キャットストリート/神尾葉子
57 名前:キャットストリート[sage] 投稿日:2005/10/12(水) 22:50:21 ID:???
16歳のケイトは小学生の時から引きこもりつづけ、今は無職。
時々外を徘徊すると見知らぬ人々に「あれってケイトじゃね?」と言われ煩わしい。
かつてケイトは子役だった。両親の期待を一身に、小学校もろくに行かずに働いた。
仕事の合間に通う学校には友達は一人もおらず陰口を叩かれていたが、
自分が有名になる事で両親が胸をはれるのなら良いと思った。
やがてケイトは大きな劇に立つ事になった。ダブルキャストでもう一人は無名の奈子。
子役として注目されているケイトと比べ、奈子は演技も踊りもいまいち。
叱られては落ち込む奈子を慰めるケイト。やがて二人に友情が生まれる。
ケイトは奈子の苦手な泣き≠フ演技のアドバイスをしたりと、奈子に協力していく。
舞台は二部構成で一部は奈子が担当する。
その数日前から奈子はケイトを無視するようになっていた。
初めての友達の奈子の突然の態度に怯えるケイト。練習に身が入らなくなる。
本番の日。生き生きとした奈子の演技が完全に自分のコピーである事にケイトは気づいた。
そして、奈子の事で悩んでいる間にとっくに実力を追い抜かされた事にも。
一部が終わり戻ってきた奈子は、笑いながらケイトに言った。
「あんたにいいところなんてあげないから。友達一人もいないなんて気味が悪い人」
呆然としながら舞台にたったケイトは、三千人の観客の前で
しゃべる事も身動きする事もできなかった。ケイトにとっての人生はそこで終わった。
子役とはいえケイトはプロだ。その事は散々マスコミに叩かれた。
芸能界にはもういられない。今更学校にも行けなかった。
引きこもるようになったケイトの横で両親は毎日喧嘩した。
そんな中で育った妹はケイトをうとむようになった。

いつものように行くあてもなく街を徘徊するケイト。
謎の男性に声をかけられついていった先には『エル・リストン』というフリー・スクールがあった。
様々な事情で普通の高校に行けなかった人々が学びにくる場所だという。
こんなわけのわからないところに居られるかとケイトは一度は拒絶するが、
エル・リストンに通う生徒たちがそれぞれ懸命にがんばっている姿を見て考えを改める。
友人をつくり少しずつ前向きになって行くケイトの成長物語