・・・・!わたし見たのよ。
おばちゃまが亡くなられた時に「あのお母さん」が涙を流していたのをわたし見たの
おばちゃまはお母さんをきらっていたかもしれないけど、お母さんはお父さんよりも
おばちゃまを大事にしていたことを知っておいてほしいの」と麻子は訴える。
「そう、須江愛子はなにもしちゃいない。したたかな女さ。やり口がうまいよ。
だけどあの女の存在がおふくろの精神をおびやかし、
おふくろをピアニスト挫折の道にまでおいこんだのは確かだ」と言い放つ。
「でも、おばちゃまがピアノをやめなければならなかった直接の原因は
そうじゃないでしょう。おばちゃまがもっと体を大事にしていれば
腱鞘炎を慢性化してしまうほど無理をしなければピアノをやめることもなかったはずよ。
それをすべてお母さんのせいにしてしまうのは、お母さんがかわいそうよ」
「・・・・・慢性化・・・・・?」季晋は慢性化していたことを知らず驚く。

158 :いつもポケットにショパン34 :04/04/25 03:56 ID:???
放心状態の季晋に麻子は季晋が落とした日記帳を拾いながら
母が新婚時代に日記を読んでいたこと、そのあとすぐに離婚したことを話す。
「それじゃ、うちのおふくろの気持ちを知って分かれたってことか?
そんな愛情より友情をとるようなお人よしな女っているかよっ」と食って掛かる季晋に
「わたしにはわからない。お母さんに直接聞いて」と日記帳を手渡す。そして
「だけどお母さんはきっとこういうわ。「別れたのはお父さんがぐうたらだったから」
わたしのお母さんはそういう人よ」と麻子は微笑む。

いるかよ・・・・そんな人って・・・・と日記をめくると
愛子から季晋くんへ
幸せになりなさい。あなたはもっと自分を大切にしてもいい。
あなたはお母さまのために弾くのではなく、お母さまと一緒に弾いているのです。
じぶんをだめにすることは、あなたのたいせつなお母さまをだめにしてしまうことです。
だれでも考え方ひとつで幸せになれるのではないかしら。幸せになりなさい。
とあった。

舞台に出て行く麻子。真っ先に松苗先生が手を叩いてくれるがあがってしまう。
朝の母の助言を思い出し知ってる顔を捜すと
茶色のこびんの男の子とバレエの女の子が来ていた。
やーだ、あの2人。まるでわたしたちと麻子は思う。同時に思い出がよみがえってくる。
麻子のピアノをBGMに、季晋は愛子からの言葉に泣く。
勝負なんかとっくについてたよ。あの女から目をそらしてしまったあの時から。
演奏後、季晋は麻子に拍手を送る。
「もうっなんてことでしょう。あんなにあっけらかんと。
あそこはあんなにしっとり弾くようにいったのに」と嘆く高橋に
「しかし楽しく聴けましたよ」と松苗は言う。

159 :いつもポケットにショパン35 :04/04/25 03:58 ID:???
季晋の演奏が始まる。季晋の奏でる音に麻子は泣き出す。
氷が解けていく。
演奏後ものすごい拍手に会場は沸く。

季晋とまりあは第2予選を通過する。
本選の日応援に来た麻子に季晋はくずれるように抱きつく。
麻子は季晋を抱きしめる。
「ショパンのソナタを弾きおえた時、ピアノを続けたいと思ったよ。
だからおふくろのようにこれ以上手をダメにするわけにいかない。」
と本選を棄権すると季晋は言う。
「きっとおばちゃまが救ってくれたのよ。
わたしステージのきしんちゃんとおばちゃまの姿がだぶったもの」
「怪奇現象だ」季晋は遠くを見て言う。麻子は季晋を見る。
「なんか食べるか?」と聞く季晋に「ボールペン売ってるかしら」と麻子は言う。
「上邑さんへ「毎コン」のパンフレットに2人からの報告をかいて渡さない?」
笑う季晋。
「なにがおかしいの。ぜったい、いい考えよ。それで
優勝まちがいなしのまりあさんに運んでもらうの。ね?」
音楽だ。わたしのまわりのすべてが歌いはじめた。
時計の音がバッハを奏でる。
女学生のおしゃべりはモーツアルトに変わり
きしんちゃんのポケットからショパンが聞こえた。 終わり