14歳/楳図かずお
409 :14歳(1/12) :04/01/31 01:12 ID:???
廃品処理的に14歳(楳図かずお)を。さすがに長い・・・

1チキンジョージ誕生
時は近未来(といってもかなり未来)
人間は完全に自然を管理し、食肉すらバイオクローン技術にてまかなう世界。
ある日、鳥のササミを作るプラントにて一つの異常が発生する。
鳥のササミに目玉のようなものがくっついている。
管理人は目の錯覚と思い放置しておくが、そのササミは次第に鳥の頭のような形へ変貌していく。
ついには人間の体を持ったニワトリ頭の異形へと変わったその鳥のササミを
管理人はつい自宅へ持ち帰ってしまう。
培養液につかったソレは、管理人が仕事に出ている間に目覚め、
パソコンにて「学習」を始める。
学習から膨大な知識を獲得し、人語を操るまでに至ったその鳥のササミは
「チキンジョージ」と名乗り、自らを「自然界から遣わされた復讐者」と認識し
管理人の家から脱走する。

410 :14歳(2/12) :04/01/31 01:12 ID:???
緑病
チキンジョージ誕生からしばらくして、全世界に「緑病」が発生する。
世界で同時に、緑色の髪の毛を持った赤ん坊が生まれたのだ。
研究の結果、それは葉緑素だということがわかる。
人体には全く無害なのだが、何故赤ん坊に葉緑素が?
アメリカ大統領の息子、「アメリカ」もまた緑病だった。
先進諸国は世界の混乱を避けるため、病院にて葉緑素の除去を行うようにした。
一応のおさまりを見せる緑病。
だが、緑病は日本の女子中学生が体育倉庫で出産した赤ん坊も例外ではなかった。
世間体の問題から病院に連れて行くことすらできないその赤ん坊の名は「きよら」。

411 :14歳(3/12) :04/01/31 01:13 ID:???
3チキンジョージ研究室
時を同じくして、チキンジョージの秘密の研究室。
外海のゴミ捨て島の地下にそれはある。
チキンジョージは緑病を「植物が世界の終わりを予感し、脱走するためのもの」と判断。
同時に「地球」という星の終わりの時期を予言する。
人間の遺伝子をシミュレーションし、いくつかの可能性を示唆するが
そこから導き出された回答は「人間は14歳で終わる」ということだった。
緑病の赤ん坊たちが14歳になるとき、人間は終わるらしい。

412 :14歳(4/12) :04/01/31 01:14 ID:???
4ローズ氏
全世界の経済を操る大実業家・ローズ氏。
彼の望みは永遠の美しさ、永遠の命。
その望みをかなえるため、彼はチキンジョージに取引を持ちかける。
チキンジョージは不老不死の数式をローズ氏に与え
ローズ氏は対価として世界予算に匹敵する金を支払った。
チキンジョージはその金をもちいて地球脱出用宇宙船「ティラノサウルス号」を建造する。
また、不老不死の数式は人間の科学レベルでは解読できず、
ローズ氏はチキンジョージの確保を考える。
演技のうまい女スパイ・バーバラをチキンジョージにあてがわせ、相愛になるよう仕向ける。
だがチキンジョージは自らの頭脳を人間に利用されることだけは回避しなくてはならないと考え、
自分の脳(のうちの思考分野)を破壊する。

414 :14歳(5/12) :04/01/31 01:15 ID:???
5モノ
ローズ氏の元に連れ出されたチキンジョージは、計算能力だけは残存していたため、
かつて自分がローズ氏に送った不老不死の数式の解読をさせられる。
その解読結果を元にローズ氏の不老不死化が行われたが、実験は失敗する。
だが、副産物としてローズ氏の分体から「モノ」と呼ばれる人造人間が製造されることとなった。
「モノ」は人間と同様の思考能力と姿かたちを持つが、刷り込みによって人間に忠実化されており
またある程度の再生能力を持っている。
「モノ」は人工奴隷として世界中に売り出された。「モノ」を使った殺人プロレスなどの見世物に
世界はわきたった。

415 :14歳(6/12) :04/01/31 01:16 ID:???
6選民
「モノ」の売り出しは、は地球の終わりを予測した先進国上層部の、
世界の国民の目を地球の終わりからそむけさせるためのものだった。
地球の終わりが不可避のものと知った先進国上層部は、
種の存続のため、選ばれた子供たちのみを宇宙へ脱出させる計画を立てたのだった。
その選抜に向かう途中、アメリカ大統領の息子「アメリカ」は不慮の事故にて死亡する。
だが、「アメリカ」と「きよら」はほぼ同じ遺伝情報を持っていたため、
「モノ」の製造技術を応用してアメリカはきよらの体を得て再生する。

416 :14歳(7/12) :04/01/31 01:17 ID:???
世界の終わり
世界の上層部は、地球の終わり・人類の終わりを地球外の生物に訴えかけ、
救い方を提示してもらえないかと模索していた。
だが、その呼びかけに答えて地球へ姿を現した宇宙人は、
自らもまた種族の終わりに瀕していたのだった。
地球人の遺伝情報を得ることで種の終わりを回避できないか実験するため、
宇宙人による地球人への集団レイプが始まる。
だが、結局種の終わりを回避することは不可能という結論が出たため、
宇宙人は地球が持つエネルギーを全て吸収して立ち去ってしまう。
エネルギーを吸い尽くされた地球に天変地異が発生し、
ついに世界は滅亡する。
アメリカ大統領「さらば人類!おつかれさま!」

552 :14歳(8/12) :04/02/02 22:40 ID:???

8ティラノサウルス号発進
ついに地球は滅亡し、選ばれた子供たちは
チキンジョージが残した地球脱出宇宙船「ティラノサウルス号」にのりこみ
宇宙へと旅立つ。
この旅の目的は新たに生存可能な惑星を見つけ出すことと、
「14歳で終わる」と予言された人類の寿命を永らえさせる方法を見つけ出すことだ。
選ばれた子供たちは宇宙で生き延びるための英才教育を受けており、
アメリカ大統領の息子「アメリカ」を中心に、宇宙船内で共同生活と研究を始めた。

554 :14歳(9/12) :04/02/02 22:41 ID:???
9ティラノサウルス号の内乱
宇宙船での生活を続ける、選ばれた子供たち。
だが、一緒に乗り込んだ「もの」の反乱と
ローズ氏の脳の一部を移植された子供「のばら」の反乱、
さらには宇宙船にへばりついていたチキンジョージの死骸が生み出す幻影で
宇宙船は大混乱を極めるが
「アメリカ」の活躍と、地球でただ一人生き残り、
チキンジョージの研究室から通信機ごしでアドバイスを送っていた
アメリカ大統領の活躍諸々で混乱はひとまずの収束を迎えた。

558 :14歳(10/12) :04/02/02 23:00 ID:???
じゃあ書きあがってるんで、一気にべたべた貼り付けるわ。

10終わりになった地球
地球はその全てのエネルギーを失い、地上の建造物は重力異常などで全て崩壊した。
だがその中で生き残り続けた生物がいた。それは「ゴキブリ」。
人間のいなくなった世界の後継者は、超スピードで進化を遂げ、高度な知能をもつまでに至ったゴキブリだった。
ゴキブリは有害物質を食料として繁栄していたのだった。
かつてチキンジョージの研究室だった場所に迷い込んだゴキブリの子供「ゴキンチ」は
そこでアメリカ大統領の死体と、植物が進化したような虫を食い続けて生きながらえるバーバラを目撃する。
バーバラはスパイ任務のために自分の心すら騙し込み、チキンジョージを愛し続けて生きていた。
チキンジョージのマスクをかぶり、自らチキンジョージと一体化したと思いこんでいた。
ゴキブリとの戦いの末、バーバラもまた醜い本性をあらわして息絶える。

559 :14歳(11/12) :04/02/02 23:01 ID:???
11数年後、子供だけの宇宙旅行の終焉
地球滅亡のおり、死亡した人類は「本性」があらわれてから死んだ。
本性とはつまり、心根そのままの醜い化け物になって暴れだすゾンビ化のようなものだ。
(一心に我が子「きよら」の無事を祈り続けた女子中学生のように、美しい姿になって命を終えたものもいた。)
14歳を間近にひかえた子供たちは種族としての終わりを迎え、14歳の誕生日を迎えた者たちから
順に本性をあらわして死んでいった。
子供たちは対策として、14歳の誕生日を迎える直前になったらその子供に冷凍睡眠処置を施すことにした。
また一人、また一人と冷凍睡眠装置で眠りにつく子供たち。
最後の一人は「きよら」の最も遅生まれの体を持った「アメリカ」だった。
アメリカはアメリカの体の中で意識だけが残っていたきよらと最後まで研究を続ける。
そして突然、宇宙船が「なにかにつかえてすすまなくなった」
宇宙空間の中になのに強烈な光が前方を覆いつくし、壁のようなものにつきあたったティラノサウルス号。
それこそは「宇宙の果て」だったのだ。崩壊するティラノサウルス号。
そしてアメリカは、きよらの助言と判断を元に、ティラノサウルス号を生身で飛び出すのだった。

560 :14歳(12/12) :04/02/02 23:02 ID:???
12結末
ティラノサウルス号を飛び出し、宇宙の果てをも飛び越えたアメリカ。
そこは、どこかの地球上の風景のようだった。
自分が飛び出してきた場所を見るアメリカ。
そこには、今にも死にそうなアオムシが横たわっていた。
そう、我らのこの宇宙はアオムシのインナースペース=小宇宙だったのだ。
アオムシが死に掛けているために、我らの宇宙は終わりを迎えていた。
人類のせいではなかったのだ。
アオムシを木の葉生い茂る場所へ移そうとするアメリカ。
しかしアオムシの宇宙の住人であるアメリカにはアオムシを持ち上げることは不可能だった。
そこへ自動車で通りかかる親娘連れ。その顔はまさにチキンジョージそのものだった。
彼女らにアメリカは見えない。またアメリカも彼らに触れることはできない。
だが心優しいその娘はアオムシを見つけると、そっとつまみあげ、森の中へ帰してあげるのだった。
なんと美しい心の持ち主だと感動するアメリカ。
アオムシが元気を取り戻し、アメリカが心から感動したその瞬間、
アメリカはチキンジョージ顔の少女たちと会話をかわすことができるようになり、人類は新たなステージへと進化した。
この一連の出来事が人類の終焉を回避させ、人類を新たな段階へと押し上げたのだ。
冷凍睡眠装置の残骸から次々と起き出す子供たち。
アメリカたちは少女に心から礼を言うと自分たちの世界=アオムシの小宇宙へと帰っていった。
新たな段階へと進化した子供たちには宇宙空間も一足飛びに駆け抜けることができた。
子供たちはここから、新たな世界を作り上げるのだろう。
そして彼らを見送る親娘のうしろの草むらでは、
チキンジョージがさよならを言うかのように手を振っているのだった。

終わり

561 :14歳 :04/02/02 23:04 ID:???
ちなみに、単行本見ないで記憶だけで書いたので
エピソードの順番とか固有名詞はちょっと違ってるかもしれませんが
あらすじとしては間違ってないはずです。
つーか、オチまで書いてしまってよかったんだろうか。

568 :マロン名無しさん :04/02/03 00:03 ID:???
復讐者を名乗ったり、地球脱出のための人類の宇宙船作ったり幻影見せたり、
チキンジョージは結局何がしたかったの?

569 :マロン名無しさん :04/02/03 00:08 ID:???
>>568
正直、俺にもよくわからん(;´Д`)
終盤は大人の事情ではしょりまくりだったしな・・・

ただ、チキンジョージは人類のために脱出船をつくったわけではない。
脱出船に乗せるのは人間を除いた地球上全ての動植物のみ。
彼は徹頭徹尾人間嫌いで動物のためだけに動いていた。
死体になってからは宇宙に脱出したいという本能だけで動いてたっぽい。
(だから幻影で宇宙船を乗っ取ろうとしたらしい)