青青の時代/山岸涼子山岸凉子
629 名前:「青青の時代」山岸凉子[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 17:14:27 ID:???
青青の時代(あおのじだい)

まず簡単まとめ。
古代日本。ボケたばばさまとともに南の島に住む少女(イヨ)。
そのばばさまが実は大和(ヤマタイ)連合の盟主・伊都国の巫女・聞こえさまである日女子(ヒミコ)の
姉・日女(ヒルメ)であったことから、壱与は大和の運命を左右する戦乱に巻き込まれる。

壱与はばばさまと島のクロオトコ(墓掘り人)の青年・シビとともに伊都に招かれる。
4人の王子とヒミコとの政争、果ては大和を狙う敵国・狗奴(クナ)との争いの中、
かつての聞こえさまであり、前の王・日男(ヒルオ)と間違いを犯し追放された日女の力を受け継ぎ
次々と不思議な力を発揮する壱与。
最後には権力にしがみつこうとした日女子は倒され、
壱与は新たな聞こえさまにと望まれるが、彼女は再び島の娘に戻ることを選ぶのであった。

630 名前:「青青の時代」山岸凉子1[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 17:16:13 ID:???
遠い昔の日本、南の島(今の奄美大島)に年の頃は7〜8歳の少女・壱与(イヨ)が
ばばさまと共に暮らしていた。
ばばさまはほとんどボケてしまっており、今は壱与としか意思の疎通が出来なくなっていた。
しかし壱与は時々、ばばさまが謡を歌う時などには正気に戻っているかのような気がしていた。
村では忌み人として嫌われているクロオトコ(墓掘り人)の青年・シビに
困っているところを助けられた壱与は彼と仲良くなる。

壱与とばばさまはかつて島の外で一緒に暮らしていた五郎(ゴラエ)が戦で死んだため、
ゴラエの兄の家に世話になっていた。
やがて村の男たちが島の外の伊都(イト)国の戦に召集され、ゴラエの兄も行ってしまったため
ゴラエの兄の妻に家を追い出されてしまう。
家も食料も無く困り果てる壱与に、ゴラエの兄の家の息子タラが「食料を分けてやる」と声をかける。
喜んでついていった壱与を待っていたのはタラをはじめ村の年長の少年達。
壱与は彼らにレイプされてしまう。少年達は抵抗する壱与の首を締め付け、壱与は意識を失う。
そこにシビが通りかかり、壱与を殺してしまったと思い込んだ少年達は慌てて逃げ出す。
シビは壱与を連れ帰り看病する。

タラが家に逃げ帰ると、そこに従者を連れた男が訪ねてくる。
彼は伊都国の四の王子・狗智日子(クチヒコ)であった。
狗智日子は、「少女を連れた照日女(ティラヒルメ)様を探している」と言う。
村人達は森で倒れていた日女=ばばさまを見つけてくるが、壱与の行方はわからない。
タラは「クロオトコが壱与を犯して殺した」と嘘の密告をする。
狗智日子は村人達を連れ、クロオトコを捕らえに行く。しかしクロオトコの家の中から壱与が出てくる。
壱与はタラを見た途端逆上し、狗智日子の腰の剣を奪うとタラ達に向かって剣をやみくもに振り回す。
クロオトコに止められると、壱与は悔しそうに泣き出してしまう。
それを見た狗智日子は真実を察しにやりと笑う。

壱与とばばさま=日女は船で伊都へ行くことになった。
壱与を助けた褒美として、シビも兵として雇われ一緒に行くことになる。
伊都の岸が見えてきた時、日女は不思議な声音で謡を歌いだす。
老婆とは思えぬその美しい声に狗智日子は「これは本物だ」とほくそえむ。

631 名前:「青青の時代」山岸凉子2[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 17:18:33 ID:???
彼らが都に着く直前、伊都の王・天日男(アマノヒルオ)が亡くなる。
狗智日子の帰りを待っていた二の王子・三の王子は悔しがる。
狗智日子達が日女(ヒルメ)を探し連れてきたのには理由があった。
前王・日男の妾腹の息子である一の王子・日子(ヒルス)と、
日子を支持し、また本人も強大な権力を持つ巫女=「聞こえさま」の照日女子(ティラヒミコ)に
対抗するため、日女子の姉の日女を探し出し連れてきたのだ。
しかしそれも日男の死に間に合わず、このままでは日子が王に即位してしまう。
狗智日子は今は二の王子を支持するふりをしているが、
いずれは自分が王になる野心を密かに持っていた。

そんなこととは知らぬ壱与とばばさまは、狗智日子の屋敷に留め置かれていた。
シビは別の屋敷に案内されていた。
久々に安らいだ静かな時間を過ごし、庭の小鳥と語り合うばばさまを見てほっとする壱与。
壱与の耳にもばばさまと小鳥との会話が聞こえてくるようであった。

王・日男の葬儀の日、伊都の戦の相手である狗奴(クナ)の兵が王の屋敷を襲い火を放つ。
火はすぐに消し止められるが、狗奴の兵には逃げられてしまった。
日子は「誰かが手引きしているのでは」と狗智日子に嫌味を言う。
狗智日子は、人質として来た狗奴の王族の娘と日男の間に出来た王子なのである。

この襲撃騒ぎのせいで王の葬儀は一旦中止となり、日子の即位も先延ばしになってしまった。
戦は負け続き、その上伊都の国深くまで襲撃されては
大和(ヤマタイ)連合の盟主として他の国々に示しがつかない、という理由で
二の王子は日女子と日女二人による戦勝祈願の神事を提案。
一の王子・日子は反対するが、他の三人の王子に押し切られてしまう。
日子が日女子に相談すると、日女子は祈願に先立って日女への面会を要望する。

632 名前:「青青の時代」山岸凉子3[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 17:19:27 ID:???
壱与とシビは嫌がる日女を何とかなだめ、聞こえさま=日女子の前に連れてきた。
聞こえさまの屋敷の奥には男子は王(か王になる者)しか入れない決まりだが、
狗智日子は無理を言って同席。
聞こえさまの屋敷の女官を除き、人には姿を見せない日女子と御簾越しに対面する日女。
日女子が声をかけた途端、日女は狂乱して叫びだし、御簾の奥にいる日女子に掴みかかろうとする。
一瞬御簾がめくれて、日女子の顔が露になる。日女とはさほど年の違わぬ姉妹のはずなのに、
まるで親子の如く若い日女子の容貌に驚愕する日子と狗智日子。
日女子は「日女は男と密会し子を産んで聞こえさまの座を追われたのだ」と日女を侮辱し。
日女は悲鳴をあげて倒れてしまう。日女の立場は日女子により完膚無きまでに潰されてしまった。

結局、戦勝祈願は日女子一人で行われ、日女子は勝ち戦だとのご託宣を告げる。
日女はあの日以来すっかり寝込んで「首が沢山転がっているのが見える」とうわ言を叫ぶばかり。
心配する壱与を残し、シビは兵として狗智日子の軍に加わり狗奴との戦に出かけるが、
戦は大敗を喫し王子達の軍隊は伊都に引き返す。
日女子と日子は「負け戦になったのは日女の不吉な言葉のせいだ」と日女に責任を押し付け
日女を追放しろと言い出す。

二の王子、三の王子と狗智日子は、むかし日女と日女子に何があったのかを調べるため
末盧(マツロ)国の長老・ミミナリを呼び話を聞く。
日女は昔、不思議な力を持つ聞こえさまだったが、王・日男と通じて子をなしたため
聞こえさまの座を追放され、その代わりに妹の日女子が聞こえさまになったのだという。
日女子は託宣や神事を通じ力をつけ、やがて国を左右するほどの権力を手に入れたのだった。

日女子は二の王子達が自分を退下させるつもりなのを察知し、日子に彼らを暗殺するよう命令する。
日子はちょうど息子が生まれたばかりなのを利用し、祝いの宴に3人の王子を招待。
その席で3人をまとめて殺すことにする。狗智日子達もこの祝宴で日子を殺す計画をたてる。

633 名前:「青青の時代」山岸凉子4[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 17:20:37 ID:???
しかし祝宴の直前、壱与の献身的な看病の甲斐も無くばばさま=日女が亡くなる。
日女の死が知れては祝宴が中止になってしまうので、狗智日子はこの死を伏せておくことにする。
壱与は、シビと世話係で下働きの男・フリの三人だけで寂しいが心温まる葬儀を行う。

祝宴が始まり、日子や王子達はお互いに相手の隙を狙っていた時、突然空の太陽が欠け始める。
照(ティラ)日女子の照とは太陽(ティラ)のこと、日女子に何かあったのではないかと驚いた王子達は
暗殺のことも忘れ聞こえさまの屋敷へ走る。
間者により日女の死を知った日女子は、消え行く太陽を見て「日女子の復讐か」と驚く。
やがて太陽はすっかり消え、人々はこの世の終わりだと泣き叫ぶ。
太陽の縁に一瞬光が戻るのに気付いた日女子は「わらわの力で太陽を戻して見せよう」と叫び
太陽を指差す。するとみるみる太陽が戻り始め、人々は日女子のおかげだと喜ぶ。
だが注意深い狗智日子だけは、日女子が指差す前に光が戻り始めたことに気付いていた。

狗智日子は日女子の権威を貶めるため、
「太陽が欠けたのは日女が本当の聞こえさまだからだ」と日女の死を公表、
葬儀を大々的に執り行うことにする。
狗智日子はシビとフリを捕らえ、壱与が止めるのも聞かず日女の墓を掘り返し
遺体を屋敷に安置して「聞こえさま」としての殯(もがり)を始める。
日女子は怒って殯を中止させるよう日子に命じ、
日子は殯に乗り込んで日女の遺体を足蹴にし壱与を連れ去る。

二の王子達はこれを日子の宣戦布告と見なし、聞こえさまの屋敷に逃げ込んだ日子への攻撃を決定。
狗智日子は牢に閉じ込めていたシビに日子を討つことを漏らし、
日女子は壱与を殺すつもりだと匂わせシビを牢から放つ。
狗智日子は、壱与と聞こえさまに何かあってもシビに責任を押し付けるつもりだった。

二の王子達の軍勢が聞こえさまの屋敷を取り囲み、攻撃を開始する。
戦いの中、日子は敵の軍勢の中に狗奴(クナ)の兵が混じっているのを目撃。
日子の軍隊は押され、矢を受けた日子は日女子とともに脱出を図ろうとする。
しかし日女子はここは動かぬと答え、壱与を人質に末盧国の王・押那可の元へ逃げろと命じる。

634 名前:「青青の時代」山岸凉子5[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 17:22:09 ID:???
日子は少数の兵とともに壱与を連れて屋敷を脱出するが、
矢じりに塗ってあった毒が体にまわり森の中で倒れてしまう。
ようやくシビが追いついて壱与を救い出そうとした時、
突然現われた謎の兵たちが日子に矢を射掛けて殺し、すぐにその場を立ち去った。
日子を追いかけてきた狗智日子達は、壱与とシビ、そして倒れて死んでいる日子を見つける。

日子の死を知った日女子は、すぐ押那可はじめ大和(ヤマタイ)の連合国へと使いを送る。
王子達は戦勝気分に酔いしれ宴にうつつを抜かしていたが、
数日後に日女子に召集された各国の王達がやってきたのを見て、日女子に謀られたことに気付く。

日女子派の押那可を議長に、日子殺しの詮議が始まった。
全ての事の発端は日女だという王子達の言に、壱与も王達の前に引っ張り出されるが
日女子は壱与が日女の孫であることを頑強に否定。
狗智日子は、今や壱与の存在は日女子にとって脅威であることにようやく気付く。

王子達は日子殺しの罪をシビに押し付け、シビを処刑しようと提案。
壱与は「シビは犯人じゃない」と反論、
日女子は「それが嘘でない証拠に盟神探湯(クカタチ)をやるか」と問う。
クカタチが何かを知らない壱与はそれを了承してしまう。
盟神探湯(クカタチ)とは熱湯に手を入れ、やけどをしない者の言い分を正しいとする儀式であった。
日女子は、日女と同じく皆の目の前で壱与も潰すつもりであった。

クカタチを執り行う日、神事を見物しようと集まった付近の住民達の中に、
戦で死んだ父の代わりに出稼ぎにきたタラもいた。
王子達や大和の王達と観衆、そして御簾の奥から日女子が見守る中、
広場にシビと壱与が引き出される。
広場の真ん中に煮えたぎる湯の入った釜を見た壱与は、ようやくクカタチが何かを知り怯える。
しかし湯に手を入れなければ、すぐにでもシビは殺されてしまう。
観衆の悲鳴の中、壱与は震えながら釜に近づいていく。
釜の前まで進み出た壱与は、人々の悲鳴が遠くなり心が不思議に静かになるのを感じた。
煮えたぎる湯の水面もいつしか穏やかに見え、壱与は釜の湯の中にそっと手を差し入れた。

635 名前:「青青の時代」山岸凉子6[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 17:23:12 ID:???
そして壱与が湯から手をあげると、手は湯で濡れてはいたものの火傷一つしていなかった。
奇跡に喜び歓声をあげる観衆をよそに、日女子は黙って奥へ下がってしまう。
日女子派だった王達もこの奇跡を目の当たりにし日女子の時代が終わったことを確信、
王子達と壱与派に転向したため、二の王子の即位が決定的になる。
その日の夜、シビと壱与、フリは二の王子の持ち家に泊まっていた。
自分に何故あんなことが出来たのかわからないと怯える壱与に、
シビは「おまえにはばあさん(日女)がついてるんだ」と言って元気付ける。

聞こえさまの座を死守したい日女子は、今度は狗智日子を密かに呼び出し
自分に聞こえさまの座を約束するなら狗智日子を王として認めてやる、と取引を持ち掛ける。
狗智日子が「壱与には自分の父・天日男の血が流れているのか否か」を尋ねると、
日女子は「日女は日男との密会に向かう途中で暴漢に襲われて身ごもったのだ」と秘密を暴露。
勘のいい狗智日子は日女子が昔から日女を憎んでいたことを悟る。
日女子は二の王子と三の王子、そして壱与を抹殺せよと狗智日子に命じる。

二の王子の即位を三日後に控えた夜、二の王子の屋敷を狗奴(クナ)の兵が襲撃、火を放つ。
狗智日子は狗奴の兵とともに二の王子を殺害、
それを目撃した三の王子は大火傷を負いながら逃げ出す。
二の王子の別邸にいた壱与達も狗智日子の部下に襲われるが、シビの機転で逃げ出すことが出来た。
壱与達は逃走中に茂みの中に倒れている三の王子を見つけ、
彼とともにフリのいとこのマシの家に隠まってもらうことにする。

636 名前:「青青の時代」山岸凉子7[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 17:24:24 ID:???
二の王子は殺され、三の王子が行方不明になり大和の王達は狼狽。
日女子にお伺いを立てに行くと、日女子は「四の王子・狗智日子を王とする」と神託を告げる。
王達は、狗奴の血をひく狗智日子と日女子が組んだことに驚き慌てる。
即位式は二の王子の30日間の殯の後と決まり、猶予が出た王達は集まって対策を練ることにする。
王達が退出した後、狗智日子は日女子に「30日の殯は長すぎる」と抗議するが
逆に日女子は壱与を逃がした狗智日子を責める。
都合よく狗奴が現われることに、日女子も狗智日子を疑っていたのだ。
狗智日子は、日女子の屋敷の女官・アヨをたぶらかしスパイに仕立て上げ、
日女子は若さを保つために胎児の血をすするという噂を聞き出す。

一方、壱与達とともにマシの家に隠れている三の王子は、左眼を失い大怪我を負ってはいたが
何とか歩き回れるまでに回復していた。三の王子は狗智日子への復讐を誓う。

壱与が見つからぬまま一ヶ月が経過、日女子は更に殯(もがり)を30日延長することを決定。
とうとう痺れをきらした狗智日子は、日女子を引き摺り下ろすため壱与を利用することにし、
広く壱与の探索令を出す。
そしてアヨを使い、聞こえさまの屋敷の宝物庫から王の証である幡と銅鏡を盗み出す。

壱与を見つければ金一封がもらえると聞きつけたタラは、マシの家にいる壱与を見つけ密告。
マシの家に狗智日子の部下が兵を連れて壱与を捕らえにやってくる。
部下達が三の王子の存在を知らないことに気付いた壱与は、三の王子を藁の下に隠し
シビとともに捕らえられ連れて行かれる。三の王子は怪我を押して伊都を脱出、末盧へと向かう。

壱与も宝も手中に収めた狗智日子は、大和の王達に銅鏡を送り即位式へ招待。
そして殯の終わる前日、ヒミコに目通りに行き「翌朝即位式を行います」と告げる。驚き怒るヒミコ。

637 名前:「青青の時代」山岸凉子8[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 17:25:20 ID:???
翌朝。何としても狗智日子の即位を止めたい日女子は即位式を欠席するが、
狗智日子は日女子の替わりに壱与を御簾の向こうの聞こえさまの席に座らせる。
大和の王達も集まったが、末盧国の王・押那可(おしなか)だけは体調不良を理由に欠席。
即位式の後の宴の席に、狗智日子が狗奴の王・狗日呼子(クヒココ)を伴って現われ
狗智日子の伯父にあたる狗日呼子とともに大和を統一し治めると宣言。
王達は驚き狗智日子に飛び掛ろうとするが、逆に兵に捕らえられ牢に幽閉されてしまう。

変事を聞きつけた日女子は急いで押那可に使いを送る。
すぐに狗智日子が兵を率いて訪れ、日女子を聞こえさまの屋敷から立ち退かせ
狗智日子の屋敷へ身柄を移す。
狗智日子はすぐに狗奴の軍とともに投馬(ツマ)国を攻め落とし、末盧国へ進軍。
即位式を欠席していた押那可は篭城を決意。
しかし、狗智日子は人質の王達の命と引き換えに大和各国に末盧を援助しないよう命令。

一方、狗智日子の屋敷に女官とともに幽閉中の日女子は、鏡にうつった自分の老いた顔を見て
食事に少量ずつ毒が混ぜられていることに気付く。
そして篭城長引く押那可の屋敷を取り囲んでいる狗智日子の元に
日女子が死にかけているとの知らせが届く。
狗智日子は日女子の最期を見届けようと少数の兵とともに伊都へ戻る。
末盧まで来ていた三の王子は、援軍を請うため一人不弥(フミ)国へ向かう。

日女子の部屋に入った狗智日子は、老婆のような日女子の顔に驚く。
ところが、死にかけていたはずの日女子が突然起き上がって懐剣で狗智日子に斬りかかり、
油断していた狗智日子は肩を斬られてしまう。
急いで剣を抜いた狗智日子は日女子の腹を刺すが、日女子は庭に逃げ出した。

同じく幽閉中のシビ達は、隣の屋敷から聞こえてくる騒ぎを気付き、
塀の向こうから助けを求めた血まみれの女性を引っ張り上げてみると、それは日女子であった。
日女そっくりの日女子の老けた顔を見て思わず「ばばさま!」と喜び叫ぶ壱与。
そこに狗智日子達がやってきて日女子を渡せと迫るが、壱与は
「日女子を殺すなら聞こえさまの代わりの占いなんかしない、いい予言も言わない」と頑として応じない。
恐れをなした兵達に動揺が走り、士気が落ちるのを恐れた狗智日子は一旦引き下がることにする。

638 名前:「青青の時代」山岸凉子9[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 17:26:10 ID:???
翌朝目覚めた狗智日子は、日女子の剣に毒が塗られていたことに気付く。
毒が抜けるまでしばらく伊都から動けないことを悟り、仕方なく狗日呼子の力を借りることにする。
末盧国では、狗智日子の姿が見えないことに気付いた押那可が反撃を開始。
一旦は押されるが、三の王子が不弥国の軍とともに到着、狗智日子不在の軍に勝利する。

日女子は重症を負っていたが壱与の看病で何とか持ち直す。
しかしシビが漁に出た隙を見計らい、狗智日子がやってきて
「日女子は水子を食らう鬼女だ」と言い剣を向ける。
日女子は「殺すならこの娘も一緒だ」と壱与を抱え盾にするが、狗智日子は意に介さず剣で突く。
壱与が死を覚悟した瞬間、突然壱与の目には剣の動きが鈍く、遅くゆっくりと見え、
壱与は思わず体を少し横にずらして剣を避ける。
剣は日女子の胸に深深と突き刺さり、日女子は狗智日子に呪いの言葉を吐いて息絶える。
聞こえさまを殺したことに恐れおののく兵達の手前、狗智日子は仕方なく殯(もがり)を行うことにする。
隣の屋敷で日女子が殺されたことに気付いた日女子の女官たちは、
日女子の宝を奪って我先にと逃げ出す。

末盧に戻ろうとした狗智日子の元に、三の王子率いる不弥国の軍が
伊都に攻め上っているとの知らせが届く。
狗智日子が狗日呼子に援軍を頼むと、狗日呼子は大和を統一した暁にはその半分を貰うと要求。
伯父・狗日呼子も真の味方ではないと改めて思い知らされる狗智日子だが、
大和を統一するまでだ、と考えこれを承諾する。

やがて三の王子と不弥国、末盧国の軍が伊都に到着、狗智日子と狗奴の軍と
激しい戦いを繰り広げる。壱与とシビは警備が手薄になった隙をついて逃げ出し、
シビは牢に囚われていた大和の王達を助け出す。
しかし狗奴の軍は強く、三の王子達は敗走を余儀なくされる。
ところが、三の王子を追い海岸までやってきた狗智日子に狗日呼子が斬りかかった。
元々狗日呼子も狗智日子を信じてはいなかったのだ。
狗智日子は反撃するが、狗奴の兵に取り囲まれ殺される。
伊都と狗奴の間に生まれ、それ故に故郷を持たず、
自らの手で自らの国を作り上げようとした狗智日子の望みはここに潰えたのだった。

639 名前:「青青の時代」山岸凉子10[sage] 投稿日:2006/01/06(金) 17:28:36 ID:???
狗智日子の剣で斬られた狗日呼子は、剣に塗られていた毒により傷が腐り始め苦しむ。
狗日呼子はこれは日女子の呪いだと思い、宝を持って逃げ出した女官達を捕らえさせ
生き埋めにして殉死させることにする。

一方、逃げ出した三の王子と壱与、シビは一支(イキ)国にかくまわれていた。
人質になっていた大和の王達が無事国へ帰ったため、各国とも狗奴と戦うつもりであった。
壱与は、ばばさまが「女子の首が見える」と叫ぶ夢を見、
三の王子にすぐに伊都に進軍するよう頼む。王子達はこれを託宣と受け取り、伊都に進軍する。

狗日呼子は傷が悪化、そこに三の王子と大和の連合国が攻め込む。
圧倒的な兵力に狗奴の兵達は狗日呼子を連れて逃げ出そうとするが、狗日呼子は既にこときれていた。
三の王子達は首まで生き埋めにされていた女官達を掘り出すが、ほとんどが既に死んでいた。

そして大和連合は狗奴に勝利、三の王子が新たな王として即位することになる。
託宣が当たったことで、三の王子達は壱与を新たな聞こえさまとして迎えようとするが、
壱与はこれを断り、タラを連れてこさせて自分が既に生娘ではないことを告げる。
三の王子はタラを斬ろうとするが、壱与はそれを止めて
「私をただの島の娘にしてください」と頼む。

結局、醜女と評判で貰い手は無かったものの心優しい一支(イキ)国の美子(ミッキョ)が
新たな聞こえさまに選ばれ、壱与は島に戻ることになった。
シビも軍の大将の座を断り、壱与とともに戻ることにする。
島に向かう船の中で壱与は、
死んだ人を葬り残された人を慰めるクロオトコの仕事は尊い、と言い、
「もう13歳になったし、島に帰ったらシビのお嫁さんにして」とシビに頼む。
思わず照れるシビ。
やがて、青い海の向こうに懐かしい島の岸辺が見えてきたのであった。

終わり