ぼくらの/鬼頭莫宏
339 名前:ぼくらの 1[sage] 投稿日:2006/04/24(月) 22:02:42 ID:???
<<はじまり>>
ある夏、学習交流自然学校に参加していた中学一年生の15人の少年少女たちは、
興味本位から海辺の洞窟に足を踏み入れる。

その洞窟の奥でであったココペリと名乗る男に、地球を敵から守るゲームをしないか、と誘われる。
面白半分に、次々とそのゲームと「契約」していく少年たち。

そして少年たちは現実に地球を守るための戦いの巻き込まれていくのだった・・・。


<<主な登場人物>>
・切江 洋介(キリエ) 口数が少なく、内向的な性格。
・宇白 順(ウシロ) カナの兄。自己中でカナをいじめている。
・門司 邦彦(モジ) 冷静沈着。勘や読みが鋭い。
・吉川 寛治(カンジ) ウシロと同じ学校に通っている。
・小高 勝(コダマ) 父を尊敬している。やや自己中。
・矢村 大一(ダイチ) 兄弟を一人で養っている。正義感が強い。
・加古 功(カコ) 少年たちの中で1番の臆病者。
・和久 隆(ワク) サッカー少年。
・宇白 可奈(カナ) ウシロの妹。小4。ゲームには参加していない。
・阿野 万記(マキ) 軍事オタク。もうすぐ弟が生まれる。
・古茂田 孝美(コモ) マキと同じ学校。年齢の割りに大人びている。
・本田 千鶴(チズ) 正統派お嬢様タイプの女の子。
・町 洋子(マチ) そばかす少女。
・往住 愛子(アンコ) 父はニュースキャスター。
・半井 摩子(ナカマ) 人一倍正義感が強い。

・ココペリ 少年たちをゲームに誘った人物。地球の人間ではないが、人間ではあるらしい。
・コエムシ 少年たちのサポート役。外見はかわいいが、非道な性格。

340 名前:ぼくらの 2[sage] 投稿日:2006/04/24(月) 22:19:42 ID:???
<<ココペリ>>

気がつくと少年たちはもといた海辺に戻ってきていた。
ココペリと「契約」した洞窟も、途中でふさがっており、誰もが洞窟の中でのことは夢だったんだと思っていた。

・・・しかし、そんな考えは目の前に現れた巨大な黒いロボットによりかき消される事となった。
戸惑う少年たちの前にコエムシを名乗るぬいぐるみ(のようなもの)が現れる。
コエムシによると、やはり少年たちがこの黒いロボットに乗って戦わなくてはならない事になっているようだった。

突然コエムシによってロボットのコックピットに飛ばされる少年たち。
そこではココペリが敵の怪獣と戦っていた。
この戦闘はココペリがロボットを操縦することになっているらしい。

決死の戦闘の末、怪獣の「コア」を破壊して勝利するココペリ。
この次の戦闘からは少年たちの中からランダムで一人、操縦者が選ばれるらしい。(敵は全部で15体)

その後、少年たちは、もといた場所に戻ってきていた。
ココペリはどこにも見当たらなかった。コエムシも消えてしまった。呼べばいつでも出てくるらしい。

少年たちは、この不思議な出来事を自分たちだけの秘密にしようと約束したのだった。

344 名前:ぼくらの 3[sage] 投稿日:2006/04/28(金) 02:03:32 ID:???
<<和久 隆>>

ワクは小学校の頃から、サッカーのクラブチームに所属していた。
県下でも強豪チームで選抜大会等にも出場して、ワク自身、将来はプロ選手になるものだと思っていた。

しかし、中学に入学して、ワクはサッカーをやめた。
ワクの父親も、子供の頃はサッカーで全国選抜に選ばれるほどの選手だったことを知ってしまったのだ。
そんな父親も、今ではただのサラリーマン。
自分と父は違うと思いながらも、自分の将来に不安を抱くワク。
本当にサッカーが好きなのか、目立ちたかっただけなのか、挫折するのがこわいのか、悩む日々が続いた。


―ココペリの戦闘からしばらくたったある夜、ワクは「声」を受ける。
すぐさま目の前にコエムシが現れ、少年たちは再びロボットのコックピットに飛ばされる。
コックピットには自らの想像する「椅子(操縦席)」があった。
みんなで話し合った末、ロボットの名前を「ジアース(The earthのもじり)」とする少年たち。
「声」を受けたものが操縦者、今回の操縦者はワクだ。

ワクはこの状況を楽しんでいた。自分は地球を守る隠されたヒーローなのだ。
敵との激しい戦闘の中、今の状況を楽しめばいい、サッカーで挫折し様とどうしようと、
そうなったらその状況を楽しめばいいことだ、と悩みを吹っ切るワク。
父がなぜサッカーをやめたか、そんな時がいつか自分にも来るかもしれないが今は考えても仕方ないことなのだ。


戦闘が終わったあと、外(ジアースの肩部分)に出る少年たち。
ワクは今までの悩みを完全に吹っ切って夜の海に向かって叫んだ。
そんなワクを見て、恥ずかしいんだよ、とワクの背中を押すウシロ。
次の瞬間、ワクの体は傾き、海に向かってまっさかさまに落ちていった。

345 名前:ぼくらの 4[sage] 投稿日:2006/04/28(金) 02:26:10 ID:???
<<小高 勝>>

自然学校は期間途中で閉校し、少年たちはそれぞれの地元へと戻った。
ワクはロボットの戦いと海辺に見に行って波にさらわれた事にした。
傍から見るとウシロがワクを突き落としたように見えたが、実際はそんなに強く押してないらしい。(ウシロ談)


―小高勝は生命は使い捨てられるものだと考えていた。
勝者の糧となるための人間がいる、つまり弱肉強食。ワクの死もその程度に捕らえていた。

コダマの父は成り上がりの土建屋だった。
ブランド物を愛し、他人を見下し、社会のルールも守らないような人物だ。
そんな父親を、コダマの2人の兄は軽蔑し、優秀ながらも父のあとを継ぐことは考えなかった。
しかし、コダマは父のことを尊敬していた。
父は選ばれた人間なのだ。何をしてもいいのだ。強者の立場にあるのだ・・・。

そしてコダマは今ロボットに乗っている。今回「声」を受けたのはコダマだ。
自分も選ばれた人間なのだ。父と同じように。

ジアースに乗っての街中での敵との戦いでも、人々の避難などは考えずに動き回るコダマ。
この程度で死ぬやつは所詮そういう運命なのだ、選ばれないやつなんだ…。

しかし、その戦闘中コダマは父を踏み潰してしまう。
なぜ選ばれていたはずの父が?困惑するコダマ。
無事敵は倒したものの、コダマは父がこんなところで死んでしまったことに動揺していた。
父は選ばれていたんじゃなっかのか、じゃぁジアースに乗っている僕は・・・。

――突然コダマが倒れた。すでに死んでいた。
困惑する少年らにコエムシからジアースに関する新たな情報が告げられる。
ジアースは人間の生命力で動く。1戦闘駆動する代わりに操縦者の命を奪うのだ、と。

11 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 09:15:24 ID:???
前に書いた人はもういないようなので、
書き方違うし他の板に投下したやつだけど置いとこう

[戦闘四回目]
次のパイロットはダイチ。彼はアルバイトをしながら弟妹三人と暮らしている。
バイトの世話をしてくれている叔父は一緒に暮らさないかと誘ってくれているが、
蒸発した父に帰る場所を残したいと断り、長男として弟妹の世話をする日々を続けていた。
自分が死んだ後に弟妹はどうなるだろうと考えていると、ナカマから電話がかかってきた。
会話の末にナカマは「ごめんね」と謝ってきたが、ダイチは別にいいと答えた。
やがて戦闘が訪れる。死体は元の場所に転送する事も、広いジアースのどこかに
置いておく事もできるという。ダイチは後者にしておいてくれと頼む。弟妹に自分の死を知らせたくはないからと。
巻き添えの犠牲者を極力出さないように戦った後、勝利し、死亡した。

[戦闘五回目]
次のパイロットのナカマは、売春婦の母を持ち、父を知らずに育った。
母は凛々しい人で尊敬しているが、やはり母の職業の事で差別されがちで
そのためか生真面目な性格に育った。掃除をサボったクラスメートを注意すると、
「塾で忙しい。あんたは成績悪くても親と同じ仕事すればいいだろうけど…」というような事を言われる。
戦闘の日、ナカマは作ってきた全員分のコスチュームを渡す。
死んでしまったダイチたちの分は後回しにしたので無いが。
死に装束かよと憤るカコに、私だって死にたくなんか無いとナカマは叫んだ。
戦闘中、ナカマをいじめていた女子が避難しそびれているのを発見する。
ナカマはその女子に「これからちゃんと掃除しなよ」と最後の注意をし、助けた。
その後戦闘に勝利し、ナカマ死亡。助けられた子は掃除をするようになった。

12 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 09:17:35 ID:???
[戦闘六回目]
軍のお偉いさんを父に持つコモにより、
ジアースの戦闘に軍隊も関わってくるようになった。
次のパイロットはカコ。カコはどうせ死んでしまうならと
チズをレイプしようとするが、ナイフをつきつけられ諦める。
戦闘の際、カコは極度の緊張により錯乱。まともに戦えないカコの首筋に、チズはナイフを突き刺す。
カコ死亡。パイロットをチズに変えて戦闘続行。
正統派お嬢様といった容貌のチズは、初恋相手の担任の先生と深い仲にあった。
だが、先生はチズを利用していただけで、チズは行為のムービーを公表すると脅され、
先生の仲間の男たちに売られ、屈辱的な日々を送らされるようになった。
男たちを全て殺すのは無理だから、せめて先生だけでも殺そうと決意するが、
妊娠が発覚する。生まれてくる子供のために一度はやめようと思ったが、
妊娠を知った先生の「それなら出産ムービーが取れるな」との言葉に殺意を再度燃やし、
どうせ死んでしまうならとジアースを使って先生と男たちを殺そうとする。
怪獣を倒すよりも先に、男たちを殺害していく。次に先生を殺そうとしたが、先生は姉と共にいた。
先生はチズの尊敬する姉と交際していたのだった。姉がかばおうとするので断念し、
チズは怪獣を倒した。「お前お姉ちゃんの子になればよかったのに」とつぶやき、チズは死んだ。
ジアースの顔に当たる部分にははじめ、カナを除いてパイロットの人数分、14個の光があった。
チズの腹の中の子供も14個の中に入っていたようで、チズが死んだと同時に2個の光が消えた。
今、光は7個しかない。カナ以外にも誰か一人契約していない者がいるのだ。

[戦闘七回目]
ココペリの戦闘を除いて15体の怪獣が現れるらしいので、
足りない人数を補充するために軍人二名が契約。
次のパイロットはモジ。彼には病を抱えて心臓の移植を待っている友人がいる。
以前ふと検査を受けてみると、友人とモジの心臓の移植成功率は100%だった。
モジは戦闘後に自分の体を病院に転送するようにコエムシに告げる。
自分が死んだ後に、自分の心臓が友人に移植されるように。
戦闘に勝利し、モジは病院に転送された。

13 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 09:19:15 ID:???
[戦闘八回目]
次のパイロットはマキ。彼女は養父母のもとで育った。
養母はもうすぐ男の子を産む。せめて弟が生まれるまでは生きていたいなとマキは思う。
マキはウシロのもとにいき、日常的にカナに暴力を奮うウシロにそんな事はやめろと言う。
「あんたは血が繋がってるって安心感に甘えてる。だからカナちゃんを平気で殴れるんだ」
というような事を言う。やがて弟が生まれないまま戦闘がはじまる。
ジアースのパイロットは地上を拡大して見たりできるのだが、
戦闘の際に見える風景がいつもと微妙に違う。
怪獣だけではなく、見知らぬ戦闘機もジアースを攻撃してくる。
戦闘が優位に進み、マキは以前から密かに抱いていた疑問を調べるために相手の急所の装甲を剥がす。
疑問とは「自分たちはなにと戦っているのか」というもの。
急所の中にはコックピットがあり、人間がいた。敵もこちらと同じくロボットを操る人間だったのだ。
これらの戦闘は、並行世界にある地球同士が互いの可能性を摘みあう、枝木の剪定のようなものだった。
勝利の条件は、急所を潰す事ではなく、敵性地球人のパイロットを殺す事。
パイロットのみならず、負けた側は世界ごと滅びるという。
マキの実の両親はマキを虐待していたという。養父母と生まれてくる弟のためなら、
酷い両親の血を引いている自分になら、人を殺すぐらいできるとマキは決意し、パイロットを殺した。
「ウシロ、あんたカナちゃんを守るためにちゃんと戦いなさいよ」
元の地球に戻ったジアース。マキは生まれてきた弟をジアースから確認後、死亡。

409 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2007/09/09(日) 23:40:26 ID:???
「ぼくらの」の、戦闘9回目以降をお願いします。

本屋回っても何故か売って無くて…。

411 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2007/09/10(月) 02:36:11 ID:???
>>409
ぼくらの戦闘9回目

次のパイロットはキリエ。キリエは「ぼくらの地球」が存続に足るべきか考えていた。

キリエには美人の従姉がいた。明るくて優しくて、デブなためからかわれやすいキリエをいつもかばっていた。
だが従姉は重い悩みを抱える友人と共に自殺しようとし、それに失敗してからは引きこもって廃人のような日々を送るようになった。
「いっそ黒い怪獣(ジアースの事)が来て私を殺してくれればいいのに」つぶやく従姉。自傷行為と拒食症のためにかつての面影はもうない。
学校では、(表向き)失踪したカコの事を嘲る者がいた。近所には不法投棄で荒れた空き地があった。
他の世界を潰してまでこの世界に生き残る価値があるのかと、キリエは思うのだった。

キリエはチズを傷つけた畑外先生のもとに行った。チズの事をどう思っていたかを聞くために。
先生はキリエとジアースの関連性に気づき、その事をほのめかしつつチズをバカにするような発言をした。
キリエは先生にナイフで斬りかかるが、密かに監視していた関と田中(軍人)に止められ、先生は一時的に身柄を拘束された。

やがて始まった戦闘で、キリエはコエムシに自身の転送を頼んだ。
ジアースの腕の先、敵ロボットの目の前に行かせてくれと。
生身を敵ロボットの前に晒すなんて自殺行為に違いないが、
それでもキリエはこのまま負けるとしても、殺す相手の存在を知っていて欲しいと望んだ。

やがて、向こうのパイロットも同じように姿を現した。眼鏡をかけた大人しそうな少女だった。
彼女がこちらに差し伸べた腕には、無数の切り傷があった。
少女はロボット内へと戻って行った。キリエも同じくジアースに戻り「戦えます」と皆に宣言した。
死を願う従姉。だが、この世界の従姉が消えたとしても、違う世界で従姉と同じように苦しんでいる人がいる。
勝っても負けても従姉は本当の意味では死ねない。ならば、自分の知っている従姉にこそ生命としての業と責任を全うしてほしかった。

いつかジアースの全てを世間に公表できるようになったら、従姉に全てを伝えてくださいとキリエは皆に言い、はじめて微笑んだ。

最後のコマ、今まで閉ざされていた従姉の部屋のカーテンが開けられている。

412 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2007/09/10(月) 02:37:39 ID:???
10回目のパイロットはコモ

コモはピアノを習っており、腕前もなかなかだったが「つまらない音」と評されていた。
だが、自分が次のパイロットだとわかった時から音色に深みができた。
みんなのように戦わなければ、そう思い死を受け入れた瞬間から世界が変わったのだった。

やがて現れる敵ロボット。敵ロボットは触手のような物を大量に現し、
それらはジアースの外装を貫き、コックピットの中にまで及び、コモの額のすぐ前で止まった。

触手はパタっとその場に落ち、敵ロボットの係を勤める、コエムシの色違いみたいなのが現れた。
その黒コエムシが言うには、敵ロボットのパイロットが外への転送を頼み、戦闘を放棄したのだという。
決着がつかないまま48時間が経ってしまえば、両方の地球が消滅してしまうというルールがある。
なんとしてでも敵パイロットのおじさんを探さなければいけなくなった。
おじさんをおびき出すため軍は、コモにピアノの発表会を行わせ、パイロットであるという情報付きで世間へ流した。
他のパイロットは伏せられ、今まで死んだ被災者遺族の恨みはコモへと集中した。
既に両親は保護済みで無事にすんだが、コモの自宅は被災者遺族に放火された。
やがて、コエムシたちから敵のおじさんの情報が知らされた。彼もまた被災者遺族から恨みを買い、この戦いの数日前に娘を殺されたという。

敵のおじさんは守るべき物を失い既に自分の地球を捨てている。後は、彼がコモたちの地球を救う気になるかどうかだった。
ピアノの会場は一般人が入れないように厳重に警備されていたが、おじさんは黒コエムシに転送されていとも容易く現れた。
人々(客席も全員軍人)はおののくが、彼はただ「聴かせて下さい」とだけ言った。
この地球の存続を、コモのピアノで判断する気のようだった。
コモはひどく緊張し、ピアノの音は前の固いものに戻ってしまったが、やがて穏やかさを取り戻した。

演奏が終わり、歩いて出て行くおじさんに田中たちが銃をつきつけた。おじさんは抵抗しない。
コモの父は田中たちを遮った。自分にやらせてくれと。
それは間接的にコモの命まで奪う事になる。だがだからこそ自分がやるべきだとコモの父は引かなかった。

敵のおじさんは黙って目を閉じ、銃声が響いた。