現神姫/天乃咲耶
136 名前:「現神姫」[sage] 投稿日:2005/10/21(金) 03:41:48 ID:???
とりあえず詳しくやってみる。
一気に書くのは無理だったから1日1章ペースでやります。
作者は天乃咲耶。エニの少女漫画雑誌ステンシル連載。廃刊後、Gファンタジーに移籍。
現在6巻まで刊行。順調に連載中。

※注意※
この話は現世と前世の話が乱れ飛んだり、
登場人物が他の人に真実を隠してたりするために
「読者は知っていてもこのキャラは自分の秘密を知らない」
「自分は知ってても他の人に知られないように隠している」
「いや、隠してるつもりだけど結局相手に知られている」
「つーか黒幕です」
…と言う風に結構ややこしい話です。頑張って把握して下さい。
出来るだけ詳しく書きますが、多分単行本読んだ方がいいです。

137 名前:「現神姫」第1章「大江山草子」[sage] 投稿日:2005/10/21(金) 03:42:40 ID:???
 蘇芳千姫(すおう かずき)は十五歳の女子中学生で、両親を早くに亡くして兄の真咲(まさき)と一緒に暮らしている。
 ある日、真咲の友人で千姫とも付き合いが長い久我圭介が「付き合いでチケット貰ったから」と、能の舞台にふたりを誘う。その際、千姫は演者の酒呑童子と妙に視線が合うような気がした。
 舞台後、裏で久我はその酒呑童子の演者の少年と話していた。実は久我はこの少年からチケットを貰ったのだ。彼らは千姫について、そして彼女が持つ刀について語り合う。
 千姫は実は亡者を見る事が出来る。それを久我は知っている。しかし真咲に対しては「こんなの普通じゃないから、兄さんには知られたくないから黙ってて」と久我に頼んでいた。
 その夜。蘇芳の家には真咲は不在で千姫とペットの狐である雪姫(きら)のみがいた。そこに少年が刀を盗むために(能面つけて)忍び込む。久我はそれを森の中から眺めていたが、足元に現れた魑魅魍魎を普通に調伏する。
"そこにおわすは姫神ぞ 我らに実体をお与えくださる あやかりたい あやかりたい…"
 様子がおかしい事に彼は気付いた。森の木を見ると、何らかの札にバツがつけられていた。
「あのバカ!!結界解きやがった!」と久我は走る。
 一方、夜這い状態の少年は、千姫の寝床にある刀を狙う。――ここにいる少女は俺の名を決して呼ばない。それでいい 忘れる事がこの人にとって幸せなら…
 が、刀を取った瞬間、光が走って彼の能面が割れる。千姫も目覚める。
 千姫は刀を抜いて少年を「いい度胸だなこの強姦魔」みたいな事を言ったりして喧嘩。が、彼女の後ろからこれまた能面被った魍魎が出現。千姫を守るためにペットの雪姫が魍魎に襲い掛かるが、攻撃を受けて致命傷を追ってしまう。
 ショックを受ける千姫だが、とりあえず刀置いてふたりでとんずら。無事助かるまで強姦魔だか刀泥棒だかの件は保留として、千姫は彼の名前を聞く。彼は「司狼」と名乗った。
 司狼の中では、千姫と誰かの姿が被っていた。
 ――お前、名前がないのか?なら俺が名づけてやる お前は――
 あなたが俺を呼んで初めて、「司狼」は生まれて来れたんだ。

138 名前:「現神姫」第1章「大江山草子」[sage] 投稿日:2005/10/21(金) 03:45:54 ID:???
 逃げる千姫と司狼に久我が合流する。久我は術で雑魚魍魎を調伏。司狼は千姫を久我に預けて刀を取りに戻る。が、刀はまたしても司狼に対して威嚇めいた光を放って弾くわ、握っても推定100キロのために持てやしない。
「俺が男だからか?テメーの女取られるとでも思ってんのかよ?」
 とかやってるうちに千姫と久我も合流。千姫だと軽々と刀を持てる。が、さっきの能面つけた魍魎(蛇のような姿)が千姫を襲う。久我が途中まで術を使うが逃げられたため、三人も逃げる。
 気絶したままの千姫。久我は司狼に彼女が魍魎に狙われる理由を話す。
「人間が子供を生み出すように 神だろうが鬼だろうがその魂を宿し育み――あらゆる命を生み出せる選ばれた母体だ。その血肉にあやかるだけでも効力は絶大よ」
「そうなった原因は刀だろ?刀を壊せば終わるんじゃないのか?普通に戻れるんじゃ」
「その目的のためだけに女に生まれたんだぞ?元から普通の女じゃねーよ」
 
 これは暁生丸が生前自分で飲んだ条件だ。お前は昔の「司狼」を捨ててまったく別の人生を歩めるが、千姫の運命は変えられない。

 そして久我は司狼に「もうお前は降りろ」と告げる。「今のお前には何の力もないだろう?お前まで手が回らないんだよ」
 しかし司狼は刀に対して「お前の女を守ってやるから力を貸せ」と告げ、待ち伏せて、刀を振るって蛇面の魍魎を斬って捨てる。気絶したままの千姫。司狼も魍魎を倒して気を失う。

 司狼の夢の中。
 千姫にそっくりな剣士が傷付いた鬼を見下ろしている。彼は鬼に対して、人形を与えるから人の子として俺に仕えろと持ちかける。
「お前 名は何と言う?名がないのか?じゃあ俺が名付けてやる。そうだな――司狼はどうだ?金色の…狼のようなキレイな目をしているから」

 現実では真咲が森の中に姿を現し、久我と出会っていた。どうやら真咲は一部始終を見ていたようで、しかも全く動じていない。
「お前がいなくて結界が外れればこうなる事はわかってんだろ?」
「鬼を誘い出したんだよ」
 真咲の腕の中には瀕死の雪姫がいた。折角あげたのにざーんねんと苦笑する真咲を見て、久我はまた何か企んでやがると苦々しく思っていた。

「大江山草子」了